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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。


第32回 「福祉行財政と福祉計画」

福祉計画と根拠法

 福祉計画は、法律に基づいて策定されます。ですから、福祉計画に盛り込むべき内容は、根拠法である法律の趣旨に沿った内容となります。どの福祉計画がどの根拠法に基づくものであるのか、その根拠となる法律はどのような性格で何を目的としているのかということに留意して、計画の内容を理解しておきましょう。

 例えば「障害者基本法」は、障害者の分野における母法に位置付けられる法律ですから、障害者の定義や基本理念、障害に関するあらゆる分野を網羅した基本的な考え方と枠組みを提示している法律です。

 この障害者基本法に基づく都道府県障害者計画および市町村障害者計画は、「障害者施策の基本理念」「現状分析と障害者施策の体系化と連携」「障害者各種施策の目標と具体的方策」等を盛り込むことになります。

 これに対して「障害者総合支援法」は、障害者の福祉サービスに焦点を当てた法律ですから、この法律に基づく障害福祉計画は、障害福祉サービスに関する具体的な内容を盛り込むことになります。このように、法律の性格と目的によって、その法律に基づく計画に盛り込むべき内容が異なってくることに気をつけておきましょう。

都道府県計画と市町村計画

 次に、都道府県計画と市町村計画の違いについてみていきましょう。各法律において、都道府県の役割、市町村の役割をどのように位置付けているかによって、都道府県計画と市町村計画に盛り込むべき内容が異なってきます。

 「介護保険事業計画」や「障害福祉計画」については、介護保険の実施主体および障害者自立支援制度の実施主体はいずれも市町村なので、市町村計画は基本的に「事業の実施」に関する内容を盛り込み、都道府県計画はその市町村計画の実施を「支援」する内容を盛り込むことになります。ではその内容を具体的にみていきましょう。

都道府県介護保険事業支援計画

 介護保険法においては、都道府県は、市町村の介護保険事業を支援するための都道府県介護保険事業支援計画を策定することになっています。市町村を「支援」するという位置付けの計画です。

 都道府県介護保険事業支援計画には、介護保険施設等の入所系サービスの必要入所定員数等の量の見込みおよび施策に関する事項とその目標に関する事項を定める「義務」があります。

 定める「努力義務」の事項は、施設の生活環境改善を図る事業、介護サービス情報公表に関する事項、介護支援専門員等介護サービス従事者の確保と資質の向上に関する事項、介護保険施設相互間の連携の確保に関する事項、介護予防・日常生活総合事業や包括的支援事業の市町村相互間の連絡調整に関する事項です。


市町村介護保険事業計画

 市町村介護保険事業計画には、日常生活圏域における介護給付対象サービスの種類ごとの量の見込み、地域支援事業の量の見込み、被保険者の自立支援・介護予防等の「費用の適正化に関する事項、それぞれの事項の「目標」を定める「義務」があります。

 定めることが「努力義務」とされている事項は、必要利用定員総数等の見込み量確保のための方策、地域支援事業の費用額と見込み量確保のための方策、サービス量や給付費用と保険料水準の中長期的推計、介護給付対象サービスの円滑な実施、認知症支援や医療・居住施策との連携に関する事項です。

第1号被保険者保険料

 市町村介護保険事業計画に、「日常生活圏域における介護給付対象サービスの種類ごとの量の見込み」、「地域支援事業の量の見込み」を定めることが義務とされており、「サービス量や給付費用と保険料水準の中長期的推計」を定めることが努力義務とされているのは、介護保険の実施主体である市町村が、第1号被保険者の介護保険料の額を決定しなければならないからです。

 第1号被保険者の「介護保険料の額」は、市町村議会の議決による「条例」で決定されます。都道府県介護保険事業計画には定めませんので、気をつけておきましょう。

 介護保険料の額の算定の際に用いられる「保険料率」は、「市町村介護保険事業計画に定める介護給付等対象サービスの見込量等に基づいて算定した保険給付に要する費用の予想額、財政安定化基金拠出金の納付に要する費用の予想額、都道府県からの借入金の償還に要する費用の予定額、地域支援事業及び保健福祉事業に要する費用の予定額、第一号被保険者の所得の分布状況とその見通し、国庫負担等の額等に照らし、おおむね3年を通じ財政の均衡を保つことができるものでなければならない」とされています。

意見聴取義務

 市町村は、市町村介護保険事業計画を策定するときは、または変更しようとするときは、前もって「被保険者」の意見を反映させるための措置を講じることが義務付けられており、あらかじめ都道府県の意見を聴かなければならないとされています。

評価義務

 都道府県介護保険事業支援計画、市町村介護保険事業計画とも、介護保険施策の実施状況、目標の達成状況に関する調査および分析を行い、市町村介護保険事業計画、都道府県介護保険事業支援計画の「実績に関する評価」を行うことが義務付けられています。

都道府県障害福祉計画

 次に、障害者総合支援法に基づく障害福祉計画についてみていきましょう。

 都道府県障害福祉計画には、障害福祉サービス等の提供体制の確保の目標、区域ごとの各年度の障害福祉サービス等の種類ごとの必要量の見込み、各年度の指定障害者支援施設の必要入所定員総数、地域支援事業の実施に関する事項を定める義務があります。

 定める努力義務事項は、区域ごとの障害福祉サービス等の必要な見込み量の確保のための方策、従事者の確保と資質の向上、指定障害者支援施設のサービスの質の向上のための措置等です。

市町村障害福祉計画

 市町村障害福祉計画には、障害福祉サービス等の提供体制の確保の目標に関する事項、各年度における指定障害福祉サービス、指定地域相談支援または指定計画相談支援の種類ごとの必要な量の見込み、地域生活支援事業の種類ごとの実施に関する事項を定めることが義務付けられています。

 「市町村障害福祉計画」に定めることが努力義務とされているのは、指定障害福祉サービス等の種類ごとの必要な見込み量の確保のための方策、関係機関との連携に関する事項です。

障害児福祉計画

 児童福祉法に基づく市町村障害児福祉計画には、障害児通所支援、障害児相談支援の提供体制の確保に係る目標に関する事項、各年度におけるこれらの種類ごとの必要な見込み量を定めることが義務付けられています。

 市町村障害児福祉計画に定めることが努力義務とされているのは、上記の種類ごとの必要な見込み量の確保のための方策、これらの提供体制の確保に係る関係機関との連携に関する事項です。

 都道府県障害児福祉計画には、障害児通所支援の提供体制の確保に係る目標に関する事項、区域ごとの各年度の障害児通所支援、障害児相談支援の種類ごとの必要な見込み量、各年度の障害児入所施設などの必要入所定員数を定めること等が義務付けられています。

 都道府県障害児福祉計画に定めることが努力義務とされているのは、区域ごとの指定通所支援の種類ごとの必要な見込み量の確保のための方策、区域ごとの指定通所支援、指定障害児相談支援の質の向上のために講ずる措置に関する事項、指定障害児入所施設等の障害児入所支援の質の向上のために講ずる措置に関する事項、区域ごとの関係機関との連携に関する事項です。

 以上、介護保険事業(支援)計画、障害福祉計画、障害児福祉計画について、都道府県計画と市町村計画、定めるべき事項と定めるよう努める事項について確認してきました。


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