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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。


第31回 「地域福祉の理論と方法」

地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律

 提言を受けて、2020年(令和2年)に「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律」の制定により、社会福祉法が改正され、2021年(令和3年)4月施行されました。


地域福祉推進の目的規定

 改正された社会福祉法では、包括的な支援体制の整備に関して「地域福祉の推進に関する事項」として、新たに「地域福祉の推進は、地域住民が相互に人格と個性を尊重し合いながら、参加し共生する地域社会の実現を目指して行われなければならない」と規定されました。

国・地方公共団体

 「国及び地方公共団体」は、地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制整備等の推進のために必要な措置を講ずるよう努めること、関連施策との連携に配慮するよう努めなければならないとされました。


国・都道府県

 「国及び都道府県」は、市町村の重層的支援体制整備事業等、地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備が、適正かつ円滑に行われるよう、必要な助言、情報の提供その他の援助を行わなければならないとされました。

厚生労働大臣

 厚生労働大臣は、「重層的支援体制整備事業」をはじめとする施策に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な「指針」を公表するものとするとされました。


市町村

 市町村は、地域生活課題の解決に資する包括的な支援体制を整備するため、社会福祉法に基づく事業、介護保険法、障害者総合支援法、子ども・子育て支援法、生活困窮者自立支援法に基づく事業を一体のものとして実施することにより、地域生活課題を抱える地域住民及びその世帯に対する支援体制・地域住民等による地域福祉の推進のために必要な環境を一体的かつ重層的に整備する事業として、「重層的支援体制整備事業」を行うことができるとされました。

重層的支援体制整備事業

 「重層的支援体制整備事業」は、大きく「包括的相談支援事業」「参加支援事業」「地域づくり事業」「アウトリーチ等を通じた継続的支援事業」「多機関協働事業」に分類されます。

 「包括的相談支援事業」は、属性や世代を問わず包括的に相談を受け止める、支援機関のネットワークで対応する、複雑化・複合化した課題については適切に多機関協働事業につなぐ事業です。

 「参加支援事業」は、社会とのつながりを作るための支援を行う、利用者のニーズを踏まえた丁寧なマッチングやメニューをつくる、本人への定着支援と受け入れ先の支援を行う事業です。

 「地域づくり事業」は、世代や属性を超えて交流できる場や居場所を整備する、交流・参加・学びの機会を生み出すために個別の活動や人をコーディネートする、地域のプラットフォームの形成や地域における活動の活性化を図る事業です。

 「アウトリーチ等を通じた継続的支援事業」は、支援が届いていない人に支援を届ける、会議や関係機関とのネットワークの中から潜在的な相談者を見つける、本人との信頼関係の構築に向けた支援に力点を置く事業です。

 「多機関協働事業」は、市町村全体で包括的な相談支援体制を構築する、重層的支援体制整備事業の中核を担う役割を果たす、支援関係機関の役割分担を図る事業です。


重層的支援体制整備事業実施計画

 市町村は、「重層的支援体制整備事業を実施すること」は「任意規定」ですが、この事業を実施するときは、「重層的支援体制整備事業実施計画を策定」するよう努めなければならないと、「努力義務」が課せられています。

地域福祉計画の見直し

 地域福祉計画が見直され、「市町村地域福祉計画」には、地域生活課題の解決に資する支援が「包括的に提供される体制の整備に関する事項」を「定めるよう努めるものとする」こととされました。また、「都道府県地域福祉支援計画」には、地域生活課題の解決に資する支援が「包括的に提供される体制の整備の実施の支援に関する事項」を「定めるよう努めるものとする」こととされました。それぞれの地域福祉計画に、包括的支援体制整備に関する事項を定めることが「努力義務」として規定されたという点がポイントです。

社会福祉連携推進法人

 この社会福祉法改正で、「社会福祉連携推進法人」制度が創設されました。「社会福祉連携推進法人」とは、社会福祉事業に取り組む社会福祉法人やNPO法人等を社員として、相互の業務連携を推進するために設立される法人です。

 福祉ニーズの多様化・複雑化に対して、複数法人が連携・協働して、経営基盤の強化、事業の効率性やサービスの質の向上、「地域における公益的な取組」を促進することなどを目的として創設されました。

 この連携推進法人は、地域住民に身近な圏域でさまざまな地域づくりの活動に参画する非営利セクターの中核として、福祉分野での専門性を生かし地域住民の抱えるさまざまな地域生活課題への対応を進められるようにするため、円滑に連携・協働化しやすい環境整備を図っていこうとするものです。

2020年(令和2年)社会福祉法改正(一部を除いて2021年(令和3年)4月施行)

地域福祉推進の目的規定の明記 共生する地域社会の実現を目指して行われなければならないと規定
国・地方公共団体 包括的支援体制整備のための措置・連携配慮努力義務
国・都道府県 市町村の重層的支援体制整備事業等体制の整備のための助言・情報提供・援助を行わなければならない
厚生労働大臣 重層的支援体制整備事業等の施策のための指針を公表する義務
市町村 重層的支援体制整備事業を行うことができる(任意)。実施するときは、重層的支援体制整備事業実施計画策定努力義務
地域福祉計画の見直し 「市町村地域福祉計画」、「都道府県地域福祉支援計画」に「包括的支援体制整備に関する事項」を定める努力義務
社会福祉連携推進法人
(令和4年施行)
法人相互の連携・協働、経営基盤の強化、地域における公益的な取組の促進などを目的として所轄庁の認定を受ける法人

 いかがでしたか。以上が共生社会実現のための地域福祉の在り方に関する議論の流れと社会福祉法改正の内容です。今後も出題される可能性が高い分野ですので、よく学習しておきましょう。またこの科目では、地域福祉の発展の歴史、地域福祉における行政組織や関連機関、社会福祉協議会、民生委員、共同募金、地域福祉の担い手や専門職等についても整理しておきましょう。
 次回は「福祉行財政と福祉計画」を取り上げます。では第23回と第22回の精神保健福祉士国家試験問題から今回の課題を挙げておきますのでチャレンジしてみてください。

第23回 精神保健福祉士国家試験 「地域福祉の理論と方法」

問題36 社会福祉法における地域福祉の推進に関する次の記述のうち、最も適切なもの1つ選びなさい。

  • 1 社会福祉事業を経営する者は、地域福祉を推進する主体には含まれないとされている。
  • 2 社会福祉に関する活動を行う者は、地域福祉を推進する主体である市町村に協力しなければならないとされている。
  • 3 地域住民等は、支援関係機関と連携して地域生活課題の解決を図るよう留意するとされている。
  • 4 福祉サービスの利用者は、支援を受ける立場であることから、地域福祉を推進する主体には含まれないとされている。
  • 5 国及び地方公共団体は、地域住民等が取り組む地域生活課題の解決のための活動に関与しなければならないとされている。
第22回 精神保健福祉士国家試験 「現代社会と福祉」

問題36 社会福祉法に規定されている地域福祉に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 地域住民等は、地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備に努めなければならない。
  • 2 市町村は、市町村地域福祉計画を市町村社会福祉協議会が策定する地域福祉活動計画と一体的に策定しなければならない。
  • 3 都道府県は、福祉サービスを必要とする地域住民の地域生活課題を把握し、支援関係機関と連携して解決を図るよう留意しなければならない。
  • 4 社会福祉を目的とする事業を経営する者は、地域福祉の推進に係る取組を行う他の地域住民等に助言と指導を行わなければならない。
  • 5 国及び地方公共団体は、地域福祉の推進のために必要な各般の措置を講ずるよう努めなければならない。

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「見て覚える!精神保健福祉士国試ナビ2022」
https://chuohoki.socialcast.jp/set/219?fcid=12

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