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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。


第30回 「現代社会と福祉」

経済学における需要の概念

 最初に、経済学における需要の概念について確認しておきましょう。経済学の「需要」の概念は「有効需要」「無効需要」「行政需要」に分類することができます。

 「有効需要」は「貨幣需要」ともいわれ、貨幣を保有していて、サービスに直接アクセスでき、料金を払って購入することができる需要のことです。

 「無効需要」とは、サービスに直接アクセスできない需要のことです。購買力がないために購入できない需要、または情報が行き渡っていないためにその需要が気づかれていない需要のことです。

 「行政需要」とは、国民が行政に対して表明した需要のことです。そのうち、国民から行政に表明された国民の生の声を「即自的行政需要」といい、即自的行政需要のうち、行政が対応する必要があると認めた需要を「真の行政需要」といいます。

有効需要 貨幣需要。貨幣を保有していて料金を払える需要
無効需要 購買力がないか気づかれていない需要
行政需要 国民が行政に対して表明した需要

福祉政策の重要性

 次に、福祉政策がなぜ必要であるのか、その必要性について確認しておきましょう。一般の経済システムとして、わが国は自由主義経済を採用しています。自由主義経済とは、市場を通じて財やサービスの取引が自由に行われる経済のことです。

 この自由主義経済は誰でも市場に参加して、生産したものを自由に取引でき、物品の価格は需要と供給のバランスで決定されます。この価格調整メカニズムによって適正な水準で取引量が決定され、最適配分が実現し経済が発展するという仕組みになっています。

 取引される商品が一般的なものである場合は、市場原理による価格の決定という価格調整メカニズムは有効に機能しますが、取引される商品が福祉サービスの場合はどうなるでしょう。

 福祉サービスの分野で、福祉サービスの利用料が市場原理によって決められてしまうと、高額所得者に福祉サービスの供給が集中してしまい、真に福祉サービスを必要としている人にサービスが行き渡らなくなってしまいます。このような状態を防ぎ、福祉サービスを必要としている人々に公平、公正に届けられるようにするために福祉政策が必要となります。

福祉政策における必要と需要の概念

 福祉政策では、真のニーズを把握し、そのニーズを満たすために、資源をどのように配分するかということを考えることが必要になります。そのため最初に、ニーズとは何かということを確認しておきましょう。

 まず「必要」と「需要」の概念についてみていきましょう。福祉政策における「必要」という概念は、「客観的な根拠」に基づいて充足が求められる概念です。「必要」の概念には、「需要」とも重なる部分があります。この「必要」という概念に対して、「需要」は、欲求という「主観的な根拠」に基づいて充足が求められる概念で、「必要」とも重なる部分があります。

必要 客観的な根拠に基づいて充足が求められるもの
需要 主観的な根拠に基づいて充足が求められるもの

ニーズの性質と種類

 ニーズには、「顕在的ニーズ」と「潜在的ニーズ」があります。顕在的ニーズとは表面に顕われたニーズで、潜在的ニーズとは本来はニーズがあるにもかかわらず顕在化していないニーズです。

 「潜在的ニーズ」には、自分自身がニーズに気づいていない場合、サービスの情報自体を知らないために顕在化していない場合や、サービス自体がまだ整備されていないために顕在化されていない場合があります。ソーシャルワーカーの役割として、顕在化されていないニーズをいかに顕在化させ、真のニーズを満たしていくかということが求められます。

三浦文夫のニード論

 三浦文夫は、ニードを「貨幣的ニード」と「非貨幣的ニード」に分類しました。「貨幣的ニード」とは、金銭給付で満たされるニードのことで公的扶助などが該当します。「非貨幣的ニード」とは、対人援助等のニードのことで介護サービス等が該当します。

 また、三浦文夫は政策分野におけるニードの定義として、「ある種の状態が、一定の目標や基準からみて、乖離の状態にある」 ものを「広義のニード」としました。そしてこれに対して、「狭義のニード」を「何らかの基準に基づいて、回復、改善等を行う必要があると、社会的に認められたもの」 と定義して、これを「要援護性」という概念で提示し、福祉サービス対象者をこの「狭義のニード」をもつ「要援護性」のある者としました。

顕在的ニーズ 表面に顕われたニーズ
潜在的ニーズ 本来はニーズがあるにもかかわらず顕在化していないニーズ
貨幣的ニード 金銭給付で満たされるニード(公的扶助など)
非貨幣的ニード 対人援助的ニード(介護サービス等)

ブラッドショーのニード論

 ブラッドショーは、 ニードを以下の4種類に分類しました。

規範的ニード

 規範的ニード (normative need)とは、専門家が社会的規範に基づいて判断したニードのことです。社会的に望ましい状態である社会規範に照らして、それから乖離している場合にニードがあるとみなされます。

感得されたニード

 感得されたニード (felt need)とは、要援護者自身が感じているニードのことで、本人が自覚しているニードのことです。

表明されたニード

 表明されたニード (expressed need)とは、要援護者がニードがあることがわかるように援助者に表明したり、本人がサービスの申請に行ったりして、感得されたニードが表明されたニードのことです。

比較ニード

 比較ニード(comparative need)とは、個人や地域レベルの比較に基づいて乖離があると判定されたニードのことです。例えば、同じ状態にある二人の人がいて、一人はサービスを受けていて、もう一人はサービスを受けていなかったら、そのサービスを受けていなかった人はサービスを受けている人と比較するとニーズ充足に乖離があると判定され、ニードがあると認められます。これが比較ニードです。

規範的ニード 専門家が社会的規範に基づいて判断したニード
感得されたニード 要援護者自身が感じているニード
表明されたニード 感得されたニードが表明されたもの
比較ニード 個人や地域レベルの比較に基づいて乖離があると判定されたニード

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