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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第30回 「現代社会と福祉」

 皆さん、こんにちは。いよいよ試験までの期間が迫ってきましたね。だんだん緊張が高まってくる頃かと思います。試験で大切なことは、曖昧な知識をたくさん詰め込むことではなく、確実な知識を着実に積み重ねていくことです。自分の弱点を知り、苦手な科目や苦手な分野をしっかりと把握して、焦らず丁寧に学習を積み重ねていきましょう。

 今回は、「現代社会と福祉」を取り上げます。現代社会は福祉の発展の歴史や福祉政策を中心に理論的な内容が多く深い理解が求められますので、じっくり取り組んでいくことをおすすめします。今回は福祉政策における資源とニーズ、給付形態について取り上げていきます。では最初に前回の課題の解説をしておきましょう。


第23回 精神保健福祉士国家試験 「社会理論と社会システム」

問題21 次のうち、マートン(Merton, R. K.)が指摘したアノミーに関する記述として、最も適切なもの1つ選びなさい。

  • 1 ある現象が解決されるべき問題とみなす人々の営みを通じて紡ぎ出される社会状態を指す。
  • 2 下位文化集団における他者との相互行為を通じて逸脱文化が学習されていく社会状態を指す。
  • 3 文化的目標とそれを達成するための制度的手段との不統合によって社会規範が弱まっている社会状態を指す。
  • 4 他者あるいは自らなどによってある人々や行為に対してレッテルを貼ることで逸脱が生み出されている社会状態を指す。
  • 5 人間の自由な行動を抑制する要因が弱められることによって逸脱が生じる社会状態を指す。
正答3

解答解説

  • 1 × ある現象が解決されるべき問題とみなす人々の営みを通じて紡ぎ出される社会状態を社会問題とするのは、構築主義の考え方です。構築主義では、社会問題がもともとあるのではなく、人々が社会問題であると申し立てたことによって社会問題になるのであると考えます。すなわち、「社会問題は人々の認識によって作り出される」という考え方です。社会問題という事柄が客観的に起きているかどうかという視点ではなく、人々がそれを社会問題として捉えているかどうかで社会問題となるかどうかが決まります。構築主義の立場では、「社会問題として申し立てる活動そのもの」に焦点を当てて、社会問題を分析しようとします。
  • 2 × 下位文化集団における他者との相互行為を通じて逸脱文化が学習されていく社会状態を指すのは、文化学習理論の考え方です。犯罪の原因が個人に起因するものではなく、社会に内在する要因によるものであるという考え方に基づいて提唱された理論の1つで、分化的接触理論、差異的接触理論とも呼ばれ、犯罪や非行等の社会問題は「下位集団文化」の中で学習され、その文化を通じて世代から世代へと伝承されていくとする立場です。
  • 3 〇 マートンは、社会の仕組みが緊張を伴っている場合に犯罪という逸脱行動を生み出すとして、アノミー的逸脱理論を提唱しました。マートンが指摘しているアノミーとは、「文化的目標とその目標達成のための手段が解離しているという緊張状態」のことです。アメリカにおける文化的目標は、建国当初は社会的、経済的地位における成功こそがすべての目標であるという価値観が文化的目標として刷りこまれてきました。その後、貧困や差別が固定化し階層化されてきた結果、頑張っても成功するための手段としての制度が整っていないため、人々は非合法な手段を用いても成功という目標を達成しようとして逸脱行動が生まれるとしました。
  • 4 × 他者あるいは自らなどによってある人々や行為に対してレッテルを貼ることで逸脱が生み出されている社会状態を指すのは、ラベリング理論です。ラベリング理論は、社会的環境や個人の属性が逸脱行動を生み出すという従来の考え方から、社会が逸脱行動を生み出すものであるという発想の転換によって生まれた理論です。犯罪者というレッテルを貼られることで精神的に追い込まれ、犯罪が常習化してしまうことをラベリング効果といいます。逸脱行動は、「他者や社会からの認知や評価によってつくられる」という考え方です。
  • 5 × 人間の自由な行動を抑制する要因が弱められることによって逸脱が生じる社会状態を指すのは、統制理論です。これはすべての人は逸脱の可能性をもっているとし、その可能性を規制し統制する「コントロールシステムの機能障害」が逸脱を生むという理論です。逸脱の可能性を規制し統制するのは社会的、心理的な統制力であり、この統制力が弱体化した状態が犯罪を引き起こすという考え方です。
第22回 精神保健福祉士国家試験

問題14  問題21 社会問題は、ある状態を解決されるべき問題とみなす人々のクレイム申立てとそれに対する反応を通じて作り出されるという捉え方がある。このことを示す用語として、最も適切なもの1つ選びなさい。

  • 1 社会統制論
  • 2 緊張理論
  • 3 文化学習理論
  • 4 構築主義
  • 5 ラベリング論
正答4

解答解説

  • 1 × 社会統制論とは、人々が規範的な行動をとった場合は社会が正のサンクションすなわち称賛等を与え、規範に反した行動をとった場合は負のサンクションすなわち罰等を与えることによって人々の行動を統制する社会のことです。このような社会統制力が弱まった結果、逸脱行動が生まれるという理論を統制理論といいます。逸脱の可能性を規制し統制する、社会的、心理的な統制力が弱体化した状態が犯罪を引き起こすという考え方です。
  • 2 × 緊張理論とは、社会の仕組みが緊張を伴っている場合に犯罪という逸脱行動を生み出すという理論です。社会が生み出す緊張とは、文化的目標とその目標達成のための手段が解離している緊張状態のことです。人生における成功こそがすべての目標であるという文化的目標に対して、貧困や差別が固定化し階層化された社会制度は緊張を生み出し、目標達成のためには手段を選ばないという逸脱行動を生むという考え方です。
  • 3 × 文化学習理論とは、犯罪や非行等の社会問題は下位集団文化の中で学習され、その文化を通じて世代から世代へと伝承されていくとみる立場です。少年犯罪は仲間集団における文化の学習を通して形成されるとし、少年一人ひとりが生まれつき逸脱的な性格を有していたために逸脱行動に至ったのではなく、非行を行う集団の文化の中で非行を学習し、逸脱行動を学んでいったと考えます。
  • 4 ○ 構築主義は、社会問題は人々の認識によって作り出されるという考え方です。人々が何を社会問題として捉えるかは、文化や経済システム、政治的社会的に作り出され認識されるものであり、社会的要因によって変化するものであると考えます。社会問題という事柄が客観的に起きているかどうかという視点ではなく、社会問題として申し立てる活動そのものに焦点を当てて社会問題を分析しようとする立場です。
  • 5 × ラベリング論とは、逸脱行動が最初からあるのではなく、周囲から逸脱というラベルを貼られることが逸脱行動を生み出すという理論です。社会が個人に逸脱者であるというレッテルを貼ることが逸脱行動を生み出すのであって、逸脱行動は他者や社会からの認知や評価によってつくられるという考え方です。

 いかがでしたか。同じテーマに関する問題を23回、22回というように解いていくと、出題パターンがみえてきますね。テーマごとにまとめて解くと、本試験でどのように出題されているかがわかり、そのテーマに関する理解を深めることができるのでおすすめです。「社会理論と社会システム」は、社会の広範囲の分野が対象になりますので、各分野を丁寧に学習しておきましょう。
 では「現代社会と福祉」に入りましょう。今回は、福祉政策におけるニーズと資源、給付形態について取り上げていきます。

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