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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第29回 「社会理論と社会システム」

 皆さんこんにちは。今回は「社会理論と社会システム」を取り上げます。日々の社会の目まぐるしい変化は、私たちの意識を変え生活様式を変化させています。この科目は社会変動と社会現象の変化が私たちの生活や意識に与える影響を理解し、利用者が抱える課題を社会学的な視点で分析することができる目を養う科目です。単なる暗記ではなく、理解を深めていくことによって応用力を養っていきましょう。

 今回は、社会問題の捉え方と逸脱行動について取り上げていきます。では最初に前回の課題を解説しておきましょう。


第23回 精神保健福祉士国家試験 「心理学理論と心理的支援」

問題14 認知行動療法に関する次の記述のうち、最も適切なもの1つ選びなさい。

  • 1 セラピストは、クライエントが独力で問題解決できるように、クライエントとの共同作業はしない。
  • 2 他者の行動観察を通して行動の変容をもたらすモデリングが含まれる。
  • 3 クライエントは、セッション場面以外で練習課題を行うことはない。
  • 4 リラクセーション法は併用しない。
  • 5 少しでも不快な刺激に曝すことは避け、トラウマの再発を防ぐ。
正答2

解答解説

  • 1 × 認知行動療法では、ワーカーはクライエントとの共同作業で進めていきます。クライエント自身が認知の歪みに気付くために、ワーカーはクライエントが自分自身を客観的に認識できるように、セルフモニタリングを支援します。具体的には、クライエントが自己の行動や認知の仕方、気分などを自己観察し、それを記録することができるように、ワークシートへの記入や日記をつけることを勧め、クライエント自身が自分の状態を客観的な事実として理解することができるように働きかけていきます。
  • 2 〇 認知行動療法は学習理論や行動療法を基盤としているので、モデリングも活用します。モデリングとは観察学習のことで、他者の行動をモデルとして観察することが観察者の行動を変化させるという学習方法です。古典的条件付けやオペラント条件付けと違うのは、直接経験しないで観察するだけで学習するという点です。モデリングは、望ましい行動を手本として提示したものをクライエントが観察して学習する技法です。クライエントが獲得すべき適応的行動が具体的に示されているため、認知的な面での変容も起こりやすいという効果があります。
  • 3 × 認知行動療法は、セッションごとに達成可能な目標を掲げ、認知の歪みを正し、現実に適応していくための技法を習得するための訓練を行いますが、セッションの中で行うだけでなく、日常生活の中でその行動を適用できるように練習課題(ホームワーク)を課します。認知行動療法の最終的な目標は、クライエントが日常生活の中で客観的な認知を獲得し、自分の情緒や行動をセルフコントロールできるようになることです。セルフコントロール能力を高めるために、認知行動療法では、達成可能な段階的な練習課題をクライエントに課し、練習課題を通してクライエントが得た経験を題材にして、さらに治療を進めていくという方法をとります。このようにして、クライエントの望ましい反応を強化することによってクライエントの自信を強めることができます。
  • 4 × 認知行動療法では、不安や緊張をやわらげ、日常的なストレスによる緊張の予防や緩和のためにリラクセーションを活用します。また暴露療法等を使用するとき、パニックや回避などの習慣化された行動をとらないで済むための備えとして活用します。
  • 5 × 認知行動療法では、暴露療法を使用することがあります。暴露療法とは行動療法の一種で、不安を克服するために、クライエントが恐怖や不安を抱いているものに対して危険がないように配慮しつつ直面させる治療法です。最初は不安や恐れを感じる刺激が少ないものから触れさせていき、徐々に慣れていけるようにします。刺激や不安を避けるのではなく、あえて不安を喚起する場面に繰り返して曝し、徐々に不安をやわらげていくという治療法で、不安障害や強迫性障害等に適用することができます。
第22回 精神保健福祉士国家試験 「心理学理論と心理的支援」

問題14  心理療法に関する次の記述のうち、最も適切なもの1つ選びなさい。

  • 1 回想法は、高齢者の自動思考を修正することを目的としている。
  • 2 応用行動分析は、個人の無意識に焦点を当てて介入を行っていく。
  • 3 認知行動療法は、クライエントの人生を振り返ることでアイデンティティを再確認していく。
  • 4 森田療法は、不安をあるがままに受け入れられるように支援していく。
  • 5 ブリーフセラピーは、未来よりも過去に焦点を当てて介入を行っていく。
正答4

解答解説

  • 1 × 回想法は、高齢者が人生を振り返ることで自らのアイデンティティを再確認して、情緒的安定を獲得し、人的交流をもち、人生の統合を行うことを目的とした治療法です。高齢者と援助者とのコミュニケーションを通し、あるいは、高齢者の思い出を蘇らせるような写真や思い出の品などを通して人生を振り返る機会を設ける、またグループで思い出を語り合うことや若かったときの自分自身を思い起こすことによって、自分自身の人生を統合していくという治療法です。自動思考を修正するのは、認知療法です。
  • 2 × 応用行動分析は行動療法を応用した治療法で、クライエントの行動の前後を分析して行動の目的を明らかにし、行動前後の環境に働きかけて操作し、クライエントの問題行動を消去していく治療法です。例えば子どもが乱暴な行動をした場合、その行動が「いやなことから逃れる」あるいは、「注目を集める」という機能を果たしているかどうか等を分析して、その行動を引き起こす「状況」と「結果」を変えるという方法をとります。個人の無意識に焦点を当てて介入を行っていくのは、精神分析療法です。
  • 3 × 認知行動療法は、認知療法と行動療法を応用した療法です。認知療法とは、認知の歪み、すなわち物事の受け止め方の偏りを矯正し、新たな物事の受け止め方を作り上げること、すなわち認知の再構成を行う治療法です。行動療法とは、クライエントが現在抱えている行動上の問題に焦点を当てて、適切な行動を学習していけるよう援助する治療法です。このように認知行動療法は、認知の再体制化を中心とし、クライエントの自己評価の低さや自己非難に伴う否定的な感情に注目し、その認知的枠組みや信念を修正して、望ましい行動に変えていく治療法です。クライエントの人生を振り返ることでアイデンティティを再確認して行くのは、回想法です。
  • 4 ○ 森田療法は、不安があることを「あるがまま」に受け入れ、心身の不調や症状がある状態で、絶対臥褥等の方法により自然治癒力を引き出す治療法です。神経症患者を対象に森田正馬(もりたまさたけ)が開発しました。食事と洗面、排泄以外は一切何も行わないで布団で寝ている絶対臥褥から、軽作業期、作業期、社会生活準備期という段階を経て治療を行います。
  • 5 × ブリーフセラピーは、短期間で行う効率的、効果的な治療法のことです。問題の原因に焦点を当てるのではなく現在ここで何が起きているかを重視します。代表的なものとして解決志向アプローチがあり、クライエントが抱えている問題の中ですでに解決している部分としての例外探し、うまくいっていることを続ける、これまでとは違う何かを行うこと等により、問題だけに目を留めるという悪循環から解決に向けてよい循環を作り出していこうとする治療法です。「問題が解決したら、一番したいことは何ですか」というような「ミラクルクエスチョン」等の会話技法を用います。未来よりも過去に焦点を当てて介入を行っていくのは、精神分析療法です。

 いかがでしたか。「心理学と心理的支援」では、欲求と動機付け、感覚・知覚・認知、学習や記憶、人格類型、集団や心理効果、適応、発達の概念、ストレス等も幅広く学習しておきましょう。では「社会理論と社会システム」に入っていきましょう。今回は、社会問題と逸脱理論について取り上げていきます。

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