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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。


第28回 「心理学理論と心理的支援」

来談者中心療法

 来談者中心療法とは、ロジャーズによって提唱された、クライエントを中心とした療法です。最初は非指示的療法と呼ばれ、後に、パーソンセンタード・アプローチと呼ばれるようになりました。この療法は、エンカウンターグループ、フォーカシング技法等に発展していきました。

 来談者中心療法は、クライエント自身が、成長することができる「自律性」と「自立性」をもっていると考え、「治療者の共感的理解」「純粋性(自己一致)」「無条件の肯定的(積極的)関心」によって、その成長を促す療法です。

 純粋性(自己一致)とは、カウンセラーの体験と意識と表現が一致しているということで、カウンセラー自身が自分自身を受け入れて心理的に安定し、クライエントに対してありのままの率直な気持ちで向き合うことができることです。

 カウンセラーは、クライエントを批判的な目で裁いたりすることなく共感的に理解し、積極的にクライエントに関心をもち、クライエントをありのまま受け入れることを通して、クライエント自身が自分自身の課題に気づき、自分自身で解決していくことができるようになるという考え方に基づく療法です。


精神分析療法

 精神分析療法は、フロイトの精神分析をもとにした心理療法で、「クライエントの内面に抑圧された過去の出来事」が問題を引き起こしていると考え、「自由連想法」「転移」などの方法で自分自身を洞察できるように援助し、過去の経験によって抱えている無意識の葛藤から解放してゆく療法です。

 自由連想法とは、カウンセラーがクライエントに言葉を投げかけ、クライエントが自由に心に思い浮かぶ考えを連想していく方法で、クライエントの中に抑圧されている意識をカウンセラーが知ることができ、治療に生かすことができます。

 転移とは、クライエントが他者に抱いている感情をカウンセラーに向けていくことで、この転移を通して、治療者はクライエントの「深層心理」を把握し洞察することができ、治療に活用できます。

認知行動療法

 認知行動療法は、認知療法と行動療法を応用した療法です。認知療法とは、「認知の歪み」すなわち「物ごとの受け止め方の偏り」を矯正し、「新たな物ごとの受け止め方」を作り上げること、すなわち「認知の再構成」を行う治療法です。行動療法とは、「クライエントが現在抱えている行動上の問題」に焦点を当てて、「適切な行動」を学習していけるよう援助する治療法です。


自動思考の修正

 認知行動療法は、「認知の再体制化」を中心とし、クライエントの自己評価の低さや自己非難に伴う否定的な感情に注目し、その「認知的枠組み」や「信念」を修正して、望ましい行動に変えていく治療法です。

 人間は、「自動思考」によって物事を認知しています。「自動思考」とは、何らかの出来事があったときに、瞬間的に浮かぶ考えやイメージのことです。認知に歪みがあると、その歪んだ認知で物事を受け止めるので、自動思考が必然的に歪んできます。この「自動思考」を修正し、それによって望ましい行動を習得していくことが認知行動療法の目的になります。

共同作業

 認知行動療法では、ワーカーは、クライエントとの共同作業で進めていきます。クライエント自身が認知の歪みに気付くために、ワーカーは、クライエントが自分自身を客観的に認識できるようにセルフモニタリングを支援します。

 具体的には、クライエントが自己の行動や認知の仕方、気分などを自己観察し、それを記録してくことができるように、ワークシートへの記入や日記をつけることを勧め、クライエント自身が自分の状態を客観的な事実として理解することができるように働きかけていきます。


不快な刺激に曝す

 クライエントは、困難な場面や不安や脅威を与える刺激を回避しようとする行動が習慣化されています。脅威となる刺激に対して、不適応な反応行動と結びついてしまっていることが多いため、「困難を感じる場面」においても「適切な対応をとることができる」ということを体験していくことによって、情緒的混乱から脱することができるように支援することを目的として、あえて不快な刺激に曝すという手法を用いることがあります。

 具体的な技法として、実際の困難な場面を積極的な治療の場として活用していきます。恐怖や不安に直接曝すのではなく、イメージするという方法、恐怖や不安の度合いが低い場面から徐々に曝して慣れさせていく方法、恐怖や不安の度合いが強い場面に最初から曝していく方法等があります。

リラクゼーションの活用

 不快な刺激に曝す場合は、リラクゼーションや全身的筋弛緩等の技法を用いて、不安や緊張をやわらげ、パニックや回避などの、習慣化された行動をとらないで済むように十分準備して行います。また、リラクゼーションは、日常的にもストレスによる緊張の予防や緩和のためにも活用されます。


モデリングの活用

 認知行動療法は学習理論や行動療法を基盤としているので、モデリングも活用します。モデリングとは観察学習のことで、他者の行動をモデルとして観察することが観察者の行動を変化させるという学習方法です。古典的条件付けやオペラント条件付けと違うのは、直接経験しないで観察するだけで学習するという点です。

 モデリングは、望ましい行動を手本として提示したものを、クライエントが観察して学習する技法です。社会生活技能訓練(SST)などで、新しい適応行動を習得させるためによく使われます。クライエントが獲得すべき適応的行動が具体的に示されているため、認知的な面での変容も起こりやすいという効果があります。

日常生活への適用

 認知行動療法は、セッションごとに達成可能な目標を掲げ、認知の歪みを正し、現実に適応していくための技法を習得するための訓練を行いますが、セッションの中で行うだけでなく、日常生活の中でその行動を適用できるように練習課題(ホームワーク)を課します。

 認知行動療法の最終的な目標は、クライエントが日常生活の中で客観的な認知を獲得し、自分の情緒や行動をセルフコントロールできるようになることです。セルフコントロール能力を高めるために、認知行動療法では、達成可能な段階的な練習課題をクライエントに課し、ホームワークを通してクライエントが得た経験を題材にして、さらに治療を進めていくという方法をとります。このようにして、クライエントの望ましい反応を強化することによってクライエントの自信を強めることができます。


応用行動分析

 応用行動分析は、行動療法を応用した治療法で、クライエントの行動の前後を分析して行動の目的を明らかにし、行動前後の環境に働きかけて操作し、クライエントの問題行動を消去していく治療法です。

 例えば、子どもが乱暴な行動をした場合、その行動の前の状況とその行動との関係、その行動がもっている機能、行動の結果を分析します。機能とは、その行動が「いやなことから逃れる」あるいは「注目を集める」という機能を果たしているかどうかということです。これらを分析して、「乱暴な行動」を引き起こしている原因をなくすために、「状況」と「結果」を変えるという方法をとります。

ブリーフセラピー

 ブリーフセラピーは、効率的、効果的な短期療法のことです。問題の原因に焦点を当てるのではなく、現在ここで何が起きているかを重視します。代表的なものとして、解決志向アプローチを挙げることができます。

 解決志向アプローチは、クライエントが抱えている問題の中で、すでに解決している部分としての例外探し、うまくいっていることを続ける、これまでとは違う何かを行うことなどにより、問題だけに目を留めるという悪循環から、解決に向けてよい循環を作り出していこうとする治療法です。「問題が解決したら、一番したいことは何ですか」のような「ミラクルクエスチョン」という会話技法を用います。


社会生活技能訓練(SST)

 社会生活技能訓練は、行動療法や認知行動療法等の技法を用いて社会生活のための技能を習得する集団療法の一つで、ロールプレイ等の技法を用いて対人関係で必要なスキル習得を図ります。

 グループでウオーミングアップの後、それぞれの取り組むべき課題を決めた後、ロールプレイによるリハーサルを行います。それに対して、よいところを褒める正のフィードバックをし、さらによりよくするための改善点を話し合い、実際の生活場面で行うチャレンジ課題を設定して次回のSSTで報告します。このような訓練を通して、社会生活に適応できる技術を身につけていきます。

来談者中心療法 治療者の共感的理解、純粋性(自己一致)、無条件の肯定的(積極的)関心を重視しクライエント自身が解決できるよう援助する療法
精神分析療法 転移や自由連想法によって抑圧された無意識を解放して治療する
認知行動療法 認知的枠組みや信念を修正し認知の再体制化によって望ましい行動に変えていく治療法
応用行動分析 問題行動の前後の環境に働きかけて操作し、クライエントの問題行動を消去していく治療法
ブリーフセラピー 問題の原因ではなく現在に焦点を当てて効率的・効果的な治療を行う。解決志向アプローチ等が該当
社会生活技能訓練 ロールプレイ等、行動療法や認知行動療法等の技法を用いて社会生活のための技能を習得する訓練

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