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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第25回 「精神保健福祉に関する制度とサービス」

地域処遇

 検察官による審判請求に対して、地方裁判所から「通院決定」が下されると、指定通院医療機関に通院し「通院処遇」を受けることになります。通院処遇期間は、原則3年で最大2年の延長が可能です。指定通院医療機関に通院中も「精神保健福祉法に基づく入院」は可能です。


精神保健観察

 通院処遇期間中は、「精神保健観察」の対象となります。精神保健観察に付された者は、速やかにその居住地を管轄する保護観察所の長に、その居住地を届け出なければなりません。精神保健観察は社会復帰調整官によって行われます。

 精神保健観察に付された者には、「守るべき事項」が定められています。一定の住居に居住すること、住居を移転しまたは長期の旅行をするときはあらかじめ保護観察所の長に届け出ること、保護観察所の長から出頭または面接を求められたときはこれに応ずることとされています。「守るべき事項」に違反すると、地方裁判所の決定により、入院あるいは再入院の措置が採られます。

ケア会議の開催

 通院決定が下されると、社会復帰調整官は保護観察所長の命により、ケア会議を開催し「処遇実施計画」を作成しなければなりません。ケア会議には、指定通院医療機関、保護観察所、地方裁判所、行政職員、保健医療機関、福祉サービス機関等の関係者等が招集され「処遇実施計画」が作成され、その処遇計画に基づいて関係機関は地域処遇を支援します。地域処遇における医療観察期間終了後は、一般の精神医療に移行し精神保健福祉を継続します。

地域処遇

指定通院医療機関 厚生労働大臣から指定を受けた指定医通院医療機関に通院する
指定通院医療機関に通院中も、精神保健福祉法に基づく入院は可能
通院期間 原則3年。2年以内延長可能
精神保健観察 社会復帰調整官によって精神保健観察を受ける
ケア会議の開催 保護観察所はケア会議を開催し処遇の実施計画を定める

社会復帰調整官

 最後に、医療観察制度の担い手について整理しておきましょう。社会復帰調整官は、国家公務員で医療観察法に基づき「保護観察所」に配置されます。

 保護観察所が、地方裁判所から対象者の「生活環境の調査」を依頼されたら、保護観察所長の命を受けて、対象者の居住の有無、生計の状況、家族の状況や家族関係、生活歴等、生活環境の調査を実施し、「生活環境調査報告書」を作成し、これを保護観察所長は地方裁判所に提出します。

 対象者が、地方裁判所から「入院決定」の審判を受けたら、入院決定者の退院後の生活環境の調整を、「通院決定」の審判を受けたら、通院決定者の精神保健観察、ケア計画案の作成、関連機関との連絡調整等を行います。社会復帰調整官の任用要件は、精神保健福祉士、その他一定の経験のある保健師、看護師、作業療法士、社会福祉士等となっています。

精神保健審判員

 精神保健審判員は、医療観察法に基づき地方裁判所において、裁判官とともに審判を行う精神科の医師で、鑑定医とは別の医師とされています。心神喪失あるいは心神耗弱の状態で、重大な他害行為を行い、不起訴処分または無罪、減刑が確定した人に対して、医療観察法に基づく医療観察の要否を、裁判官と合議して決定する精神科医で、厚生労働大臣が作成した精神保健判定医名簿の中から、裁判所が事件ごとに任命します。


精神保健参与員

 精神保健参与員は、地方裁判所の裁判官と精神保健審判員が行う対象者への処遇決定に対し、求められた場合、精神保健福祉の観点から必要な意見を述べる者です。厚生労働大臣があらかじめ作成した精神障害者の保健及び福祉に関する専門的知識及び技術を有する精神保健福祉士等の名簿の中から、地方裁判所が事件ごとに指定します。

医療観察制度の担い手

社会復帰調整官 国家公務員。医療観察法に基づき保護観察所に配置。生活環境調査・調整、精神保健観察、処遇計画案の作成等を実施
精神保健審判員 地方裁判所で裁判官とともに審判を行う精神科の医師。厚生労働大臣が作成した精神保健判定医名簿の中から、裁判所が事件ごとに任命
精神保健参与員 裁判官と精神保健審判員が行う対象者への処遇決定に対し、精神保健福祉の観点から必要な意見を述べる

 いかがでしたか。この科目ではこのほか、精神保健福祉法に規定されている入院形態と処遇、更生保護制度、精神医療審査会や精神保健福祉センターの役割、障害者総合支援法における障害者自立支援制度等についても整理しておきましょう。

 次回は、「精神障害者の生活支援システム」を取り上げます。では、第23回と第22回の精神保健福祉士国家試験問題から今回の課題を上げておきますので、チャレンジしてみてください。

第23回 精神保健福祉士国家試験 「精神保健福祉に関する制度とサービス」

問題 62 「医療観察法」に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 精神保健審判員は生活環境調査を実施する。
  • 2 検察官からの申立てを受けた家庭裁判所は合議体を形成する。
  • 3 通院医療の継続が必要な場合は、保護観察所の長が延長の申立てを行う。
  • 4 地方裁判所は処遇の実施計画を作成する。
  • 5 入院処遇における退院の決定は、保護観察所が行う。
第22回 精神保健福祉士国家試験 「精神保健福祉に関する制度とサービス」

問題 67 「医療観察法」における鑑定入院に関する次の記述のうち、正しいもの2つ選びなさい。

  • 1 医学的観点から「医療観察法」に基づく入院による医療の必要性について意見をまとめる。
  • 2 検査・診断のみならず、精神科治療も行われる。
  • 3 「精神保健福祉法」で規定された指定病院において実施される。
  • 4 入院期間は、原則4週間が限度とされている。
  • 5 鑑定は、 精神保健審判員が実施する。

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「見て覚える!精神保健福祉士国試ナビ2022」
https://chuohoki.socialcast.jp/set/219?fcid=12

※専門科目のみ