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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第25回 「精神保健福祉に関する制度とサービス」

医療観察法の概要

 医療観察法は、心身喪失等の理由で重大な他害行為を行った者に、「医療の確保」と「社会復帰の促進」を図ることを目的としています。重大な他害行為とは、「殺人、放火、強盗、強制性交等罪、強制わいせつ、傷害(軽微な傷害は除く)」と定義されています。管轄は、対象者の住所、居所もしくは現在地または行為地を管轄する地方裁判所になります。

 加害者が、心神喪失等により責任能力がなく、「無罪」「減刑」「不起訴」になった場合、検察官は地方裁判所に対して、医療観察法による処遇の申し立てを行います。検察官申し立てには、必ず弁護士である付添人を付けなければならないことになっています。


鑑定入院

 検察官から審判の申し立てを受けた地方裁判所は、まず精神鑑定のために「鑑定入院命令」を出します。入院期間は原則として2か月以内で、必要な場合は1か月の延長が可能です。鑑定入院では、検査、診断だけではなく精神科治療も行われます。

 「鑑定入院医療機関」は、対象者を鑑定入院させるための施設として、「医療観察法」で規定された「精神科指定病院」(総合病院の精神科病棟を含む)のことです。「鑑定医」とは、鑑定入院した対象者の鑑定を行うように裁判所に命令された医師です。

 鑑定医の条件は、精神保健判定医または同等以上の学識経験を有する医師とされていますが、精神保健審判員とは別の医師でなければなりません。鑑定医は鑑定後、「医療観察法」に基づく入院による医療の必要性について、鑑定結果に医学的見地からの意見を付して、地方裁判所に提出する義務があります。

生活環境の調査

 検察官から審判の申し立てを受けた地方裁判所は、保護観察所に対して対象者の「生活環境の調査」を依頼します。依頼を受けた保護観観察所は、対象者の居住の有無、生計の状況、家族の状況や家族関係、生活歴等、「生活環境の調査」を実施し、「生活環境調査報告書」を地方裁判所に提出します。社会復帰調整官は、保護観察所長の命を受けて、この生活環境の調査を実施します。


地方裁判所による審判

 申し立てを受けた地方裁判所は、「裁判員1名」と、一定の研修を受けた精神科の医師である「精神保健審判員」の2名による合議体を構成します。必要な時は、「精神保健参与員」の意見を聴取します。

 地方裁判所は、鑑定入院報告書と生活環境調査報告書等を勘案し、医療観察法における医療の必要性を判断し審判を下します。地方裁判所の審判には、「入院決定」「通院決定」「不処遇」の3種類があります。入院決定あるいは通院決定がおりたら、厚生労働大臣が選定した指定入院医療機関あるいは指定通院医療機関に通院します。

医療観察制度の概略

法の目的 心身喪失等の理由で重大な他害行為を行った者に、医療の確保と社会復帰の促進を図ることを目的とする
重大な他害行為 殺人、放火、強盗、強制性交等罪、強制わいせつ、傷害(軽微な傷害は除く)
対象 心神喪失等の理由で重大な他害行為を行い「不起訴処分」「無罪」「減刑」になった者
検察官申立て 検察官は地裁に処遇の審判の申立てを行う
鑑定入院 地方裁判所は鑑定入院命令を出す
入院期間は原則として2か月以内(1か月延長可)
鑑定入院では検査、診断、精神科治療を実施
鑑定医は鑑定結果に医学的見地からの意見を付して地方裁判所に提出
鑑定入院医療機関は、「医療観察法」に基づく「鑑定入院施設」として決められた精神科指定病院
生活環境の調査 地裁は保護観察所に生活環境の調査を依頼。保護観観察所は調査を実施し地裁に提出
地裁による審判 裁判官と精神保健審判員による合議体で審判を実施。必要に応じ精神保健参与員の意見を聴く
審判の種類 地裁の審判には、「入院決定」「通院決定」「不処遇」の3種類がある

入院処遇

 次に入院処遇についてみていきましょう。地方裁判所から入院決定が下されたら、国公立病院で厚生労働大臣の指定を受けた「指定入院医療機関」に入院します。入院中は、社会復帰を促進するために、病状の改善のために必要な治療や指導を受けます。

 入院中の本人の外出・外泊に関しては、指定医療入院機関の管理者は、入院対象者を医学的管理の下に、指定入院医療機関の敷地外に、外出・外泊させることができます。


生活環境の調整

 保護観察所の社会復帰調整官は、保護観察所長の命を受けて、退院後の地域社会への円滑な移行を進めるために、退院後の居住の確保や身元引受人、精神保健福祉サービスの調整等、「生活環境の調整」を行います。

退院許可の申し立て

 指定入院医療機関の管理者は、入院患者が入院医療を行う必要がなくなったと判断した場合は、保護観察所長の意見を付して直ちに地方裁判所に「退院許可の申し立て」をしなければなりません。退院許可の申し立てを受けた地方裁判所は、合議体により、退院あるいは入院継続のいずれかの判断を下します。地裁による退院許可がおりた場合は、通院処遇に移行します


入院継続確認の申し立て

 指定入院医療機関の医師が入院医療の継続の必要性を認める場合は、管理者は裁判所の入院決定があった日から起算して6か月以内に、保護観察所長の意見を付して、地方裁判所に「入院継続確認の申し立て」をしなければなりません。地方裁判所による入院継続決定があった後も、6か月ごとに入院継続の申立てを行わなければなりません。

入院決定等に関する不服申し立て

 次に不服申し立て制度についてみていきましょう。地方裁判所が下した入院決定や通院決定の審判に対して不服があり、それが重大な誤認または処分の著しい不当を理由とする場合は、対象者、保護者、付添人は、2週間以内に高等裁判所に抗告できます。また、高等裁判所の決定に不服がある場合は、最高裁に抗告できます。


入院者の処遇に関する不服申し立て

 本人に対する入院処遇内容への不服がある場合、本人または保護者は、厚生労働大臣に対して処遇改善請求を行うことができます。処遇改善請求を受けた厚生労働大臣は、社会保障審議会に通知し、審議を求めなければなりません。

入院処遇

指定入院医療機関 国公立病院で厚生労働大臣の指定を受けた医療機関
費用負担 全額国費負担
生活環境の調整 対象者が入院中に保護観察所による生活環境の調整を実施
退院 地裁の退院許可決定による
入院継続 6か月ごとに地裁による入院継続確認決定が必要
入院決定等の不服申し立て 地裁の入院決定・通院決定の審判に対して不服がある場合は、高等裁判所に、高等裁判所の決定に不服がある場合は最高裁に抗告できる
入院処遇の不服申し立て 入院処遇への不服がある場合、本人または保護者は、厚生労働大臣に処遇改善請求を行うことができる

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