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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第24回 「精神保健福祉援助技術の理論と相談援助の展開」

グループワークの源流

 グループワークは、YMCA活動やセツルメント運動等が源流となっています。その後、青少年の健全育成をはじめ、さまざまな分野に取り入れられて大きく発展し、ソーシャルワークの一つとして位置付けられるようになってきました。

 グループワークはさまざまな定義がされていますが、それらのすべてに共通することを整理すると、「グループワークとは、グループダイナミクスを活用し、グループプログラムを展開することによって、メンバーとグループの成長のために、ワーカーが意図的に介入する、専門的援助技術である」ということができます。

 グループダイナミクスについては前回も触れましたが、集団のもつ力動関係で、個人対個人では生まれない集団のメンバー間による相互作用により、新たな力が生み出される力動関係のことです。グループワーカーは、プログラム活動を用いて、このグループダイナミクスの作用を意識的に活用して、メンバーの成長とグループの成長を促します。

グループワークのモデル

 グループワークは、グループワークの対象や手法によって、さまざまなモデルとして発展してきました。

社会的目標モデル

 社会変革を目指すグループワークとして「社会的目標モデル」があります。これは、1960年代の公民権運動等とともに発展してきたモデルで、民主主義社会にふさわしい考え方や市民としての行動様式をグループ活動を通して習得することを目的としていました。

治療モデル

 ヴィンター(Vinter,R.)によって開発されたモデルに「治療モデル」があります。これは、精神障害者や逸脱者、孤立している人々などを対象として、メンバーの人格的変化や成長を目的とするグループワークです。小グループによる活動で、メンバー一人ひとりに焦点を当てて、それぞれの処遇目標を設定し、それを達成することを支援します。ワーカーには、「メンバーに変化を起こさせる人」としての役割があります。

相互作用モデル

 シュワルツ(Schwartz. W.)は、「相互作用モデル」を提唱しました。「相互作用モデル」とは、人間と社会の関係は共生的な相互依存関係にあるとして、ワーカーとメンバーとの関係だけではなく、メンバー同士が相互作用を行う関係にあるとしました。そしてこのような状態を、「相互援助システム」としてとらえました。シュワルツは、ソーシャルワーク専門職としての機能は、個人と社会の関係を「媒介」する機能であるとし、「媒介機能」の概念を提唱しました。

コノプカによるグループワークの14原則

 コノプカ(Konopka,G.)はグループワークの原則として、次の14の原則を挙げました。

1「メンバーの個別化」

 ワーカーは、一人ひとりのメンバーをよく知り、その個別性に応じて、個々のメンバーがグループ活動をどのように体験し、どのように感じ、受け止め、考え、行動しているかを観察し的確に把握して、活動を進めていきます。

2「グループの個別化」

 ワーカーは、メンバーの個別化だけではなく、グループの特徴と独自性を認識し、グループを個別化し、グループ自体の成長を促します。

3「メンバーの受容」

 ワーカーは、メンバーのすべてを、一人ひとりの性格や短所も含めて、全面的に受容することが求められます。そしてそのことを言葉や行動で、メンバーに伝わるようにする必要があります。

4「ワーカーとメンバーの援助関係の構築」

 ワーカーは、メンバーとの意図的、専門的な援助関係を構築することが求められています。ワーカーはメンバーと基本的な信頼関係を構築するとともに、援助者としての専門的な立場で意図的な援助関係を構築していきます。

5「メンバー間の協力関係の促進」

 グループワーカーは、メンバーがお互いに協力していけるように援助します。メンバー相互の関係を成り行きに任せるのではなく、協力関係が形成されていくような活動を進め、メンバー間の協力関係を促進していきます。

6「グループ過程の変更」

 グループ活動の展開過程において、プログラムの変更が求められることがあります。そのような場合は、最初に立てた計画にとらわれることなく、適切に必要な変更を行います。

7「参加の原則」

 グループ活動の展開において、活動になかなか参加できないメンバーがみられることがあります。そのようなときワーカーは、参加しやすい雰囲気を作り、それぞれの能力にふさわしく参加できるような活動を考えていきます。

8「問題解決過程へのメンバー自身の取り組み」

 グループ活動を展開していくと、さまざまな課題が生まれてきます。このような場合、ワーカーがその問題を解決してしまうのではなく、メンバー自身が問題解決できるように、援助していくことが必要です。

9「葛藤解決の原則」

 グループワークの展開の中で、グループ内に葛藤が生まれてくることがあります。葛藤は、避けたり抑圧したりするものではなく、それに取り組むことによって、成長する機会としてグループワーク活動を行っていきます。ワーカーは、メンバーがその葛藤に取り組むことができるように導き、その取り組みを通して、メンバー自身が成長することができるようにかかわっていくことが求められます。

10「経験の原則」

 グループワークは、さまざまなグループ活動によって、さまざまな事柄を体験し、物ごとに取り組み、完成させるという経験を与えます。このことによって、社会生活への適応力を培っていきます。

11「制限の原則」

 グループワークを実施する段階で、一定のルールや約束事を決め、メンバーがそれらを守ることを約束させます。生命を脅かすような行動や、故意にグループに混乱をもたらすような行為は制限します。これは、安全の確保と同時に、メンバーの自我を強化し、成長を促すために必要な原則です。

12「プログラムの活用」

 グループワークは、プログラム活動を通して、メンバーの成長とグループの成長を促す働きですから、グループの目的とメンバーの目標に応じて、適切なプログラムを活用して実施していきます。

13「継続的評価」

 プログラム活動の実施過程において、その活動を通して、メンバー一人ひとりの活動について、目標がどれだけ達成されているか、グループの目標がどれだけ達成されているかを、継続的に評価していきます。


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