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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第24回 「精神保健福祉援助技術の理論と相談援助の展開」

 皆さんこんにちは。今回は「精神保健福祉援助技術の理論と相談援助の展開」を取り上げます。精神障害者を支援するための援助の理論は、精神保健福祉士として実践現場で求められる大切な知識ですから、分野ごとに整理しながら、確実に学習しておきましょう。
 では最初に、前回の課題の解説をしておきます。

第23回 精神保健福祉士国家試験

問題22 次の記述のうち、精神保健福祉の理論や実践に影響を与えた人物の説明として、適切なもの1つ選びなさい。

  • 1 ジョーンズ(Jones,M.)は、病院の全環境を治療手段として用いる治療共同体の概念を提唱した。
  • 2 ミニューチン(Minuchin,S.)は、集団や人間の相互依存性によるグループダイナミクスに着目した。
  • 3 ロジャーズ(Rogers,C.)は、様々な心理療法やカウンセリング理論の基本となっている面接技法を統合したマイクロカウンセリングを開発した。
  • 4 レヴィン(Lewin,K.)は、システム理論に基づいた構造的家族療法を展開し、家族成員間の境界に着目した。
  • 5 アイビイ(Ivey,A.)は、非指示的アプローチである来談者中心療法(クライエント中心療法)を確立した。
正答1

解答解説

  • 1 〇 ジョーンズ(Jones,M.)は、イギリスで「治療共同体」の理念を提唱し、患者の自主性を尊重した開放的な病院運営を実施しました。「治療共同体」では、患者は自らの処遇に関して積極的にかかわります。患者は、自分の病気の原因について積極的に探究し直接的な責任をもちます。患者は単に処遇を受けるという従属的な立場ではなく、施設職員の協働者という積極的な立場で治療会議に参加し、そこで自分の問題を自由に述べることが許されます。ジョーンズは、患者による自己管理、治療者と患者の一体感、身分関係や階級制の排除、権威の対等性、職員と患者間の自由なコミュニケーションの保障等による民主的で平等な組織としての「治療共同体」を目指しました。
  • 2 × ミニューチン(Minuchin,S.)は、システム理論に基づく構造的家族療法を創設しました。構造的家族療法は、家族というシステムには、世代や夫婦などの構造上のサブシステムがあり、サブシステムに適度な境界があるときそれらは健全に機能するが、サブシステムの境界が曖昧になるために、様々な問題を引き起こすと考える立場です。例えば、夫婦というサブシステムが機能不全に陥り境界がなくなり、母子というサブシステムが強固な境界を形成した場合、両親と子どもという世代間境界が崩れてしまい、母子関係が異常に密着し、お互いの自立性を奪ってしまうことによって様々な課題が発生すると考えます。サブシステムの境界を明確にするために、ジョイニング等の方法によって介入し、問題を解決して行く技法を編み出しました。
  • 3 × ロジャーズ(Rogers,C.)は、来談者中心療法(クライエント中心療法)を提唱しました。非指示的療法とも呼ばれ、近年はパーソンセンタード・アプローチとも呼ばれています。ロジャーズは、クライエントの価値観や意義を認め自己成長力を信頼して、クライエントのありのままを受容して傾聴することによって、来談者自らが気づき成長していくことができると考え、来談者に「無条件の肯定的な関心」をもつこと、「共感的に理解」すること、カウンセラーには自らの体験と意識と表現が一致している「自己一致」が必要であるとしました。
  • 4 × レヴィン(Lewin,K.)は、集団や人間の相互依存性による集団力学に着目したグループダイナミクスに関する理論を提唱しました。グループダイナミクスとは、集団における個人の行動や考え方、価値観等は、集団から影響を受け、個人が集団に対しても影響を与えるという、集団の力学的特性のことです。このグループダイナミクスの理論は、集団理論に応用され、集団凝集性、集団規範、集団意志決定、集団構造、集団目標、リーダーシップ論にまで適用されています。また、個体的条件としてのパーソナリティー(P)と、環境条件としてのエンバイロメント(E)の両方によって、人の行動としてのビヘイビア(B)は大きく影響を受けるという「場の理論」を提唱しました。
  • 5 × アイビイ(Ivey,A.)は、マイクロカウンセリング技法を開発しました。アイビイは、いろいろなカウンセリングにかかわるうちに、多くのカウンセリングに一貫してみられる共通のパターンがあることに気づきました。そしてそれを「技法」と命名し、「マイクロ技法の階層表」にまとめました。基礎となる「傾聴」の姿勢を示すものとしての「かかわり行動」、「基本的かかわり技法」としての「クライエント観察技法」、「基本的な傾聴の連鎖」としての質問、「積極技法」としての質問を示し、面接の5段階を提示してカウンセリング技法の統合化を提示しました。

 いかがでしたか。この科目では、相談援助の対象・価値・倫理・意義や、実践の場で活用すべき諸制度と関連専門職等についても理解を深めておきましょう。

 では「精神保健福祉の理論と相談援助の展開」を取り上げていきます。この科目では、精神科リハビリテーション、ケースワーク、グループワークの特質と、それぞれの展開、スーパービジョンとコンサルテーション、地域移行支援、ケアマネジメント、ネットワーキング等、幅広い分野の援助技術についての学習が求められます。
 今回は、グループワークの諸原則と展開過程およびそれぞれの段階で留意すべきことについて取り上げていきます。




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