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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第22回 「精神保健の課題と支援」

 皆さんこんにちは。いよいよ9月になりました。まだまだ暑さが残りますが、学習時間等の制約がある中で、健康に留意しながら、学習の手ごたえを感じ取っていってください。

 今回は「精神保健の課題と支援」を取り上げます。この科目は、精神保健のさまざまな分野における法律や制度が出題されますので、専門科目の中でも苦手な受験生が多いのではないでしょうか。ただ、出題される分野はある程度決まっていますので、頻出分野に気をつけて学習しておくことで十分対応できます。ではまず前回の課題の解説をしていきましょう。

第22回 精神保健福祉士国家試験「精神疾患とその治療」

問題7 次のうち、抗精神病薬の主な副作用として、適切なもの1つ選びなさい。

  • 1 健忘
  • 2 脱抑制
  • 3 身体依存
  • 4 反跳性不安
  • 5 遅発性ジスキネジア
正答5

解答解説

  • 1 × 抗精神病薬の主な副作用として、健忘はみられません。副作用として健忘がみられるのは、ベンゾジアゼピン系抗不安薬です。ベンゾジアゼピン系抗不安薬を服用すると、服用後の記憶が障害される前向性健忘がみられます。ベンゾジアゼピンが情動中枢としての海馬に作用して情動性興奮を鎮めるとともに、海馬の記憶機能を抑制し健忘を引き起こすと考えられています。
  • 2 × 抗精神病薬の主な副作用として、脱抑制はみられません。脱抑制とは、理性の働きが鈍くなり、攻撃性や興奮性が次第に強くなり、怒りやすさ、涙もろさなどがみられるようになる状態です。脱抑制の副作用がみられるのは、ベンゾジアゼピン系抗不安薬です。
  • 3 × 抗精神病薬の主な副作用として、身体依存はみられません。身体依存の副作用がみられるのはベンゾジアゼピン系抗不安薬です。短期間の使用では依存性は生まれませんが、長期間の使用が続くと「身体依存性」が形成されてきます。身体依存性とは、薬を中断すると離脱症状が出現することをいいます。
  • 4 × 抗精神病薬の主な副作用として、反跳性不安はみられません。反跳性不安がみられるのは、ベンゾジアゼピン系抗不安薬の短時間型の抗不安薬を、連続して長期にわたり使用した後に、急激に中止したときです。急激に使用を中止すると、使用前より、不安が増強することを「反跳性不安」といいます。
  • 5 ○ 遅発性ジスキネジアは、抗精神病薬の長期使用でみられる錐体外路系の副作用で、口の周囲の不随意運動、頭部、四肢、体幹の筋肉の異常行動を発現します。発現箇所としては、舌、口周辺部、顔面にみられることが多く、繰り返し唇をすぼめる、とがらせる、舌を左右に揺らす、舌を突き出す、口をモグモグする、歯をくいしばるなどの症状がみられます。また、足が動いてしまって歩きにくい、手に力が入って力が抜けない、足が突っ張って歩きにくいなど、四肢等の異常運動がみられることがあります。
第23回 精神保健福祉士国家試験 「精神疾患とその治療」

問題 6 次の記述のうち、認知症患者に用いられるドネペジル塩酸塩について、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 効能は認知機能の回復である。
  • 2 血管性認知症に適応がある。
  • 3 心疾患には特に注意が必要である。
  • 4 服薬を中止すると強い離脱症状を認める。
  • 5 神経伝達物質であるアセチルコリンの分解を促進する。
正答3

解答解説

  • 1 × ドネペジル塩酸塩は、認知機能の回復の効果はありません。認知症を回復させる認知症の治療薬はまだ開発されていません。ドネペジル塩酸塩の効果は、認知症状の進行を遅らせることです。私たちの脳は、神経伝達物質を介して記憶や学習を行っていますが、認知症になると記憶や学習のための神経伝達物質であるアセチルコリンが減少します。ドネペジル塩酸塩は、アセチルコリンを分解するアセチルコリンエステラーゼの働きを阻害することによって認知症の進行を遅らせる作用があります。
  • 2 × ドネペジル塩酸塩は、血管性認知症には適応しません。血管性認知症の治療薬はまだ開発されていないため、基本的に高血圧や高脂血症のコントロールを目的とする薬物療法を行うことになります。
  • 3 〇 ドネペジル塩酸塩は、副作用として、心室頻拍、心室細動、徐脈、不整脈、心筋梗塞、心不全等が報告されていますので、心疾患を有している場合は特に注意が必要です。また消化器系の副作用として、食欲不振、下痢、嘔気、消化性潰瘍、十二指腸潰瘍、消化管出血などがみられ、その他、肝炎、肝機能障害、黄疸、脳出血なども報告されています。
  • 4 × ドネペジル塩酸塩には、身体依存性はありません。そのため、服薬を注視しても離脱症状はみられません。精神神経系の副作用としては、興奮、易怒性、幻覚、攻撃性等がみられることがあります。
  • 5 × ドネペジル塩酸塩は、神経伝達物質であるアセチルコリンの分解を阻害する働きをします。ドネペジル塩酸塩は、アセチルコリンを分解する役割を持つ酵素であるアセチルコリンエステラーゼの作用を阻害することによって、脳内でのアセチルコリンの濃度を高め、神経伝達を助けて脳内のコリン作動性神経を活性化し、認知症の進行を遅らせるという働きをします。




 いかがでしたか。では今回の「精神保健の課題と支援」を解説していきます。この科目は、ライフサイクルと精神の健康、ストレス対策、自殺予防、いじめや不登校、児童虐待・障害者虐待・高齢者虐待、配偶者間暴力、アルコール問題、職場におけるメンタルヘルス、認知症対策、災害時の精神保健等、範囲が広いので各分野を十分把握しておきましょう。
 今回は、自殺対策を取り上げて解説していきます。