メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第19回 「保健医療サービス」

 皆さんこんにちは。試験まであと約6か月になりましたね。受験の手続きを進めていきましょう。学習は進んでいますか? 忙しさの中でなかなか時間をとることが困難な方が多いと思いますが、短い時間でも集中的にポイントを絞った効率的な学習で力をつけていきましょう。

 今回は「保健医療サービス」を取り上げます。この科目は、医療保険制度、国民医療費、医療法における諸規定、医療ソーシャルワーカー、医療関連職種と、出題範囲も明確で対策の立てやすい科目です。基礎を押さえれば合格ラインである6割は十分得点できますので、まず基礎をしっかり押さえてから医療と介護の連携や地域医療への理解を深めていきましょう。ではまず前回の課題の解説をしていきます。

第23回 精神保健福祉士国家試験 「低所得者に対する支援と生活保護制度」

問題 65 事例を読んで、R市福祉事務所のK生活保護現業員が保護申請時に行う説明に関する次の記述のうち、最も適切なもの1つ選びなさい。

〔事 例〕
Lさん(39歳、男性)は、妻(36歳)、長男(15歳、中学生)及び次男(4歳、幼稚園児)と暮らしている。Lさんは精神障害者、妻は身体障害者であり、一家は夫妻の障害基礎年金とLさんの就労所得で生活してきた。これまでLさんはパートタイム就労を継続していたが、精神疾患が悪化して退職し、夫妻の年金だけでは生活できなくなった。Lさんは、退職に際して雇用保険からの給付もなかったので、生活保護の申請を行おうとしている。

  • 1 生業扶助における母子加算を受給できることを説明した。
  • 2 二人の子に対しては、それぞれ教育扶助を受給できることを説明した。
  • 3 長男が高校に進学すれば、教育扶助から高等学校等就学費を受給できることを説明した。
  • 4 夫妻が共に障害基礎年金を受給していても、生活保護の申請を行うことはできると説明した。
  • 5 Lさんに精神疾患があるとしても、就労が可能である場合、生活保護の申請は行えないことを説明した。
正答4

解答解説

  • 1 × 母子加算は、ひとり親世帯に対して支給されるもので、Lさんの世帯はひとり親世帯ではないので対象外です。また母子加算は、「生業扶助」ではなく「生活扶助」につきます。母子加算の目的は、ひとり親世帯が、ふたり親世帯と同等の生活水準を保つために必要となる費用を補填するものとして、母子世帯及び父子世帯等に対し支給されるもので、児童の年齢は、「18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者」です。
  • 2 × 「教育扶助」は、「義務教育を受けている者」が対象です。長男(15歳、中学生)は教育扶助の対象になりますが、次男(4歳、幼稚園児)は義務教育ではないので対象外です。「教育扶助」は、義務教育を受けるために必要な教科書代、学用品費、通学用品費、通学のための交通費、学校給食費、校外活動費、課外活動費、クラブ活動費等の、義務教育に伴う必要な費用です。保護金品は、本来は世帯主及び本人に支給するものですが、教育扶助については本人だけでなく、被保護者の通学する学校長も交付対象になっています。
  • 3 × 高等学校就学費は、「教育扶助」ではなく、「生業扶助」の「技能修得費」に位置付けられているものです。「生業扶助」の「技能修得費」は、生計の維持のために役立つ生業につくために必要な技能を習得するために要する費用として支給されるものです。「生業扶助」には、「生業費」「技能修得費」「就職支度費」があります。「生業費」は、生計の維持を目的として小規模の事業を営むための必要な資金として支給されるものです。「就職支度費」とは、就職のために直接必要とするスーツや靴等の購入費用が該当します。
  • 4 〇 生活保護は「基準及び程度の原則」で「要保護者の需要を基とし、そのうちその者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において保護を行う」とされています。そのため、障害基礎年金などを受給しても、なお生活保護基準に達しないときは、不足分を補うという形で保護の申請を行うことができます。
  • 5 × 生活保護は「保護の補足性の原理」で、「保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる」とされています。就労の意思と能力があり就労が可能な状態であっても、就職活動をしても就職できない状態のときは、生活保護の申請を行うことができます。

 いかがでしたか。生活保護制度の扶助内容、権利と義務、保護の実施機関、生活保護の実態等についてもよく学習しておきましょう。では今回の「保健医療サービス」について、出題基準に沿って過去問の出題傾向を分析して対策を立てていきます。

医療保険制度の概要

医療保険制度の概要

 この分野は、医療保険制度のしくみ、医療保険の保険者・被保険者・保険料・保険給付内容、審査支払機関としての社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会の役割と診療報酬の支払の手順などについて、よく学習しておきましょう。

 医療保険における利用者の負担割合、高額療養費制度、高額介護合算療養費、入院時食事療養費、出産育児一時金、傷病手当金等が出題されています。血友病や腎疾患による血液の人工透析等の「高額長期疾病(特定疾病)」の自己負担限度額についても出題されています。後期高齢者医療制度、世帯合算制度、多数回該当制度等、診療報酬の決定における中央社会保険医療協議会の役割、保険外併用療養費の選定療養と評価療養、申出療養についても学習しておきましょう。

 第23回では、医療保険制度における保険者と被保険者について、また公的医療保険の保険給付に関しての出題がありました。共通科目の「社会保障」と重なる部分ですが、近年、医療保険制度の詳細が、この「保健医療サービス」の科目でも出題される傾向がみられます。医療保険制度の枠組みや給付内容について整理しておきましょう。今回は後ほど、この分野を中心に解説していきます。

医療費に関する政策動向

 この分野では、国民医療費について国民医療費の範囲、国民所得に占める割合、国民医療費の財源別構成割合、診療種類別構成割合、傷病別割合をはじめ、国民医療費総額、65歳以上の医療費の割合、制度区分別国民医療費、年齢階級別の一人当たり国民医療費などについて、「国民医療費の概況」などで確認しておきましょう。




診療報酬

診療報酬制度の概要

 この分野からは、診療報酬制度のしくみ、審査支払機関の役割、診療報酬の点数と改定、出来高払いと包括支払い制度等が出題されています。

 診療報酬の「医科」「歯科」「調剤」の3分類、地域連携医療、点数表の仕組み、DPC制度、介護報酬改定との関係等の診療報酬制度の仕組みとともに、地域医療の推進のための入院や退院時における地域との連携や在宅療養における加算、在宅医療の往診、訪問看護、ターミナルケア加算等の、診療報酬上の位置付けについて学習しておきましょう。

保健医療サービスの概要

医療施設の概要

 この分野からは、病院と診療所の定義、地域医療支援病院、特定機能病院、在宅療養支援診療所・病院等が出題されています。医療提供施設について、医療法に規定されている医療提供施設の種類、病院と診療所の違い、助産施設、回復期リハビリテーション病棟等も含めて、それぞれの機能、役割について整理しておきましょう。

 第23回では、訪問看護ステーションの指定要件に関して、配置職員要件、管理者要件、機能強化型訪問看護ステーションの指定要件、訪問看護の対象につての出題がありました。

 医療提供体制としては、保険薬局、在宅医療専門診療所、理学療法士の役割等が出題されています。在宅療養をしている患者に対するさまざまな医療関係機関、関係専門職の役割を理解しておきましょう。

保健医療対策の概要

 この分野は、医療法における医療計画に盛り込むべき内容や医療機関の情報提供、安全管理等について、医療法上の規定をよく読み込んで整理しておきましょう。へき地医療、地域医療構想、病床機能報告制度、医療事故対応等が出題されています。

 「高齢者の医療の確保に関する法律」で規定されている「特定健康診査」と「特定保健指導」に関して出題されています。保健医療対策としての生活習慣病予防施策について確認しておきましょう。

 第23回ではこの分野から、わが国のがん対策としてがん対策基本法、地域がん診療連携拠点病院、がん検診について出題されています。また、医療法に基づく「地域医療構想」作成の目的、地域医療構想調整会議、推計の対象などが出題されています。がん対策や地域医療構想は、今後も出題される可能性が高いと思われますので、十分学習しておきましょう。




保健医療サービスにおける専門職の役割と実際

医師の役割/保健師、看護師等の役割

 この分野では、医師法、保健師看護師助産師法等における医療にかかわる専門職の役割とその業務内容を押さえておきましょう。

 第23回では、医師の資格と業務、医師の偏在、医師の養成機関の指定権者、医療施設別の従事医師数に関する出題がありました。医師の従事する医療機関や医師の偏在に関する出題は初めてでした。今後はこれらについても注意して確認しておきましょう。

 看護師の業務、保健師の就業先と業務、回復期リハビリテーション病棟における看護師、社会福祉士の配置と診療報酬との関係、医療関係従事者の業務と医師の指示の必要の有無等についての出題実績があります。それぞれの医療関係専門職の業務と医師の指示との関係を把握しておきましょう。

インフォームドコンセント

 インフォームドコンセントの意義と実際、医療法におけるインフォームドコンセントに関しての医師の責務、入院時における入院計画書の作成と交付義務に関する規定、退院支援計画作成の際の患者への説明と診療報酬との関係などについて学習しておきましょう。

作業療法士、理学療法士、言語聴覚士等の役割

 医師、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のそれぞれの業務が出題されています。医療関係従事者のそれぞれの根拠法と業務規定に目を通しておきましょう。

医療ソーシャルワーカーの役割

 この分野からは毎回短文事例での出題がみられます。医療ソーシャルワーカーの役割と位置付けについて、医療ソーシャルワーカーの業務指針を十分読み込んでおきましょう。業務指針や医療ソーシャルワーカーの理念については、具体的な実践場面に適用できる力を養っておきましょう。また医療ソーシャルワーカーの発展の歴史についても出題されていますので、歴史的な発展の経緯についても学習しておきましょう。

 第23回では、業務災害による入院者に対する医療ソーシャルワーカーの復職支援について、職場適応援助者(ジョブコーチ)制度、労災給付内容に関する詳細が出題されました。就労支援に関する制度や労災保険制度など、医療ソーシャルワーカーが活用すべき諸制度について習熟しておきましょう。

保健医療サービス関係者との連携と実際

医師、保健師、看護師等との連携

 この分野からは、医師、保健師、看護師等との連携、在宅生活を支える医療体制としてのチームアプローチ、リハビリテーション医療のチームアプローチ等が、短文事例問題で出題されています。

 終末期医療における本人の意思決定の支援についての出題実績があります。また、障害者の分野でも障害者の意思決定支援が出題されています。意思決定支援は現場では重要な課題ですので、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に目を通しておくとよいでしょう。

 チームアプローチに関しては、マルチ型チームとインター型チームの違い、チームのタスク機能とメンテナンス機能、チームアプローチにおける情報の取り扱い等が出題されていますので、チームアプローチの類型と特性、対象等について学習しておきましょう。

 緩和病棟におけるがん患者への、医師、薬剤師、管理栄養士、MSW、がん看護専門看護師のそれぞれの専門職の緩和ケアにおいてもつべき視点と役割についてのチームアプローチも出題されています。チームによるケアの際の留意点などについて把握しておきましょう。

地域の社会資源との連携

 地域医療の実践のためには、地域の社会資源である医療・保健・福祉関係機関との連携が必須です。そのための具体的手法として地域連携クリティカルパスの作成があります。クリティカルパスとは治療計画のことで、地域連携クリティカルパスとは病院での集中的な治療が終了した後、地域の医療機関の連携によって、病院の機能に応じた総合的な治療やリハビリテーションを行うための計画のことです。医療と介護の連携も含めて、地域医療の連携のあり方をさまざまな関連機関の役割を押さえながら学習しておきましょう。

 以上全体を概観してきましたが、今回は、医療保険制度に関して解説していきます。




医療保険制度のしくみ

 医療保険制度全体は大きく分けて、被用者を対象とする「職域保険」と居住要件による「地域保険」、居住要件と年齢要件による「後期高齢者医療制度」の3種類に分類されます。それぞれについて詳しくみていきましょう。

被用者保険(職域保険)

 被用者を対象とする「職域保険」には、健康保険法に基づく「全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)」と「組合管掌健康保険(健康保険組合)」、船員組合法に基づく「船員保険」、各種の共済組合法に基づく「共済組合」があります。




全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)

 全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)は、組合管掌健康保険(健康保険組合)に加入していない民間の中小企業の被用者が加入する保険です。保険者は「全国健康保険協会」で、保険料率は都道府県ごとに設定し、給付内容は法定給付だけです。

 全国健康保険協会の被保険者には、健康保険の適用事業所に使用される「一般被保険者」と、臨時に使用される「日雇特例被保険者」があります。「日雇特例被保険者」の対象は、2か月以内の期間を定めて雇用される者、4か月以内の季節業務で雇用される者、6か月以内の臨時的事業の事業所で雇用される者、1か月以内だけ雇用される日雇労働者などです。

組合管掌健康保険(健康保険組合)

 組合管掌健康保険は、事業所で働いている被保険者が常時700人以上の場合、2つ以上の事業所が共同して設立する場合は被保険者が常時3000人以上の場合で、それぞれ厚生労働大臣の認可によって組合を設立することができます。

 組合を設立すると、一定の範囲内で組合ごとに自主的に保険料率を設定でき、従業員の保険料負担割合を労使折半より低く設定することができます。また、法定給付以外の付加給付を行うことができ、企業の福祉厚生のための疾病予防のための事業などを実施することも可能になります。




船員保険

 船員保険法に基づく船員保険は、海上で働くという特殊性のため、独立した法律で医療保障を行おうとする制度です。職務外の病気や怪我、出産、死亡について保険給付を行い、保険者は、「全国健康保険協会」です。

 船員保険法第4条第1項に、「船員保険は、協会が、管掌する」と規定されており、第2項に、「協会が管掌する船員保険の事業に関する業務のうち、被保険者の資格の取得及び喪失の確認、標準報酬月額及び標準賞与額の決定並びに保険料の徴収(疾病任意継続被保険者に係るものを除く。)並びにこれらに附帯する業務は、厚生労働大臣が行う」と規定されています。

 全国健康保険協会の業務としては、同法第5条に、保険給付に関する業務、保健事業及び福祉事業に関する業務、船員保険事業に関する業務であって厚生労働大臣が行う業務以外のもの等と規定されています。

共済組合

 共済組合には、公務員を対象とする「国家公務員共済組合」と「地方公務員共済組合」及び、私立学校教職員を対象とする「私立学校教職員共済組合」があります。被用者の年金制度については、公務員の共済組合制度は廃止され、現在は公務員も民間被用者すべて、厚生年金制度に一元化されていますが、医療保険制度に関しては、公務員及び私立学校教職員については、健康保険制度とは別建ての、「共済組合制度」によって実施されているということに注意しておきましょう。

全国健康保険協会 加入対象:中小企業等
給付内容:法定給付のみ
保険料率は都道府県ごとに設定
組合管掌健康保険 加入対象:大企業等
給付内容:法定給付、付加給付
保険料率は組合ごとに設定
船員保険 対象:船員
保険者:全国健康保険協会
各種共済組合 種類:国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、私学職員共済組合




法定給付と付加給付

 「法定給付」と「付加給付」という言葉が出てきましたので、簡単に説明しておきましょう。「法定給付」とは、「法律に定められている給付」という意味で、健康保険法、船員保険法、各種の共済組合法に定められている給付のことです。この「法定給付」は、必ず実施することが義務付けられています。

 これに対して「付加給付」とは、法定給付に上乗せする給付のことで、組合管掌健康保険(健保組合)は、法定給付以外に、独自の上乗せ給付である「付加給付」を行うことができることになっています。大企業等は、優秀な人材を確保するために組合を設立し、企業側の保険料率の負担割合を高くして被用者の保険料負担を押さえ、さまざまな付加給付や保健事業を行っています。

地域保険

 次に、居住要件による地域保険について取り上げます。地域保険には、国民健康保険法に基づく、都道府県と市区町村を保険者とする「国民健康保険」と、業種ごとに組合を設立してつくる「国民健康保険組合」があります。

国民健康保険

 国民健康保険は都道府県と市町村が実施主体となります。都道府県は、財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業運円の確保等、都道府県内の統一的な運営方針を示す等の都道府県全体を総括する役割があります。

 市町村は地域住民との身近な関係の中で被保険資格の管理、被保険者証の発行、保険料の徴収、保険給付の決定と保険給付の実施等の役割を担います。国民健康保険の給付内容は、法定給付だけです。

 国民健康保険の被保険者は、「都道府県の区域内に住所を有する者」とされていますが、適用除外として、「健康保険の被保険者、船員保険の被保険者、国家公務員共済組合・地方公務員等共済組合の組合員、私立学校教職員共済制度の加入者、健康保険の被扶養者、各共済組合の被扶養者、後期高齢者医療制度の被保険者、生活保護の被保護者、国民健康保険組合の被保険者」等が規定されています。

国民健康保険組合

 国民健康保険組合は、医師や弁護士、美容師、土木建築業等が同業種ごとに、主たる事務所の所在地の都道府県知事の認可を受けて設立します。保険の実施主体である保険者は、国民健康保険組合です。

 国民健康保険組合の保険料率は、一定の範囲内で組合ごとに設定することができ、保険給付として法定給付以外に独自の付加給付を行うことができます。この2点が、国民健康保険と大きく異なる点です。

国民健康保険 運営主体:都道府県(財政運営)と市町村(保険用徴収と保険給付)
給付内容:法定給付のみ
国民健康保険組合 保険者:国民健康保険組合
保険料率:組合ごとに設定
給付内容:法定給付と付加給付

後期高齢者医療制度

 後期高齢者医療制度は、「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づいて、都道府県を単位に全市町村が加入する「後期高齢者広域連合」が保険者となります。被保険者は、75歳以上の高齢者と65歳以上75歳未満の一定の障害の状態にあると認められた者です。生活保護受給者は適用除外規定がありますので、気をつけておきましょう。

 被保険者は、家族の被扶養者であっても個人として保険料を支払う義務が生じます。保険料は後期高齢者広域連合が決定し、市町村が徴収します。保険料の算出方法は、均等割額と所得割額を合計して個人単位で算出し徴収も個人単位で行います。医療費の自己負担割合は、原則1割負担で、現役並所得者は3割負担です。

 後期高齢者医療制度の財源構成は、被保険者の保険料が1割、後期高齢者支援金(若年者の保険料)が4割、公費が5割です。公費の5割の内訳は、国:都道府県:市町村が、4:1:1の割合になっています。

後期高齢者医療制度

保険者 後期高齢者医療広域連合
被保険者 75歳以上(一定の障害状態の65歳以上75歳未満)
被保護者は適用除外
保険料の決定 後期高齢者医療広域連合
保険料徴収 市町村
自己負担割合 1割負担。現役並所得者は3割負担
財源構成 後期高齢者の保険料:1割、後期高齢者支援金:4割
公費:5割
公費負担割合 全体の5割の内訳(国4:都道府県1:市町村1)

社会保険における公費負担

 最後に、近年出題率の高い、社会保険財源における公費の補助について確認しておきましょう。国民健康保険と後期高齢者医療制度には、給付費等の50%の公費負担があります。全国健康保険協会は、給付費等の16.4%です。組合管掌健康保険は、財政が逼迫した組合に対してのみ、補助があります。共済組合には、国庫補助はありません。

国民健康保険 給付費等の50%
後期高齢者医療制度 給付費等の50%
全国健康保険協会 給付費等の16.4%
組合管掌健康保険 財政逼迫組合に対する補助
共済組合 なし

 いかがでしたか。この科目ではこのほか、診療報酬体系や医療提供施設、医療法における医療計画や地域医療構想、医療関係専門職の業務、医療ソーシャルワーカーの役割等についても学習しておきましょう。次回は、「権利擁護と成年後見制度」を取り上げます。では今回の課題を第23回の精神保健福祉士の国家試験の中からあげておきますので、チャレンジしてみてください。

第23回 精神保健福祉士国家試験 「保健医療サービス」

問題 70 医療保険制度における保険者とその被保険者に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 健康保険の保険者には、全国健康保険協会が含まれる。
  • 2 船員保険の保険者は、健康保険組合である。
  • 3 日雇特例被保険者の保険の保険者は、国民健康保険組合である。
  • 4 国民健康保険の被保険者には、国家公務員共済組合の組合員が含まれる。
  • 5 後期高齢者医療制度の被保険者は、75歳以上の者に限られる。