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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第18回 「低所得者に対する支援と生活保護制度」

 皆さんこんにちは。厳しい暑さが続きます。毎日の忙しさの中での学習は困難を覚えることと思います。健康に留意しながら、限られた時間の中で効率的な学習を進めていきましょう。

 今回は「低所得者に対する支援と生活保護制度」を取り上げます。この科目では、生活保護法をしっかり学習しておけば一定の得点を確保できますので、ぜひ生活保護法に習熟しておきましょう。

 また近年、低所得者対策としての生活困窮者自立支援制度、生活福祉資金貸付制度、低所得者の就労支援等の出題が目立っています。コロナ禍の中で低所得者対策が次々に打ち出されています。さまざまな報道から、低所得者対策の動向を把握しておきましょう。

第23回 精神保健福祉士国家試験 「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」

問題59 「障害者総合支援法」に基づく障害福祉サービスに関する次の記述のうち、最も適切なもの1つ選びなさい。

  • 1 共生型サービスは、障害児が健常児と共に学校教育を受けるための支援を行うものである。
  • 2 行動援護は、介護保険の給付を受けることができる者でも必要に応じて利用できる。
  • 3 就労移行支援の利用には、障害支援区分の認定が必要である。
  • 4 生活介護を利用する場合は、暫定支給決定が行われる。
  • 5 障害児に関するサービスの利用者負担は不要である。
正答2

解答解説

  • 1 × 「共生型サービス」とは、同一の事業所で、介護保険サービスと障害福祉のサービスを一体的に提供するサービス類型です。共生型サービスを提供できるのは、居宅系サービスだけです。障害者総合支援法における訪問系サービスとしての「居宅介護」「重度訪問介護」は、介護保険法のホームヘルプとして位置付けられる「訪問介護」が対応し、障害者総合支援法の通所系サービスである「生活介護」や児童福祉法の「児童発達支援」「放課後等デイサービス」は、介護保険法のデイサービスとして位置付けられる「通所介護」が、障害者総合支援法における「短期入所」は、介護保険法のショートステイである「短期入所生活介護」「介護予防短期入所生活介護」が対応します。
  • 2 〇 障害福祉サービスを利用していた障害者が65歳以上になった場合、あるいは、40歳以上65歳未満の特定疾病による障害者が要介護認定を受けた場合は、障害福祉サービスより介護保険サービスを優先的に利用しなければならないとされています。ただし、障害特性により、介護保険サービスにはない障害福祉サービスが必要な場合は、障害福祉サービスを利用できます。介護保険サービスにはない障害福祉サービスとして、「就労継続支援」「行動援護」「同行援護」「施設入所支援」等があります。
  • 3 × 「介護給付」は、障害支援区分認定が必要であるのに対して、「訓練等給付」は、原則的に障害支援区分認定は必要ではありません。「訓練等給付」で障害支援区分認定が必要なのは、「共同生活援助」で介護を受ける必要がある場合だけです。
  • 4 × 生活介護を利用する場合は、障害支援区分認定を受けます。介護給付は、暫定支給決定の対象ではありません。「暫定支給決定」とは、訓練等給付の中の一部のサービスに対して行われるもので、暫定的にサービスを利用し、サービスを継続的に利用することについての本人の最終的な意向を確認し、継続利用が適切かどうか客観的に判断することを目的として、短期間の支給決定を行うものです。暫定支給決定の対象となるサービスは、自立訓練(機能訓練、生活訓練、宿泊型自立訓練)、就労移行支援、就労継続支援A型で、暫定支給決定の有効期間は最長2か月です。支給決定当初に、各サービス種別における通常の有効期間の支給決定を行い、支給決定期間のうち最初の2か月間を暫定支給決定期間として決定するという形になります。
  • 5 × 障害児に対するサービスの利用料は、保護者の収入に応じて決められます。障害児は、児童福祉法に規定されているサービスと、「障害者総合支援法」に規定されている障害福祉サービスを利用することができます。両者とも、保護者の収入に応じて利用料が決められます。

 いかがでしたか。では今回の「低所得者への支援と生活保護制度」について、出題基準に沿って近年の出題傾向を分析し対策を立てていきます。

所得階層の生活実態とこれを取り巻く社会情勢、福祉需要と実際

 この分野からは、「全国消費実態調査 所得分布等に関する結果」(総務省)の貧困線の推移、「所得再分配調査報告書」(厚生労働省)のジニ係数の推移、「被保護者調査」(厚生労働省)の世帯類型別割合の推移、「生活困窮者自立支援制度における支援状況調査集計結果」(厚生労働省)の新規相談受付件数、「医療扶助実態調査」(厚生労働省)の医療扶助受給者の入院傷病分類別構成割合等についての出題があります。

 また、貧困の概念と格差、貧困線等についても出題されていますので、相対的貧困率の定義、ジニ係数、絶対的貧困と相対的貧困の概念、貧困の再発見、貧困の連鎖等も押さえておきましょう。




生活困窮者の支援

 生活困窮者の支援として、生活困窮者自立支援制度をよく学習しておきましょう。生活困窮者自立支援事業における公共職業安定所(ハローワーク)との連携による就労支援、住居確保給付金制度、一時生活支援事業、自立相談支援事業、就労準備支援事業、家計改善支援事業等が出題されています。必須事業と努力義務事業、任意事業の種類とそれぞれの事業の具体的内容をよく整理しておきましょう。

生活保護費と保護率の動向

 生活保護費と保護率の動向として、保護率、被保護実人員数、保護開始・保護廃止の主な理由、保護の種類別扶助人員が出題されています。被保護人員、被保護世帯等について、年齢階級別、世帯類型別、扶助の種類別に整理しておきましょう。

 第23回では、「生活保護の被保護者調査(平成30年度確定値)」(厚生労働省)から、被保護実人員の増減の推移、保護率、保護開始理由、保護廃止理由、保護の種類別にみた扶助人員の多い順が出題されています。最新データは、「生活保護の動向」や「被保護者調査」、「福祉行政報告例」等で確認することができます。




生活保護制度

 ここが最も出題率の高い分野で毎回3問から5問の出題がみられます。生活保護の理念や概念、公的扶助と社会保険の性質や機能の違い等も理解しておきましょう。
 では「生活保護法の概要」について、具体的に個別の内容を確認していきましょう。

生活保護法の目的、基本原理・基本原則

 生活保護法の目的については、法第1条の意味をよく理解しておきましょう。「国家責任の原理」「無差別平等の原理」「最低生活保障の原理」「保護の補足性の原理」の4原理、「申請保護の原則」「基準及び程度の原則」「必要即応の原則」「世帯単位の原則」の4原則の考え方と実際について、それぞれの基本的な考え方と具体的な対応を押さえておきましょう。

 「保護の補足性の原理」については扶養義務者との関係が、近年出題率が高くなっています。絶対的扶養義務者と相対的扶養義務者、扶養義務者の扶養義務の履行、扶養義務者への通知、報告の請求等をよく学習しておきましょう。

 「申請保護の原則」については、申請権者、申請書への必要書類の添付義務等が出題されています。「基準及び程度の原則」については、保護基準の決定権者、保護基準と他施策との関連の出題実績があります。保護基準は他の施策に大きな影響を与えますので、その範囲や対象についても注意しておきましょう。

 第23回では、この分野から、「無差別平等の原理」「基準及び程度の原則」「保護の補足性の原理」「申請保護の原則」が出題されています。

保護の種類と内容

 生活保護の各扶助は非常に出題率が高い分野です。8扶助の種類と各扶助の給付内容について丁寧に学習しておきましょう。介護保険料加算、就職支度費、遺体検案の費用、小学生の校外活動参加費、入学準備金、高等学校等就学費等が、どの扶助に該当するかという形で出題されています、現物給付と金銭給付の違いも含めて整理しておきましょう。今回は後ほど、この分野を中心に解説していきます。

保護の実施機関と実施体制

 福祉事務所の現業員の定数規定、社会福祉主事規定、福祉事務所の指揮監督権者、福祉事務所設置規定、社会福祉主事の年齢規定等が出題されています。社会福祉法における福祉事務所に関する規定、福祉事務所長、査察指導員、現業員、事務員に関して、その役割、資格要件等を丁寧に学習しておきましょう。

 急迫時における居住地がない要保護者の実施機関、居住地保護、現在地保護、他法他施策と生活保護の関係、生活保護の受給要件、保護の開始・変更の決定の期限等の出題実績があります。実施手続きについても条文に当たって法律上の規定を押さえておきましょう。

 この分野から、第23回では生活保護制法に定める「不服申立て制度」が出題されました。不服申立て制度が権利として認められた時期、審査請求先と再審査請求先、裁決が50日以内に行われなかったときの扱い、審査請求前置主義が出題されています。行政不服審査法と生活保護法との関係、行政事件訴訟法との関係をよく理解しておきましょう。

保護の財源

 生活保護の費用の負担割合として、国の負担割合は4分の3、実施機関の負担割合は4分の1であることを覚えておきましょう。居住地がないか又は明らかでない被保護者の保護の実施機関は現在地になるため、現在地の実施機関が4分の1を負担することになりますので気をつけておきましょう。

保護施設の種類

 保護施設については、保護施設の設置主体、「救護施設」「更生施設」「医療保護施設」「授産施設」「宿所提供施設」のそれぞれの役割、関連事業として通所事業があることなど基本的な内容を確認しておきましょう。

被保護者の権利と義務

 急迫保護の費用返還義務や保護金品の差し押さえ、保護の不利益変更等についての出題がみられます。指導指示等に従う義務と保護の変更、停止、廃止との関係についても注意しておきましょう。

生活保護制度における組織及び団体の役割と実際

 この分野では、国、都道府県、市町村のそれぞれの役割と、福祉事務所の組織と役割等が出題されています。被保護者に対するハローワークの役割については、就労支援に係る連携内容を確認しておきましょう。

 生活保護事務の監査、保護施設の運営に関する指導、生活保護法に基づく医療機関の指定権者、福祉事務所を設置していない町村の役割と機能等の出題実績があります。急迫保護、要保護者発見時の通報義務、申請を受けたときの実施機関への5日以内送付義務、実施機関から求められた場合の保護金品の交付義務、実施機関から求められた場合の調査義務等を押さえておきましょう。




生活保護制度における専門職の役割と実際

 福祉事務所の現業員、査察指導員の役割と位置付け、それぞれの権限、指揮監督系統等を学習しておきましょう。また、市町村が設置する福祉事務所と都道府県が設置する福祉事務所の現業員の定数の違いが出題されています。それぞれの標準数を確認しておきましょう。

生活保護制度における多職種連携、ネットワーキングと実際

 この分野では保健医療との連携、労働施策との連携、その他の施策との連携、連携の方法、連携の実際が挙げられています。

 被保護者の家族の認知症対応の連携先としての地域包括支援センター、要介護認定を実施する行政機関、被保護者への就労支援と就労支援員の配属先、介護支援専門員の役割等が出題されています。被保護者への支援のために連携すべき行政機関、活用すべきさまざまな諸制度について丁寧に学習しておきましょう。

 DVと児童虐待の要保護者に対する連携先としての配偶者暴力相談支援センターも出題されています。事例に応じて多職種連携の取り方、連携先である相談機関と配置されている専門職種を把握しておくとよいでしょう。

 第23回では、被保護者の就労支援が事例問題で出題されました。被保護者就労準備支援事業と生活保護受給者等就労自立促進事業のそれぞれの対象と内容、福祉事務所の就職支援コーディネーターとハローワークの就職支援ナビゲーターの役割、生活困窮者自立相談支援事業との関係等が出題されました。この科目での具体的な就労支援の出題は初めてでしたので、今後も注意して学習しておくことをおすすめします。




福祉事務所の役割と実際

 福祉事務所の組織体系、福祉事務所の設置義務、任意設置、社会福祉主事についての配置義務規定等、「福祉行財政と福祉計画」とも重なる内容ですので並行して学習しておきましょう。

 福祉事務所の活動の実際としては、要保護者の発見から、申請受付、資力調査、要否判定、決定、受給、訪問調査等についてそれぞれの段階で留意すべきことや、自立支援の実際についての相談援助活動について、短文事例を想定して対応できる力を身につけておきましょう。
 またこの分野からは保護の実施機関による指導・指示、雇主からの報告徴収、扶養義務者との関係等の出題実績があります。

自立支援プログラムの意義と実際

 自立支援プログラムによる支援の進め方について、厚生労働省から出されている「自立支援プログラムの基本方針について」、アルコール依存症の被保護者の自立支援についての短文事例での出題実績があります。アルコール依存症患者の症状の特徴と、被保護者への実践的対応が問われています。今後も、さまざまな状況における専門職としての対応事例の出題が予想されますから、優先すべきこと、自立支援の考え方等を押さえておきましょう。




低所得者対策

生活福祉資金貸付の概要

 生活福祉資金貸付の実施主体、貸付対象、利用手続き、貸付内容、貸付条件と貸付利率、保証人の必要性の有無、費用返還等について整理しておきましょう。第23回では、制度の目的、借り入れの申込先と申込方法、償還猶予制度、連帯保証人について出題されました。

 生活困窮者自立支制度との関係で、生活困窮者自立支援制度の自立相談支援事業を受けていないと、生活福祉資金の総合支援資金と緊急小口資金は貸し付けの対象外になることにも気をつけておきましょう。

低所得者の自立支援

 低所得者に対する自立支援については、生活困窮者自立支援制度の出題率が高くなっています。生活保護に至る前の第二のセーフティネットとして位置付けられているこの制度は、現在とても重視されています。

 従来の必須事業、任意事業に加えて、新たに努力義務規定となった「就労準備支援事業」や「家計改善支援事業」について、それぞれの事業内容と相互関連をしっかりと理解しておきたいものです。事業に携わる主任相談支援員や相談支援員、就労支援員のそれぞれの役割と業務内容等、詳細な内容も理解しておきましょう。

低所得者への住宅施策

 低所得者への住宅対策として公営住宅制度の概要について、また生活困窮者自立支援法における必須事業としての、「住居確保給付金」等の内容を理解しておくとよいでしょう。
 また近年、無料低額宿泊所の出題率が高くなっています。また、公営住宅法、生計困難者や低所得者に対する住宅施策に関する制度等、関連施策に関する知識を習得しておきましょう。




ホームレス対策

 この分野からは、ホームレスの実態調査の結果やホームレス自立支援法の支援対象者、ホームレスの支援に向けての実施計画の策定等の出題実績があります。ホームレス自立支援法、ホームレス自立支援基本方針、ホームレス自立支援施設、ホームレスの実態調査結果等を押さえておきましょう。

 以上全体の概要をみてきましたが、今回は生活保護制度における扶助の内容について取り上げていきます。

生活保護の目的

 生活保護は、生活に困窮する全ての国民に、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、被保護世帯の自立を助長することを目的としています。まず、この法律の目的をしっかりと押さえておきましょう。




他の収入・就労との関係

 生活保護制度には、「保護の補足性の原理」があり、「保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる」とされています。

 また、「基準及び程度の原則」があり、「生活保護は、要保護者の需要を基とし、そのうちその者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において保護を行う」とされています。

 そのため、民法に規定する扶養義務者の扶養を優先し、障害基礎年金などを受給しても、なお、生活保護基準に達しないとき、不足分を補うという形で保護を受けることになります。ですから、障害基礎年金を受給していても、生活保護の申請を行うことができます。

 また、就労の意思と能力があり就労が可能な状態であっても、就職活動をしても就職できない状態のときは、生活保護の申請を行うことができます。

扶助の種類

 上記の目的を実施するために、生活保護には、「生活扶助」「住宅扶助」「教育扶助」「介護扶助」「医療扶助」「出産扶助」「生業扶助」「葬祭扶助」の8種類の扶助があります。これらの扶助は、保護を受ける世帯の状況に応じて必要な扶助を組み合わせて適用します。扶助は原則として金銭給付で行いますが、「医療扶助」と「介護扶助」は現物給付です。




生活扶助

 「生活扶助」は、衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なもの及び移送に要する費用で、原則金銭給付により支給します。また、原則1か月に1度世帯主に前渡しすることになっています。

 生活扶助の「基準生活費」は、食費や生活費など「個人で消費する生活費」である「第1類」と、光熱水費や家具什器費等「世帯で消費する生活費」である「第2類」があります。第1類は、所在地域別、年齢別に、第2類は、世帯人員別、所在地域別に設定されています。第2類には、寒冷地に対する地区別冬季加算もあります。

入院患者日用品費・介護施設入所者基本生活費

 このほか、基準生活費には、入院患者に対しては「入院患者日用品費」、介護施設入所者に対しては、「介護施設入所者基本生活費」が支給されます。この費用は、在宅での基準生活費に該当します。

 これらは、食費などの第1類という分類や、光熱水費のような世帯単位の第2類という分類はなく、級地制度も適用されず、全国一律の額になります。支給目的は、入院あるいは入所した際の被服費、理容衛生費、教養娯楽費、交際費の必要を満たすためです。

期末一時扶助・一時扶助

 「期末一時扶助」は、年末において増加する食費や雑費等の経費を補填するものとして支給されるものです。「一時扶助」は、保護開始時、出生時、入学時などの際に、被服費や家具什器等の物資がなく、緊急やむを得ない場合に、必要な経費を補填するものとして支給されるものです。

 具体的には、新生児の産着代や義務教育入学時のランドセル代、入院・退院時の一時的に必要な費用等が該当します。産着代は出産扶助ではなく、ランドセル代は教育扶助ではありませんので、注意しておきましょう。

勤労控除

 「勤労控除」とは、勤労に伴う必要経費を補填するとともに、勤労意欲の増進・自立助長を図るための仕組みです。被保護世帯に収入があった場合は、世帯の最低生活費からその収入を差し引いた不足分を保護費として支給するのが基本ですが、勤労収入を得るためには、勤労に伴って被服費や知識・教養の向上等のための経費が必要となるので、「勤労収入のうちの一定額を控除する」とされています。「勤労控除」には、基礎控除、新規就労控除、未成年者控除の3種類があります。

生活扶助

基準生活費 1類 個人別(飲食費・被服費等)
所在地域別、年齢別に設定
2類 世帯別(光熱費・家具什器費)、地区別冬季加算
所在地域別、世帯人員別に設定
入院費等 入院時は「入院患者日用品費」、介護施設入所時は「介護施設入所者基本生活費」に移行する
支給目的は、被服費教養娯楽費、交際費等のため
支給額は全国一律で、1類・2類の区分はない
期末一時扶助 年末時の特別な需要に対応
一時扶助 保護開始時、出産、入学、入退院等一時的需要に対応
勤労控除 基礎控除、新規就労控除、未成年者控除

生活扶助の各種加算

 生活扶助には、「特別な需要を補填(ほてん)する」ことを目的とする「各種加算」がつきます。加算には、「妊産婦加算」「母子加算」「障害者加算」「介護施設入所者加算」「在宅患者加算」「放射線障害者加算」「児童養育加算」「介護保険料加算」の8種類の加算があります。

 「妊産婦加算」は、妊産婦(妊娠中及び産後6か月以内)である被保護者に対し、追加的に必要となる栄養補給等の経費を補填するものとして支給されるものです。「妊産婦加算」の「妊婦」については、妊娠の事実を確認した月の翌月から支給されます。「産婦」については、出産月から6か月間、人工栄養の場合は3か月間支給されます。

 「母子加算」は、ひとり親世帯が、ふたり親世帯と同等の生活水準を保つために必要となる費用を補填するものとして、ひとり親世帯(母子世帯・父子世帯等)に対し支給されるものです。児童の年齢は、「18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者」です。

 「障害者加算」は、障害者である被保護者に対し、追加的に必要となる居住環境の改善のための費用や点字新聞などの雑費等の経費を補填するものとして支給されるものです。対象は、身体障害者程度等級表1・2・3級、国民年金法施行令1・2級の者です。

 「介護施設入所者加算」は、介護施設に入所している被保護者に対し、理美容品、嗜好品、教養娯楽費等の等の裁量的経費ために支給されるものです。対象は介護施設の入所者で、母子加算、障害者加算が算定されていない者です。

 「在宅患者加算」は、在宅で療養に専念している患者(結核又は3か月以上の治療を要するもの)である被保護者に対し、追加的に必要となる栄養補給等のための経費を補填するものとして支給されるものです。

 「放射線障害者加算」は、放射能による負傷、疾病の患者である被保護者に対し、追加的に必要となる栄養補給等のための経費を補填するものとして支給されるものです。

 「児童養育加算」は、児童の養育者である被保護者に対し、子どもの自立助長を図る観点から、健全育成費用(学校外活動費用)を補填するものとして支給されるものです。支給対象は、高校生までの児童を養育している被保護者です。

 「介護保険料加算」は、介護保険の第1号被保険者の普通徴収対象者である被保護者に対し、納付すべき介護保険料に相当する経費を補填するものとして支給されるものです。「介護保険料加算」は、「介護扶助」ではなく、「生活扶助」における加算であることに注意しておきましょう。

各種加算

各種加算 各種加算は、特別の需要を補填するためのものである
妊産婦加算 妊産婦に対し、栄養補給等のため支給
母子加算 18歳までの児童を養育しているひとり親世帯(母子家庭・父子家庭等)に対し支給
障害者加算 身体障害者程度等級表1・2・3級、国民年金法施行令1・2級の者
介護施設入所者加算 介護施設の入所者(母子加算、障害者加算が算定されていない者)に対し支給
在宅患者加算 在宅患者の療養専念、栄養補給等のため支給
放射線障害者加算 放射能による負傷・疾病の患者に対し、栄養補給等のため支給
児童養育加算 児童(18歳まで)の養育者に対し支給
介護保険料加算 介護保険の第1号被保険者に対し、介護保険料として支給

教育扶助

 「教育扶助」は、義務教育を受けるために必要な教科書代、学用品費、通学用品費、通学のための交通費、学校給食費、校外活動費、課外活動費、クラブ活動費等の、義務教育に伴う必要な費用です。保護金品は、本来は世帯主及び本人に支給するものですが、教育扶助については本人だけでなく、被保護者の通学する学校長も交付対象になっています。




住宅扶助

 「住宅扶助」は、借家借間に居住する被保護者に対し、家賃等や転居時の敷金、契約更新料などを補填するものとして支給されるものです。また、住宅維持費として、居住する家屋の補修や、畳、建具等の従属物の修理、豪雪地帯においては雪囲い、雪下ろし等に必要な経費を補填するものとして、必要を要すると認定された場合に支給され、補修規模は、社会通念上最低限度の生活にふさわしい程度になります。家賃や地代等は地域によって違いが大きいので、地域に応じて地域別の上限額が設定されています。

医療扶助

 「医療扶助」は、病院等における医療サービスの利用にかかる経費を補填するものです。被保護者からの申請により、医療が必要と認められた場合、医療券が発行されます。実施機関は指定医療機関に患者を委託し、患者は指定医療機関で診察や治療を現物給付として受けます。指定医療機関は、社会保険診療報酬支払基金に対して診療報酬の請求を行い、基金から診療報酬の支払いを受けるという仕組みになっています。




介護扶助

 「介護扶助」は、介護保険サービスの利用にかかる経費を補填するものとして支給されるものです。給付方法は、介護券が発行され、介護保険サービスと同一のサービスが「現物給付」として支給されます。40歳から65歳未満の特定疾病による要介護状態の被保護者に対する介護サービス、65歳以上の介護保険第1号被保険者の自己負担分の介護サービスが給付されます。

出産扶助

 「出産扶助」は、分娩の介助や分娩前後の処置、脱脂綿やガーゼなどの衛生材料の費用です。「出産扶助」には、「基準額」「出産に伴う入院費」「衛生材料費」の3つがあり、その合計額が現金で支給されることになります




生業扶助

 「生業扶助」は、要保護者の自立の助長を目的としているため、困窮に陥った者だけではなく、困窮に陥る恐れのある者も対象としています。

 「生業扶助」には、「生業費」「技能修得費」「就職支度費」があります。
 「生業費」は、生計の維持を目的として小規模の事業を営むための必要な資金として支給されるものです。「技能修得費」は、生計の維持のために役立つ生業につくために必要な技能を習得するために要する費用として支給されるもので、「高等学校等就学費」は、この生業扶助の中の「技能修得費」に位置付けられています。
 「就職支度費」とは、就職のために直接必要とするスーツや靴等の購入費用が該当します。

葬祭扶助

 「葬祭扶助」は、遺体検案、死体の運搬、火葬第又は埋葬代等、葬祭のために必要な費用です。級地別と大人、小人別に金額が設定されており、葬祭を執り行う者に支給されます。

教育扶助 義務教育に要する費用。通学の交通費、校外活動費、クラブ活動費等も対象
住宅扶助 家賃等や転居時の敷金、契約更新料、家屋の補修などの費用
医療扶助 医療券による現物給付
介護給付 介護券による現物給付
出産扶助 分娩のために必要な費用
生業扶助 生業費、技能修得費(高等学校等就学費を含む)、就職支度費
葬祭扶助 遺体検案、死体の運搬、火葬第又は埋葬代等。葬祭を執り行う者に支給。地域・大人と小人によって支給額が異なる

 いかがでしたか。生活保護の基本原理・基本原則、生活保護の実施機関等についても整理しておきましょう。次回は「保健医療サービス」を取り上げていきます。
 では第23回の精神保健福祉士国家試験問題から今回の課題を上げておきますので、チャレンジしてみてください。

第23回 精神保健福祉士国家試験 「低所得者に対する支援と生活保護制度」

問題 65 事例を読んで、R市福祉事務所のK生活保護現業員が保護申請時に行う説明に関する次の記述のうち、最も適切なもの1 つ選びなさい。

〔事 例〕
Lさん(39歳、男性)は、妻(36歳)、長男(15歳、中学生)及び次男(4歳、幼稚園児)と暮らしている。Lさんは精神障害者、妻は身体障害者であり、一家は夫妻の障害基礎年金とLさんの就労所得で生活してきた。これまでLさんはパートタイム就労を継続していたが、精神疾患が悪化して退職し、夫妻の年金だけでは生活できなくなった。Lさんは、退職に際して雇用保険からの給付もなかったので、生活保護の申請を行おうとしている。

  • 1 生業扶助における母子加算を受給できることを説明した。
  • 2 二人の子に対しては、それぞれ教育扶助を受給できることを説明した。
  • 3 長男が高校に進学すれば、教育扶助から高等学校等就学費を受給できることを説明した。
  • 4 夫妻が共に障害基礎年金を受給していても、生活保護の申請を行うことはできると説明した。
  • 5 Lさんに精神疾患があるとしても、就労が可能である場合、生活保護の申請は行えないことを説明した。