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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第15回 「福祉行財政と福祉計画」

 皆さんこんにちは。今回は「福祉行財政と福祉計画」を取り上げます。この科目は苦手な受験生が多いようですが、「福祉行政分野」「福祉財政分野」「福祉計画分野」として整理して学習していくと理解が進みます。ぜひ今回の学習をきっかけに得意科目にしていってください。ではまず前回の課題の解説をしておきましょう。

第23回 精神保健福祉士試験 「地域福祉の理論と方法」

問題 33 民生委員制度やその前身である方面委員制度等に関する次の記述のうち、正しいもの2つ選びなさい。

  • 1 方面委員制度は、岡山県知事である笠井信一によって、地域ごとに委員を設置する制度として1918年(大正7年)に創設された。
  • 2 方面委員は、救護法の実施促進運動において中心的な役割を果たし、同法は1932年(昭和7年)に施行された。
  • 3 民生委員法は、各都道府県等で実施されていた制度の統一的な発展を図るため、1936年(昭和11年)に制定された。
  • 4 民生委員は、旧生活保護法で補助機関とされていたが、1950年(昭和25年)に制定された生活保護法では実施機関とされた。
  • 5 全国の民生委員は、社会福祉協議会と協力して、「居宅ねたきり老人実態調査」を全国規模で1968年(昭和43年)に実施した。
正答 2、5

解答解説

  • 1 × 方面委員制度は、大阪府知事の林市蔵によって創設されました。林市蔵は、当時、内務官僚として監護法制定等に尽力し、大阪府に社会事業協会を設立するなど福祉に造詣の深い大阪府最高嘱託の法学博士である小河滋次郎を協力者として、全国に先駆けて方面委員制度を創設しました。この制度はドイツのエルバーフェルト制度を参考にしたもので、小学校学区に方面委員を配置し、「方面カード」という台帳を作成して、要保護世帯の指導と援助を行いました。「方面委員」の「方面」とは「地域」のことで、方面委員は一定の区域を担当しました。訪問調査をして世帯状況を把握し「方面カード」に記入し、生活が困窮した状態にある人々を迅速に救済機関につなげていく働きをしました。この制度は、次第に全国に広がっていきました。
  • 2 〇 1929(昭和4)年には、従来の「恤救規則」に代わるものとして「救護法」が制定されました。この法律で、方面委員は「補助機関」として位置付けられましたが、国は財源不足を理由に法律を施行しなかったため、全国の方面委員を中心として「救護法実施促進運動」を各地に展開し、ついに政府も施行せざるを得なくなり、競馬法改正で財源を得たとして、救護法は1932(昭和7)年1月から施行されました。
  • 3 × 1936(昭和11)年に制定されたのは、「方面委員令」です。大阪で始まった方面委員制度は全国に普及していき、1931(昭和6)年には、方面委員の全国連絡組織として、「全日本方面委員連盟(現在の全国民生委員児童委員連合会の前身)」が結成され、初代会長に渋沢栄一が就任しました。救護法に方面委員が「補助機関」として位置付けられたこと等により、1936(昭和11)年には、国は「方面委員令」を公布し、方面委員制度の法的な基盤が整備されて、方面委員制度は全国的な制度として展開されていくことになりました。「民生委員法」は、第二次世界大戦後の1948(昭和23)年7月に公布されました。「民生委員制度」が法律上に位置付けられ、委員の資格要件や任期、委員の選任の仕方などが明確に規定されました。
  • 4 × 民生委員は、旧生活保護法では「補助機関」として規定されていましたが、1950(昭和25)年の現行生活保護法により、「協力機関」として規定され、「補助機関」としては「社会福祉主事」が位置付けられています。実施機関とは、生活保護を責任を持って実施する機関のことで、福祉事務所設置自治体が実施機関となっています。
  • 5 〇 民生委員活動の中で調査活動は重要な役割を持っています。これは単に行政から依頼される訪問調査等の実施だけでなく、自主的に住民の生活課題を把握し、必要な支援を社会的に実現するために行政等に働きかけるという役割を重視しているためです。1968(昭和43)年には、民生委員制度創設50周年である1967(昭和42)年を期に企画された、初めての全国規模の調査である「居宅ねたきり老人の実態調査」を、社会福祉協議会と協力して実施しました。調査の結果、70歳以上の寝たきり高齢者が全国で20万人以上いることが明らかにされ、その後の在宅福祉施策の充実に大きな影響を与えました。

 いかがでしたか。「地域福祉の理論と方法」は範囲が広いので、さまざまな援助対象を地域で支援していくための諸制度に精通しておきましょう。
 では、今回の「福祉行財政と福祉計画」について出題傾向を分析し、対策を立てていきます。この科目は大きく分けて、「福祉行政」「福祉財政」「福祉計画」という3つの分野から構成されています。

福祉行政の実施体制

 この分野は、「国、都道府県、市町村のそれぞれの役割」と「国と地方との関係」を把握しておきましょう。法定受託事務と自治事務について、それぞれの性格と権限の範囲、事務内容などを押さえておくとよいしょう。

 地方自治の制度は地方自治法に基づいていますから、地方自治法における都道府県、市町村、広域連合、特別区、指定都市、指定都市における区、大都市特例等の仕組みと役割を理解しておきましょう。

 都道府県や市町村の役割に関する出題実績をみると、介護保険制度や障害者自立支援制度、児童福祉の分野に関する市町村、都道府県のそれぞれの役割についての出題実績があります。高齢、障害、児童等の各分野における市町村の役割、都道府県の役割を整理しておきましょう。また、利用契約制度と措置制度の違いと、それらにおける行政機関の役割も出題されることがあります。福祉サービス利用の基本的な理解が求められます。

 第23回では、生活困窮者自立相談支援事業の実施主体、養護老人ホームへの入所措置権者、障害者総合支援法に基づく介護給付費の支給決定者、子ども・子育て支援法に基づく基本指針策定者、地域密着型サービスの指定権者についての出題がありました。

 「福祉の財源」の分野では、国の財源として、「社会保障関係費」が一般会計に占める割合や、「社会保障関係費」の内訳は頻出です。また各分野の福祉サービス費の、国と都道府県、市町村の負担割合も出題率が高いので確認しておきましょう。

 過去にはこの分野から、生活保護費、保育に要する費用、障害福祉サービス費、養護老人ホーム入所費、婦人相談所の一時保護費、母子生活支援施設の費用、児童養護施設の入所費についての国の費用負担割合が出題されています。

 第23回では、生活困窮者家計改善支援事業の財源、生活保護費財源、介護給付費財源、身体障害者手帳交付措置費財源、障害者総合支援法に基づく地域生活支援事業の財源に関する出題がありました。国庫負担金と国庫補助金の性格の違いをしっかりと理解しておきましょう。今回は後ほど、この分野を中心に解説していきます。

 「地方の財源」の分野では、地方財政における民生費の割合やその内訳が、出題されています。地方財政の仕組み、歳入、歳出に占める民生費の割合などについて、ポイントを押さえて学習しておきましょう。興味のある方は、地方財政白書に目を通しておくと理解が深まります。

 「保険料財源」の分野では、保険料とサービス利用料、介護保険財政、国民健康保険、健康保険、後期高齢者医療、介護保険の財源負担等が頻出です。社会保険の保険料、福祉サービスの利用者負担、保険料の徴収方法等についても、制度ごとに把握しておきましょう。

 「民間の財源」の分野では、消費税についての出題実績があります。消費税の性格、地方交付税との関係、国税と地方税の税率割合、一般会計に占める消費税の割合、軽減税率制度等について理解しておきましょう。地域福祉の財源において、共同募金は民間財源として大きな位置を占めています。社会福祉法における共同募金の目的と性格、組織、配分等について確認しておきましょう。

 「福祉行政の組織及び団体の役割」の分野からは、児童相談所、身体障害者更生相談所、知的障害者更生相談所、婦人相談所、保健所について出題されています。福祉事務所、身体・知的障害者の各更生相談所、地域包括支援センター等についても学習しておきましょう。

 第23回では、都道府県に設置義務規定がある行政機関についての出題がありました。発達障害者支援センター、基幹相談支援センター、地域包括支援センター、精神保健福祉センター、母子健康包括支援センターが出題されています。

 「福祉行政における専門職の役割」の分野では、知的障害者福祉司、身体障害者福祉司、児童福祉司、主任介護支援専門員、社会福祉主事の出題があります。福祉事務所の現業員と査察指導員のそれぞれの役割、児童福祉司、身体障害者福祉司、知的障害者福祉司等の専門職の配属先、業務、資格要件などを整理しておくとよいでしょう。

 第23回では、行政機関の配置義務職員に関して、身体障害者相談員、知的障害者福祉司、母子・父子自立支援員、精神保健福祉相談員、児童福祉司についての出題がありました。それぞれの配置先、配置義務、任意配置などについて確認しておきましょう。




福祉行財政の動向

 福祉財政の動向としては、地方財政白書が頻繁に出題されています。地方財政白書の民生費の内訳や、都道府県と市町村の違い、特別会計事業費について、介護保険事業費、国民健康保険事業費、後期高齢者医療事業費の歳出決算額について、細かい数値を覚える必要はありませんが多い順番は押さえておくとよいでしょう。

 第23回では、地方財政における地方交付税の割合、都道府県・市町村それぞれの目的別歳出の順位、都道府県・市町村の性質別内訳の順位が出題されました。

福祉計画の意義と目的

 各法律に基づく福祉計画は、各法律における制度を実現するための、それぞれ計画の意義と目的が規定されています。福祉計画を策定する目的をよく理解しておくことで、盛り込むべき内容についての理解も深まりますから、それぞれの法律の目的と性格を理解しておきましょう。

 福祉計画の財源として、老人福祉事業と介護保険事業との関係、障害福祉サービス費等における国、地方公共団体の負担割合、福祉計画等と事業の財源として、介護保険第1号被保険者保険料、国民健康保険料の決定方法が出題されていますので、整理して理解しておいてください。




福祉計画の主体と方法

 この分野は非常に出題率の高い分野です。地域福祉計画、老人福祉計画、介護保険事業計画、障害者基本計画、障害福祉計画、子ども・子育て支援事業計画、医療計画等、各分野における計画について、「根拠法」「計画の策定主体」「計画期間」「計画に盛り込むべき内容」「計画相互間の関係」「計画策定における地域住民の意見反映措置」等を整理しておきましょう。

 計画相互の関係として「一体として作成すべきもの」「整合性の確保が図られたものとして作成すべきもの」「調和がとれたものとして作成すべきもの」の違いが出題されています。

 第23回では、市町村介護保険事業計画における介護保険料率の算定方法、計画策定時の被保険者の意見反映措置義務、計画策定時の都道府県の意見聴取義務、計画に盛り込む内容、計画の評価義務についての出題がありました。

 福祉計画の評価方法としては、ニーズ調査、医療や福祉計画におけるプロセス指標、インプット指標、費用効果分析等の難度の高い問題が出題されることがあります。皆さんにとっては苦手な分野かもしれませんが、今後も出題の可能性がありますので、理解を深めておくことをおすすめします。

福祉計画の実際

 第5期障害福祉計画基本指針の基本理念、障害児福祉計画、地域移行の目標、地域移行、一般就労への移行、児童発達支援センターの設置目標、第7期介護保険事業計画の基本指針等の内容等が出題されています。近年、各分野における計画策定の基本指針の出題が目立ちます。それぞれの分野の基本指針の方向性等を把握しておくことをおすすめします。
 第23回では、厚生労働省の「市町村地域福祉計画策定状況等調査結果(平成31年4月1日時点)」に関して出題がありました。

 以上全体を概観してきましたが、今回は福祉の財源に関して取り上げていきたいと思います。まず、福祉の財源としての「税」について解説していきます。




税の仕組み

 福祉の財源は、本人の利用料負担と、介護保険制度などのように社会保険制度によるサービスの場合は保険料と、国や都道府県、市町村が徴収する税金で構成されています。まず、税の仕組みについて確認しておきましょう。

 税には、「税の徴収方法による分類」として「直接税」と「間接税」があります。「直接税」とは、納税義務者と税の実質負担者が同一である税のことで、具体的には所得税や法人税などが該当します。「間接税」とは、納税義務者と税の実質負担者が異なる税のことで、消費税、酒税、たばこ税等が該当します。

 また、「税の徴収の目的による分類」として、「普通税」と「目的税」という分類があります。「普通税」とは、使途を特定せず一般経費に充てるために課税される税のことです。「目的税」とは、使途を特定してその費用に充てるために課税される税のことです。例えば、「事業所税」は、都市環境整備のために使用するための税なので、使途が特定されている「目的税」に該当します。

直接税 納税義務者と税の実質負担者が同一(所得税、法人税等)
間接税 納税義務者と税の実質負担者が異なる(消費税、酒税、たばこ税等)
普通税 使途を特定せず一般経費に充てるために課税される税
目的税 使途を特定してその費用に充てるために課税される税

消費税

 「消費税」は「間接税」に該当し、わが国の一般会計予算の中で、大きな財源を占めています。消費税は収入にかかわりなく、軽減税率を除き、全国民に一律10%が課せられます。そのため、低所得者ほど負担が高いという、「逆進性」を持っていることが特徴です。

 現在の消費税率は10%で、その内訳は、国の消費税7.8%、地方消費税2.2%となっています。また、生活必需品については8%の軽減税率を適用しており、軽減税率に関しては、地方消費税は1.76%になっています。

 消費税の課税期間は、1月から12月で、暦年での課税となります。事業者の消費税は、課税期間である基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、消費税の納税義務が免除されています。

 社会福祉事業関係の消費税は、非課税の対象となっています。具体的に、介護保険事業、第一種社会福祉事業、第二種社会福祉事業、老人介護支援センター等が該当します。

消費税

性格 低所得者ほど負担が高いという、逆進性を持つ
税率 10%(内訳:国の消費税7.8%、地方消費税2.2%)
(生活必需品については8%の軽減税率を適用)
課税期間 1月から12月
事業者の消費税 課税期間の課税売上高1,000万円以下の事業者は納税義務免除
消費税非課税対象 介護保険事業、第一種・第二種社会福祉事業等は非課税




税の配分

 次に、税の配分についてみていきましょう。国は「国税」を、都道府県と市町村は「地方税」を徴収します。国の税源のほうが多いため、国が集める国税のほうが、地方公共団体が集める地方税より多くなっています。

 国は国民から税金を徴収したら、国の行政のために使用するだけではなく、地方公共団体である「都道府県」と「市町村」に交付します。国が集めた国税を地方公共団体に配る方法には、大きく分けて「地方交付税」として交付する方法と、「国庫支出金」として支出する方法の2種類があります。

地方交付税

 国が、都道府県や地方公共団体に配分する「地方交付税」は、「使途を特定せずに」交付される税で、地方公共団体が何に使ってもよい「一般財源」に分類されます。

 現在、わが国では国民に身近な行政サービスの大半を各地方公共団体が提供していますが、地方公共団体が置かれている場所や地域の経済力によって、行政サービスの財源である税収には、地方公共団体間で大きな開きがあります。このような地方公共団体間の財源の不均衡を調整し、どの地域に住んでいる国民も、一定のレベルの行政サービスが提供されるために設けられている制度が、「地方交付税」という制度です。

 地方交付税の使途は、地方公共団体の自主的な判断に任されており、国が使途を制限したり、条件を付けたりすることは禁じられています。

 国が地方に交付する「地方交付税」の財源は、国が徴収した「所得税・法人税の33.1%」「酒税の50%」「消費税の19.5%」「地方法人税の全額」と、別途法定された各年度の加減算額との合計額になります。地方交付税の財源に、「消費税」が含まれていることを覚えておきましょう。




一般財源

 国から地方に交付される「地方交付税」は、「一般財源」に分類されます。地方公共団体の財源は、都道府県や市町村が独自に徴収する「地方税」と、国から地方に交付される「地方交付税」が、大きな割合を占めています。地方公共団体の「一般財源」には、地方税、地方交付税のほか、地方譲与税、地方特例交付金があります。

特定財源

 「特定財源」とは、使い道が決まっている財源のことで、国から地方公共団体に使途を特定して支出される「国庫支出金」をはじめ、地方債なども地方公共団体の特定財源になります。「国庫支出金」には、「国庫負担金」「国庫補助金」「国庫委託金」の3種類があります。

 「国庫負担金」とは、「国と地方公共団体が共同で行う事務」に対して、「国が義務的に支払う負担金」のことです。代表的なものとして、生活保護の実施に係る費用の国の負担金があります。これは、国の義務的経費であるため、「国庫負担金」に該当します。

 「国庫補助金」とは、「国が、地方公共団体が行う事業等を援助するために交付する経費」です。「国庫負担金」と異なるのは、国にとっては、あくまでも「補助する」という性格を持つ経費であって、義務的経費として国が責任を持って負担するという性格のものではないという点です。

 具体的には、小中学校の増改築事業のための国庫補助金や、校舎の耐震のための補強事業に対する国庫補助金などが該当します。

 「国庫委託金」とは、本来国が行うべき事務を、事務処理の効率化や国民の利便性の確保の観点から、地方自治体に委任して行う事務のための費用のことです。この事務処理に要する経費は、人件費も含め、すべて「国庫支出金」で賄わなければならないこととされています。このための費用を、「国庫委託金」といいます。

 具体的には、国民年金事務のための費用としての国庫委託金、国が使用するための統計・調査などの委託金、国会議員の選挙・最高裁判所裁判官の国民審査・国民投票に要する経費、健康保険や厚生年金保険・国民年金等の事務に要する費用、特別児童扶養手当に要する経費などがあります。

税の配分

地方交付税 国が使途を特定せずに地方公共団体に交付するもの
地方交付税の財源 所得税、法人税、酒税、消費税、地方法人税に一定割合を乗じた額
国庫支出金 国が使途を特定して地方公共団体に支給するもの
「国庫負担金」「国庫補助金」「国庫委託金」がある
国庫負担金 国と地方公共団体が共同で行う事務に対して国が義務的に支払う負担金
国庫補助金 国が地方公共団体を援助するために交付する補助金
国庫委託金 国から地方公共団体に委託する事務に要する経費の全額を負担する委託金




困窮者・低所得者施策の財源

 国庫負担金で代表的なものは、「生活保護」に要する費用の国庫負担で、負担割合は、国が4分の3、実施機関が4分の1になっています。生活保護施設も同じ割合です。また、生活困窮者自立支援制度の必須事業である「自立相談支援事業」「住居確保給付金」についても、生活保護に要する費用と同様、国庫負担4分の3、実施機関が4分の1の負担になります。

 生活困窮者自立支援制度の努力義務事業である「就労準備支援事業」と任意事業である「一時生活支援事業」については、国が3分の2の「国庫補助」、実施主体が3分の1の支出になります。これらは、「国庫補助」であり、「国庫負担」ではないことに注意しておきましょう。

 生活困窮者自立支援制度の努力義務事業である「家計改善支援事業」と、任意事業である「子どもの学習・生活支援事業」については、「国庫補助」が2分の1、実施主体が2分の1となります。ただし、「家計改善支援事業」は、「自立相談支援事業」と「就労準備支援事業」を一体的に行う場合は、「国庫補助」が3分の2になります。

障害者施策の財源

 障害者総合支援法に基づく、「障害福祉サービス」に要する費用については、国庫負担が2分の1になります。「地域生活支援事業」に要する費用については、国は、「2分の1以内を補助できる」とされており、義務的経費としての「国庫負担」ではなく、任意的経費である「国庫補助」であることに気を付けておきましょう。

 身体障害者手帳交付措置費用については、「国庫負担」「国庫補助」は一切ありません。すべて都道府県の一般財源で賄うことになっています。これは、身体障害者手帳交付措置事務は、自治事務となっているからです。




児童・家庭福祉の財源

 婦人相談所の一時保護に要する費用、児童相談所の一時保護に要する費用、児童養護施設及び里親の措置費、母子生活支援施設の費用については、国庫負担が2分の1になります。

 保育に要する費用は、私立保育所、認定子ども園、地域型保育給付については、国庫負担が2分の1、都道府県4分の1、市町村4分の1になります。公立保育所については、全額市町村負担となっています。

高齢者施策の財源

 養護老人ホーム入所のための措置費は、国及び都道府県の負担はありません。すべて市町村の負担となっています。これは、養護老人ホームの入所措置事務は、自治事務になっているからです。

 介護保険法に基づく介護給付費のうち、居宅サービスと介護予防・日常生活支援総合事業に係る費用については、国は25%が国庫負担となっており、このうち5%は、調整交付金となっています。施設サービス費は、国は、20%の国庫負担となっています。

生活保護費 国庫負担4分の3、実施機関4分の1
生活困窮者自立支援制度 自立相談支援事業、住居確保給付金:国庫負担4分の3
就労準備支援事業、一時生活支援事業:国庫補助3分の2
家計改善支援事業、子どもの学習・生活支援事業:国庫補助2分の1
※家計改善支援事業は自立相談支援事業と就労準備支援事業を一体的に行う場合は国庫補助3分の2
障害福祉サービス費 国庫負担国2分の1
地域生活支援事業 国庫補助2分の1以内
身体障害者手帳交付措置費用 国庫負担と国庫補助はない
都道府県の一般財源
婦人相談所・児童相談所の一時保護、児童養護施設・里親 国庫負担2分の1、都道府県2分の1
母子生活支援施設 国庫負担2分の1
保育に要する費用 国庫負担2分の1、都道府県4分の1、市町村4分の1
養護老人ホーム入所措置費 国・都道府県の負担はない
すべて市町村の負担
介護サービス費 居宅サービス・総合事業:国庫負担25%
施設サービス:国庫負担20%

 いかがでしたか。福祉行政における市町村と都道府県の役割、福祉計画についてもよく学習しておきましょう。次回は「社会保障」を取り上げます。では、第23回の精神保健福祉士の国家試験問題から今回の課題を上げておきますので、チャレンジしてみてください。

第23回 精神保健福祉士試験 「福祉行財政と福祉計画」

問題 43 福祉の財源に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 生活困窮者自立支援法に基づき、生活困窮者家計改善支援事業の費用には国庫負担金が含まれる。
  • 2 生活保護法に基づき、保護費には国庫補助金が含まれる。
  • 3 介護保険法に基づき、介護給付費には国庫負担金が含まれる。
  • 4 身体障害者福祉法に基づき、身体障害者手帳の交付措置の費用には国庫補助金が含まれる。
  • 5 「障害者総合支援法」に基づき、地域生活支援事業の費用には国庫負担金が含まれる。

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※専門科目のみ