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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第10回 「人体の構造と機能及び疾病」

皆さんこんにちは。今回からいよいよ共通科目に入っていきます。共通科目は科目数が多く苦手な方が多いかもしれませんね。一科目ずつ丁寧に学習していきましょう。

 共通科目は、「知識の絶対量」を求められる科目と、内容に関する「理解」が求められる科目に分類されます。今回取り上げる「人体の構造と機能及び疾病」は、人体の仕組みと働きや疾病に関しての「知識の絶対量」が求められる科目です。「基礎的な知識の絶対量」を確実に積み上げていくことで、合格圏に達することが可能な科目です。ただ、範囲が広く正確な知識を求められますから、丁寧に学習していきましょう。では、最初に前回の課題の解説をしておきます。

第23回 精神保健福祉士国家試験 「精神障害者の生活支援システム」

問題 74 次の記述のうち、「障害者雇用促進法」に基づく職場適応援助者(ジョブコーチ)に関する説明として、適切なもの2つ選びなさい。

  • 1 職業リハビリテーションに関して研究する。
  • 2 円滑な就職と職場適応ができるよう、障害者と事業所の双方を支援する。
  • 3 就業面の支援に併せて、体調や生活のリズムの管理に関する支援を行う。
  • 4 対象となる障害者が、正式に就職してから支援を開始する。
  • 5 障害者雇用率未達成の事業主に対して指導する。
正答2、3

解答解説

  • 1 × 職業リハビリテーションに関して研究する機関は、障害者職業総合センターです。「障害者職業総合センター」は、現在全国に1か所だけ設置されており、職業リハビリテーションに関する調査・研究、障害者の雇用に関する情報の収集・分析・提供、障害者職業カウンセラーや職場適応援助者の養成・研修、広域障害者職業センター、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなどの関係機関に対して、職業リハビリテーションに関する技術的事項についての助言・指導等の援助などを中心的な業務として行っています。
  • 2 〇 職場適応援助者(ジョブコーチ)は、障害者と事業主に対して、雇用の前後を通じて、障害特性を踏まえた直接的、専門的な援助を実施し、仕事を覚えるための支援や職場内での人間関係に関する支援など、職場へのスムーズな適応・定着を目指す支援を実施しています。
  • 3 〇 職場適応援助者(ジョブコーチ)は、障害者に対して、作業遂行力の向上支援、職場内コミュニケーション能力の向上支援だけでなく、健康管理、生活リズムの構築支援など、体調や生活のリズムの管理に関する支援を実施します。
  • 4 × 職場適応援助者(ジョブコーチ)は、対象となる障害者が正式に就職する前から、必要に応じて支援を行います。雇用前に、対象障害者に適切な職務内容であるかどうかを見きわめたり、職場環境に慣れるために必要な場合等には、就職前から支援を実施したりします。
  • 5 × 障害者雇用率未達成の事業主に対して指導を行うのは、公共職業安定所(ハローワーク)です。公共職業安定所は、障害者雇用率未達成の事業主に対して、必要に応じて「障害者の雇入れに関する計画」の作成を命じます。また、作成された計画の内容が著しく不適当な場合には、その変更を勧告し、計画の実施を怠っている場合等には、計画の適正な実施を勧告することができます。この「雇入れ計画に対する勧告」に従わない事業主については、厚生労働大臣は企業名を公表することができることになっています。

 いかがでしたか。「精神障害者の生活支援システム」では、このほかにも精神障害者の具体的な生活を支える法制度やサービスに関する出題が多いので、居住支援と就労支援関係を中心に、他の分野もよく学習しておきましょう。

 では今回は、「人体の構造と機能及び疾病」について、出題基準をもとに過去問を分析して出題傾向を把握し、頻出分野に焦点をあてて対策を立てていきます。

人の成長・発達

 人の成長と発達の分野は、「身体の成長・発達」という分野と、「精神の成長・発達」という分野に分かれます。身体の標準的な発達に関して、胎児から乳児、幼児、児童への身体の成長の発達過程を学習しておきましょう。精神の発達に関しては、乳幼児期の言語や認知機能の発達、精神の発達とその障害、発達段階と障害の発症時期の関係等を学習しておきましょう。

 老化に伴う心身の変化や、高齢者に多い疾患やその病態の特徴については、頻出分野です。加齢による身体の変化及び疾病については、基礎的な知識を整理して把握しておきましょう。
 第23回では、人の成長と老化を組み合わせた出題がありました。今回は後ほど、この分野を取り上げて解説していきます。

心身機能と身体構造の概要

 人体部位の名称と、各器官の構造と機能については頻出で、近年詳細な内容が出題される傾向にあります。副交感神経の役割、脳幹の構造、大脳の部位の働き、脊髄神経、三半規管の位置、心臓の仕組み、人体の部位と疾病、病態との関連性等が出題されています。第23回では、心臓と血管の構造と機能に関して詳細に出題されました。

 骨格・筋肉系、心臓や血液等の循環器系、気管支や肺等の呼吸器系、嚥下、食道、胃、小腸、大腸、肝臓等の消化器系、大脳、小脳、脳幹、脊髄、自律神経などの神経系、腎臓などの泌尿器系、腎臓や下垂体、膵臓等の内分泌系、目や耳などの感覚器系、免疫系などの仕組みと働きについても、丁寧に学習しておきましょう。

 身体の仕組みと働きが障害されると、どのような疾病が起こるかということと関連付けながら学習していくと、理解が深まります。具体的な疾病を念頭に置きながら、身体の各器官の構造と機能を学習しておくことをおすすめします。

国際生活機能分類(ICF)の基本的考え方と概要

 この分野からは、第22回、第21回と連続して出題されています。生活機能の構成要素、活動と参加の違い、背景因子としての個人因子と環境因子、促進因子と阻害因子、能力障害と参加制約の違いなど、障害者に対する支援には欠かすことのできない視点であるため、共通科目の「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」や専門科目の「精神障害者の生活支援システム」でも科目を超えて出題されていますので、十分に学習しておきましょう。

健康の捉え方

 健康の概念として、WHO憲章における健康の定義、アルマ・アタ宣言、オタワ憲章は頻出です。それぞれの内容を、しっかり整理しておきましょう。

 わが国の健康施策として、健康日本21(第二次)の内容、健康寿命の定義、一次予防、二次予防、三次予防の意味、死亡原因疾患等も出題実績がありますので気をつけておきましょう。

 第23回ではこの分野から、WHOによる健康の定義、健康日本21の一次予防重視の考え方、健康増進法の内容、健康寿命の定義が出題されました。

疾病と障害の概要

 疾病の概要としては、悪性腫瘍、生活習慣病、感染症、神経・精神疾患、先天性・精神疾患、難病等が挙げられています。生活習慣病と精神疾患は、出題率が高い分野です。
 高血圧、高齢による脱水、老人性難聴、腎機能・甲状腺機能の低下、褥瘡、味覚障害、生活習慣病、感染症等が出題されています。高齢者がかかりやすい疾病について整理しておきましょう。第23回では、がん(悪性新生物)に関する出題がありました。

 障害の概要としては、視覚障害、平衡機能障害、肢体不自由、内部障害、知的障害、発達障害、認知症、高次脳機能障害、精神障害、遂行機能障害、聴覚障害の原因、脳性麻痺、糖尿病の合併症が出題されています。認知症、肢体不自由の原因疾患等についても出題されていますので、よく学習しておきましょう。
 第23回では、内部障害、指定難病患者、外傷性脳損傷、高次脳機能障害、身体障害者手帳に関する出題がありました。

 精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)の概要については、分類概念を理解した上で、代表的な統合失調症やうつ病の症状及び診断基準、そう病相、不安障害、解離性障害、摂食障害等を理解しておいてください。第23回では、自閉症スペクトラム症の症状に関して出題されています。

リハビリテーションの概要

 この分野からは、リハビリテーションの定義、目的、対象、方法等が出題されています。急性期リハビリテーション、回復期リハビリテーション、維持期リハビリテーションのそれぞれの段階と目標と内容、また包括的リハビリテーションの概念と対象と具体例を学習しておきましょう。
 第23回では、リハビリテーションの4側面(医学的・教育的・職業的・社会的)、急性期リハビリテーション、リハビリテーションの代償的・適応的アプローチ、予防的アプローチなどが出題されています。

 また、今までに理学療法と作業療法それぞれの役割、リハビリテーション医学の予防的視点、リハビリテーションの対象、包括的リハビリテーションの内容、廃用症候群予防等が出題されています。理学療法と作業療法の違い、リハビリテーションの予防的役割、リハビリテーションの定義や内容、具体的介入時期と介入方法等を整理しておきましょう。

 では、今回は身体の成長と発達及び老化による身体の変化について取り上げていきます。

出生までの期間

 受精から出生までの期間は、大きく分けて、「胎芽期」と「胎児期」に分類されます。一般的に、受精後8週未満を「胎芽期」、8週目から出生までを「胎児期」と呼びます。

胎芽期

 「胎芽期」は、循環器系、呼吸器系、消化器系、神経系などの、人の基本的生理機能をつかさどる各臓器が形成される時期で、「器官形成期」とも呼ばれます。この「器官形成期」は、薬剤、放射線、ウイルス感染、喫煙、飲酒などの、外部からの刺激が器官の形成に大きな影響を及ぼすため、催奇形因子の影響を受けやすく、さまざまな外的刺激により形態異常や機能障害を引き起こす可能性の高い時期です。妊娠初期の胚の大きさは0.2mmほどで、胎齢8週には約3cmになり、頭部は身長の2分の1になります。

胎児期

 受精後8週目から出生までの時期を、「胎児期」と呼びます。この時期は、胎生12週頃から性の判別が可能となり、胎生4~5か月には母親が胎動を感じ原始反射がみられるようになります。原始反射は、出生後6か月頃には消失します。胎生10か月以降は、体長は約50cm、体重は約3kgになります。

胎芽期
(器官形成期)
人の基本的生理機能の器官の形成期で受精後8週目まで
器官形成期は、薬剤、放射線、ウイルス感染などの影響を受けやすい
胎児期 受精後8週目以降出生まで

スキャモンの発育曲線

 アメリカの医学者であり人類学者であるスキャモンは、子どもの誕生から成熟までの発育の状態を、20歳の発育量を100として、4つの成長因子によって、「一般型」「神経系型」「リンパ系型」「生殖器系型」に分類し、発育曲線として示しました。

一般型

 「一般型」は、「全身系型」とも呼ばれ、筋肉、骨、心臓、呼吸器、消化器等の、全身を構成する構成要素が身長や体重として現れる成長のパターンです。身長や体重は、生育直後から4、5歳頃までに大きく成長し、その後なだらかに移行して、再び14歳頃の思春期に大きく成長するという、緩やかなS字カーブを描きます。

神経系型

 「神経系型」は、脳や脊髄、感覚器の成長のパターンです。出産直後から4歳頃までに成人の約9割程度まで急激に発達し、その後はなだらかなカーブを描いて成長します。

 「神経系型」の成長は、脳の重量が端的に示しています。出生時の脳の重量は約300gで、生後6か月で約2倍の600g、1年で約3倍の900gになり、4歳頃には、成人の重量の約9割程度になるといわれています。また脳重量の発達だけではなく、この時期は脳の神経回路の形成が行われており、この神経系の発達の経過には、乳幼児期の経験が、感覚機能、認知、情緒などの発達に大きな影響を与えるといわれています。

リンパ系型

 「リンパ系型」は、胸腺や扁桃、リンパ組織などの免疫機能の成長パターンです。リンパ系の機能は、出生後から12歳頃までに急激に発達し、成人レベルを超えてピークを迎えます。その後、思春期が過ぎると徐々に大人のレベルにまで戻るという成長曲線をたどります。思春期頃は、最も免疫力が高く回復力も高い時期で、その後は次第に免疫力が落ちてきます。

生殖器系型

 「生殖器系型」は、精巣、卵巣、前立腺などの生殖機能の成長パターンです。生殖器系は、成長ホルモンや性ホルモンの分泌や、生殖器の成長にかかわるもので、出生後から思春期まではなだらかに成長し、14歳以降の思春期に急激に上昇していきます。

 性別を決定する基本要素で生殖器だけにみられる生物学的性差を「第一次性徴」といいますが、思春期に生殖器以外の身体の各部分にみられる男女の特徴のことは、「第二次性徴」といいます。

スキャモンの発達曲線

一般型(全身系型) 身長、体重、心臓、筋肉等の成長。緩やかなS字カーブ
神経系型 脳、脊髄、感覚器官。4歳頃まで急激に成長
生殖器系型 成長ホルモンが関与。思春期以降急激に発達
リンパ系型 扁桃腺、リンパ節等。12歳頃にピーク、その後は下降
第一次性徴 生殖器だけにみられる生物学的性差
第二次性徴 思春期に生殖器以外の身体の各部分にみられる男女の特徴

成長の速度

 次に、身体の成長の速度についてみていきましょう。頭部の発達の速度をみると、胎芽期は頭部が身体の2分の1で、出生期には4分の1になり、成人になると、約7分の1になります。

 身長は、出生時が約50cmで、3~4歳でその2倍の1mになり、成人になると、出生時の約3倍の1.5~1.7mになります。体重は、出生時が約3㎏で、生後3~4か月で出生時の2倍の6㎏になり、成人で出生時の約20倍の60~70㎏になります。身長は3~4歳で2倍、体重は3~4か月で2倍と、覚えるとよいでしょう。

 歯については、乳歯は生後6~7か月頃に生え始め、1歳頃8本前後になり、3歳までに20本生えそろい、6歳頃には永久歯に生え代わり、最終的には32本になります。

 頭蓋骨については、出生時に胎児は産道を通るため、頭蓋骨は重なり合って産道を通過するようになっています。そのため、新生児の頭蓋骨は、完全にふさがっておらず、「小泉門」と呼ばれる後頭骨と頭頂骨との間の隙間は、出生後3~6か月頃までに閉鎖します。「大泉門」と呼ばれる前頭骨と側頭骨との間の隙間は、出生後1歳半~2歳頃にまでには閉鎖します。

 言語については、3~5か月で喃語がみられ、約1歳で意味を持つ1語文を発するようになり、2歳で2語文が言えるようになります。小学校入学までに、語彙は5000~1万語ほど獲得します。

頭部と身体のバランス 胎芽期2頭身、出生期4頭身、成人7頭身
身長 3~4歳で出生時の2倍、成人で約3倍
体重 3~4か月で出生時の2倍、成人で約20倍
乳歯が生後6~7か月頃に生え始め、3歳までに20本そろい、6歳頃永久歯に生え代わる
小泉門 生後3~6か月で閉鎖
大泉門 生後1歳半~2歳で閉鎖
言語 3~5か月で喃語。約1歳で1語文。2歳で2語文。

標準的な成長と発達の状態

 標準的な成長と発達についてみてみると、個人差はありますが、一般的に乳児の首がすわるのは生後約3~5か月で、腹臥位にすると頭を持ち上げることができるようになるのは、生後約4~5か月、寝返りができるようになるのは生後約6~7か月、座位保持は生後約9~10か月、つかまり立ちは生後約11~12か月、ひとり歩きは生後約1歳3か月~4か月頃です。これは、あくまでも標準的な成長過程ですので、個人差が大きいということを理解しておきましょう。

首がすわる 生後約3~5か月
腹臥位にすると頭を持ち上げる 生後約4~5か月
寝返り 生後約6~7か月
一人座り(座位保持) 生後約9~10か月
つかまり立ち 生後約11~12か月
ひとり歩き 生後約1歳3か月~4か月

老化による身体の特徴

 最後に老化について取り上げます。高齢になると、身体に老化による変化が表れてきます。聴力については、老化により高音域から障害され、感音性難聴(高音域の障害)になりやすいという特徴があります。

 視力については、水晶体の混濁による「白内障」、水晶体の弾力性の低下による「老眼」、眼圧の上昇等による視神経の圧迫によって視野狭窄や眼痛を引き起こす「緑内障」を発症しやすくなります。

 味覚については、味覚感受性が低くなるため、味覚閾値が上昇します。また、食欲が減退し消化力も衰えるため、亜鉛不足になりやすく味覚が低下します。嚥下機能については、咀嚼した食物が気管支に入らないように食道との境を閉鎖する「喉頭蓋」の閉鎖力が低下し、誤嚥を起こしやすくなります。

 体液については、老化によって細胞数が減少するため、細胞内液が減少し、体液量は身体全体の約50%になります。一般的に、乳児の体液量は身体全体の70~80%といわれており、成人になると約60%になりますが、老化により、体液量は身体全体の約50%になります。

 高齢になると渇中枢機能が低下するため水分摂取量が減少し、皮膚の乾燥や脱水症状、それに伴う意識障害を起こしやすくなります。高血圧の治療薬である降圧利尿薬の服用は、脱水の原因になり、脱水は頻脈を引き起こします。

聴力低下 高音域から低下
視力 白内障、老眼、緑内障
味覚 味覚感受性の低下や亜鉛不足による味覚低下
嚥下機能 喉頭蓋の閉鎖力が低下。誤嚥を起こしやすい
脱水 皮膚の乾燥や脱水症状、意識障害、頻脈

脂肪と筋肉・骨

 老化により、エネルギーの基礎代謝能力が低下するため、脂肪が蓄積されやすくなり、筋肉量や骨量は減少します。身体の中で、脂肪を除いた骨や筋肉の部分を「除脂肪体重」といいます。老化により、脂肪は増加し、除脂肪体重は減少します。

 骨については、骨粗鬆症によって骨密度は低下し骨折しやすくなります。特に女性は、エストロゲンの減少により、脊椎圧迫骨折や大腿骨頚部骨折などを起こしやすくなります。

内臓機能の変化

 内臓の中で、「腎臓」と「肺」は、老化の影響を受けやすい代表的な臓器です。
 「腎臓」は、老化による糸球体の喪失により、腎血流量の低下、糸球体ろ過率の低下、尿の濃縮力の低下を引き起こし、低比重の尿のため頻尿になります。また、ろ過率の低下により血液の中の老廃物である血中クレアチニン値が上昇します。

 「肺」は、老化により肺胞数が減少し、肺の弾性の低下、肺活量の低下、残気量の増大を招きます。老化によって慢性閉塞性肺疾患が増え、必要な場合は在宅酸素療法を導入することになります。

 「心臓」は、老化によって収縮力が低下し、心臓壁のうち、主に左心室壁が厚くなり、心臓が肥大します。また、冠状動脈が硬化し、狭心症や心筋梗塞を引き起こしやすくなります。身体の血液循環を行っている血管壁も老化によって固くなり、収縮期血圧(最高血圧)が上昇します。その結果、収縮期血圧と拡張期血圧の差が拡大していきます。

虚弱化

 老化により、予備機能の低下した虚弱な状態が引き起こされます。食欲低下などによる体重量の減少、疲れやすさの自覚、活動量の低下、歩行速度の低下、筋力の低下、認知機能障害、精神心理的課題等、老化によって身体的・精神的に虚弱になる状態を「フレイル」といいます。

 「フレイル」の中で、骨や関節、筋肉などの運動器の衰えによって、日常生活の自立度が低下することを「ロコモティブシンドローム」といいます。「ロコモティブ」とは、「移動する能力」とか「自立する能力」という意味があります。

 この「ロコモティブシンドローム」を引き起こす要因の一つに、「サルコペニア」があります。「サルコ」とは、「筋肉」という意味で、「ペニア」は、喪失という意味があり、「サルコペニア」は、「筋肉の喪失」すなわち、筋肉量が少なくなる状態を意味します。

脂肪 基礎代謝力の低下により増加
除脂肪体重 筋肉量・骨量等の減少
骨粗鬆症による骨密度の低下。女性に多い(エストロゲンの減少)
腎臓 糸球体の喪失、腎血流量の低下、糸球体ろ過率の低下等
肺の弾性低下、肺胞数の減少、肺活量の低下と残気量の増大
心臓 心臓肥大と冠状動脈硬化
血圧 収縮期血圧(最高血圧)の上昇
フレイル 高齢化に伴う予備機能の低下した虚弱な状態
ロコモティブシンドローム 運動器(骨・関節・筋肉)の衰えによる自立度の低下
サルコペニア 筋肉の喪失

 いかがでしたか。次回は「心理学理論と心理的支援」を取り上げます。では、第23回の精神保健福祉士国家試験から今回の課題を上げておきますので、チャレンジしてみてください。

第23回 精神保健福祉士国家試験 「人体の構造と機能と疾病」

問題 1 人の成長と老化に関する次の記述のうち、最も適切なもの1つ選びなさい。

  • 1 生後2か月では、寝返りが打てる。
  • 2 思春期には、第一次性徴が出現する。
  • 3 青年期の終わりは、身体の成長が最も著しい時期である。
  • 4 20歳頃には、生殖器系の成長が最も著しくなる。
  • 5 老年期には、収縮期血圧が上昇する。

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※専門科目のみ