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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第4回 「精神保健の課題と支援」

 皆さまこんにちは。新年度を迎え早くも1か月が過ぎました。新型コロナウイルス感染症の影響で厳しい毎日が続いています。精神的にも落ち着かない日々を送っておられることと思いますが、1日も早い収束を願いつつ、「今できること」の最善を尽くしてまいりましょう。

 今回は、「精神保健の課題と支援」を取り上げていきます。現代社会は精神保健福祉の課題が山積しています。この科目は、社会生活における精神保健に関するあらゆる分野の課題を対象としています。そのため範囲が広く学習が大変かもしれませんが、近年の出題傾向をみると、一定の基礎的知識で解答を導き出せるものが多くみられます。

 出題範囲を着実に学習し、基本的な知識をしっかりと身につけておけば合格に必要な点は十分とれます。さまざまな社会情勢にアンテナをはりめぐらせて、精神保健に関する情報に注意していきましょう。

 では、最初に前回の課題の解説をしていきます。

第23回 「精神疾患とその治療」

問題 5 次の記述のうち、注意欠如・多動症(ADHD)の不注意の症状として、正しいもの2つ選びなさい。

  • 1 しゃべりすぎる。
  • 2 日々の活動で忘れっぽい。
  • 3 自分の順番を待つことが困難である。
  • 4 課題や活動を順序立てることが困難である。
  • 5 不適切な状況で走り回ったり高い所へ登ったりする。
正答2、4

解答解説

  • 1 × しゃべりすぎるのは、不注意の症状ではなく、多動性の症状に該当する。思ったことをすぐに口にしたり、相手が話の途中であるのに話始めたりしてしまうという特徴がある。
  • 2 〇 子どもの場合は、学校で忘れ物が多かったり、学校から親に渡す書類を渡し忘れたりすることなどが多い。大人の場合は、日用品などをすぐになくしたり、仕事での約束を忘れたりしやすいという傾向がある。
  • 3 × 順番を待てないのは、不注意の症状ではなく、多動性・衝動性の症状に該当する。思いついたことを、状況を考えずに実行する、いらいらして順番が待てない、他人の邪魔をするなどの症状がある。
  • 4 〇 不注意の症状として、勉強や仕事中に不注意による間違いが多い、課題や遊びの活動中に注意を持続することができない、話しかけると聞いていないようにみえる、指示に従えず業務をやり遂げることができない、精神的努力の持続を要する課題を避ける、ものごとをいやいや行う、他の刺激で気が散りやすいなどがある。
  • 5 × 不適切な状況で走り回ったり高い所へ登ったりするのは、不注意の症状ではなく、多動性の症状である。多動性の症状として、手足をそわそわ動かしたり椅子の上でもじもじしたりする、授業中に席を離れる、静かに遊べない、まるでエンジンで動かされているように行動する、他人の邪魔をするなどの行動がみられる。

 いかがでしたか。では、今回の「精神保健の課題と支援」について、出題基準と過去の出題傾向を分析しながら、出題率の高い分野を中心に対策を立てていきます。今回は後ほど、アルコール健康障害対策基本法とアルコール施策関連法について取り上げていきます。

精神の健康と、精神の健康に関連する要因及び精神保健の概要

 「社会構造の変化と新しい健康観」の分野からは、「健康の定義」として、ICFの概念が出題されています。アルマ・アタ宣言のプライマリ・ヘルスケアやオタワ憲章のヘルスプロモーションの概念等が出題されていますので、それぞれの内容を押さえておきましょう。

 「ライフサイクルと精神の健康」の分野からは、「発達課題」として、注意欠陥多動性障害、エリクソン、ピアジェの発達理論やゲゼルの成熟優位説、ボウルビィの愛着(アタッチメント)理論等が出題されています。共通科目の「心理学理論と心理的支援」と重なる内容ですから、並行して学習しておくとよいでしょう。

 「ストレスと精神の健康」からは、燃え尽き症候群(バーンアウト)、ストレスコーピング、心的外傷後ストレス障害等の出題実績があります。

 「予防の考え方」からは、第23回で カプランの予防精神医学が出題されました。一次予防、二次予防、三次予防の意味、危機介入等について理解を深めておきましょう。

 「自殺予防」については、自殺対策基本法とその改正内容が出題されていますので、新たな自殺総合対策大綱や自殺の実態等も把握しておきましょう。
 第23回では、自殺対策として三次予防としてのポストベンションに関する出題がありました。一次予防としてのプリベンション、二次予防としてのインターベンションなどについても整理しておきましょう。

精神保健の視点から見た家族の課題とアプローチ

 この分野からは家族の課題として、ドメスティック・バイオレンス、マタニティブルーズと産後うつ、子育て不安と児童虐待などが、繰り返し出題されています。介護負担と高齢者虐待、ひきこもり、がん患者支援、グリーフケア等についてもよく学習しておきましょう。第23回では、児童虐待防止法に関する出題がありました。

 また、これらの諸課題を支援する機関として、要保護児童対策地域協議会、配偶者暴力相談支援センター、ひきこもり地域支援センター、地域包括支援センター、児童家庭支援センター、発達障害者支援センター等の関連機関が出題されています。それぞれの機関の法的位置付けと役割を把握しておきましょう。

精神保健の視点から見た学校教育の課題とアプローチ

 「現代日本の学校教育と生徒児童の特徴」の分野からは、いじめ防止対策推進法が出題されています。いじめや不登校、校内暴力、自殺、非行等について、文部科学省が実施している「児童生徒の問題行動等指導上の諸問題に関する調査」の結果等を文部科学省のホームページで確認しておきましょう。また、いじめや不登校については、それぞれの定義も正確に理解しておきましょう。
 第23回では、学校における性行不良児童に関する学校教育法における規定が出題されています。

 「教員の精神保健」「関与する専門職と関係法規」からは、「公立学校教職員の人事行政状況調査」(文部科学省)が出題されています。教師のバーンアウトや精神疾患による休職の実態、学校保健安全法などの内容を確認しておきましょう。

 いじめや不登校、貧困などが複雑に絡み合っている、学校現場における児童の諸課題に対して、スクールソーシャルワーカーの役割の重要性が増してきています。スクールソーシャルワーカー活用事業実施要領(平成25年4月1日付:初等中等教育局長決定)等にも目を通して、スクールソーシャルワーカーの位置付け、役割等について、具体的な事例問題にも対応ができるようにしておきましょう。

精神保健の視点から見た勤労者の課題とアプローチ

 この分野はきわめて出題率が高く、ストレスチェック制度、労働者の精神保健の現状と職場のメンタルヘルスが出題されています。非正規職員の増加と正規職員の過重労働、職場におけるうつ病の増加や過労死など、長期休業や自殺との関連において職場でのメンタルヘルス対策が急務となっていますので、今後も出題の可能性は高いと思われます。

 労働安全衛生法やストレスチェック制度、過労死等防止対策推進法、労働者の職場復帰支援としてのリワークプログラム、男女雇用機会均等法などの関連法規の内容をよく学習しておきましょう。また「心理的負荷による精神障害の認定基準(精神障害者の労災認定基準)」「事業場における労働者の心の健康の保持増進のための指針(メンタルヘルス指針)」「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」等にも目を通しておきましょう。

 ギャンブル等依存症対策として、「ギャンブル等依存症対策基本法」が出題されています。総合型リゾート(IR)整備推進法(通称カジノ法)が成立しギャンブル依存症の増加が懸念されるため、この法律が制定されました。ギャンブル等依存症の定義、国や地方公共団体の責務、関係事業者の責務、啓発週間等について、確認しておきましょう。

精神保健の視点から見た現代社会の課題とアプローチ

 災害関係では、災害対策基本法における施策と被災者の精神的な外傷への対応を押さえておきましょう。災害派遣精神医療チーム(DPAT)、サイコロジカル・ファーストエイド(PFA)、二次受傷などが出題されています。

 犯罪被害者への支援については、犯罪被害者等基本法などの被害者への支援体制施策をよく理解しておきましょう。「犯罪被害者に対する急性期心理社会支援ガイドライン」にも目を通しておくとよいでしょう。

 現代社会の課題としてのニートや貧困問題、フリーター、ホームレスの実態については、全国調査の結果等を確認しておきましょう。また、ホームレス自立支援法におけるホームレスの定義やホームレス対策、ホームレスの実態についても理解しておきましょう。

 性同一性障害については、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が出題されています。「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」と併せて目を通してきましょう。

精神保健に関する対策と精神保健福祉士の役割

 この分野では、アルコール患者の実態と特徴、うつ病や自殺との関連、WHO(世界保健機構)におけるアルコール対策、健康日本21(第2次)などの日本のアルコール施策について学習しておきましょう。また、「アルコール健康障害対策基集団認知行動療法本法」における、アルコール健康障害の定義や基本計画策定等についての規定を整理しておきましょう。後ほどこの分野を取り上げて解説していきます。

 薬物依存対策としては、2018(平成30)年8月に新たに策定された第五次薬物乱用防止五か年戦略の要点や、ダルク等の薬物依存症当事者活動について理解を深めておきましょう。精神作用物質の乱用対策、薬物使用者への援助としてプログラム、ハームリダクション等が出題されています。麻薬及び向精神薬取締法、覚醒剤取締法なども含めて薬物対策を押さえておきたいものです。

 認知症高齢者施策については、認知症疾患医療センター、認知症地域支援推進員、認知症サポーターキャラバン、認知症サポート医、認知症地域支援施策推進事業などについて整理しておくとよいでしょう。

 社会的ひきこもり対策としては、ひきこもり地域支援センターの設置と役割、配置職員、利用対象、利用方法等について、「ひきこもり対策推進事業実施要綱」で確認しておきましょう。「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」やひきこもりの定義と実態、地域若者サポートステーション等についても確認しておきましょう。

 精神保健福祉士の役割としては、依存症対策における精神保健福祉士の支援のあり方が出題されています。依存症患者の特質の理解と、ソーシャルワーカーの視点に立った支援のあり方を習得しておきましょう。

地域精神保健に関する諸活動と精神保健に関する偏見・差別等の課題

 この分野からは、関連法規として障害者総合支援法、地域保健法、医療法、精神保健福祉法、医療観察法が出題されています。学校保健安全法、母子保健法等も含めて、地域精神保健と関連各法について理解しておきましょう。

 精神保健に関する調査については、患者調査、自殺統計、国民生活基礎調査等の調査統計から、精神保健医療状況や精神疾患に関する動向が出題されています。報告書等を活用して確認しておきましょう。偏見・差別等の課題としては、施設コンフリクトに対する精神保健福祉士としてのかかわり方等が出題されています。

精神保健に関する専門職種(保健師等)と国、都道府県、市町村、団体等の役割及び連携

 この分野からは、保健所、精神保健福祉センター、市町村保健センター、福祉事務所、家庭裁判所が出題されています。精神保健に関する行政や関連機関のそれぞれの役割や、精神保健福祉法、地域保健法、保健師助産師看護師法における規定等に目を通しておきましょう。第23回では、精神保健福祉センターの業務が出題されています。

 「学会や啓発団体」については、精神保健福祉活動を行っている民間団体の創設の経緯が出題されています。精神病者慈善救治会、いのちの電話、全日本断酒連盟、全国精神障害者団体連合会、全国精神保健福祉連絡協議会や、セルフヘルプグループとしての当事者組織や家族会などについても、整理しておきましょう。

諸外国の精神保健活動の現状及び対策

 世界の精神保健の実情として、DALY(障害調整生存年)、メンタルヘルスアクションプラン2013-2020、mhGAP(精神保健ギャップ・アクション・プログラム)、DSM、ヘルシーピープル2010等が出題されています。国際的な精神保健施策やWHO等が進めている諸施策等を理解しておきたいものです。
 第23回では、WHOによるメンタルヘルスアクションプラン 2013-2020の原則が出題されました。

 以上、この科目の全体を概観してきましたが、今回は、アルコール健康障害対策基本法をはじめとするアルコール関連法について取り上げて解説していきます。

アルコール健康障害対策基本法

 この法律は、アルコール健康障害の発生、進行及び再発の防止、アルコール健康障害を有する者等に対する支援の充実を図ることを目的に制定されました。この法律では「アルコール健康障害」を、「アルコール依存症その他の多量の飲酒、未成年者の飲酒、妊婦の飲酒等の不適切な飲酒の影響による心身の健康障害」と定義しています。

基本理念

 基本理念として、1つ目に、アルコール健康障害の発生、進行、再発の各段階に応じた防止対策を適切に実施し、アルコール健康障害を有し、又は有していた者とその家族が、日常生活及び社会生活を円滑に営むことができるように支援すること、2つ目に、アルコール健康障害対策を実施する際、アルコール健康障害が、飲酒運転、暴力、虐待、自殺等の問題に密接に関連するので、これらの問題に関する施策との有機的な連携が図られるよう必要な配慮がなされるものとすること、の2つを掲げています。

責務

 国の責務として、国は基本理念にのっとり、アルコール健康障害対策を総合的に策定し実施する責務を有するとされています。地方公共団体は基本理念にのっとり、アルコール健康障害対策に関し、国との連携を図りつつ、その地域の状況に応じた施策を策定し実施する責務を有するとされています。

 事業者の責務として、酒類の製造又は販売(飲用に供することを含む)を行う事業者は、国及び地方公共団体が実施するアルコール健康障害対策に協力し、その事業活動を行うに当たって、アルコール健康障害の発生、進行及び再発の防止に配慮することが、努力義務として規定されています。

 国民の責務として、国民は、アルコール関連問題に関する関心と理解を深め、アルコール健康障害の予防に必要な注意を払うよう努めなければならないとしています。
 「アルコール関連問題」とは、「アルコール健康障害及びこれに関連して生ずる飲酒運転、暴力、虐待、自殺等の問題をいう」と定義されています。

 医師等の責務として、医師その他の医療関係者は、国及び地方公共団体が実施するアルコール健康障害対策に協力し、アルコール健康障害の発生、進行及び再発の防止に寄与するよう努めるとともに、アルコール健康障害に係る良質かつ適切な医療を行うよう努めなければならないとしています。

啓発

 国民の間に広くアルコール関連問題に関する関心と理解を深めるため、11月10日から11月16日までを「アルコール関連問題啓発週間」として規定しており、国及び地方公共団体は、アルコール関連問題啓発週間の趣旨にふさわしい事業が実施されるよう努めるものとするとされています。

計画策定

 政府は、アルコール健康障害対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、アルコール健康障害対策の推進に関する基本的な計画である、「アルコール健康障害対策推進基本計画」の策定が義務付けられています。

 都道府県は、アルコール健康障害対策推進基本計画を基本とするとともに、当該都道府県の実情に即したアルコール健康障害対策の推進に関する計画である「都道府県アルコール健康障害対策推進計画」を策定するよう努めなければならないと「努力義務」が規定されています。市町村に関しては計画策定の規定はありませんので、注意しておきましょう。

基本的施策

 基本的施策として、教育、学習の振興、広報活動等を通じた、アルコール関連問題に関する知識の普及、不適切な飲酒の誘引の防止、国と地方公共団体は健康診断・保健指導でアルコール健康障害の発見と飲酒指導等が適切に行われるようにすること、アルコール健康障害に係る医療の充実と関係機関との連携、アルコール健康障害に関連して飲酒運転等をした者に対する指導、助言、支援等が規定されています。

アルコール健康障害の定義 アルコール依存症その他の多量の飲酒、未成年者の飲酒、妊婦の飲酒等の不適切な飲酒の影響による心身の健康障害
基本理念 アルコール健康障害の発生、進行、再発の各段階に応じた防止対策の適切な実施のための支援
飲酒運転、暴力、虐待、自殺等の問題に関する施策との有機的な連携
責務 国、地方公共団体、国民、医師等、事業者、健康増進事業実施者の責務を規定
アルコール関連問題啓発週間 11月10日から11月16日まで
アルコール健康障害対策推進基本計画の策定義務
都道府県 都道府県アルコール健康障害対策推進計画の策定努力義務

酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律

 次に、アルコール対策関連の法律について取り上げます。
 この「酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律」は、「酒に酔っている者」すなわち「酩酊(めいてい)者」の行為の規制と保護によって、過度の飲酒が個人と社会に及ぼす害悪を防止することを目的として制定されています。

 「酩酊者」を「アルコールの影響により正常な行為ができないおそれのある状態にある者」と定義し、国民に対しては「節度ある飲酒」を努力義務として規定しています。

 警察官は、酩酊者が、道路、公園などの公共の場所、又は電車、乗合自動車などの公共の乗物で、粗野又は乱暴な言動をしている場合には、その言動、酔いの程度や周囲の状況等に照らして、本人のため、応急の救護を要すると信ずるに足りる相当の理由があると認められるときは、とりあえず救護施設、警察署等の保護に適当な場所に保護しなければなりません。

 酩酊者が公共の場所又は乗物で公衆に迷惑をかけるような、著しく粗野又は乱暴な言動をしたときは、拘留又は科料に処するとして罰則規定を設けています。また、警察官の制止を受けた者が制止に従わないで公衆に著しい迷惑をかけた場合は、1万円以下の罰金が科せられることになっています。

 警察官は、酩酊者を保護した場合、アルコールの慢性中毒者(精神障害者を除く。)又はその疑いのある者と認めたときは、すみやかに、もよりの保健所長に通報しなければなりません。通報を受けた保健所長は必要なときはその者に医師の診察を受けるようにすすめなければなりません。また、その者が診察や治療を受けるのに生活が困窮している場合は、生活保護の医療扶助を受けることができるとされています。

法律の目的 酩酊者の行為の規制と保護により、過度の飲酒が個人的・社会的に及ぼす害悪を防止することを目的とする
酩酊者の定義 酩酊者を、「アルコールの影響により正常な行為ができないおそれのある状態にある者」と定義
警察官による保護 警察官は、酩酊者が公共の場所・乗り物で、粗野・乱暴な言動をし応急の救護が必要なときは、適切な場所に保護しなければならない
罰則等 酩酊者が、公共の場所又は乗物で公衆に迷惑をかける言動をしたときは、原則拘留又は科料に処せられる
通報 警察官は、酩酊者を保護、アルコールの慢性中毒者又はその疑いのある者と認めたときは、すみやかに、もよりの保健所長に通報しなければならない

重度アルコール依存症入院医療管理加算施設基準

 「重度アルコール依存症入院医療管理加算施設基準」は、厚生労働省通知の「診療報酬施設基準」に基づきます。施設基準では、この加算がつくのは「当該医療保険医療機関にアルコール依存症に係る適切な研修を修了した医師、研修を修了した看護師、 作業療法士、精神保健福祉士又は臨床心理技術者がそれぞれ1名以上配置されていること」という基準を満たしていることとされています。

 重度アルコール依存症入院医療管理加算は、アルコール依存症の入院患者に対して、医師、看護師、精神保健福祉士、公認心理師等による、アルコール依存症に対する集中的、多面的な専門的治療の計画的な提供を評価したもので、入院した日から起算して 60 日を限度として、当該患者の入院期間に応じて算定します。

 この加算の対象となるのは、入院治療を要するアルコール依存症患者に対して、治療プログラムを用いたアルコール依存症治療を行った場合で、合併症の治療だけを目的として入院した場合は算定できません。

 この加算を算定する場合には、医師は、看護師、精神保健福祉士、公認心理師等と協力して、家族等と協議の上、詳細な診療計画を作成しなければなりません。診療計画を作成したら、それを家族等に説明・交付してその写しを診療録に添付します。これによって「入院診療計画」の基準を満たしたものとされます。

アルコール事業法

 アルコール事業法は、アルコールの酒類の原料への不正な使用の防止に配慮しつつ、アルコールの製造、輸入及び販売の事業の運営等を適正なものとすることにより、我が国のアルコール事業の健全な発展及びアルコールの安定的かつ円滑な供給の確保を図ることを目的としています。

 この法律では、「アルコール」の定義を、「アルコール分(温度十五度の時において原容量百分中に含有するエチルアルコールの容量をいう)が九十度以上のアルコールをいう」としています。アルコールの製造(精製(アルコールの利用価値を高めるため蒸留その他の方法によりアルコールの不純物を除去することをいう)を含む)を業として行おうとする者は、経済産業大臣の許可を受けなければなりません。

 アルコール(特定アルコールを除く)の販売を業として行おうとする者は、経済産業大臣の許可を受けなければなりませんが、製造事業者又は輸入事業者が、その製造し又は輸入したアルコールを販売する場合はこの限りでないとしています。

法律の目的 アルコールの酒類の原料への不正な使用の防止、アルコールの製造・輸入・販売の事業の運営等を適正にする
アルコールの定義 「アルコール」とは、アルコール分が九十度以上のアルコールをいう
製造・販売の許可 アルコールの製造業者・販売業者は、経済産業大臣の許可を受けなければならない

 いかがでしたか?
 今回はアルコール対策関連を中心に取り上げましたが、この科目は範囲が広いので各出題範囲をバランスよく学習しておきましょう。次回は「精神保健福祉相談援助の基盤」について解説します。では、第23回試験の「精神保健の課題と支援」から今回の課題を上げておきますので、チャレンジしてみてください。

第23回 精神保健福祉士国家試験 「精神保健の課題と支援」

問題 16 アルコール健康障害対策基本法に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 酒に酔っている者の行為を規制し、又は救護を要する酩酊(めいてい)者を保護する等の措置を講ずることによって、過度の飲酒の害悪を防止することを目的としている。
  • 2 重度アルコール依存症入院医療管理加算の施設基準を定めている。
  • 3 アルコール健康障害に関連して生じる飲酒運転、暴力、虐待、自殺等の問題をアルコール関連問題としている。
  • 4 都道府県及び市町村に対し、アルコール健康障害対策推進基本計画の策定義務を規定している。
  • 5 アルコールの輸入、輸出、製造、譲渡に関する規定がある。

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