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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第44回 第23回精神保健福祉士国家試験  専門科目の分析

 皆さん、受験お疲れさまでした。コロナ対策もあり、2月6日、7日と緊張の連続だったことと思います。今は達成感と合格への不安が入り混じっているのではないでしょうか。

 第23回試験の出題形式は、例年どおり五肢択一問題をベースに五肢択二問題が散在する内容でした。事例問題についても、短文事例と長文事例という出題形式は変わらず、全体的に大きな変化はみられませんでした。

 受験された皆さんは、合格発表まで落ち着かない日々を過ごすことと思いますが、けあサポが解答速報を出していますので、得点の目安を確認することができます。事例問題等では解釈の相違により解答が分かれる可能性もあるので、5~6点の幅を持って予測しておくとよいでしょう。

 また、一番気になるのが合格ラインだと思いますが、試験センターの発表があるまであきらめずに最後まで希望をもって発表を待ちましょう。
 今回は、専門科目の出題内容の分析をしていきます。

精神疾患とその治療

 今回は、精神医学の専門的な知識を問う問題よりも、一般的・基礎的な知識で十分対応できる内容でした。このところ連続して出題されている神経系の問題も、共通科目の「人体の構造と機能及び疾病」と重複する基礎的な内容でした。

 代表的な疾患と症状としての、境界性パーソナリティ障害、うつ病、注意欠陥多動症も、出題実績のある解きやすい問題でした。森田療法、入院形態についても基本的な内容でした。

 薬理作用と副作用の分野からの、ドネペジル塩酸塩の副作用と精神科病院診療所に関しては、迷った受験生がいたかもしれません。科目全体でみると、難問は少なく出題範囲もバランスの取れたものだったといえるでしょう。

精神保健の課題と支援

 予防精神医学のカプラン、児童虐待防止法の規定、アルコール関連問題、自殺対策としてのポストベンション、自閉症スペクトラム、精神保健福祉センターの役割、メンタルヘルスアクションプラン等は、繰り返し出題されている問題でした。

 学校教育法における出席停止命令規定、心身症患者の特徴としてのアレキシサイミアは少々難度が高かったといえるでしょう。ただ、全体でみると、主に精神保健の課題に関する制度系の知識を問うものが多く、対応しやすかったと思われます。

精神保健福祉相談援助の基盤

 グリーンウッド、ジョーンズ、権利擁護、チームアプローチ、セルフエスティーム、パートナーシップ、アンビバレンス等は、この科目の定番といえる内容でした。

 短文事例のサービス管理責任者の対応、精神保健福祉士が行う自立支援等も基本的な援助姿勢がわかっていれば解ける問題でした。

 ジェネラリスト・ソーシャルワークに影響を与えたモデルについては、少々迷った方がおられるかもしれません。また、今回初めてトラウマインフォームドアプローチが出題されました。現在、精神障害者の支援の現場では、このトラウマに対する支援が注目されてきていますので、今後も注意しておきましょう。

精神保健福祉の理論と相談援助の展開

 アンソニーのリハビリテーションの原則、リワーク支援、ACT、援助の展開のプロセス、面接技術、グループワーク、コンサルタント、ケアマネジメント等は、頻出問題で、基礎的な知識で対応できる内容でした。

 今回は、長文事例問題も特に難解な内容のものはなく、全体的に難度は低かったといえるでしょう。ただ、諸外国の人材に関しては難度が高く、困難を覚えた受験生も多かったと思われます。

精神保健福祉に関する制度とサービス

 入院形態、医療観察制度、発達障害者支援センター、精神障害者への経済的支援、保健所の役割、更生保護制度、退院後生活環境相談員、社会調査法、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス体系、当事者組織と、定番の出題で、特に難度の高い問題はありませんでした。全体的に、基礎的な知識で対応できる内容でしたので、難易度は例年通りだったと思われます。

精神障害者の生活支援システム

 障害者総合支援法における宿泊型自立訓練、障害者雇用促進法に基づくジョブコーチの役割、精神保健福祉手帳、基幹相談支援センターの役割、障害者の就労支援サービス体系、個別支援計画、介護保険サービス等、基本的な知識で対応できる内容でした。

 障害者の雇用状況等に関するデータ系の問題が出題されましたが、常識で解けるレベルの問題でしたから、それほど迷うことはなかったでしょう。全体的に見て、取り組みやすい内容でした。

 以上、各科目の出題傾向と難易度をみてきましたが、今回の全体の出題傾向をみると、落とすためにあえて作成したと思われる難問と呼ばれる問題は極めて少なく、出題基準に則ったオーソドックスな良問が多かったといえるでしょう。

 受験生の皆さんは、試験が終わりほっとしていることと思います。本当に1年間、大変ななか頑張ってこられましたね。皆さんの頑張りに拍手です。合格発表までは、落ち着かない日々を過ごすことになると思いますが、今までの自分の頑張りを褒めてあげて、しばらくは受験勉強からゆっくり解放されて、リラックスして明日の活躍に備えてください。次回は、共通科目の出題傾向を分析していきます。本当にお疲れさまでした。