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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

精神保健福祉士受験対策  重点ポイント② 関連法の改正

 皆さん、こんにちは。受験も間近になりましたね。最後の総仕上げは順調に進んでいますか。受験は1点が合否を決めます。基礎的な内容を繰り返し確認して確実な力をつけ合格を勝ち取っていきましょう。今回は民法、児童虐待防止法等の改正を中心に取り上げていきます。では、最初に前回の課題の解説をしておきましょう。

問題 社会福祉法の改正に関する次の記述のうち、正しいもの2つ選びなさい。

  • 1 2018(平成30)年4月施行の社会福祉法改正により、地域福祉の推進に当たっては、福祉、介護、介護予防、保健医療に限定した地域生活課題を把握しその解決を図るよう特に留意するものとするとされた。
  • 2 2018(平成30年)年4月に施行された社会福祉法改正で、市町村は、包括的支援体制の整備が義務付けられた。
  • 3 2018(平成30年)年4月に施行された社会福祉法改正で、地域住民、福祉関係者は、個別の課題に焦点化して生活課題を把握し、行政などと協働し課題を解決していくとされた。
  • 4 2019(令和元)年12月に出された「地域共生社会推進検討会」最終とりまとめでは、制度、分野の枠や「支える側」「支えられる側」という関係を超えた包摂的なコミュニティを創造するとしている。
  • 5 2020(令和2)年4月施行の社会福祉法改正で、市町村は重層的支援体制整備事業を行うことができるとされた。

正答 4、5

解答解説

  • 1 × 地域福祉の推進に当たっては、福祉、介護、介護予防、保健医療だけでなく、住まい、就労及び教育に関する課題、福祉サービスを必要とする地域住民の地域社会からの孤立等、福祉サービスを必要とする地域住民の地域生活課題を把握し、支援関係機関との連携等によりその解決を図るよう特に留意するものとするとされた。
  • 2 × 市町村は、包括的支援体制を整備することが「努力義務」として規定された。包括的支援体制整備事業として、(1)地域住民の福祉活動への参加を促す環境整備に関する事業、(2)分野を超えて相談に応じ関係機関と連絡調整する体制整備事業、(3)生活困窮者自立相談支援事業を行う者その他の支援関係機関等の関係機関が有機的な連携により一体的・計画的に行う体制整備事業が挙げられている。
  • 3 × 地域住民、福祉関係者は、個人の課題の解決にとどまらず、その人が属する世帯全体に着目し、福祉、介護、保健医療に限らない様々な生活課題を把握し、行政などと協働し課題を解決していくことが必要であるとしている。
  • 4 〇 なお、市町村における包括的な支援体制の構築を推進するため、「断らない相談支援」「参加支援」「地域づくりに 向けた支援」の3つの支援を一体的に行う市町村の新たな事業を創設すべきであるとしている。
  • 5 〇 市町村は、地域生活課題の解決に資する包括的な支援体制を整備するため、社会福祉法に基づく事業、介護保険法、障害者総合支援法、子ども・子育て支援法、生活困窮者自立支援法に基づく事業を、一体のものとして実施することにより、地域生活課題を抱える地域住民とその世帯に対する支援体制・地域住民等による地域福祉の推進のために必要な環境を一体的かつ重層的に整備する事業として、重層的支援体制整備事業を行うことができるとされた。

 いかがでしたか。社会福祉法改正は、今まで議論されてきた結果としての今後の福祉の方向性についての具体的な法的整備という位置づけにありますので、ポイントを押さえておきましょう。では、今回の民法及び児童虐待防止法関連の改正を取り上げていきます。

民法改正

 2018(平成30)年に、相続関係と債権関係を中心とした民法の改正が行われ、同時に家事事件手続法が改正されました。受験対策として必要と思われる改正内容に絞って整理しておきます。

自筆証書遺言

 自筆証書遺言について、財産目録の部分に関しては、自筆であることは必要ではなく、パソコンやワープロ等による記載も、認められるようになりました。また、法務局での遺言書の保管が可能となりました。

配偶者の短期居住権

 相続における配偶者の居住権については、配偶者が相続開始のときに、遺産に属する建物に居住していた場合には、遺産分割が終了するまでの間、無償でその居住建物を使用できる「配偶者の短期居住権」が新設されました。

配偶者居住権の新設

 配偶者の居住建物を対象として、終身又は一定期間、配偶者にその使用を認める法定の権利が創設され、遺産分割等における選択肢の一つとして、配偶者に「配偶者居住権」を取得させることができるようになりました。

遺産分割の配偶者保護

 婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産の遺贈又は贈与がされたときは、持戻しの免除の意思表示があったものと推定し、被相続人の意思を尊重した遺産分割ができるようになりました。

特別寄与者の請求権

 特別寄与者のための制度が設けられ、相続人には当たらないが一定の貢献をした被相続人の親族を「特別寄与者」とし、相続人に対して寄与に応じた特別寄与料の請求を認めることとされました。

遺留分侵害請求

 遺留分とは、遺言指定の相続と法定相続による相続との遺産の配分について調整する制度です。相続制度では遺言指定による指定相続が優先されますが、被相続人によって生計を維持されていた法定相続人の生活を守るため、申し出により法定相続人に一定の割合で相続する権利が与えられます。

 2019(令和元)年の民法改正で、従来の「遺留分減殺請求」と呼ばれていた名称が「遺留分侵害請求」という名称に改正されました。また、従来は相続財産が不動産の場合、遺留分の分割が大変困難であったことから、今回の改正で遺留分の請求は金銭によるものとして、金銭債権に一本化されました。

成人年齢の引き下げ

 成人年齢が18歳に引き下げられました。成人であるということは、親権に服する必要がなく、自分一人で有効な契約行為を行うことができるということです。また、女性の婚姻年齢が従来の16歳から(18)歳に引き上げられ、男女とも18歳に統一されました。これらは国民に周知徹底する必要があるという理由で、施行は2022(令和4)年になっています。

債権関係

 債権関係も大きな改正が行われました。従来の「瑕疵担保責任」が廃止され「契約不適合責任」になりました。「消滅時効」については、従来は業種ごとに異なっていた消滅時効を廃止し、原則として「知った時から5年」に統一されました。

 意思能力、判断能力のないものの契約行為については、従来は、いったんは有効とされ、取り消しによって契約時に遡って無効とされるという規定でしたが、今回の改正で、最初から無効であることが明記されました。

 賃貸借契約については、賃貸借の敷金の返還や原状回復について、通常の損傷や摩耗等は含まないこととされました。

遺言方式自筆遺言証書の財産目録の部分は、パソコンやワープロ等による記載も可能とされた
遺産相続の配偶者の居住権相続開始から遺産分割終了まで、配偶者は無償で居住建物を使用できる
遺産分割選択肢の1つに「配偶者居住権」を取得できるようになった
20年以上婚姻期間の遺贈・贈与は被相続人の意思を尊重できる
特別寄与者の相続権特別寄与者の特別寄与料の相続請求権を付与
遺留分侵害請求「遺留分減殺請求」から「遺留分侵害請求」に改称。遺留分を金銭債権に一本化
成人年齢の引上げ等成人年齢を18歳に引き下げ、女性の婚姻年齢を18歳に引き上げ
債券関係「瑕疵担保責任」を「契約不適合責任」に移行
消滅時効を5年に統一
意思能力のない者の契約行為は無効
賃貸借の敷金の返還・原状回復に通常の損傷・摩耗等は含まない

成年被後見人等の権利の制限に係る関連法改正

 2018年(平成30年)6月に、「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」が制定されました。この法律の目的は、成年被後見人等であることを理由に不当に差別されないよう、成年被後見人等に係る欠格条項等の、権利の制限に係る措置の適正化等を図るための措置を講ずることです。

 成年後見制度は民法に基づく制度で、従来は、後見人や保佐人が選任され本人が被後見人、被保佐人になった場合は、様々な資格の欠格条項になっていました。精神保健福祉士の欠格条項の中にも、「被後見人」「被保佐人」が入っていました。しかし、被後見人、被保佐人、被補助人というだけの理由で、様々な資格において欠格条項に該当するのは非合理的であるという批判から、今回の法律の制定が行われました。

公務員等

 公務員等の欠格条項に関しては、国家公務員法、自衛隊法等を、原則として現行の欠格条項を単純削除することになりました。個別審査規定が置かれなかった理由は、現行制度において採用時に試験や面接等により適格性を判断し、採用後心身の故障によって職務を行うことが難しい場合も、病気休暇等の規定が整備されているという理由によります。

士業等

 弁護士法、医師法等については、原則として現行の欠格条項の削除を行い、併せて個別審査規定を整備することになりました。精神保健福祉士や社会福祉士などもこれに該当します。士業等の就任時に試験や個別審査規定によって適格性を判断し、その後心身の故障等により職務を行うことが難しい場合の登録の取り消しなどの規定がすでに整備されている場合は、現行の欠格条項を単純削除することになります。

 精神保健福祉士については、従来は成年被後見人等に該当する場合は、一律に欠格事由に該当していましたが、今回の改正で「心身の故障により精神保健福祉士の業務を適切に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの」に変更になり、精神保健福祉士施行規則において個別審査規定が盛り込まれることになりました。

法人役員等

 医療法における医療法人、信用金庫法における信用金庫等の役員については、原則として役員の欠格事由から成年被後見人等を削除し、併せて個別審査規定を整備することになりました。また、貸金業法における貸金業の登録、建設業法における建設業の許可等の営業許可や法人営業許可等についても、同様の規定が行われています。

公務員等国家公務員法、自衛隊法等は原則として現行の欠格条項を単純削除
仕業等弁護士法、医師法等は原則として現行の欠格条項の削除、個別審査規定を整備
法人役員等医療法人、信用金庫、貸金業の登録、建設業の許可等は原則として役員の欠格事由から成年被後見人等を削除、個別審査規定を整備

特別養子縁組に関する民法改正

 2019年(令和元年)6月に特別養子縁組について民法が改正され、令和2年4月から施行されています。特別養子縁組の養子候補者の年齢が6歳未満に制限されていましたが、制度が活用しにくくなっていると指摘されていました。また、改正前は特別養子縁組における実親の同意について同意撤回が可能であったため、特別養子縁組を行うことが非常に不安定であるという現場からの指摘を踏まえた改正です。

養子候補者の年齢の引き上げ

 養子候補者の年齢が、従来の6歳未満から15歳未満に引き上げられました。本人の同意がある、15歳未満のときから養父母となる人が養育している、やむを得ない事情で15歳までに申し立てができなかったという条件を満たした場合は、15歳以上17歳までも可能とされています。ただし、審判確定時に18歳に達している者は縁組が不可能となります。

二段階手続きの導入

 特別養子縁組に二段階制度が導入されました。第一段階では、家庭裁判所が、実親による養育状況と実親の同意の有無等を判断する「特別養子適格の確認の審判」を行います。実親は、同意の意思表示を行った場合は、2週間を過ぎると同意の撤回ができないこととされました。

 第二段階では、第一段階の審判を受けて、養親候補者は試験養育を行います。その結果によって、家庭裁判所が「特別養子縁組の成立の審判」を下すことになります。

養子候補者の年齢の引き上げ従来の原則6歳未満から原則15歳未満に引き上げ
二段階手続きの導入第一段階:家庭裁判所は「特別養子適格の確認の審判」を行う。実親は2週間を過ぎると同意の撤回ができない
第二段階:養親候補者の試験養育の結果により、家庭裁判所が「特別養子縁組の成立の審判」を下す

民事執行法改正(子どもの引き渡し)

 2019年(令和元年)6月に、子どもの引き渡しに関して民事執行法が改正されました。離婚の際に子どもの親権や監護権者についての争いが起こりやすく、親権者になれなかった親が子どもを引き渡そうとしないケースが多くあるという現状を解決するための法改正です。

親の不在時の引き渡し

 従来は、親権のない親からの子どもの引き渡しは、親権のない親がその場にいることが条件でした。そのため、親権のない親が、居留守を使ったり意図的にその場に来ないということによって、親権のある親への子どもの引き渡しが困難でした。

 今回の改正で、親権がないまま監護をしていた親すなわち、引き渡しを命じられた親が不在でも、親権者である引き取る側の親が立ち会えば、親権者への子どもの引き渡しが可能となりました。また、監護していた親が介在しない学校などでも、引き渡しの強制執行が可能となりました。

直接強制・間接強制

 今回の改正で、「直接強制」と「間接強制」が明記されました。直接強制とは、裁判所の執行官が、親権が無いにもかかわらず現在子どもとともにいる親の下に立ちあい、子どもを引き渡させる手続きのことです。今回の改正で、この執行官に子どもの引き渡しを実施させる直接強制が明記されました。

 間接強制とは、金銭の支払いを命じることによって心理的に強制を与えて引き渡しに応じさせることで、直接強制を実効性あるものにするための制度です。

直接強制の条件

 直接強制を裁判所に申し立てるためには、間接強制の決定から2週間経過していること、間接強制を実施しても引き渡しの見込みがないこと、子どもへの急迫の危険を防止するためのいずれかに該当することが求められます。

 裁判所は直接執行を決定する場合、引き渡しを拒んでいる親に対して、子どもに急迫の危険があるときなどを除いて、法律上の主張や事実を述べる機会を与えるための審尋をしなければなりません。これらの条件を満たした後に、裁判所は執行官に対して同居する親に子どもを引き渡させるために必要な行為を命じます。

執行官の権限

 執行官は裁判所から強制執行の命令を受けたら、住居に立ち入り、子どもを捜索することができ、相手がドアを閉ざしてもカギの専門家を呼んで開けることも認められます。また、直接強制を申し立てた親権者をその場所に立ち入らせ子どもと面会をさせ、双方の親を面会させること等もできます。

親の不在時の引き渡し引き渡しを命じられた親の不在時でも、引き取る側の親が立ち会えば、子どもの引き渡しが可能となった
直接強制執行官に子どもの引き渡しを強制執行させること
間接強制金銭の支払いを命じることによって心理的に強制を与えて引き渡しに応じさせること
執行官の権限強制立ち入り、解錠が可能

児童福祉法・児童虐待防止法

 最後に、児童虐待防止関係の最新改正を取り上げます。2019(令和元)年6月に児童福祉法と児童虐待防止法が同時に改正されました。すでに2020(令和2年)4月から施行されています。

体罰禁止規定

 親権者等が、しつけに際して体罰を行うことを禁止することを規定しました。親権者等には、児童福祉施設長及び里親を含みます。体罰の禁止、監護・教育に関して必要な範囲を超える行為により懲戒してはならないこととされています。

児童相談所の業務の明確化

 都道府県(児童相談所)の業務として、児童の権利の保護の観点から、一時保護の解除後の家庭その他の環境の調整、児童の状況の把握等により、児童の安全を確保することが規定されました。

児童福祉審議会の意見聴取時の配慮

 児童福祉審議会が児童、妊産婦、知的障害者、その家族、関係者の意見を聴くときは、意見を述べる者の心身の状況、その者の置かれている環境等の状況に配慮しなければならないと規定されました。

介入機能と支援機能の分離

 児童相談所の介入機能と支援機能を分離することとされました。都道府県は、保護者への指導を効果的に行うために、児童の一時保護を行った児童福祉司以外の者に、児童に係る保護者への指導を行わせるための必要な措置を講じなければならないとされました。

児童相談所の職員配置

 児童相談所に、弁護士等の配置が規定されました。都道府県は、保護者が児童を虐待しており著しく児童の福祉を害するようなとき、児童を児童養護施設に入所させる措置を取ることが必要と判断されるにもかかわらず親権者の同意を得られない場合、家庭裁判所の承認を得て入所措置をすることができますが、そのような場合、弁護士の助言や指導を受けることができるように、児童相談所に弁護士の配置又はこれに順ずる措置を行うことになりました。

 また、児童相談所に医師及び保健師の配置が規定されました。児童の健康及び心身の発達に関する専門的な知識、技術を掌る所員の中に、医師及び保健師がそれぞれ1人以上含まれなければならないとされました。

精神保健福祉士・公認心理士の追加

 児童相談所長及び児童福祉司として任用することができる者に精神保健福祉士及び公認心理師が追加されました。また、判定をつかさどる所員及び児童心理司の中に含まれなければならない者として公認心理師が追加されました。

 また、児童福祉司として任用することができる者のうち、社会福祉主事である者に必要な実務経験について、従来は児童福祉に関する業務に2年以上従事していた者とされていましたが、児童の福祉に関する「相談援助業務」に2年以上従事していた者であることとされました。

児童福祉司に対するスーパーバイザーの配置

 児童福祉司の中に、他の児童福祉司がその業務を行うために必要な専門的技術に関する指導及び教育を行う児童福祉司としてのスーパーバイザーが含まれなければならないとされました。このスーパーバイザーは、児童福祉司として概ね5年以上勤務した者で、厚生労働大臣が定める基準に適合した研修課程を修了した者でなければならないとされています。

児童相談所の業務の質の評価

 都道府県知事は、児童相談所が行う業務の質の評価を行うこと等によって、業務の質の向上に努めなければならないとされ、国は、都道府県知事が行う業務の質の評価の実施のための措置を講ずるよう努めなければならないとされました。

児童虐待再発防止のための措置

 都道府県知事又は児童相談所長は、児童虐待を行った保護者について、指導を行う場合は、児童虐待の再発を防止するために医学的、又は心理学的知見に基づく指導を行うよう努めるものとされました。また、都道府県知事が児童の施設入所の措置を解除しようとするときは、措置解除後の児童の家庭環境について勘案すべきことが明記されました。

児童が転居する場合の措置

 児童相談所長は、児童虐待を受けた児童が住所や居所を当該児童相談所の管轄区域外に移転する場合は、その児童の家庭環境や環境の変化による影響に鑑み、その児童と保護者について、移転の前後に指導、助言等の支援が切れ目なく行われるように、移転先の住所・居所を管轄する児童相談所長に、速やかに必要な情報の提供を行うものとするとされ、情報提供を受けた児童相談所長は、要保護児童対策地域協議会が速やかにその情報の交換を行うことができるように必要な措置を講ずることとされています。

体罰禁止規定親権者等がしつけに際して体罰を行うことを禁止
一時保護解除後の措置児童相談所は、一時保護の解除後の家庭等の環境調整、当該児童の状況の把握等の措置により当該児童の安全を確保することを規定
業務分担一時保護担当者と保護者支援担当者を分離
児童相談所の職員配置児童相談所に、弁護士の配置かそれに準ずる措置、医師と保健師を配置、児童相談所長・児童福祉司の任用要件に精神保健福祉士・公認心理師を追加、児童心理司・心理判定員の任用要件に公認心理師を追加
都道府県等親への再発防止のための医学的・心理学的指導努力義務
情報共有親が引っ越した場合、児相は速やかに情報を提供する義務

「成育基本法」制定

 すべての妊婦、子どもに妊娠期から成人期までの切れ目のない医療・教育・福祉を提供することを目的に、2018(平成30)年、「成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律(成育基本法)」が制定されました。

 政府は「成育医療等基本方針」の策定が義務づけられ、6年ごとに見直すこととされ、基本方針に基づく施策を実施するために、必要な法制上及び財政上の措置を取ること、基本方針を公表することとされ、施策実施のために厚生労働省内に「成育医療等協議会」を設置することが義務づけられました。

 基本施策として、成育過程にある者及び妊産婦の医療・保健に関する支援、成育過程における心身の健康等に関する教育及び普及啓発、予防接種等に関する記録の収集等に関する体制整備、成育過程にある者の死亡の原因に関する記録の収集等に関する体制整備、調査研究が挙げられています。

 施策の具体的内容は、保護者や妊産婦の孤立防止のため健診・相談支援を通じて虐待の発生予防や早期発見の促進、科学的知見に基づく愛着形成に関する知識や食育を含めた心身の健康に関する教育の普及啓発、予防接種や健診に関する記録のデータベース整備、子どもが死亡した場合における死因を検証する体制づくり等です。

目的妊婦・子どもに妊娠期から成人期までの切れ目のない医療・教育・福祉を提供する
政府「成育医療等基本方針」策定義務(6年ごと見直し)
成育医療等協議会厚生労働省内に設置義務
具体的内容保護者・妊産婦の孤立防止、健診・相談支援による虐待の発生予防・早期発見、愛着形成に関する知識、食育等心身の健康に関する教育の普及啓発等

母子保健法改正

 令和元年12月に母子保健法が改正され、市町村に「産後ケア事業」を行うことが努力義務として規定され、令和3年4月から施行されます。「産後ケア事業」とは、退院直後の母子に対して、心身のケアや育児のサポート等を行い、産後も安心して子育てができる支援体制の確保を目的として行われる事業です。

 対象は、家族等から十分な家事や育児等の援助が受けられない産婦と新生児、乳児で、産後に心身の不調又は育児不安がある者や特に支援が必要と認められる者です。心身の状態に応じた保健指導、療養に伴う世話、育児に関する指導、相談その他の援助を行う事業のことで、産後ケアを必要とする出産後1年を経過しない女子、乳児を対象としています。

実施類型

 実施類型として、(1)宿泊型、(2)通所型(デイサービス型)、(3)居宅訪問型(アウトリーチ型)の3種類があります。(1)の宿泊型は、病院、診療所、助産所の空きベッドを活用する等で利用者を宿泊させて休養の機会を提供し、心身のケアや育児サポート等のきめの細かい支援を実施します。利用期間は原則として、7日間以内ですが市町村が認めたときは延長できます。

 (2)の通所型(デイサービス型)は、日中、実施施設で来所した利用者に個別又は集団で心身のケアや育児のサポート等のきめの細かい支援を実施します。(3)の居宅訪問型(アウトリーチ型)は、実施担当者が利用者の自宅に赴き、個別に心身のケアや育児のサポート等のきめ細かい支援を実施します。

実施施設・実施担当者

 実施施設は、病院、診療所、助産所その他厚生労働省令で定める施設で、実施担当者は、助産師、保健師又は看護師、心理に関しての知識を有する者等です。この事業は、母子健康包括支援センターなどの関係機関と連携を図り、一体的な実施その他の措置を講ずるよう努めなければならないとされています。

実施主体市町村は産後ケア事業の実施努力義務
事業内容心身の状態に応じた保健指導、療養に伴う世話、育児に関する指導、相談その他の援助
対象者産後ケアを必要とする出産後1年を経過しない女子、乳児
実施類型(1)短期入所型、(2)通所型(デイサービス型)、3居宅訪問型(アウトリーチ型)
実施施設病院、診療所、助産所その他厚生労働省令で定める施設
実施担当者助産師、保健師又は看護師、心理に関しての知識を有する者等

 以上、民法の改正、成年被後見人の権限の拡大、特別養子縁組制度の改正、児童虐待防止法改正、母子保健法改正等についてみてきました。次回は、働き方改革関連法、個人情報保護法、生活保護法関連、バリアフリー法等の改正について取り上げていきます。では、今回の課題を上げておきますので、チャレンジしてみてください。

問題 民法、児童虐待防止法、母子保健法等の改正に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 民法改正により、意思能力、判断能力のない者の契約行為は、取り消しにより契約時に遡って無効とされることとなった。
  • 2 精神保健福祉士法が改正され、成年被後見人、被保佐人が欠格事由から削除された。
  • 3 児童相談所の介入機能と支援機能を、一体化することとされた。
  • 4 民法が改正され、里親を除く児童の親権者の体罰が禁止された。
  • 5 母子保健法が改正され、市町村に、産後ケア事業の実施が義務付けられた。