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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第34回  「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」

 皆さん、こんにちは。今回は「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」を取り上げます。精神保健福祉士は精神障害者に関する制度だけではなく、障害者全般に関する幅広い知識が求められますので、障害者施策を十分に学習しておきましょう。では、まず前回の課題の解説をしておきます。

第22回 精神保健福祉士国家試験 「社会保障」

問題52 遺族年金に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 死亡した被保険者の子が受給権を取得した遺族基礎年金は、生計を同じくするその子の父または母がある間は支給停止される。
  • 2 死亡した被保険者の子が受給権を取得した遺族基礎年金は、その子が婚姻した場合でも引き続き受給できる。
  • 3 遺族基礎年金は、死亡した被保険者の孫にも支給される。
  • 4 受給権を取得した時に、30 歳未満で子のいない妻には当該遣族厚生年金が10年間支給される。
  • 5 遺族厚生年金の額は、死亡した者の老齢基礎年金の額の2分の1である。

正答1

解答解説

  • 1 正しい。遺族基礎年金の受給権があるのは、「子のある配偶者」または「子」であり、「子のある配偶者」が子を育てている場合は、その「子のある配偶者」に給付され、「その子」に対しては、「子の加算」がつくことになっています。
  • 2 誤り。遺族基礎年金の「子」が婚姻した場合は、受給権がなくなります。子とは 18歳になった年度の3月31日までの間にある子で、受給要件を満たした国民年金の被保険者が死亡した当時、胎児であった子も出生以降に対象となります。20歳未満で、障害等級1級または2級の障害状態にある子も対象となります。ただし、「子」は婚姻していないことが条件です。
  • 3 誤り。遺族基礎年金は、孫には受給権はありません。孫にも受給権があるのは、遺族厚生年金です。遺族厚生年金の受給権者は、配偶者(夫は55歳以上に限る)、子、父母、孫、祖父母です。
  • 4 誤り。受給権を取得したときに、30 歳未満で子のいない妻には、遣族厚生年金の支給は、5年間に限定されています。 これは、妻自身の今後の就労や再婚の可能性があるという考え方に基づいているもので、5年の有期給付とされています。
  • 5 誤り。遺族厚生年金の受給額は、老齢厚生年金額の4分の3です。老齢厚生年金額は、死亡した者の報酬比例部分に保険料率を乗じた額になります。

問題55 事例を読んで、適切なもの2つ選びなさい。
〔事例〕
F さん(65 歳女性)は、22 歳からアパレル関係の大企業で正社員として働き、厚生年金にも加入していた。その後会社員の夫と結婚し、35歳の時に退職して専業主婦になった。48歳の時に個人事業主として手芸店を開き、現在ではかなりの事業収入を得ている。

  • 1 Fさんが大企業で働いて厚生年金に加入していた時には、給与の額にかかわらず毎月定額の保険料を支払っていた。
  • 2 Fさんは通算して10 年以上年金制度に加入しているので、老齢基礎年金を受給できる。
  • 3 Fさんが専業主婦であった期間は、F さん自身が国民年金の保険料を納付する必要はない。
  • 4 Fさんは、事業収入に応じた年金保険料を支払わなければならない。
  • 5 Fさんは65 歳なので老齢厚生年金を受給できるが、事業収入が基準を超える場合は年金額が減額される。

正答2、3

解答解説

  • 1 誤り。厚生年金保険料は、給与所得の標準報酬額に応じて、定率を乗じて算出されます。定額保険料を支払うのは、国民年金の保険料です。
  • 2 正しい。Fさんは、22歳から35歳までの間働いていたので、10 年以上年金制度に加入していることになり、老齢基礎年金の受給権を有します。
  • 3 正しい。Fさんは、仕事を辞め専業主婦になったときから、第3号被保険者となり、第3号被保険者の保険料負担はありません。第3号被保険者の保険料は、第3号被保険者の配偶者が加入する保険者が、基礎年金拠出金として基礎年金部分に拠出することになっています。
  • 4 誤り。Fさんは、国民年金の第1号被保険者なので、定額の保険料を支払うことになります。
  • 5 誤り。在職老齢厚生年金制度では、厚生年金被保険者が給与と年金を同時に受給するとき、その合計額が一定額以上の場合は年金の支給額の一部が停止され、さらにそれ以上の一定額以上である場合は、年金が全額停止される制度です。Fさんは個人事業主なので、厚生年金の被保険者ではないため、在職老齢年金制度の対象にはならないので、事業収入が一定額以上を超えても、年金額は減額されません。

 いかがでしたか。「社会保障」は、範囲が広いため基本的な知識を習得するための学習量が求められますが、必須内容を整理して確実な知識を身につけておいてください。では、今回の「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」に入っていきましょう。

 この科目は、障害者総合支援法における障害者自立支援制度について毎年3問から4問の出題があります。障害福祉サービスの種類やその内容、障害者支援施設や自立支援医療、地域生活支援事業、審査請求制度等をよく整理しておきましょう。また、障害者総合支援法における国や市町村、都道府県のそれぞれの役割、指定サービス事業者の役割、国民健康保険団体連合会の役割なども確認しておきましょう。
 それでは、今回は、障害者総合支援法における行政機関等の役割について取り上げていきます。

国・地方公共団体の役割

 国は、市町村及び都道府県が行う自立支援給付、地域生活支援事業等この法律に基づく業務が適正かつ円滑に行われるよう、市町村及び都道府県に対する必要な助言、情報の提供その他の援助を行わなければなりません。

 国及び地方公共団体は、障害者等が自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービス、相談支援及び地域生活支援事業の提供体制の確保に努めなければならなりません。

 厚生労働大臣は、障害福祉サービス及び相談支援並びに市町村及び都道府県の地域生活支援事業の提供体制を整備し、自立支援給付及び地域生活支援事業の円滑な実施を確保するための基本的な指針を定めることが義務づけられています。

障害者総合支援法におけるサービスの円滑な実施のための市町村及び都道府県に対する必要な助言、情報の提供その他の援助
国・地方公共団体障害福祉サービス、相談支援、地域生活支援事業の提供体制の確保努力義務
厚生労働大臣障害福祉サービス等の基本指針策定義務

都道府県の役割

 都道府県は、厚生労働大臣が定める基本指針に即して、市町村障害福祉計画の達成に資するため、各市町村を通ずる広域的な見地から、障害福祉サービスの提供体制の確保その他この法律に基づく業務の円滑な実施に関する計画である「都道府県障害福祉計画」を定めることが義務づけられています。

 都道府県は、地域生活支援事業の必須事業、任意事業、人材養成研修事業を実施します。都道府県の地域生活支援事業は、専門性の高い相談支援事業や広域的な支援事業で、発達障害者支援センター運営事業や、高次脳機能障害等支援普及事業などを実施します。

 都道府県には、市町の求めに応じて技術的事項の協力等を行う役割があります。障害福祉サービスについては、自立支援医療のうち、精神通院医療の支給決定と支給を行います。障害児の福祉サービスに関しては、障害児入所給付費の支給決定と支給を行います。

都道府県知事

 都道府県知事は、障害福祉サービス事業者と一般相談支援事業者の指定を行います。一般相談支援事業者とは、基本相談支援と地域相談支援を行う事業者です。また、都道府県知事は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスに関する行政処分にかかわる審査請求先となっており、審査請求に対する裁決を下します。都道府県知事は、条例により障害者介護給付費等審査会を設置でき、設置していた場合は、審査請求について審査会に審査をさせ、それに基づいて裁決を下すことができます。

 また、障害福祉サービス事業所は、事業所開設時に都道府県知事に対して、障害福祉サービス事業所の情報を報告する義務があり、それを受けて都道府県知事は、障害福祉サービス情報を公表する義務があります

都道府県「都道府県障害福祉計画」策定義務
協議会設置努力義務
地域生活支援事業の必須事業、任意事業、人材養成研修事業を実施
都道府県知事障害福祉サービス事業者と一般相談支援事業者の指定
障害者自立支援制度にかかわる審査請求先
審査請求に対する裁決を下す
知事は条例により障害者介護給付費等審査会を設置できる。
障害福祉サービス情報公表義務。

協議会

 都道府県は、「協議会」を設置することが努力義務として規定されています。地方公共団体は、関係機関、関係団体、障害者等、家族、障害者等の福祉、医療、教育、雇用関連職務従事者、関係者により構成される協議会を置くように努めなければならないとされています。協議会は、関係機関の連絡調整、情報共有、連携、体制整備の協議などを行う機関です。

 都道府県は、「都道府県障害福祉計画」を策定する際は、協議会を設置している場合は協議会の意見を聴くことが努力義務として課せられています。協議会の具体的取り組みとして、困難事例や地域の現状・課題等の情報共有と情報発信、ネットワークの構築、困難事例対応の協議・調整、社会資源の開発・改善、構成員の資質の向上、権利擁護、事業の評価などがあります。

協議会の設置地方公共団体は、協議会設置努力義務
業務関係機関の連絡調整、情報共有、連携、体制整備の協議等
障害福祉計画都道府県障害福祉計画策定の際は、協議会の意見を聴く努力義務
具体的取組困難事例・地域課題の情報共有・情報発信、ネットワークの構築等

市町村

 市町村には、市町村障害福祉計画の策定が義務づけられており、協議会の設置が努力義務とされています。市町村は、市町村障害福祉計画を策定する際、協議会を設置している場合は、協議会の意見を聴くよう努めなければならないとされています。また、市町村は基幹相談支援センターを設置できるとされています。

 市町村は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの実施主体です。障害福祉サービスの支給申請を受け、障害支援区分の認定のための調査を実施します。この調査は、 指定一般相談支援事業者等に委託することもできます。

 市町村は、この調査を受けて、障害支援区分の認定のために市町村に設定されている市町村審査会で二次判定を行い、その結果に基づいて障害支援区分認定を行います。障害支援区分認定後、サービス等利用計画案の提出を受けて、介護給付費、訓練等給付費、補装具費等の支給決定を行います。

 支給決定後は、障害福祉サービス受給者証を交付し、サービス利用者に対して介護給付費、訓練等給付費、補装具費等の支給を行います。障害者又は障害児の保護者の居住地が明らかでないときは、介護給付費等の支給決定は現在地の市町村が行うことになっています。

 市町村は、自立支援医療の育成医療と更生医療を実施します。育成医療は身体障害児に対する医療で、更生医療は身体障害者に対する医療です。また、市町村は、地域生活支援事業の必須事業と任意事業を実施します。障害児の福祉サービスについては、障害児の通所サービスの決定と実施を行います。

市町村長

 市町村長は、特定相談支援事業者の指定を行います。特定相談支援事業者とは、基本相談支援と計画相談支援を行う事業者で、サービス等計画案の作成や関係機関との利用調整、サービス等利用計画の作成を行う「サービス利用支援」と、サービス等利用計画が適切であるかどうか一定期間ごとに利用状況を検証し、必要に応じて見直し、変更、関係者との連絡調整を行う「継続サービス利用支援」を行う事業者です。

市町村 「市町村障害福祉計画」策定義務
協議会設置努力義務
基幹相談支援センター任意設置
障害支援区分認定のための市町村審査会を設置
障害支援区分の認定
障害福祉サービス受給者証の交付
介護給付費、訓練等給付費、補装具費の支給決定と支給
自立支援医療(育成医療、更生医療)の決定と支給
地域生活支援事業の必須事業、任意事業
障害児通所給付費の決定と支給
市町村長特定相談支援事業者の指定

基幹相談支援センター

 基幹相談支援センターは、市町村に任意設置の機関で、障害者に関する総合的・専門的な相談支援、虐待防止・権利擁護、地域移行や地域定着の推進、成年後見制度利用支援事業等を総合的に実施する役割を担っています。

 配置職員としては、地域における相談支援の中核的な役割を担う機関として必要となる人員として、相談支援専門員、社会福祉士、精神保健福祉士、保健師等のなかから必要な人材を配置します。

 業務としては、地域の相談支援体制の強化の取り組みや、地域移行・地域定着の促進の取り組みを行っています。留意事項として、基幹相談支援センターは、地域の実情に応じて市町村が設置する協議会の運営の委託を受ける等により、地域の障害者等の支援体制の強化を図ることとされています。

基幹相談支援センタ―
設置規定市町村に任意設置
役割総合的・専門的な相談支援、虐待防止・権利擁護等
配置職員地域の実情に応じて、相談支援専門員、社会福祉士、精神保健福祉士、保健師等を配置
業務地域の相談支援体制の強化の取り組み
地域移行・地域定着の促進の取り組み
留意事項協議会の運営の委託を受ける等により、地域の障害者等の支援体制の強化を図る

費用負担

 障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスは、個別給付である自立支援給付と、地域生活支援事業があります。

 個別給付である自立支援給付は、全国一律のサービスで応能負担になっています。利用者の利用料以外の費用は、公費で賄われています。地域生活支援事業以外の費用については、市町村が実施主体のサービスは、国が2分の1、都道府県が4分の1、市町村が4分の1を負担することになっています。都道府県が実施主体のサービスは、国が2分の1、都道府県が2分の1を負担することになっています。

 地域の実情に応じて実施するという位置づけである地域生活支援事業の利用者の費用負担は、地域の実情に応じて決めることができることになっています。地域生活支援事業にかかる利用者負担以外の費用は、市町村事業については、国が2分の1以内、都道府県が4分の1以内を市町村に補助できるとされています。都道府県の地域生活支援事業については、国は2分の1以内を都道府県に補助できるとされています。

地域生活支援事業以外市町村が実施主体の給付
国2分の1、都道府県4分の1、市町村4分の1を負担(義務)
都道府県が実施主体の給付
国2分の1、都道府県2分の1を負担(義務)
地域生活支援事業市町村が実施主体の事業
国2分の1以内、都道府県4分の1以内を市町村に補助できる
都道府県が実施主体の事業
国2分の1以内を都道府県に補助できる

 いかがでしたか。この科目では、障害者福祉制度の発展の経緯、障害福祉サービスの種類と内容、各法律における障害者の定義、障害者手帳制度、障害者の所得保障などについてもよく学習しておきましょう。次回は「低所得者に対する支援と生活保護制度」を取り上げます。

 では、第22回の精神保健福祉士の試験問題から今回の課題をあげておきますので、チャレンジしてみてください。

第22回 精神保健福祉士国家試験 「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」

問題59 「障害者総合支援法」に定められている市町村の役割などに関する次の記述のうち、 正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 障害支援区分の認定のための調査を、指定一般相談支援事業者等に委託することができる。
  • 2 障害支援区分の認定に関する審査判定業務を行わせるため、協議会を設置する。
  • 3 市町村障害福祉計画を策定するよう努めなければならない。
  • 4 指定障害福祉サービス事業者の指定を行う。
  • 5 高次脳機能障害に対する支援普及事業などの特に専門性の高い相談支援事業を行う。