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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第28回  「心理学理論と心理的支援」

 皆さん、こんにちは。受験の手続きも終わり、いよいよ本格的な体制で受験に取り組む方も多いことでしょう。学習時間の確保に悩んでいる方もいるでしょうが、効率よく必要な内容を漏らさずに学習することができるよう、もう一度学習計画を見直して、確保できる学習時間とやるべきことを整理して、合格のための最も効果的な学習を進めていきましょう。
 今回は「心理学理論と心理的支援」を取り上げます。この科目は範囲が広く、慣れない用語が多いので、苦手とする受験生が多いようですが、自分の心理も含め身近な事柄として理解すると大変興味深く学習することができます。今回は、心理療法について取り上げます。では、最初に前回の課題の解説をしておきましょう。

第22回 精神保健福祉士国家試験 「人体の構造と機能及び疾病」

問題1  人体の構造と機能に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 視覚は、後頭葉を中枢とする。
  • 2 腸管は、口側より、空腸、回腸、十二指腸、大腸の順序である。
  • 3 肺でガス交換された血液は、肺動脈で心臓へと運ばれる。
  • 4 横隔膜は、消化管の蠕動にかかわる。
  • 5 副甲状腺ホルモンは、カリウム代謝をつかさどる。


正答1

解答解説

  • 1 正しい。脳は、大脳、脳幹、間脳、小脳から構成されています。大脳は、前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉に区分されます。前頭葉は、思考や判断、抑制機能をつかさどります。頭頂葉は主に知覚や感覚をつかさどり、後頭葉は視覚の統合をつかさどり、側頭葉は聴覚や記憶をつかさどります。
  • 2 誤り。腸管は、口側より、小腸の十二指腸、空腸、回腸を経て、大腸の盲腸、直腸、結腸の順序で構成されています。
  • 3 誤り。肺でガス交換された血液は、肺静脈で心臓に運ばれます。医学の分野では、心臓を起点として身体の部位を捉えるため、心臓から出る血管はすべて動脈と呼び、心臓に入る血管はすべて静脈と呼びます。そのため、肺から心臓に入る血管は肺静脈と呼ばれています。「肺静脈」には、肺で二酸化炭素を受け取った「動脈血」が流れているということも注意しておきましょう。
  • 4 誤り。横隔膜は、呼吸運動にかかわります。肺の呼吸運動は、横隔膜と肋間筋の運動によって行われ、息を吸うときは、横隔膜が下がり外肋間筋が収縮して胸郭が広がり、胸腔内の容積が大きくなることによって肺が拡張し、空気が肺の中に入っていきます。息を吐くときは、内肋間筋が収縮することによって胸郭が小さくなり、腹壁筋の収縮によって横隔膜が上に上がり、胸腔内の容積が小さくなり、肺自身も収縮して空気が排出されます。消化管の蠕動運動にかかわるのは、腸管中に内在する自律神経系で、副交感神経が運動を亢進させ交感神経が運動を抑制する働きをしています。
  • 5 誤り。副甲状腺は、血液中のカルシウムとリン代謝をつかさどるホルモンを分泌します。 生体の恒常性を維持する働きをホメオスタシスといい、血液中のカルシウム濃度を調節するために副甲状腺ホルモンが働いて、骨吸収や骨形成のバランスをとっています。

問題3 消化器の構造と機能に関する次の記述のうち、適切なもの1つ選びなさい。

  • 1 唾液には、消化酵素は含まれない。
  • 2 胃粘膜からは、強アルカリ性の消化液が分泌される。
  • 3 膵臓には、内分泌腺と外分泌腺がある。
  • 4 小腸は、水分を吸収しない。
  • 5 胆汁は、胆のうで作られる。

正答3

解答解説

  • 1 誤り。唾液には消化酵素であるアミラーゼがあり、炭水化物である糖質を分解します。その後、膵臓から分泌される膵液αアミラーゼによってさらに分解され、小腸粘膜から分泌される酵素によってそれらが消化されて、腸管から吸収されます。
  • 2 誤り。胃粘膜からは、強い酸性の消化液が分泌されます。この胃液は胃酸と呼ばれて強い殺菌作用があり、身体の外から受け取った食物の細菌を殺す作用があります。そのほか、胃液の粘液は胃の壁を保護して消化をスムーズにし、胃液に含まれているペプシノーゲンは、胃液の塩酸によってペプシンになり蛋白質を消化します。
  • 3 正しい。膵臓の内分泌腺として、ランゲルハンス島のα細胞とβ細胞があり、α細胞からは、血糖値上昇作用があるグルカゴンが分泌され、β細胞からは、血糖値下降作用があるインスリンが分泌されます。外分泌腺からは消化液が分泌されており、消化酵素のアミラーゼ等を含む膵液を小腸と十二指腸に送りこんでいます。
  • 4 誤り。小腸は、栄養素と水分を小腸の粘膜の表面にある絨毛で吸収していきます。小腸の粘膜からは消化酵素が分泌され、トリプシンが蛋白質をアミノ酸に分解し、アミラーゼが糖質をブドウ糖に、リパーゼが脂肪をグリセリドや脂肪酸等に分解します。小腸は、収縮と弛緩を繰り返して消化された栄養素を吸収していきます。
  • 5 誤り。胆汁は肝臓で作られます。肝臓は、蛋白質の合成と栄養の貯蔵、有害物質の解毒、食物の消化に必要な胆汁の生成等を行っています。胆汁は胆のうに貯蔵され、胆管を通って十二指腸に送られ、リパーゼの働きを助けて脂肪の消化を進めます。

 いかがでしたか。「人体の機能と構造及び疾病」では、身体・精神の成長と発達、老化による身体の変化、疾病と症状、障害、精神疾患、認知症などもよく学習しておきましょう

 では、「心理学理論と心理的支援」に入っていきましょう。この科目は、欲求・動機づけと行動、感覚・知覚・認知、学習・記憶・思考、人格・性格、集団、適応、発達、ストレス、心理検査、心理療法等の分野があります。今回は心理療法について取り上げていきます。

来談者中心療法

 来談者中心療法とは、カール・ロジャーズによって提唱された、クライエントを中心とした療法です。最初は非指示的療法と呼ばれ、後に、パーソンセンタード・アプローチと呼ばれるようになりました。この療法は、エンカウンターグループ、フォーカシング技法等に発展していきました。

 来談者中心療法は、クライエント自身が、成長することができる自律性と自立性を持っていると考え、治療者の共感的理解、純粋性(自己一致)、無条件の肯定的(積極的)関心によって、その成長を促す療法です。純粋性(自己一致)とは、カウンセラーの体験と意識と表現が一致しているということで、カウンセラー自身が自分自身を受け入れて心理的に安定し、クライエントに対してありのままの率直な気持ちで向き合うことができることです。

 カウンセラーは、クライエントを批判的な目で裁いたりすることなく共感的に理解し、積極的にクライエントに関心を持ち、クライエントをありのまま受け入れることを通して、クライエント自身が自分自身の課題に気づき、自分自身で解決していくことができるようになると考える療法です。

精神分析療法

 精神分析療法は、フロイトの精神分析をもとにした心理療法で、クライエントの内面に抑圧された過去の出来事が問題を引き起こしていると考え、自由連想法、転移などの方法で自分自身を洞察できるように援助し、過去の経験によって抱えている無意識の葛藤から解放していく療法です。

 自由連想法とは、カウンセラーがクライエントに言葉を投げかけ、クライエントが自由に心に思い浮かぶ考えを連想していく方法で、クライエントのなかに抑圧されている意識をカウンセラーが知ることができ、治療に生かすことができます。

 転移とは、クライエントが他者に抱いている感情を、カウンセラーに向けていくことで、この転移を通して治療者は、クライエントの深層心理を把握し洞察することができ、治療に活用できます。

認知行動療法

 認知行動療法は、認知療法と行動療法を応用した療法です。認知療法とは、認知の歪みすなわち物ごとの受け止め方の偏りを矯正し、新たな物ごとの受け止め方を作り上げること、すなわち認知の再構成を行う治療法です。行動療法とは、クライエントが現在抱えている行動上の問題に焦点を当てて、適切な行動を学習していけるよう援助する治療法です。

 認知行動療法は、認知の再体制化を中心とし、クライエントの自己評価の低さや自己非難に伴う否定的な感情に注目し、その認知的枠組みや信念を修正して、望ましい行動に変えていく治療法です。

応用行動分析

 応用行動分析は、行動療法を応用した治療法で、クライエントの行動の前後を分析して行動の目的を明らかにし、行動前後の環境に働きかけて操作し、クライエントの問題行動を消去していく治療法です。

 例えば、子どもが乱暴な行動をした場合、その行動の前の状況とその行動との関係、その行動が持っている機能、行動の結果を分析します。機能とは、その行動が「いやなことから逃れる」、あるいは「注目を集める」という機能を果たしているかどうかということです。これらを分析して、「乱暴な行動」を引き起こしている原因をなくすために、「状況」と「結果」を変えるという方法を取ります。

ブリーフセラピー

 ブリーフセラピーは、効率的、効果的な短期療法のことです。問題の原因に焦点を当てるのではなく、現在ここで何が起きているかを重視します。代表的なものとして、解決志向アプローチを挙げることができます。

 解決志向アプローチは、クライエントが抱えている問題のなかで、すでに解決している部分としての例外探し、うまくいっていることを続ける、これまでとは違う何かを行うことなどにより、問題だけに目を留めるという悪循環から、解決に向けてよい循環をつくりだしていこうとする治療法です。「問題が解決したら、一番したいことは何ですか」のような「ミラクルクエスチョン」という会話技法を用います。

社会生活技能訓練(SST)

 社会生活技能訓練は、行動療法や認知行動療法等の技法を用いて社会生活のための技能を習得する集団療法の一つで、ロールプレイ等の技法を用いて、対人関係で必要なスキル習得を図ります。

 グループでウォーミングアップの後、それぞれの取り組むべき課題を決め、ロールプレイによるリハーサルを行います。それに対して、よいところを褒める正のフィードバックをし、よりよくするための改善点を話し合い、実際の生活場面で行うチャレンジ課題を設定して次回のSSTで報告します。このような訓練を通して、社会生活に適応できる技術を身につけていきます。

来談者中心療法治療者の共感的理解、純粋性(自己一致)、無条件の肯定的(積極的)関心を重視し、クライエント自身が解決できるよう援助する療法
精神分析療法転移や自由連想法によって抑圧された無意識を解放して治療する
認知行動療法認知的枠組みや信念を修正し、認知の再体制化によって望ましい行動に変えていく治療法
応用行動分析問題行動の前後の環境に働きかけて操作し、クライエントの問題行動を消去していく治療法
ブリーフセラピー問題の原因ではなく、現在に焦点を当てて効率的・効果的な治療を行う。解決志向アプローチ等が該当
社会生活技能訓練ロールプレイ等、行動療法や認知行動療法等の技法を用いて社会生活のための技能を習得する訓練

漸進的筋弛緩法

 

では次に、不安を取り除くために用いられている具体的な治療法をみていきましょう。漸進的筋弛緩法は、筋肉の緊張を一時的に緊張させ、その後筋肉を弛緩させることで弛緩感覚を習得し、リラクゼーションを図る方法です。血流や代謝を改善し、痛みの軽減、不安の低下、集中力の改善等の効果がみられます。

自律訓練法

 自律訓練法とは、自己催眠による治療法で、意識的にリラックスした状態をつくることによって自律神経のバランスを図り、精神的安定を図る治療法です。深呼吸、手足や筋肉の弛緩、手足の温感練習などにより、意識を集中させて自己暗示をかけることによって、自分の心身の状態を自分で調整できるようにします。

 気持ちが落ち着いている、手足が温かい、などと言葉に出して繰り返す、受動的注意集中によって、心身をリラクゼーションし、ストレスや緊張を緩和して、自律神経のバランスが崩れて起こる食欲不振や不眠、心身症、神経症等、ストレスの緩和に効果があります。

暴露療法

 暴露療法とは行動療法の一種で、不安を克服するために、クライエントが恐怖や不安を抱いているものに対して、危険が無いように配慮しつつ直面させる治療法です。最初は、不安や恐れを感じる刺激が少ないものから触れさせていき、徐々に慣れていけるようにします。刺激や不安を避けるのではなく、あえて不安を喚起する場面に繰り返して曝し、徐々に不安をやわらげていくという治療法で、不安障害や強迫性障害等に適用することができます。

系統的脱感作法

 系統的脱感作法とは、暴露法と自律訓練法、漸進的筋弛緩法等を応用した治療法です。不安階層表を作成し、リラックスした状態で、不安の弱い階層から不安の場面を想起し、段階を追って、不安を解消していく方法です。

 まず、自律訓練法によって、自分自身に対して「気持ちが落ち着いている」「手足が温かい」などと言葉に出して繰り返す「受動的注意集中」を行い、心身をリラクゼーションしていく方法を習得しておきます。これを習得したら、恐怖と不安の結びつきの低い条件刺激から与えていきます。

 ある一定の場所に対して恐怖感を抱いているため、その場所に近づくとパニックを起こしてしまうような場合、まず、その周辺を思い描いて、筋弛緩法等でリラックスした状態を確保します。その次に、実際にその周辺に近づいてもリラックスした状態を確保し、実際にそこに行っても緊張やパニックから解放されるようにするという治療方法です。

動作療法

 動作療法は、重度の脳性まひの児童のための動作訓練法として開発されたものです。身体の緊張が強かったり身体が自由に動かせない状態の児童が、治療者と一緒に課題の動作を行うことによって、身体の緊張をほぐしていくことによって心の緊張もほぐれていくという体験を通して、身体の解放が精神の解放を促すことを発見した成瀬悟策によって開発されました。

 治療方法は、治療者が提供する動作課題をゆっくりと行いながら進めていきます。課題を進めていくことによって身体の無駄な緊張に気づき、力を抜いていくことを覚えていきます。身体の緊張によって閉ざされていた精神を解放していくというこの治療法は、現在さまざまな障害や精神疾患に適用されています。

漸進的筋弛緩法筋肉の緊張と弛緩により弛緩感覚を習得し、リラクゼーションを図る方法
自律訓練法自己催眠により意識的にリラックスした状態をつくることによって自律神経のバランスと精神的安定を図る治療法
暴露療法計画的に恐怖感の軽い場面から徐々に不安に慣れさせていく治療法
系統的脱感作法 不安階層表を作成し、リラックスした状態で不安の弱い階層から不安の場面を想起し不安を解消していく方法
動作療法動作を通して心理的問題を解決する方法

遊戯療法

 次に、さまざまな場面や道具を用いて行う心理療法についてみていきましょう。
 遊戯療法とは、遊びによる感情表出で治療する方法です。言語表現が十分できない子どもを対象とした療法で、遊びを通して自己を解放し、子ども自身が自己治癒力によって解決を見出していくことを助ける治療法です。

 この遊戯療法では、セラピストと児童の信頼関係が形成されていることが必要で、この安定した関係のなかで、子どもが自分自身を自由に表現することができ、それが治癒につながります。遊戯療法のなかで箱庭療法などを使用することもあります。

箱庭療法

 箱庭療法とは、砂の入った箱の中に、自由にミニチュアの玩具を置いて自由な表現を行う治療法です。言葉では表現できない意識の奥の葛藤などを表現することができ、自己への気づきや葛藤からの解放、自己理解の深化、人格的な変容が促されます。

 使用するミニチュアは、樹木、動物、建物、人物、ミニカー、恐竜、戦車等多様です。これらを使って自由に創作し、その後、それらの内容についてカウンセラーと会話をしていきます。色々と話していくなかで、無意識に抱えていた思いに気づいたり、無意識を意識化することができ、自己を再統合することができるようになります。

心理劇

 心理劇は、サイコドラマのことで、台本は無く即興劇を行います。クライエントが役割演技を行うことによって、創造性、自発性を獲得し、洞察性を高める治療法です。問題場面を設定し、クライエントが主役をつとめ、相手役、観察者が加わって即興劇を行い、その後、意見交換や反省、分かち合いを行っていきます。

 クライエントは、役割を演じることによって、自己の生活を見つめ直し、新たな視点や解決策を見出していくことができます。

家族療法

 家族療法は、家族をシステムとして捉える治療法です。家族に問題行動を起こした人物がいた場合、その人物だけに問題があるのではなく、その問題は家族全体のシステムが引き起こしたとして捉えて、家族のシステムに介入して治療する方法です。

 問題を引き起こした人物は、家族システムの問題を背負っているだけであり、問題の本質は家族システムにあるので、家族の構成メンバーがその問題を自らの問題として自覚することができるように介入し、家族間の関係性の悪循環を変化させていきます。

遊戯療法遊びによる感情表出で自己治癒力を引き出し治療する方法
箱庭療法箱の中にミニチュアの玩具を置いて自由な表現を行う治療法
心理劇即興劇による役割演技によって、創造性、自発性を獲得し、洞察性を高める治療法
家族療法家族をシステムとして捉え、家族全体に介入する治療法

森田療法

 森田療法は、不安があることを「あるがまま」に受け入れ、心身の不調や症状がある状態で、絶対臥褥等の方法により自然治癒力を引き出す治療法です。神経症患者を対象に森田正馬(もりたまさたけ)が開発しました。

 食事と洗面、排泄以外は一切何も行わずに布団で寝ている絶対臥褥から、軽作業期、作業期、社会生活準備期という段階を経て治療を行います。

内観療法

 内観療法とは、クライエントは外部からの刺激を断ち、してもらったこと、して返したこと、迷惑をかけたことを書き出し、他者への感謝を再確認する治療法で、吉本伊信が開発しました。

 面接者は、クライエントのこれらの内省に対して共感的態度で耳を傾け、最小限の返答で応えます。クライエントは自分自身を見つめ直し、自己中心性の高い自分を今までどんなに多くの人が支えてきてくれたかに気づき、自分自身の自己中心性から脱却して、他者を肯定的に認知できるようになります。

動機づけ面接

 最後に面接法をみておきましょう。動機づけ面接とは、問題解決に向けてのクライエントの自律性を引き出し尊重する面接です。心理療法を行っていくなかで、クライエント自身が症状の改善を拒み抵抗する現象が起こることもあります。

 これは、心理療法を受けることによって、自分で認めたくない抑圧された感情を意識し直面しなければならないことに対する恐れから生まれると考えられます。これらの感情に対し、クライエントの変わりたいという方向性を引き出し、よりよい将来を描き、それを達成しようとする動機が強められるように援助する面接法です。

回想法

 回想法は、高齢者が人生を振り返ることで自らのアイデンティティを再確認して、情緒的安定を獲得し、人的交流を持ち、人生の統合を行うことを目的とした治療法です。
 高齢者と援助者とのコミュニケーションを通し、あるいは、高齢者の思い出を蘇らせるような写真や思い出の品などを通して人生を振り返る機会を設ける、また、グループで思い出を語り合ったり、若かったときの自分自身を思い起こすことによって、自分自身の人生を統合していくという治療法です。

森田療法不安を「あるがまま」に受け入れ、絶対臥褥、軽作業期、作業期、社会生活準備期という段階を経て治療を行う
内観療法外部からの刺激を断ち、してもらったこと、して返したこと、迷惑をかけたことを書き出し、他者への感謝を再確認する治療法
動機付け面接問題解決に向けての、クライエントの自律性を引き出し尊重する面接
回想法人生を振り返ることによって自分自身の人生の統合を行う

 いかがでしたか。「心理学理論と心理的支援」では、知覚、認知、心理的効果、集団心理、学習、発達理論、心理療法等についてもよく学習しておきましょう。次回は「社会理論と社会システム」を取り上げます。では、第22回と第21回の精神保健福祉士国家試験から2問、今回の課題を挙げておきますのでチャレンジしてみてください。

第22回 精神保健福祉士国家試験 「心理学理論と心理的支援」

問題14  心理療法に関する次の記述のうち、最も適切なもの1つ選びなさい。

  • 1 回想法は、高齢者の自動思考を修正することを目的としている。
  • 2 応用行動分析は、個人の無意識に焦点を当てて介入を行っていく。
  • 3 認知行動療法は、クライエントの人生を振り返ることでアイデンティティ再確認していく。
  • 4 森田療法は、不安をあるがままに受け入れられるように支援していく。
  • 5 プリーフセラピーは、未来よりも過去に焦点を当てて介入を行っていく。


第21回 精神保健福祉士国家試験 「心理学理論と心理的支援」

問題14 心理療法に関する次の記述のうち、行動療法に基づく技法に該当するものとして、最も適切なもの1つ選びなさい。

  • 1 クライエントが即興的にドラマを演じ、自発性や創造性を高める。
  • 2 問題が起きなかった例外的な状況に関心を向けることで、クライエントの問題解決能力を向上させる。
  • 3 自由連想法を使用し、クライエントの無意識の葛藤を明らかにする。
  • 4 不安喚起場面に繰り返し曝すことで、クライエントの不安感を低減させる。
  • 5 課題動作を通じ、クライエントの体験様式の変容を図る。