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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第26回  「精神障害者の生活支援システム」

 皆さん、こんにちは。学習は順調に進んでいますか。受験申込書の受付期限は、10月9日(金)で消印有効です。手続きがまだの方は早めに済ませておきましょう。

 今回の「精神障害者の生活支援システム」は、精神障害者の概念、精神障害者の生活の実態、精神障害者の生活と人権、居住支援、就労支援、地域における精神障害者の生活を支援するシステム、市町村における相談援助等が出題範囲になっています。
 実際に地域で生活する精神障害者に必要な制度を具体的に想定しながら学習していきましょう。では、最初に前回の課題の解説をしておきましょう。

第22回 精神保健福祉士国家試験 「精神保健福祉に関する制度とサービス」

問題66  Jさん(36 歳男性)は、19 歳の時に統合失調症を発症して精神科病院への入院経験がある。頻回な窃盗による逮捕歴があり、最終的には実刑判決を受けて服役した。服役中は適切な精神科治療を受けていたこともあって病状も落ち着いた。刑期が終わる時期が近づいてきたが、身元引受人のいないJさんは出所後の生活基盤もなく、再出発は極めて困難なことが予測された。そこでJさんが服役している刑事施設は、保護観察所に特別調整を依頼した。その結果、Jさんは、法務大臣から事業の認可を受けて宿泊場所や食事の提供など、自立の準備に専念できる生活基盤を提供しているW施設へ、保護観察所の長の委託により入所が決まり、刑期満了日にそのまま入所となり再出発への道を歩み始めた。
次のうち、 Jさんが入所したW施設として、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 地域生活定着支援センター
  • 2 宿所提供施設
  • 3 自立準備ホーム
  • 4 自立訓練(生活訓練)事業所
  • 5 更生保護施設

正答5

解答解説

  • 1 誤り。地域生活定着支援センターは、矯正施設である刑務所や少年員等を出所・退院後に、福祉的支援を必要とする高齢者や障害児者を、福祉的支援につなげるためのセンターで、入所中から行う「帰住地調整支援」、矯正施設退所後に行う社会福祉施設入所後の定着のための「福祉施設定着支援」、矯正施設退所者に福祉サービスについて相談にのる「地域定着支援」を行います。生活基盤を提供する施設ではないので該当しません。
  • 2 誤り。宿所提供施設は、生活保護法に基づく入所施設です。住まいを必要としている被保護者に対して、住居を提供して住宅扶助を行う施設で、Jさんは被保護者ではないため該当しません。
  • 3 誤り。自立準備ホームは、NPO法人や社会福祉法人等が保護観察所に登録しておき、必要に応じて保護観察所長の委託により、改善更生のために保護を必要としている保護観察者等に対して、宿泊の場所の提供や食事の供与、入居者の状況に応じて、社会復帰への援助を行う施設です。法務大臣から事業の認可を受ける対象施設ではないので、この事例には該当しません。
  • 4 誤り。自立訓練(生活訓練)事業所は、障害者総合支援法に基づくもので、地域生活を送るために必要な生活能力の維持・向上を目的として、宿泊や通所によって、日常生活を営むために必要な訓練等を行います。生活基盤を提供する施設ではないため該当しません。
  • 5 正しい。更生保護施設は、改善更生のために保護を必要としている保護観察者等を収容して宿泊場所を与え、食事を供与し、就職のための援助や社会生活適応のための生活指導、社会生活技能訓練、生活環境の改善等を行う、法務大臣が認可する入所施設です。

第21回 精神保健福祉士国家試験 「精神保健福祉に関する制度とサービス」

問題67 地域生活定着支援センターに関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 事業の実施主体は、市町村である。
  • 2 少年院から退院する者は、支援の対象者に含まれる。
  • 3 支援は、刑務所からの出所直後から始まる。
  • 4 精神障害者が支援を受けるには、精神障害者保健福祉手帳の所持が必要である。
  • 5 矯正施設の長は、支援の対象者を決定する。

正答2

解答解説

  • 1 誤り。地域生活定着支援センターの実施主体は、都道府県です。この事業は適切な社会福祉法人等に委託することができます。目的は、福祉的支援を必要とする高齢者や障害者等が、出所後にスムースに地域生活を送ることができるため、出所後に福祉的支援につながるよう支援することです。
  • 2 正しい。地域生活定着支援センターは、矯正施設である刑務所や少年刑務所、拘置所、少年院を出所あるいは退院し、福祉的支援を必要とする高齢者や知的障害児・者等を、福祉的支援につなげるためのセンターで、少年院から退院する者も対象になります。
  • 3 誤り。支援は、出所してすぐに福祉サービスを受けることができるように、刑務所や少年院の入所・入院中から行います。入所者等を対象として、福祉サービスに係るニーズの内容を把握し、受け入れ先施設等のあっせん、障害者手帳の申請や福祉サービス等に係る申請の支援等のコーディネート業務を行います。
  • 4 誤り。地域生活定着支援センターを利用の際、障害者手帳の所持は要件とされていません。利用対象の要件は、高齢者又は障害があり、釈放後の住居が無く、釈放後に公共の衛生や福祉に関する機関等による福祉サービス等を受けることが必要であると認められ、特別調整の対象とすることが相当であると認められた者で、本人がそれを希望していることです。
  • 5 誤り。支援の対象者は、刑務所等が支援を必要としていると思われる候補者を保護観察所に通知し、保護観察所は面接等により本人の意向等を確認して「特別調整対象者」にするかどうかを判断した上で選定します。選定後、保護観察所は適切な福祉サービスを受けられるよう、地域生活定着支援センターに依頼し、支援センターが受け入れ先等の調整を実施します。

 いかがでしたか。「精神保健福祉に関する制度とサービス」では、このほか、精神保健福祉法、障害者総合支援法、医療観察法等による諸制度とサービス内容についても丁寧に学習しておきましょう。では、今回の「精神障害者の生活支援システム」を取り上げていきます。今回は、障害者の就労支援を中心とする諸制度と関連職種に関して取り上げます。

障害者総合支援法

 障害者総合支援法は、障害者の福祉サービスに関する法律です。障害者の福祉サービスは大きく分けて、サービスごとの個別給付である「自立支援給付」と地域全体にサービスを提供する「地域生活支援事業」があります。

 「自立支援給付」には、直接的な介護サービスである「介護給付」と、就労支援等を行う「訓練等給付」、障害者の医療を提供する「自立支援医療」、障害者の身体的機能を補う「補装具」、これらのサービスを調整する「相談支援」があります。

相談支援専門員

 「相談支援」を行うための相談支援事業所には、「指定特定相談支援事業所」と「指定一般相談支援事業所」があり、それぞれに「相談支援専門員」が配置されています。「指定特定相談支援事業所」の相談支援専門員は、障害福祉サービスを利用するための「サービス等利用計画」を作成しサービスの利用調整を行います。この「サービス等利用計画」に基づいて、「個別支援計画」や「居宅介護計画」が作成されることになっています。

 「指定一般相談支援事業所」の相談支援専門員は、障害者の「地域移行支援」や「地域定着支援」を行います。「地域移行支援」は、障害者入所施設や病院に入所している障害者が地域に移行するために、住まいの確保、日中生活の活動の場の確保等を実施します。「地域定着支援」は、地域で生活する障害者への常時の連絡体制の確保、緊急時の相談体制などを実施します。

サービス管理責任者

 「介護給付」には「在宅サービス」と「施設サービス」があり、在宅サービスには、「通所系」のサービスと「訪問系」のサービスがあります。「通所系」の障害福祉サービス事業所には、「サービス管理責任者」が配置され、「個別支援計画」を作成し利用調整を行います。

 「サービス管理責任者」は、障害者の現状を把握し課題を明確化して、本人の意思を尊重した「個別支援計画」を作成し、サービスの利用調整やサービス提供者への指導、助言、地域の障害者関連機関との連携、利用者満足度や第三者評価等によるサービスの質の向上等を業務としています。

サービス提供責任者

 「訪問系」の障害福祉サービス事業所には、「サービス提供責任者」が配置され、「居宅介護計画」を作成し利用調整を行います。「居宅介護計画」は、相談支援専門員が作成した「サービス等利用計画」に基づいて、利用者の個別のニーズを把握し、事業所ごとに詳細・具体的に作成しサービスを提供します。また、事業所の職員への助言、指導等によりサービスの質の向上のための職員養成等を実施します。

障害福祉サービス
相談支援専門員指定特定相談支援事業所の相談支援専門員は「サービス等利用計画」の作成や利用調整等を実施
指定一般相談支援事業所の相談支援専門員は、「地域移行支援」と「地域定着支援」を実施
サービス管理責任者通所系事業所に配置。「個別支援計画」の作成、利用調整を実施
サービス提供責任者訪問系事業所に配置。「居宅介護計画」の作成、利用調整を実施

公共職業安定所

 公共職業安定所は職業安定法に基づく機関で、職業紹介や障害者の就労に係る支援等を行っています。公共職業安定所では、就職を希望する障害者の求職登録を行い、障害者職業相談員が障害者の態様や適性、希望職種等に応じたきめの細かい職業相談、職業紹介、職場適応指導等を実施しています。また、事業主に対しては、障害者雇用に関する相談、助言、障害者雇用率未達成事業所などへの指導・勧告等も実施しています。

 公共職業安定所には、障害者雇用に関して「精神障害者雇用トータルサポーター」「障害者専門支援員」「障害者職業相談員」等が配置されています。

精神障害者雇用トータルサポーター

 公共職業安定所には、精神保健福祉士や臨床心理士などの資格を持った「精神障害者雇用トータルサポーター」が配置されています。精神障害者の精神症状に配慮したカウンセリングや就業準備プログラムの実施、職場の開拓、職場実習のコーディネート、専門機関への誘導、就職後のフォローアップなどを行っています。

障害者専門支援員

 障害者専門支援員は、障害者の理解、障害者の雇用管理上の必要な配慮、職業リハビリテーションに関する理解等の専門的知識を有する者で、職業指導官に協力して、基礎的な職業評価の実施、職業リハビリテーションサービス実施機関との調整、求人開拓の調整、事業主へのアドバイス等を行います。

障害者職業相談員

 障害者職業相談員には、障害者職業相談担当と障害者求人相談担当がおり、障害者職業相談担当は、就職を希望する障害者や家族に対して、障害者の自宅への家庭訪問による、安定した職業生活を送るための相談・助言、障害者を雇用する事業所への訪問による、職場適応状況の把握、福祉施設、特別支援学校、病院、障害者関係施設等への訪問による求職状況の把握等を行います。

 障害者求人開拓担当の職業相談員は、障害者雇用率未達成企業等への電話や訪問等により、求職情報や労働市場の情報を把握し、障害者に対する効果的な情報の提供、経済団体や個別企業に対する協力要請による求人開拓等を行います。

公共職業安定所
精神障害者雇用トータルサポーター精神障害者の精神症状に配慮したカウンセリング、就業準備プログラムの実施、職場の開拓、職場実習のコーディネート等を実施
障害者専門支援員障害者の基礎的な職業評価、職業リハビリテーションサービス実施機関との調整、求人開拓の調整等を実施
障害者職業相談員障害者や家族の相談・助言、職場適応状況の把握、労働市場の把握と情報提供、求人開拓等を実施

障害者雇用促進法

 障害者雇用促進法では、障害者の就労支援のための機関として、「障害者職業センター」「障害者就業・生活支援センター」等について規定しています。「障害者職業センター」は、「障害者職業総合センター」が全国1か所、「広域障害者職業センター」が全国に2か所、「地域障害者職業センター」が全国に52か所設置されています。

地域障害者職業センター

 地域障害者職業センターは、障害者の職業能力評価、職業指導、職業リハビリテーション計画の作成、関係機関への助言、作業体験、職業準備支援、就労準備講習、生活技能訓練、障害の判定、リワーク支援計画の作成、ジョブコーチの派遣と養成・研修、事業主支援計画の作成と雇用管理の助言、精神障害者総合雇用支援等を行います。

障害者職業カウンセラー

 地域障害者職業センターに配置されている「障害者職業カウンセラー」は、就職や職場適応のための能力を評価する職業評価や職業指導を行い、職業リハビリテーション計画を作成します。事業主に対しては、事業主支援計画の作成、障害者雇用に関する相談・助言、情報提供、障害者の採用計画作成の支援、職場定着などに関する支援等を行います。

精神障害者総合雇用支援

 地域障害者職業センターでは、精神障害者の雇用を総合的に支援するために、精神障害者の雇用促進支援、職場復帰支援(リワーク支援)、雇用継続支援、精神障害者支援ネットワークの形成等を実施しています。

 雇用促進支援では、事業主の採用計画立案等の支援、障害者に対する基本的生活習慣の習得、不安の軽減、集団適応、コミュニケーション能力・対人対応力の向上支援、医療機関や家族等との連携体制の構築等を実施します。

職場復帰支援(リワーク支援)

 障害者職業カウンセラーは、うつ病等で休職中の障害者が職場復帰をするために、雇用事業主や主治医と連携して、職場復帰支援(リワーク支援)も実施します。リワーク支援の対象は、主治医が職場復帰のための活動を開始することを了解している者です。具体的な支援内容としては、リワークスケジュールに沿って、障害者職業センターに通所して規則正しい生活リズムを構築し、ストレスへの対処方法の習得、復帰予定の職場での作業体験、上司や同僚などとの交流を通じた不安の軽減、会社との調整等を行います。

職場適応援助者(ジョブコーチ)

 地域障害者職業センターに配置されている「職場適応援助者(ジョブコーチ)」は、障害者が職場に適応するための援助を行います。「職場適応援助者(ジョブコーチ)」には、地域障害者職業センターに配置されている「配置型ジョブコーチ」と、障害者の就労支援を行う社会福祉法人等に雇用される「訪問型ジョブコーチ」、障害者を雇用する企業に雇用される「企業在籍型ジョブコーチ」があります。

 「配置型ジョブコーチ」は、就職等の困難性の高い障害者を重点的な支援対象として自ら支援を行うほか、訪問型ジョブコーチ、企業在籍型ジョブコーチと連携し支援を行う場合は、効果的・効率的な支援が行われるよう、必要な助言、援助を行います。

 「職場適応援助者」は、障害者が職場に適応できるように、具体的な目標を定めた支援計画に基づいて支援を実施します。障害者の職務の遂行がスムースにいくように本人の職務遂行機能の向上に関する助言や援助、職場におけるコミュニケーションの支援、体調や生活リズムの管理に関する支援、安定した職業生活を送るための家族のかかわり方に関する助言等を行います。

 事業主に対しては、障害特性に配慮した雇用管理に関する支援、障害者の職場配置や職務内容の設定に関する支援、職場全体の障害への理解のための意識の啓発、障害者とのかかわり方に関する助言、障害者に対する指導方法に関する助言等を行い、最終的には、事業者の上司や同僚によるナチュラルサポートにスムーズに移行していくことを目指して、支援します。

地域障害者職業センター
障害者職業カウンセラー職業評価、職業指導、職業リハビリテーション計画作成、事業主支援計画作成、職場定着支援、リワーク支援等を実施
職場適応援助者障害者の職場適応のため、障害者の職務遂行機能の向上、職場でのコミュニケーション支援、事業主への障害者雇用管理支援、職場配置や職務内容支援、職場の障害者理解のための啓発、障害者とのかかわり方に関する助言等を実施

 いかがでしたか。「精神障害者の生活支援システム」では、このほか、障害者の居住支援、行政機関の役割、障害者の所得保障、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスなども整理しておきましょう。では、今回は第22回の精神保健福祉士国家試験の事例問題の80番を参照して作成した問題をあげておきますので、チャレンジしてみてください。

問題 障害者を支援する人材に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 サービス管理責任者は、障害者雇用促進法に基づいて障害者の就労を支援するために障害福祉サービス事業所に配置されている。
  • 2 精神障害者雇用トータルサポーターは、障害者雇用促進法に基づいて、地域障害者職業センターに配置され、障害福祉サービスを利用するためのサービス等利用計画を作成する。
  • 3 障害者専門支援員は、公共職業安定所に配置され、障害者の基礎的な職業評価、職業リハビリテーションサービス実施機関との調整等を実施する。
  • 4 障害者職業カウンセラーは、障害者総合支援法に基づき公共職業安定所に配置され、障害者が職場に適応できるように援助する。
  • 5 職場適応援助者は、公共職業安定所に配置され、職業評価や職業指導、職業リハビリテーション計画の作成、事業主支援計画の作成等を実施する。