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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第17回  「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」

 皆さん、こんにちは。暑さが厳しくなってきましたが、学習は進んでいますか。本試験まで長期戦ですから、健康に留意して学習をすすめていきましょう。
今回は、「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」を取り上げていきます。障害者関連法が制定されてから数年経ち、検証と見直しの時期に入っています。改正内容等にも注意して学習しておきましょう。では、まず前回の課題の解説をしていきます。

第22回 精神保健福祉士国家試験 「社会保障」

問題53  医療保険制度に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

    1 後期高齢者医療制度には、75 歳以上の全国民が加入する。
  • 2 後期高齢者の医療費は、後期高齢者の保険料と公費で折半して負担する。
  • 3 都道府県は、当該都道府県内の市町村とともに国民健康保険を行う。
  • 4 健康保険組合の保険料は、都道府県ごとに一律となっている。
  • 5 協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)の給付費に対し、国は補助を行っていない。


正答 3

解答解説

  • 1 誤り。後期高齢者医療制度の被保険者は、75歳以上の高齢者と65歳以上75歳未満で一定の障害の状態にあると認められた者です。ただし、生活保護受給者は適用から除外するという規定がありますから、適用対象外になります。被保険者になると、家族の被扶養者であっても、個人として保険料を支払う義務が生じます。後期高齢者医療制度の医療費の自己負担割合は、原則1割負担で、現役並所得者は3割負担となっています。
  • 2 誤り。後期高齢者医療制度の財源構成は、医療費の自己負担分を除き、被保険者の保険料が1割、後期高齢者支援金(若年者の保険料)が4割、公費が5割です。公費の5割の内訳は、国:都道府県:市町村が、4:1:1の割合になっています。
  • 3 正しい。国民健康保険は、都道府県と市町村が実施主体となります。都道府県は、財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業運営の確保、都道府県内の統一的な運営方針を示し、都道府県全体を総括する役割があります。市町村は、地域住民との身近な関係のなかで被保険資格の管理、被保険者証の発行、保険料の徴収、保険給付の決定と実施等の役割を担います。国民健康保険の給付内容は、法定給付だけです。
  • 4 誤り。国民健康保険組合の保険料は、一定の範囲内で組合ごとに設定することができます。国民健康保険組合は、医師や弁護士、美容師、土木建築業等が同業種ごとに、主たる事務所の所在地の都道府県知事の認可を受けて設立します。保険の実施主体である保険者は国民健康保険組合で、保険給付として法定給付以外に独自の付加給付を行うことができます。
  • 5 誤り。協会けんぽ(全国健康保険協会管掌健康保険)の給付費に対し、国は16.4%の国庫補助を行っています。国民健康保険と後期高齢者医療制度には、給付費等の50%の公費負担があります。組合管掌健康保険は、財政が逼迫した組合に対してのみ、補助があります。共済組合には、国庫補助はありません。

 いかがでしたか。医療保険以外の年金、介護、労災、雇用の各社会保険についても学習を深めておきましょう。では、今回の「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」について、出題基準に沿って過去問題の出題傾向を分析し、対策を立てていきます。

障害者の生活実態とこれを取り巻く社会情勢、福祉・介護需要

 障害児・者の実態の分野では、「生活のしづらさなどに関する調査(全国障害児・者実態調査)」から、障害者手帳の種類別所持者数、手帳所持者の年齢階級別割合、障害種別の所持者数の推移、身体障害者手帳所持者の障害種別割合、今後の暮らしの希望、困ったときの相談相手、外出の状況等が出題されています。患者調査等も含めて実態を押さえておきましょう。

 障害者を取り巻く社会情勢としては、「障害者差別解消法」の出題実績があります。法律の理念や合理的配慮の考え方、実際の適用について整理しておきましょう。障害者スポーツについての出題もみられます。パラリンピックをはじめとする障害者スポーツ大会の名称と参加対象を理解しておきましょう。

 障害の概念の捉え方としては、国際生活機能分類(ICF)からの出題がみられます。「人体の構造と機能及び疾病」の科目からも出題されていますから、活動と参加の定義、活動制限、参加制約の意味、背景因子としての個人因子と環境因子についての理解を深めておきましょう。

 また、この分野では、障害者の地域移行や就労の実態に関して、厚生労働省が実施している障害者の就業実態調査の結果等に目を通しておくことをおすすめします。

障害者福祉制度の発展過程

 この分野からは近年、毎回出題があります。わが国の障害者福祉施策の発展過程と国際的な障害者施策との関連性を、障害者関連の法整備とともによく理解しておきましょう。今回は、後ほどこの分野を取り上げて解説していきます。

 国際障害者年、身体障害者福祉法、精神薄弱者福祉法(現在の知的障害者福祉法)、障害者基本法、障害者自立支援法、障害者総合支援法、障害者虐待防止法、障害者雇用促進法、障害者差別解消法、障害者権利条約等の、制定の歴史的背景、法律の目的と対象と性格が出題されています。

 国際障害者年とわが国の障害者施策との関係、福祉関係八法改正、社会福祉基礎構造改革による措置から契約制度への移行、支援費制度と障害者自立支援制度、障害者総合支援法との違い等について、理解を深めておきましょう。

障害者総合支援法

 障害者総合支援法の概要は、大変出題率の高い分野です。法律の目的、サービス利用のプロセス、障害福祉サービスの種類、障害者支援施設の種類、自立支援医療、地域生活支援事業など、全体の仕組みと具体的なサービス内容についてしっかりと理解しておきましょう。

 出題実績をみると、障害福祉サービスの自立支援給付と訓練等給付の種類とサービス内容、相談支援事業者の役割、基幹相談支援センターの位置づけ、地域活動支援センター、就労支援、地域移行支援等が出題されています。

 障害福祉サービスのサービス体系と、個々の障害福祉サービスの具体的な内容、利用者の状態像について事例問題にも対応できるよう整理しておきましょう。また、相談支援業務についての出題率が高いので、基本相談支援、地域相談支援、計画相談支援、基幹相談支援センターについて、それぞれの業務内容と位置づけを理解しておきましょう。

障害者総合支援制度における組織及び団体の役割と実際

 国の役割、都道府県の役割、市町村の役割は頻出分野です。障害福祉計画策定のための指針の策定を行う国の役割、障害福祉サービスの指定権者としての都道府県と市町村の位置づけ、具体的なサービスの実施主体である市町村、指定サービス事業者、国民健康保険団体連合会等について、それぞれの役割を整理しておきましょう。

障害者総合支援法における専門職の役割と実際

 この分野からは、相談支援専門員の業務について短文事例問題が頻出です。相談支援専門員として、事例の状況にふさわしい対応を選び取ることができる力を身につけておきましょう。

 サービス管理責任者、サービス提供責任者、居宅介護従事者の役割等についても、それぞれの専門職に求められる役割と働きについて、実践例の解答を導き出すことができるようにしておきましょう。

 意思決定困難者の意思決定の支援については、「障害福祉サービスの利用にあたっての意思決定支援ガイドライン」が厚生労働省から出されていますので、一度は目を通しておくとよいでしょう。

障害者総合支援法における多職種連携、ネットワーキングと実際

 医療関係者・精神保健福祉士との連携、障害支援区分判定時やサービス利用時における連携、労働関係機関との連携、教育関係者との連携等、連携のあり方と、関係機関の制度についての理解を深めておきましょう。

相談支援事業所の役割と実際

 障害者の相談支援体系について、地域相談支援における地域移行支援と地域定着支援、基本相談支援と地域相談支援からなる一般相談支援事業所、計画相談支援におけるサービス利用支援と継続サービス利用支援、基本相談支援と計画相談支援からなる特定相談支援事業所の、それぞれの支援内容についてよく学習しておきましょう。

身体障害者福祉法

 身体障害者福祉法に規定する身体障害者の定義、身体障害者手帳の申請や交付、返還に関する規定、手帳制度に基づく諸サービス、身体障害者更生相談所や身体障害者福祉司の役割、市町村や都道府県、福祉事務所の役割と相談支援業務の委託等などについて、法律で確認しておきましょう。

知的障害者福祉法

 療育手帳制度とそれに伴う優遇措置、知的障害者の更生援護に関する市町村、都道府県、知的障害者更生相談所、知的障害者福祉司のそれぞれの役割等について学習しておきましょう。知的障害者更生相談所の業務と専門職の配置についての出題がみられます。

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律

 この分野からは、精神保健福祉法における入院形態についての出題実績があります。専門科目とも重複する分野ですので、しっかりと学習しておきましょう。発達障害者の位置づけ、精神障害者保健福祉手帳制度等も出題されています。手帳の申請方法、交付対象等について整理しておくとよいでしょう。

児童福祉法(障害児支援関係)

 障害児サービスの具体的な内容について出題されています。児童福祉法に基づく障害児の通所系サービス、入所系サービス内容、障害児相談支援等について整理しておきましょう。また、利用手続きや支給決定のプロセス等もよく把握して、事例問題にも対応できるようにしておきましょう。

発達障害者支援法

 発達障害の定義、発達障害者支援センターの役割、発達障害児・者の早期発見と早期支援についての市町村と都道府県のそれぞれの役割、保育や教育・就労における配慮規定などを、法律に当たって確認しておきましょう。

障害者基本法

 1970年の心身障害者対策基本法から1993年の障害者基本法制定、2004年改正、2011年改正のそれぞれのポイントを整理しておきましょう。2011年改正に関しては、目的規定の見直し、障害者の定義の見直し、地域社会における共生、差別禁止における社会的障壁の概念と合理的配慮、障害者政策委員会の位置づけなど、注意深く学習しておきましょう。

障害者虐待防止法・医療観察法・バリアフリー新法・障害者雇用促進法

 障害者虐待防止法の分野からは、障害者虐待の定義、障害者虐待の実態や障害者虐待防止センターの役割等に関する出題実績があります。障害者虐待の定義と通報先、虐待対応などとともに、障害者虐待の実態について最新データを確認しておきましょう。医療観察法に関しては専門科目と重なりますから、並行して学習しておくとよいでしょう。

 障害者雇用促進法については、法定雇用率、障害者雇用納付金制度等が出題されています。障害者雇用推進者、障害者職業生活相談員、雇用率未達成企業への雇い入れ計画作成命令等、障害者雇用促進に関する制度を十分学習しておきましょう。また、障害者差別解消法の制定に伴う障害者雇用促進法の改正内容のポイントを押さえておきましょう。

 以上、全体を概観してきましたが、今回は障害者福祉の発展の経緯について取り上げていきます。

わが国の障害児・者福祉施策:1940年代~1970年代

 わが国の障害児・者の福祉施策は、第二次世界大戦後に始まりました。1947(昭和22)年には児童福祉法が制定され、障害児を含む全児童を対象とした児童福祉の母法として位置づけられました。

 1949(昭和24)年には、身体障害者の職業的更生と社会復帰を目的として「身体障害者福祉法」が制定されました。労働年齢にありながら一定の障害のために十分その労働能力を発揮することができない者に、必要な物品の交付、指導訓練を行い、障害による職業能力の損傷を補い、障害者の自立による更生を援護することを目的としています。法律制定時には、重度障害者は対象外でした。身体障害者の社会復帰のために、国に身体障害者更生援護施設の設置が義務づけられました。

精神衛生法

 1950(昭和25)年には、精神障害者のための医療提供体制整備を目的として、精神衛生法が制定されました。この法律は、1900(明治33)年に制定された精神障害者を私宅監置する「精神病者監護法」と1919(大正8)年に制定された「精神病院法」を廃止して、新たに制定された法律です。

 この法律には、私宅監置の禁止、精神病院の設置を都道府県の義務とし、精神衛生審議会の設置、精神衛生鑑定医制度の創設、措置入院制度・同意入院制度・保護義務者制度の創設等が盛り込まれました。

精神薄弱者福祉法

 1960(昭和35)年には、精神薄弱者福祉法(現在の知的障害者福祉法)が制定されました。精神薄弱児(知的障害児)は児童福祉法の対象ですが、成人した精神薄弱者のための法整備がなされていなかったため、精神薄弱者の親の会が中心となって全国的な運動を展開した結果、制定されたものです。

 精神薄弱者の入所施設設置体制の整備、精神薄弱者の人権を護るための精神薄弱者福祉審議会及び精神薄弱者更生相談所の設置、精神薄弱者福祉司の創設、精神薄弱者の更生援護体制の整備を規定しました。

心身障害者対策基本法

 1970(昭和45)年には、それまで個別に実施されていた、身体障害者施策と精神薄弱者施策を総合的に実施するために、心身障害者対策基本法が制定されました。心身障害者の個人の尊厳とふさわしい処遇を受ける権利、医療・保護、教育、訪問指導、職業指導、雇用の促進、施設の整備、専門的技術職員の確保、住宅の確保、経済的負担の軽減等が盛り込まれています。

1940年代~1970年代

児童福祉法 1947(昭和22)年:障害児を含む全児童を対象とした施策
身体障害者福祉法 1949(昭和24)年:身体障害者の職業的更生と社会復帰が目的
精神衛生法1950(昭和25)年:精神障害者のための医療提供体制整備
精神薄弱者福祉法
(現:知的障害者福祉法)
1960(昭和35)年:精神薄弱者の入所施設設置体制の整備
心身障害者対策基本法 1970(昭和45)年:身体障害者・精神薄弱者の総合的対策として制定

国際障害者年

 次に、1980年代の障害者施策について、国際的施策とそれに伴うわが国の動向について取り上げます。障害者に対する国際的な施策として国連は、1971年に「知的障害者の権利宣言」、1975年に「障害者の権利宣言」を採択しました。この権利宣言を実質化するために、1981年には「完全参加と平等」をテーマに「国際障害者年」を実施しました。

 この「国際障害者年」の目的として、世界の人々の関心を障害者が社会に完全に参加し権利と機会を享受することに向け、障害者が身体的・精神的に社会に適応することを援助し、適切な支援・訓練・保護・指導を行って雇用の機会を提供し、公共建築物や交通システムの改善、経済的・社会的・政治的活動への参加の権利を保障し、予防とリハビリテーション対策を行うべきこと等を提示しています。

 1982(昭和57)年には、「国際障害者年」の理念を浸透し実質化するために、国連は「障害者に関する世界行動計画」を採択し、1983年から1992年の「国連障害者の十年の計画」として位置づけました。

障害者対策に関する長期計画

 わが国では「国連障害者の十年」を受けて、国内の障害者のための初の長期行動計画である「障害者対策に関する長期計画」が1982(昭和57)年に策定されました。障害者に関する広報啓発活動、障害の早期発見・早期治療、教育・育成、設備の整備、雇用・就業、専門職員の養成、福祉サービス等が盛り込まれています。

精神保健法

 1987(昭和62)年には、1984(昭和59)年の宇都宮病院事件を契機に「精神衛生法」が、精神障害者の人権を重視する観点から「精神保健法」に改称・改正されました。任意入院制度、入院時書面告知義務、精神保健指定医制度、精神医療審査会制度、応急入院、社会復帰施設(生活訓練施設・授産施設)の法定化が行われています。

1980年代

国際障害者年1981(昭和56)年:「完全参加と平等」をテーマに実施
障害者に関する世界行動計画(国連)1982(昭和57)年策定。「国連障害者の十年の計画」として位置づけられている
障害者対策に関する長期計画1982(昭和57)年:「国連障害者の十年」の一環としてわが国の国内行動計画として策定
精神保健法1987(昭和62)年:宇都宮病院事件(昭和59年)を契機に精神衛生法から精神保健法に改称・改正

福祉関係八法改正

 わが国では1990(平成2)年に福祉関係八法改正が行われ、老人福祉法、身体障害者福祉法、精神薄弱者福祉法改正により、在宅福祉サービスの法定化し、身体障害者入所措置権を町村に委譲、在宅福祉と施設福祉の市町村への一元化が行われました。

障害者基本法

 1993(平成5)年には、従来の「心身障害者対策基本法」から改称・改正されて「障害者基本法」が制定されました。この法律制定により、従来は対象外であった精神障害者が法律の対象に拡大され、障害者の自立と社会・経済、文化その他あらゆる分野の活動への参加を促進することを法の目的とし、すべて障害者は、社会を構成する一員としてこれらの活動に参加する機会を与えられるものとするという、基本理念を規定しました。

 また、国に対して障害者基本計画の策定を義務づけ、都道府県と市町村に障害者計画の策定を努力義務として課しました。この法律の時点ではまだ、障害者に対して自立への努力義務が規定されていました。

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)

 1995(平成7)年、「精神保健法」が改称・改正され「精神保健福祉法」が制定されました。精神障害者を初めて生活者の視点で捉えた画期的な改正で、精神障害者の自立と社会参加、精神障害者保健福祉手帳制度の創設、社会復帰施設の類型化、精神障害者福祉ホームの創設等が盛り込まれました。

1990年代

福祉関係八法改正1990(平成2)年:老人福祉法、身体障害者福祉法、精神薄弱者福祉法に、在宅福祉サービスが法定化された
障害者基本法1993(平成5)年:心身障害者対策基本法から改称・改正し、対象を精神障害者にも拡大
精神保健福祉法1995(平成7)年:精神障害者を生活者の視点で捉えた改正。精神障害者保健福祉手帳制度の創設等

支援費制度

 最後に2000年代以降の障害者施策を取り上げていきます。
2003(平成15)年、身体障害と知的障害を対象に、障害者の施設サービス、障害児・者の在宅サービスが、措置から契約としての支援費制度に移行しました。この時点では、精神障害者は対象外でした。

障害者基本法改正

 2004(平成16)年、「障害者基本法」が改正され、障害者週間の設置、中央障害者施策推進協議会の設置等が盛り込まれ、都道府県と市町村に障害者計画の策定が義務化されました。また、この改正で障害者本人に対する自立への努力義務規定は削除されました。

障害者自立支援法

 2005(平成17)年、障害者自立支援法が制定され、身体障害・知的障害・精神障害の三障害を対象に、障害福祉サービスが一元化され、支援費制度から障害者自立支援制度に移行しました。障害福祉サービスの提供に際して、全国一律の障害程度区分認定制度が導入され、区分に応じたサービスを提供することとされました。

支援費制度 2003(平成15)年:身体障害・知的障害を対象に、障害者の福祉サービスが措置から契約に移行。(精神障害は対象外)
障害者基本法改正 2004(平成16)年:都道府県・市町村障害者計画策定義務化、障害者週間の設置、中央障害者施策推進協議会の設置
障害者本人に対する自立への努力義務規定は削除
障害者自立支援法 2005(平成17)年:身体障害・知的障害・精神障害を対象に、支援費制度から障害者自立支援制度に移行。障害程度区分認定を導入

障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)

 2006年に、国連が障害者権利条約を採択しました。この条約は、障害者の基本的な人権の享有、尊厳の尊重、社会への平等で完全な参加の保障、障害を理由とする差別の禁止、社会的障壁の除去、合理的配慮等について、社会モデルの視点で規定しています。わが国は、この条約を締結するために国内法の整備を始めました。

障害者虐待防止法

 2011(平成23)年、国内法の整備の一環として、障害者虐待防止法が制定されました。この法律では、障害者虐待を、養護者による虐待、障害者福祉施設従事者等による虐待、使用者による虐待の3種類に分類して定義し、障害者虐待発見者に対して速やかな通報を義務づけ、市町村虐待防止センター、都道府県障害者権利擁護センターの設置等を規定しました。

障害者基本法改正

 2011(平成23)年、障害者基本法を改正し、障害者権利条約の社会モデルの考え方を踏まえ、障害の定義に発達障害、難病を追加し、社会的障壁の概念を導入しました。

障害者総合支援法

 2012(平成24)年:障害者基本法改正を受けて、障害者自立支援法が改称・改正され、障害者総合支援法が制定されました。障害者に難病を追加し、従来の障害程度区分から障害支援区分に移行しました。また、重度訪問介護の対象が拡大され、従来の肢体不自由に、知的障害、精神障害が追加されました。

障害者差別解消法

 2013(平成25)年、障害者基本法の改正を受けて障害者差別解消法が制定されました。障害者を社会モデルの考え方に基づき、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう」と定義しています。また、障害者差別解消措置として合理的配慮を規定し、行政機関には合理的配慮を義務づけ、民間事業者には努力義務としました。

精神保健福祉法改正

 2013(平成25)年、精神保健福祉法が改正され、保護者制度の廃止、厚生労働大臣による精神障害者医療提供確保指針策定規定、精神科病院の管理者に対する医療保護入院者の退院後の生活環境に関する相談・指導を行う者(精神保健福祉士等)の設置、地域援助事業者との連携、退院促進のための体制整備、精神医療審査会の委員規定の改正等が規定されました。

障害者権利条約の批准

 以上のような国内法の整備により、わが国は2014(平成26)年に、障害者の権利に関する条約を批准しました。締約した国は、条約に基づく義務を履行するために取った措置、及びこれらの措置によりもたらされた進歩に関する包括的な報告を、国連に提出することが定められています。国連の障害者権利委員会がその報告を検討し、提案や勧告を行うことになっています。

障害者基本計画(第4次)

 2018(平成30)年3月、2018(平成30)年度からの5年計画としての「障害者基本計画(第4次)」が策定されました。基本理念として、障害の有無によって分け隔てられることなく共生する社会の実現を目指して、障害者を、自らの決定に基づき社会のあらゆる活動に参加する主体として捉え、障害者がその能力を最大限に発揮して自己実現できるよう支援し社会的障壁を除去することを掲げています。

 「基本計画を通じて実現を見目指すべき社会」として、(1)「一人ひとりの命の重さは障害の有無によって少しも変わることはない」という当たり前の価値観を国民全体で共有できる社会、(2)誰もが活躍できる社会、(3)障害者施策が国民の安全や社会経済の進歩につながる社会を挙げています。また、「基本原則」として、地域社会における共生、差別の禁止、国際的協調を掲げています。

 内容として、安全・安心な生活環境の整備、情報アクセシビリティの向上、・意思疎通支援の充実、差別の解消・権利擁護の推進・虐待の防止等の11の分野を取り上げて具体的な目標を示し、必要な分野には具体的な数値目標が掲げられています。

障害者権利条約2006年:国連が採択
障害者虐待防止法2011(平成23)年:障害者虐待を(1)養護者によるもの、(2)障害者福祉施設従事者等によるもの、(3)使用者によるものと定義
障害者基本法改正2011(平成23)年:障害者権利条約の社会モデルの考え方を踏まえ、社会的障壁の概念を導入
障害者総合支援法2012(平成24)年:障害者に難病を追加し、従来の「障害程度区分」から「障害支援区分」に移行
障害者差別解消法2013(平成25)年:社会モデルの視点から合理的配慮を規定。行政機関は義務、民間事業者は努力義務
精神保健福祉法改正2013(平成25)年:保護者制度の廃止、精神科病院管理者の退院促進体制整備、精神医療審査会の委員規定の改正
障害者権利条約の批准わが国は2014(平成26)年に批准
障害者基本計画(第4次) 2018(平成30)年からの5年計画
○「一人ひとりの命の重さは障害の有無によって少しも変わることはない」という当たり前の価値観を国民全体で共有できる社会
○誰もが活躍できる社会
○障害者施策が国民の安全や社会経済の進歩につながる社会

 いかがでしたか。障害福祉サービスの内容等についても、よく学習しておきましょう。

 次回は、「低所得者に対する支援と生活保護制度」を取り上げます。では、今回の課題を第22回精神保健福祉士国家試験の中からあげておきますので、チャレンジしてみてください。

第22回 精神保健福祉士国家試験 「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」

問題57  障害者福祉制度の発展過程に関する次の記述のうち、最も適切なもの1つ選びなさい。

  • 1 1960年(昭和35年)に成立した精神薄弱者福祉法は、ノーマライゼーションを法の理念とし、脱施設化を推進した。
  • 2 1981年(昭和56年)の国際障害者年で主題として掲げられたのは、合理的配慮であった。
  • 3 1995年(平成7年)に精神保健法が精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に改正され、保護者制度が廃止された。
  • 4 2013年(平成25年)に成立した「障害者差別解消法」では、障害者を医学モデルに基づいて定義している。
  • 5 2018年(平成30年)に閣議決定された障害者基本計画(第4次)では、命の重さは障害によって変わることはないという価値観を社会全体で共有できる共生社会の実現に寄与することが期待されている。