メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第4回 「精神保健の課題と支援」

 皆さん、こんにちは。新年度を迎え早くも1か月が過ぎました。新型コロナウイルス感染症の影響で厳しい毎日が続いています。精神的にも落ち着かない日々を送っておられることと思いますが、1日も早い終息を願いつつ今できることの最善を尽くしてまいりましょう。

 今回は、「精神保健の課題と支援」を取り上げていきます。現代社会は多くの精神保健福祉の課題が山積しています。この科目は、社会生活における神保健に関するあらゆる分野の課題を対象としています。そのため範囲が広く対応に苦慮するかもしれませんが、近年の出題傾向をみると、一定の基礎的知識で解答を導きだせるものが多くみられます。

 出題範囲を着実に学習し、基本的な知識をしっかりと身につけておけば合格圏の得点は十分可能です。様々な報道にアンテナをはりめぐらせて、精神保健に関する情報に注目しておくとよいでしょう。では最初に前回の課題の解説をしておきたいと思います。

第22回 精神保健福祉士国家試験 「精神疾患とその治療」

問題2 次のうち、ICD-10 において、解離性(転換性)障害に含まれているものとして、正しいもの1 つ選びなさい。

  • 1 トランスおよび憑依障害
  • 2 強迫性障害
  • 3 パニック障害
  • 4 身体化障害
  • 5 離人・現実感喪失症候群

正答1

解答解説

  • 1 正しい。「トランスおよび憑依障害」は「解離性(転換性)障害」に含まれます。「解離性(転換性)障害」は、ICD-10では「神経症性障害、ストレス関連障害、身体表現性障害(F44)」に分類されています。「F4」は、障害の原因が心因性であるというところに特徴があります。解離性(転換性)障害の症状には、精神症状としての解離性健忘、解離性遁走、解離性混迷、トランス及び憑依障害等と、身体症状としての失立、失歩、失声、難聴、視覚障害、振戦、及び精神症状と身体症状が混合して現れる解離性けいれん(痙攣)等があります。
  • 2 誤り。強迫性障害は、「F42」に分類され、強迫観念や強迫行為を症状とします。「強迫観念」とは、その考えが合理的でないとわかっていてもその考えを自分では押さえられず、手に菌がついているのではないか、鍵を閉め忘れたのではないか等の思いにとらわれ生活に支障をきたす障害です。「強迫行為」とは、強迫観念が行為に現れたもので、強迫観念によって数時間にわたって手を洗い続けたり、鍵を閉めたかどうか何回も確認しないと気が済まない等の強迫行為によって生活に支障をきたす障害です。
  • 3 誤り。パニック障害は、「F41」に分類されます。パニック障害は、明確な理由が無く、突然急激な不安や恐怖が襲い、パニック発作を起こす障害です。動悸や発汗、息苦しさ、胸痛、めまい等の症状を呈します。
  • 4 誤り。身体化障害は、「F45」に分類されます。本人は身体に異常があると訴えるため検査等をしても医学的異常がないと説明してもさらに検査を要求する等、身体的に異常があると思い込む障害です。腹痛や下痢、しびれや皮膚の痛み、頭痛、耳鳴り、視力障害等、訴える箇所は一定ではなく、医学的根拠はありませんが本人にとってはその症状は実際に存在すると感じられているという障害です。
  • 5 誤り。離人・現実感喪失症候群は、「F48」に分類されます。身体や精神から自分が切り離されたような感覚が持続的、反復的にあり、自分を外側から観察しているように感じる離人感や、自分が外界から切り離されているような現実感の消失があります。生命を脅かすような経験、小児期の虐待や強度のストレスが引き金になると考えられています。

 いかがでしたか。では、今回の「精神保健の課題と支援」をみていきましょう。出題基準と過去の出題傾向を分析しながら、出題率の高い分野を中心に取り上げて対策を立てていきます。

精神の健康と、精神の健康に関連する要因及び精神保健の概要

 「社会構造の変化の新しい健康観」の分野からは、「健康の定義」として、ICFの概念が出題されています。アルマ・アタ宣言のプライマリ・ヘルスケアやオタワ憲章のヘルスプロモーションの概念等が出題されていますので内容を押さえておきましょう。

 「ライフサイクルと精神の健康」の分野からは、「発達課題」として、注意欠陥多動性障害、エリクソン、ピアジェの発達理論やゲゼルの成熟優位説、ボウルビイの愛着(アタッチメント)理論等が出題されています。共通科目の「心理学理論と心理的支援」と重なる内容ですから、並行して学習しておくとよいでしょう。

 「ストレスと精神の健康」からは、燃え尽き症候群(バーンアウト)、ストレスコーピング、外傷後ストレス障害等の出題実績があります。「自殺予防」については、自殺対策基本法とその改正内容が出題されていますので、新たな自殺総合対策大綱や自殺の実態等も把握しておきましょう。

精神保健の視点から見た家族の課題とアプローチ

 この分野からは、家族の課題として、ドメスティック・バイオレンス、マタニティブルーズと産後うつ、子育て不安と児童虐待等が、繰り返し出題されています。介護負担と高齢者虐待、ひきこもり、がん患者支援、グリーフケア等も含めてよく学習しておきましょう。

 また、これらの諸課題を支援する機関として、要保護児童対策地域協議会、配偶者暴力相談支援センター、ひきこもり地域支援センター、地域包括支援センター、児童家庭支援センター、発達障害者支援センター等の関連機関が出題されています。それぞれの機関の法的位置づけと役割を把握しておきましょう。

精神保健の視点から見た学校教育の課題とアプローチ

 「現代日本の学校教育と生徒児童の特徴」の分野からは、いじめ防止対策推進法が出題されています。いじめや不登校、校内暴力、自殺、非行等について、文部科学省が実施している「児童生徒の問題行動等指導上の諸問題に関する調査」の結果等を、文部科学省のホームページで確認しておきましょう。また、いじめや不登校については、それぞれの定義も正確に理解しておきましょう。

 「教員の精神保健」「関与する専門職と関係法規」からは、「公立学校教職員の人事行政状況調査」(文部科学省)が出題されています。教師のバーンアウトや精神疾患による休職の実態、学校保健安全法等の内容を確認しておきましょう。

 いじめや不登校、貧困などが複雑に絡み合っている、学校現場における児童の諸課題に対して、スクールソーシャルワーカーの役割の重要性が増してきていますので、スクールソーシャルワーカー活用事業実施要領(平成25年4月1日付:初等中等教育局長決定:平成29年一部改正)等にも目を通して、スクールソーシャルワーカーの位置づけ、役割等について、具体的な事例問題にも対応ができるようにしておきましょう。

精神保健の視点から見た勤労者の課題とアプローチ

 この分野は極めて出題率が高く、ストレスチェック制度、労働者の精神保健の現状と職場のメンタルヘルスが出題されています。非正規職員の増加と正規職員の過重労働、職場におけるうつ病の増加や過労死など、長期休業や自殺との関連において職場でのメンタルヘルス対策が急務となっていますので、今後も出題の可能性は高いと思われます。

 労働安全衛生法やストレスチェック制度、過労死等防止対策推進法、労働者の職場復帰支援としてのリワークプログラム、男女雇用機会均等法等の、関連法規の内容をよく学習しておきましょう。また、「心理的負荷による精神障害の認定基準(精神障害者の労災認定基準)」「事業場における労働者の心の健康の保持増進のための指針(メンタルヘルス指針)」「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」等にも目を通しておきましょう。

 ギャンブル等依存症対策として、「ギャンプル等依存症対策基本法」が出題されています。総合型リゾート(IR)整備推進法(通称カジノ法)が成立し、ギャンブル依存症の増加が懸念されるためこの法律が制定されました。ギャンブル等依存症の定義、国や地方公共団体の責務、関係事業者の責務、啓発週間等について確認しておきましょう。

精神保健の視点から見た現代社会の課題とアプローチ

 災害関係では、災害対策基本法における施策と被災者の精神的な外傷への対応を押さえておきましょう。第22回試験では、災害派遣精神医療チーム(DPAT)、サイコロジカル・ファーストエイド(PFA)二次受傷などが出題されています。今回は、後ほどこの分野について解説していきます。

 犯罪被害者への支援については、犯罪被害者等基本法等の被害者への支援体制施策をよく理解しておきましょう。「犯罪被害者に対する急性期心理社会支援ガイドライン」にも目を通しておくとよいでしょう。

 現代社会の課題としてのニートや貧困問題、フリーター、ホームレスの実態については、全国調査の結果等を確認しておきましょう。また、ホームレス自立支援法におけるホームレスの定義やホームレス対策、ホームレスの実態についても理解しておきましょう。

 性同一性障害については、「性同一性障害者の性別の取り扱いの特例に関する法律」が出題されています。「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」と併せて目を通してきましょう。

精神保健に関する対策と精神保健福祉士の役割

 この分野では、アルコール患者の実態と特徴、うつ病や自殺との関連、WHO(世界保健機構)におけるアルコール対策、健康日本21(第2次)などのわが国のアルコール施策について学習しておきましょう。また、アルコール健康障害対策基本法における、アルコール健康障害の定義や基本計画策定等についての規定を整理しておきましょう。

 薬物依存対策としては、2018(平成30)年8月に新たに策定された第五次薬物乱用防止5か年戦略の要点や、ダルク等の薬物依存症当事者活動について理解を深めておきましょう。第22回では、精神作用物質の乱用対策と薬物使用者への援助として集団認知行動療法プログラム、ハームリダクション等が出題されています。麻薬及び向精神薬取締法、覚せい剤取締法等も含めて薬物対策を押さえておきたいものです。

 認知症高齢者施策については、制度的な面として、認知症疾患医療センター、認知症地域支援推進員、認知症サポーターキャラバン、認知症サポート医、認知症地域支援施策推進事業等について整理しておくとよいでしょう。

 社会的ひきこもり対策としては、ひきこもり地域支援センターの設置と役割、配置職員、利用対象、利用方法等について、「ひきこもり対策推進事業実施要綱」で確認しておきましょう。「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」やひきこもりの定義と実態、地域若者サポートステーション等についても確認しておきましょう。

 精神保健福祉士の役割としては、依存症対策における精神保健福祉士の支援のあり方が出題されています。依存症患者の特質の理解と、ソーシャルワーカーの視点に立った支援のあり方を習得しておきましょう。

地域精神保健に関する諸活動と精神保健に関する偏見・差別等の課題

 この分野からは、関連法規として障害者総合支援法、地域保健法、医療法、障害者総合支援法、精神保健福祉法、医療観察法が出題されています。学校保健安全法、母子保健法等も含めて、地域精神保健と関連各法について理解しておきましょう。

 精神保健に関する調査については、患者調査、自殺統計、国民生活基礎調査等の調査統計から、精神保健医療状況や精神疾患に関する動向が出題されています。報告書等を活用して確認しておきましょう。偏見・差別等の課題としては、施設コンフリクトに対する精神保健福祉士としての関わりかたが出題されています。

精神保健に関する専門職種(保健師等)と国、都道府県、市町村、団体等の役割及び連携

 この分野からは、保健所、精神保健福祉センター、市町村保健センター、福祉事務所、家庭裁判所が出題されています。精神保健に関する行政や関連機関のそれぞれの役割や、精神保健福祉法、地域保健法、保健師助産師看護師法における規定等に目を通しておきましょう。

 学会や啓発団体については、精神保健福祉活動を行っている民間団体の創設の経緯が出題されています。精神病者慈善救治会、いのちの電話、全日本断酒連盟、日本精神衛生会、全国精神障害者団体連合会、全国精神保健福祉連絡協議会や、セルフヘルプグループとしての当事者組織や家族会などについても、整理しておきましょう。

諸外国の精神保健活動の現状及び対策

 世界の精神保健の実情として、DALY(障害調整生存年)、メンタルヘルスアクションプラン2013-2020、mhGAP(精神保健ギャップ・アクション・プログラム)、DSM、ヘルシーピープル2010等が出題されています。国際的な精神保健施策やWHO等が進めている諸施策等を理解しておきたいものです。

災害と精神保健

 以上、この科目の全体を概観してきましたが、今回は「災害時の精神保健」について取り上げていきます。災害は、通常体験することのない生命を脅かすような出来事であり、身体的、精神的に大きなストレスをもたらします。また、身近な人の死や住み慣れた家を失う等、生活が激変することによって、精神的にも不安定になり、精神的な健康を保つことが困難になります。
 被災者全体の精神的な健康を守るため、また、精神医療を必要とする被災者の支援、精神疾患の予防や早期発見・対応のために、災害時の精神保健活動が求められています。

心的外傷後ストレス障害(PTSD)

 被災時には、必死で頑張らなければならないため、自分では気づかずにそのストレスをおもてに出すことができずに、被災後一定の期間が経過してから心身の不調が顕在化してくることがあります。

 被災時の出来事や恐怖が再現されて想起されるフラッシュバックや、過覚醒、回避症状などがみられます。これを心的外傷後ストレス障害(PTSD)といいます。外傷的出来事を体験・目撃したあと4週間以内に発症する場合は急性ストレス障害と診断されますが、一定期間を置いてから症状が現れ、その症状が一定期間継続している場合には、PTSDと診断されます。治療としては、SSRIなどの薬物療法や認知行動療法が用いられます。

災害派遣精神医療チーム(DPAT)

 災害派遣精神医療チーム(DPAT:デイーパット:Disaster Psychiatric Assistance Team)は、災害時の精神保健のための組織です。自然災害や犯罪時等に、被災地域の精神保健医療ニーズの把握、他の保健医療体制との連携、各種関係機関等とのマネージメント、専門性の高い精神科医療の提供と精神保健活動の支援を目的として、都道府県及び政令指定都市によって組織され、専門的な研修・訓練を受けたチームです。

 DPATは、被災時に被災地域の都道府県等からの派遣要請に基づき、派遣されます。被災当日から遅くとも72時間以内に、所属する都道府県等以外の被災地域においても活動できる班を先遣隊として派遣します。

チーム構成員

 チーム構成は、精神科医、看護師、業務調整員を基本としますが、必要に応じて児童精神科医、薬剤師、保健師、精神保健福祉士、臨床心理技術者などを加えることができます。1チームの活動期間は、1週間(移動日2日・活動日5日)を標準としますが、必要があれば一つの数週間から数か月継続して派遣することもあります。

都道府県・厚生労働省の役割

 都道府県は、DPATを整備し、災害時こころの情報支援センター(厚生労働省の委託事業)に、DPATに関する情報の登録をしておき、定期的にDPATの講師員に研修を受けさせます。厚生労働省は、DPATの活動要領を策定し、災害時こころの情報支援センターを通じて全国のDPATの質の維持及び向上を図ります。

災害時こころの情報支援センター

 災害時こころの情報支援センターは、国立精神・神経医療研究センターに設置されており、広域災害等に対応するための全国規模での研修を実施し、都道府県等に対する技術的支援を行うとともに、災害時精神保健医療情報支援システム(Disaster Mental Health Information Support System:DMHISS)の運用・保守を行います。

災害時精神保健医療情報支援システム

 災害時精神保健医療情報支援システムは、災害時に効率的な活動を行うためのインターネットを用いた情報を共有するためのシステムで、派遣要請に対して派遣先を割り当てる機能、活動記録機能、集計機能を有しています。

災害派遣精神医療チーム(DPAT)
目的 災害時の精神保健のために、都道府県及び政令指定都市によって組織され、専門的な研修・訓練を受けたチーム
構成員 精神科医、看護師、業務調整員を基本とし精神保健福祉士などの関係職員を加えることができる
都道府県 DPATを整備し情報を登録。構成員に研修を受けさせる
厚生労働省 DPAT活動要領の策定、研修の実施
災害時こころの情報支援センター 厚生労働省の委託事業。国立精神・神経医療研究センターに設置。全国規模での研修を実施。都道府県等への技術的支援、災害時精神保健医療情報支援システムの運用・保守
災害時精神保健医療情報支援システム インターネットによる情報共有、派遣要請への派遣先割り当て、活動記録、集計機能を有する

サイコロジカル・ファーストエイド

 サイコロジカル・ファーストエイドは、心理的応急処置のことで、災害による被害や犯罪による被害で苦しんでいる人に、専門職だけではなく、同じ人間としてだれでもできる人道的、支持的な対応のことです。

 専門家にしかできないことではなく、被災で苦しんでいる人々に対して、だれでもできる実際に役立つ支援やケアを提供します。具体的には、話を聞く、人と人とがつながっており、安心して、希望が持てると感じてもらえるようにする活動です。

 具体的には、実際に役立つケアや支援の提供、ニーズや心配事の確認、食料・水などの基本的ニーズを満たす援助、話すことを無理強いしないで話を聞く、必要な情報やサービスが得られるような手助け、二次被害を受けないように支援をします。

デブリーフィング

 デブリーフィングの本来の意味は、結果の報告、事実確認を意味しますが、心理的デブリーフィングとして使用される場合は、災害や精神的ショックを経験した人々に対して行われる、急性期の支援方法のことです。

 デブリーフィングでは、トラウマとなるような出来事を体験した人が、その体験をグループで話し合い、互いを理解しあう雰囲気のなかで、心に溜まったストレスを処理することを目指します。

 大規模災害や悲惨な死傷事故を目の当たりにした人々は、不安感や抑うつ感にとらわれることが多く、それまでの自分と異なる自分自身を受けとめきれずに不安定になります。悲惨な体験をわかち合うことによって、自分自身の感情の変化は、ストレスによって引き起こされた正常な反応であると認識することができ、回復へとつながっていきます。ただ、話し合いをすることによって被災時等のショックを思いだすために、逆効果になることがあることを踏まえておくことが必要です。

二次受傷

 二次受傷とは代理受傷とも呼ばれ、災害や事故等の悲惨な体験を負った人を支援することで、被災者と同じようなPTSD症状を起こすことです。被災者から聞いた話がフラッシュバックしたり、燃え尽き症候群等を呈することがあります。

 医療従事者や精神保健従事者、福祉従事者等、責任感や使命感が強い人程、すぐに表れない活動の成果に絶望感を感じることがあり、知らないうちに二次受傷を受けていることがあります。二次受傷の予防のためには、十分にその重荷をわかち合い、自分を気遣ってくれる人との会話や社会的なサポートが必要です。二次受傷がみられたときは、物理的・精神的に被災の現場から離れたり、十分な休養、気分をやわらげるストレス解消等が必要になります。

サイコロジカル・ファーストエイド 心理的応急処置。被災のため苦しんでいる人にだれでもできる実際に役立つ支援やケアを提供すること
デブリーフィング 被災者等に行われる急性期の支援方法で悲惨な体験を話し合うことによって回復へとつなげる方法。ただし、被災時等のショックを思いだすために逆効果になることがある
二次受傷 被災者等を支援することで、被災者と同じような外傷性ストレス反応を起こすこと。予防には社会的なサポートが必要

 いかがでしたか。今回は災害時の精神保健を中心に取り上げましたが、この科目は範囲が広いので、各出題範囲をバランスよく学習しておきましょう。次回は「精神保健福祉相談援助の基盤」を取り上げます。では、第22回試験の「精神保健の課題と支援」から今回の課題を上げておきますので、チャレンジしてみてください。

第22回 精神保健福祉士試験 「精神保健の課題と支援」

問題17 災害時の精神保健に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1  災害発生後48時間以内に被災者が呈する精神症状を心的外傷後ストレス障害 (PTSD)という。
  • 2 厚生労働省によって組織される専門的な研修・訓練を受けたチームを災害派遣精神医療チーム(DPAT)という。
  • 3 重度の精神障害者のために考案された介入法を、サイコロジカル・ファーストエイド(PFA)という。
  • 4 被災者の治療優先順位を決める手法を、デブリーフィングという。
  • 5 被災者へのケア活動によって、被災を直接経験していない支援者に生じる外傷性ストレス反応のことを二次受傷という。