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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第3回  「精神疾患とその治療」

 皆さん、こんにちは。新型コロナ感染症で世界的に厳しい状況が続いてきます。今まで経験したことのない事態に遭遇し、どのように受けとめていったらよいのか戸惑う日々ですが、1日も早い終息を心から願うばかりです。
 今回からは、具体的な科目ごとの対策に入っていきます。この講座では、専門科目、共通科目の順で受験対策を行っていきます。今回は「精神疾患とその治療」を取り上げます。出題基準と過去の出題実績を踏まえて出題傾向を分析し、対策を立てていきたいと思います。

出題範囲

 この科目の出題範囲は、「1.精神疾患総論」「2.精神疾患の治療」「3.精神科医療機関の治療構造及び専門病棟」「4.精神科治療における人権擁護」「5.精神科病院におけるチーム医療と精神保健福祉士の役割」「6.精神医療と福祉及び関連機関との間における連携の重要性」という6つの分野に分かれています。

 第22回の精神保健福祉士国家試験をみると、「精神疾患総論」から6問、「精神疾患の治療」から3問、「精神科治療における人権擁護」から1問という構成でした。
 この科目で最も出題数が多い分野は「精神疾患総論」で、ほとんど毎回6問から7問が出題されています。そのほかの分野は、各1問から2問という出題構成が定着しているといえるでしょう。では、出題頻度の高い分野について学習しておくべき内容を確認していきたいと思います。

精神疾患総論

 この分野は、大項目の説明に、「代表的な精神疾患について、成因、症状、診断法、治療法、経過、本人や家族への支援を含む」とされています。では、その主な内容について、中項目を中心に小項目の例示も参考にしてみていきましょう。

 「精神現象の生物学的基礎」からは「脳の構造」の分野から連続して出題されています。脳の仕組みと働きとして、大脳、小脳、脊髄、間脳、視床、視床下部、中枢神経、末梢神経、前頭葉、頭頂葉、側頭葉、辺縁系、大脳基底核、垂体路等の機能をしっかり理解しておきましょう。

 「精神疾患の成因と分類」の分野からは、「国際分類法」として「ICD-10」の「F0」から「F9」の疾病分類が出題されています。既にWHOから「ICD―11」が公表されていますが、適用に至るまでは約1年から2年を必要とするとされていますから、第23回の受験対策としては「ICD-10」で学習しておけばよいでしょう。

 今までの出題実績をみると、「神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害(F4)」「解離性(転換性)障害(F4)」に該当する疾患が出題されています。どの分野が出題されるかはその年によって異なりますが、「F0」から「F9」の疾病分類とそれぞれの疾病の特徴は、基本的な知識なのでよく学習しておいてください。

 「代表的な疾患」の分野からは、「パニック障害」「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」「気分障害」「統合失調症」「認知症」「身体表現性障害」等の出題実績があります。このほかアルコール関連障害、睡眠障害、パーソナリティ障害、行動障害、発達障害などの代表的な疾患についても学習しておきましょう。

 「精神症状と状態像」の分野は頻出分野です。心気障害、アルコール依存症の離脱症状、解離性(転換性)障害、小児自閉症等が出題されています。患者の訴えと精神症状について、具体的な疾患とそれぞれの症状を整理しておきましょう。今回はのちほど、解離性(転換性)障害を中心に取り上げていきます。

 「診断の手順と方法」からは、てんかんの診断、病院での初回面接の出題がありました。この分野については、「精神科医療機関の治療構造及び専門病棟」の分野の「外来診療」とも重なる分野ですので、並行して学習しておくとよいでしょう。

 「身体的検査と心理検査」については、認知症のスクリーニングテストであるミニメンタルステート検査、質問紙法による心理検査、脳波検査、頭部CT検査等が出題されています。身体的検査を必要とする疾患は限られていますから、てんかんの発作や脳血管性の障害等を押さえておくとよいでしょう。心理検査としての精神症状の評価尺度や一般的な心理テストについては、共通科目の「心理学と心理的支援」と重なる内容ですから並行して学習しておきましょう。

精神疾患の治療

 「精神科薬物療法」の分野からは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の副作用、向精神薬や抗精神病薬の副作用の出題率が高い傾向にあります。定型抗精神病薬、非定型抗精神病薬、抗うつ薬、気分安定薬、抗不安薬、精神刺激薬、抗てんかん薬などの、薬理作用や効果と副作用、使用に際して注意すべきことについて整理しておきましょう。

 「電気けいれん療法等の身体療法」については、修正型電気けいれん療法が出題されています。適用対象疾患、適用症状と適用方法、適用時の留意事項、副作用などを理解しておきましょう。

 「精神療法」の分野からは作業療法、精神分析療法、精神力動的精神療法、認知療法等が出題されています。精神療法の種類とその基盤となる考え方、適用対象疾患を押さえておきましょう。認知行動療法、森田療法、自律訓練法、家族療法、支持的精神療法等についても確認しておくとよいでしょう。

 「精神科リハビリテーション」の分野からは、社会生活技能訓練(SST)の具体的技法が出題されています。家族療法、心理教育などについても、精神保健福祉援助技術とあわせて学習しておきましょう。

精神科医療機関の治療構造及び専門病棟

 「疾病構造と医療構造の変化」の分野からは、病院報告、患者調査が出題されています。患者調査については「精神保健の課題と支援」で出題されることもあります。出題傾向をみると、細かい数字というより、全体の推移や動向に関する内容を問うものになってきていますから、入院患者、通院患者について、疾患と傾向を押さえておくとよいでしょう。

精神科治療における人権擁護

 「精神科治療と入院形態」の分野からは、精神保健福祉法における入院形態が出題されています。任意入院、医療保護入院、措置入院等の対象と要件について整理しておきましょう。

 「隔離、拘束のあり方」の分野からは、入院中の隔離処遇の基準と精神保健指定医の役割が出題されています。入院時処遇における精神保健指定医の役割等について理解を深めておきましょう。また、「隔離・拘束」のための条件、遵守事項等を確認しておいてください。「移送制度」についての出題はまだありませんが、移送のための条件、移送の対象、手順等についても確認しておくとよいでしょう。

精神医療と福祉及び関連機関との間における連携の重要性

 「退院促進の支援」では、包括型地域生活支援プログラム(ACT)の基本的内容を理解しておきましょう。「医療観察法」は出題率が高いので、医療観察制度の概要を整理して学習しておきましょう。

 以上、この科目の全体を概観してきましたが、今回は解離性(転換性)障害の症状を中心に取り上げていきます。

「解離性(転換性)障害」とは

 「解離性(転換性)障害」は、ICD-10では、「神経症性障害、ストレス関連障害、身体表現性障害(F44)」に分類されています。「F4」は、障害の原因が、心因性であるというところに特徴があります。つまり、過剰な心理的、社会的なストレスが障害を引き起こす原因となっているという障害です。

 私たちの人格は、意識や記憶、知識、認知等、自分自身の自我同一性、つまりアイデンティティとして統合されています。「解離」とは、この自我統一性の統合機能が失われた状態をいいます。「転換」とは、心理的葛藤や精神的なストレスが身体症状に置きかえられることを意味します。

 無意識の心理的葛藤が、解離等の精神症状を引き起こしたり、身体症状に転換して起こるものです。これは、耐えられない体験や出来事に対して、無意識のうちに自我を守ろうとするために生まれる症状です。

 解離性(転換性)障害の症状には、精神症状として現れるもの、身体症状として現れるもの、精神症状と身体症状が混合して現れるものがあります。精神症状として現れる解離症状には、解離性健忘、解離性遁走、解離性混迷、トランス及び憑依障害等があります。身体症状として現れる解離症状には、失立、失歩、失声、難聴、視覚障害、振戦、けいれん等があります。精神症状と身体症状が混合して現れるものには、解離性けいれん(痙攣)等があります。

解離性健忘

 解離性健忘とは、外傷的出来事を原因とする重要な出来事を、その部分だけ選択的に記憶喪失することで、自分にとって耐えられない強い体験や出来事を、健忘という形で自分自身から分離することによって、自己を守るという、防衛機制が働いた結果生まれる症状です。
 災害や事故等の一過性の外傷や、幼少時からの虐待経験や長期にわたる戦争体験等の、慢性的な心的外傷、また、経済的問題、家族の問題、仕事の問題等の、過剰なストレスが発症の原因になることがあります。

解離性遁走

 解離性遁走とは、対応しきれない苦痛や体験から一時的に無意識に逃れ、失踪することです。この遁走期間の記憶は欠落します。日常生活の場から突然のがれて、まったく関係のない場所で、別人格で生活することもあります。重度の心理的圧力、社会的ストレス、災害等が引き金になります。
 遁走期間は、数時間から数日、数か月続くこともあります。遁走中は、まったく別人格で生活できてしまうため、自分から診察を受ける必要性を感じず、問題が起こって診察を受け、初めて障害に気づくことがあります。

解離性昏迷

 解離性昏迷とは、意識があるにもかかわらず、外界の刺激に対する正常な反応が弱まり、あるいは欠如する状態をいいます。大きな災害、事故、暴力、身近な人の突然の死等、耐えられないような事がらに遭遇した後、朦朧状態になり、言葉を掛けても反応がほとんどないか鈍くなります。

 激しい恐怖や絶望感から自分自身を守るために、無意識のうちに感覚を麻痺させることによって、そのつらい体験を自分の中から切り離そうとする、防御反応であると考えられています。

トランス及び憑依障害

 トランス及び憑依障害とは、通常とは異なった変性意識状態であるトランス状態や、霊等がのりうつったような状態になる障害です。本人とは別の人格、霊魂、神、力にとりつかれ、自分が自分であるという認識と感覚を喪失する障害です。

解離性運動障害

 解離性運動障害とは、心理的な葛藤が抑圧され、身体症状に転換されて現れる障害です。症状としては、失立、失歩、失声、聴力障害、視力障害、運動麻痺、運動失調、振戦、けいれん等があります。検査をしても、器質性疾患がみられず、器質性疾患が原因でないことが確認されていることが診断の条件になります。心理的葛藤が取り除かれると、症状が消失する傾向にあります。

解離性けいれん(痙攣)

 解離性けいれん(痙攣)は、精神症状としての意識消失と身体症状としてのけいれんがみられる発作です。意識が消失し、身体の硬直、首の規則的な左右への横振り、両上下肢の規則的、反復的なけいれんなどがみられます。てんかんのような器質性の発作ではないことを確認しておく必要があります。
 この解離性けいれん発作は、てんかん発作が1分以内に収まるのに対して、30分ほどの比較的長時間みられるのが特徴です。

ガンザー症候群

 ガンザー症候群とは、身体的、精神的に非常に不安な状態に長時間置かれると、解離状態になり、的外れな応答をするようになる症状です。留置所や刑務所のような閉鎖的な環境の中で拘禁状態に置かれ、強度のストレスを受け続けることに対する防衛機制と考えられています。

 これは、誰でもわかるような簡単な質問に対して、意図的に的外れな応答をしているわけではなく、解離性健忘に似た心理状態が引き起こす反応です。この拘禁状態から解放されれば、自然寛解するケースがみられますから、詐病とは区別されます。

解離性同一性障害

 解離性同一性障害は、多重人格障害とも呼ばれるもので、自分の中にいくつもの人格が現れる障害をいいます。ひとつの人格が現れているときは、別の人格のときのことは記憶が無いことが多く、生活に支障をきたします。耐えられないつらい体験を、自分の人格を他の人格に置きかえることによって自分自身から切り離すという、無意識の防衛反応と考えられます。

解離性(転換性)障害(F44)
解離性健忘 外傷的出来事に起因する重要な事実の選択的記憶喪失
解離性遁走 対応しきれない苦痛や体験から一時的に無意識に逃れ失踪すること
解離性昏迷 外界の刺激に対する正常な反応が欠如する状態。トランスや憑依現象がみられることがある
トランス及び憑依障害 本人とは別の人格や霊魂等にとりつかれ、自分が自分であるという認識と感覚を喪失する障害
解離性運動障害 抑圧された心理的葛藤が身体症状に転換されて現れる障害。失立、失歩、失声、聴力障害、視力障害、運動麻痺等
解離性けいれん(痙攣) 精神症状としての意識消失と身体症状としてのけいれんがみられる発作
ガンザー症候群 強度なストレスを受け続けた結果解離状態になり、問いかけに対する的外れな応答をする症状
解離性同一性障害 耐えがたいつらい体験を無意識のうちに他の人格に置きかえ、一人の中にいくつもの人格が現れる障害

大脳の器質性障害による症状について

 以上、解離性(転換性)障害の症状についてみてきましたが、身体症状として現れる場合、脳の器質性障害による症状と似通った症状がみられます。それらと区別するため、「脳の器質性障害による症状」についても、確認しておきましょう。

運動性失語

 解離性(転換性)障害の症状の中に、「失声」という症状があります。これは、脳の器質性障害によるものではなく、過重なストレスや環境が原因で発症するものですが、これと似た症状に運動性失語があります。この運動性失語はストレスによるものではなく、大脳の前頭葉にある運動性言語中枢であるブローカ中枢が、事故や脳梗塞等により障害されたことによって引き起こされる失語で、相手の言っている言葉の意味は理解できますが、言葉を発することができないという障害です。

小脳失調

 解離性運動障害の中に、運動麻痺や運動失調があります。この場合は、心的葛藤による耐えがたいストレスにより解離状態が起こり、自分で自分を統制する能力が失われるために運動麻痺症状や運動失調が起こります。

 これに対して、小脳失調は、ウイルスや小脳に影響を与える病気によって小脳が麻痺したり、小脳変性症により小脳が変性することによって起こる、運動の失調状態をいいます。運動の失調状態とは、随意運動における空間的、時間的な秩序が失われた状態で、よろめき歩行などが代表的な症状です。

左右失認

 左右失認は、大脳の頭頂葉の特定の部位の損傷が引き起こす症状です。脳梗塞や脳出血、脳腫瘍、交通事故などが引き金になります。失認とは、視覚、聴覚、触覚等の感覚器に障害がないにもかかわらず、対象の物を認識できないことです。このうちの左右失認とは、左右の識別が困難になることで、左の位置と右の位置がわからなくなるという症状です。

 大脳の頭頂葉の特定の部位の損傷が引き起こす症状としては、左右失認のほか、指示された手の指が、例えば親指であるのか小指なのかわからなくなるというような手指失認、文字が書けなくなる失書、計算ができなくなったり数字が読めなくなる失算があり、これらは、オーストリア出身のアメリカの神経学者ゲルストマン(Gerstmann.J.)が発見したので、総称してゲルストマン症候群と呼ばれています。

 また、このほか、大脳の頭頂葉損傷では、左右の片側が認知できなくなる半側空間失認、衣服を正常に着ることができなくなる着衣失行、簡単な図柄が模写できなかったり積み木が積めない等の構成失行、複雑な一連の動作ができない等の観念失行等もあります。

視覚失認

 視覚失認とは、意識障害もなく認知症でもなく、正常な視力があるのに、目の前にあるものが何であるのか認識できないという障害の状態です。触覚等の感覚によれば認識できます。網膜に映された映像が何であるか認識するための視覚を統合する、後頭葉の損傷によって起こる症状です。

 解離性運動障害でも、視力障害が起こりますが、大脳損傷による視覚失認とは異なり、視野が狭くなったり視力が落ちる等の障害であり、認知機能の障害ではありません。

大脳器質の障害
運動性失語 前頭葉の運動性言語中枢(ブローカ中枢)の損傷により、言葉の意味は理解できるが言葉を発することができないという失語
小脳失調 小脳の損傷や変性による運動失調
左右失認 頭頂葉の損傷により左右の区別ができなくなること
視覚失認 後頭葉の損傷により目の前にある物が何であるか認識できないこと

その他の「神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害」

 最後に、その他の「神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害」(F44)を確認しておきましょう。全般性不安障害、パニック障害、広場恐怖症、社交不安障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、身体表現性障害、離人・現実感喪失症候群を取り上げます。

全般性不安障害・パニック障害

 全般性不安障害は、全般的に慢性的な過度な不安が6か月以上持続し、生活に支障をきたす障害です。不安や周囲の状況に関係なく、漫然と様々なことが不安の対象になります。 パニック障害は、明確な理由が無く、突然急激な不安や恐怖が襲い、パニック発作を起こす障害です。動悸や発汗、息苦しさ、胸痛、めまい等の症状を呈します。

広場恐怖症・社交不安障害

 広場恐怖症は、広い解放的空間、バスや電車、劇場や映画館のような閉鎖的空間、群衆の中などで動悸やめまい等を起こす恐怖症で、そのような状況がおこることを回避することを特徴とします。社交不安障害は、他人がいる場面で過剰に緊張し、不安になる障害で、吃音恐怖や赤面恐怖が含まれます。

強迫性障害

 強迫性障害は、強迫観念や強迫行為を症状とします。「強迫観念」とは、その考えが合理的でないとわかっていてもその考えを抑えられないという障害です。手に菌がついているのではないかという思いにとらわれたり、鍵を閉め忘れたのではないかという疑いにとらわれたり、静かな場所で大きな声を出してしまうのではないかと極度に心配したり、一定のパターン行動をしないと次の行動に進めないと思い込んでしまう等の症状を呈します。

 「強迫行為」とは、強迫観念が行為に現れたもので、強迫行為が社会生活を妨げる程度の場合は強迫障害と診断されます。手に菌がついているのではないかという強迫観念によって数時間にわたって手を洗い続けたり、鍵を閉め忘れたのではないかと何回も確認しないと気が済まないため生活に支障をきたすという障害です。

心的外傷後ストレス障害(PTSD)

 心的外傷後ストレス障害(PTSD)とは、極端な脅威やストレスにさらされた後の数週間以降に、心的外傷の出来事の再体験(フラッシュバック)やその出来事に関連する事柄の回避、疎外感や情動の鈍磨、アンヘドニア、覚醒亢進を特徴とします。アンヘドニアとは、積極的な感情が低下すること、意欲の減退、喜びの喪失等の状態で、うつ病相などでも発症します。

身体表現性障害

 「身体表現性障害」とは、本人は身体に異常があると訴えるが、検査等を行っても医学的異常がなく、医学的根拠がないと説明してもさらに検査を要求する等、身体的に異常があると思い込む症状です。腹痛や下痢、しびれや皮膚の痛み、頭痛、耳鳴り、視力障害等、訴える箇所は一定ではなく、医学的根拠がないが本人にとってはその症状は実際に存在します。

離人・現実感喪失症候群

 離人・現実感喪失症候群とは、身体や精神から自分が切り離されたような感覚が持続的、反復的にあり、自分を外側から観察しているように感じる離人感や、自分が外界から切り離されているような現実感の消失があります。生命を脅かすような経験、小児期の虐待や強度のストレスが引き金になると考えられています。

その他の「神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害」(F4)
全般性不安障害 全般的に慢性的な過度な不安が生活に支障をきたす障害
パニック障害 突然急激な不安や恐怖が襲い動悸や発汗、息苦しさ等のパニック発作を起こす障害
広場恐怖症 広い解放的空間や閉鎖的空間などで動悸やめまい等を起こす恐怖症
社交不安障害 他人がいる場面で過剰に緊張し不安になる障害
強迫性障害 合理的でないとわかっていながら強迫的に生まれてくる強迫観念やその強迫観念が行為に現れる強迫行為によって生活に支障をきたす障害
心的外傷後ストレス障害(PTSD) 極端な脅威やストレス後の一定期間後心的外傷の出来事の再体験(フラッシュバック)や出来事に関連する事柄の回避、疎外感、情動の鈍磨、アンヘドニア、覚醒亢進を特徴とする障害
身体表現性障害 医学的異常や根拠がないにもかかわらず身体的に異常があると思い込む障害
離人・現実感喪失症候群 自分を外側から観察しているように感じる離人感や自分が外界から切り離されているような現実感の消失が持続的反復的に起こる障害

 いかがでしたか。次回は「精神保健の課題と支援」を取り上げていきます。では、第22回の精神保健福祉士国家試験の「神疾患とその治療」の問題から、今回の課題をあげておきますので、チャレンジしてみてください。

問題2 次のうち、ICD-10 において、解離性(転換性)障害に含まれているものとして、正しいもの1 つ選びなさい。

  • 1 トランスおよび憑依障害
  • 2 強迫性障害
  • 3 パニック障害
  • 4 身体化障害
  • 5 離人・現実感喪失症候群