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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第43回 第22回精神保健福祉士国家試験専門科目の分析

 皆さん、厳しい寒さの中での受験、お疲れさまでした。2月1日、2日と、緊張の連続だったことと思います。今は、達成感とともに合格への不安が入り混じっているのではないでしょうか。

 第22回試験の出題形式は、昨年に続いて5肢択一問題をベースに5肢択二問題が散在するという形態でした。事例問題についても、短文事例と長文事例という出題形態は変わらず、全体的に例年どおりの出題でした。

 受験された皆さんは、合格発表まで落ち着かない日々を過ごすことと思いますが、けあサポが解答速報を出していますので、得点の目安を確認することができます。事例問題等で解釈の相違によって解答が分かれるものもあるので、5~6点の幅を持って予測しておくとよいでしょう。

 一番気になるのが合格ラインだと思いますが、試験センターの発表があるまではわかりません。あきらめずに最後まで希望をもって発表を待ちましょう。
 では、今回は専門科目の出題内容の分析をしていきたいと思います。

精神疾患とその治療

 今回は、精神医学的な専門的な知識を問う問題よりも、一般的、基礎的な知識で十分対応できる内容でした。交感神経の活動については、共通科目の「人体の構造と機能及び疾病」と重複する内容でした。

 代表的な疾患と症状としての、解離性(転換性)障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、神経性無食欲症、小児自閉症も、出題実績のある解きやすい問題でした。ただ、緊張病状態の症状は、あまりなじみのなかった方もいるかもしれません。

 薬理作用と副作用の分野の抗精神病薬の副作用は、基礎的知識で十分対応できたと思います。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)については、処方時の説明という、従来にない視点での出題だったため、とまどった方もいるかもしれません。

 精神療法は、共通科目の「心理学理論と心理的支援」と重複する内容でしたので問題はなかったでしょう。入院形態についても基礎的な知識で対応できるものでした。

 科目全体でみると、難問は少なく出題範囲もバランスの取れたものだったといえるでしょう。

精神保健の課題と支援

 精神保健の概念については。消去法で選択できたと思いますが、吉川武彦は初めて出題で戸惑った方もいるかもしれません。ヘルパーセラピーの原則は、頻出問題ですので問題はなかったでしょう。

 メンタルヘルスアクションプラン2013‐2020については、過去の出題実績があるので対応できたかと思います。

 ギャンブル等依存症対策基本法、犯罪被害者対策、薬物乱用対策、災害時の精神保健は繰り返し出題されている分野ですが、法制度、実態に関する正確な知識を求められる内容でした。周産期医療の精神保健については、消去法で解けた可能性もありますが、少々難しかったのではないでしょうか。

 今回は初めて、ストレス調査におけるデータ分析法が出題され、戸惑った方が多かったかもしれません。社会福祉士の専門科目では分析法まで学習しますが、精神保健福祉士の国家試験での出題は初めてです。今後はこの分野の対策が必要になるかもしれません。

 全体でみると、いじめや自殺関連、ICF関連の出題はなく、主に、精神保健の課題に関する法制度や実態について正確な知識を問う内容でしたので、丁寧な学習をしていたかどうかで点数が分かれたのではないでしょうか。

精神保健福祉相談援助の基盤

 この科目は、ソーシャルワーカーの倫理的ジレンマ、リスクマネジメント、ソーシャルアクション、アプローチ論、レジリエンス、人権擁護等は、頻出分野の定番問題でした。

「障害福祉サービス等の提供にかかる意思決定支援ガイドライン」については、全文を読み込んでいなくても、一般的な知識で正解を導きだせたでしょう。事例問題も、アプローチ論や基本的な用語の知識を事例に適用すれば、対応できる内容でした。

 今回は、出題率の高いソーシャルワーカーのグローバル定義やソーシャルワーカーの歴史に関する出題がなかったこと、また、共通科目の「現代社会と福祉」の分野と重複する、社会における正義の実現をテーマとした出題があったことが目を惹きました。

精神保健福祉の理論と相談援助の展開

 諸外国の精神保健福祉の発展の経緯、国連のメンタルヘルスの改善諸原則、チームアプローチ、コンサルテーション、リハビリテーションのアセスメント、アプローチ理論等は頻出問題でした。

 地域移行に関する地域生活支援拠点、地域ネットワークの構築、アドヒアランス、ソーシャルインクルージョン等も基本的な知識で解けたでしょう。

 うつ病患者の職場復帰、母親の精神障害、就労に困難を抱える若者、精神障害者の雇用に関する長文事例問題も、基本的な援助技術とそれぞれの制度に関する知識があれば、十分対応できたと思います。
 この科目については、全体として難易度の高い問題はなかったといえるでしょう。

精神保健福祉に関する制度とサービス

 精神医療審査会、退院後生活環境相談員、障害者総合支援法における障害支援区分認定、自立支援給付の種類、居住支援サービス、更生保護制度、医療観察制度における精神保健参与員、鑑定入院制度、障害厚生年金制度等は、例年と同様、基礎的な内容でした。

 事例問題の入院形態と処遇、人権についても、過去の出題実績があり、制度を理解していれば対応できる内容でした。今回は精神保健福祉手帳制度の出題はありませんでした。

 全体的に、共通科目の「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」や「社会保障」等を理解しており、更生保護制度、医療観察制度をしっかり理解していれば、十分得点できる内容で、難易度は例年どおりだったと思われます。

精神障害者の生活支援システム

 障害者総合支援法における自立生活援助、ピアサポーター、市町村における精神保健福祉業務等は、基本的な知識で解けたでしょう。ただ、短文事例の調査の種類は、少々とまどった方がおられるかもしれません。

 長文事例問題のうつ病の職場復帰についても、リワーク支援としての地域障害者職業センターの役割と専門職に関する制度的な内容でしたので、難易度はそれほど高いものではなかったと思われます。

 以上、各科目の出題傾向と難易度をみてきましたが、今回の全体の出題傾向をみると、落とすためにあえて作成したと思われる難問と呼ばれる問題はそれほど多くはありませんでした。出題基準に則った、オーソドックスな良問が多かったといえるでしょう。

 受験生の皆さんは、これで試験が終わりほっとしていることと思います。本当に1年間、大変な中、頑張ってこられましたね。合格発表までは合否が気になると思いますが、まずは、今までの自分の頑張りを褒めてあげてください。そして、しばらくは受験勉強からゆっくり解放され、リラックスして明日の活躍に備えてください。
 次回は、共通科目の出題傾向を分析していきます。