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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第35回 「低所得者への支援と生活保護制度」

生活扶助

 次に生活保護の8扶助の内容についてみていきましょう。生活保護の扶助には、生活扶助、住宅扶助、教育扶助、介護扶助、医療扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助の8種類があります。生活扶助は、衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なもの及び移送に要する費用です。

 生活扶助の基準生活費は、食費や生活費など個人で消費する生活費である第1類と、光熱水費や家具什器費等世帯で消費する生活費である第2類があります。今回は生活扶助のうち、出題実績があり受験生が苦手と思われる分野に焦点を当てて解説します。

入院患者日用品費・介護施設入所者基本生活費

 入院患者に対しては入院患者日用品費、介護施設入所者に対しては介護施設入所者基本生活費が支給されます。この費用は、在宅での基準生活費に該当します。食費などの1類という分類や光熱水費のような世帯単位の2類という分類ではなく、級地制度も適用されず全国一律の額になります。支給目的は、入院あるいは入所した際の被服費、理容衛生費、教養娯楽費、交際費の必要を満たすためです。

期末一時扶助・一時扶助

 12月の特別な重要に対しては期末一時扶助が支給されます。新たに保護を開始する場合に必要な家具什器類等の費用、新生児の産着代や義務教育入学時のランドセル代、入院・退院時の一時的に必要な費用等のために支給されます。産着代は出産扶助ではなく、ランドセル代は教育扶助ではありませんので、注意しておきましょう。

各種加算

 生活扶助には、特別な需要を補てんするための各種加算がつきます。加算には、妊産婦加算、母子加算、障害者加算、介護施設入所者加算、在宅患者加算、放射線障害者加算、児童養育加算、介護保険料加算があります。介護保険料加算とは、介護保険第1号被保険者で普通徴収対象者の介護保険料として加算されるものです。この加算は介護扶助ではないことに気をつけておきましょう。

教育扶助・住宅扶助

 教育扶助は、義務教育を受けるために必要な教科書代、学用品費、通学用品費、通学のための交通費、学校給食費、校外活動費、課外活動費、クラブ活動費等、義務教育に伴って必要なものです。保護金品は、本来は世帯主及び本人に支給するものですが、教育扶助については本人だけでなく、被保護者の通学する学校長も交付対象になっています。

 住宅扶助は、住宅のための費用、補修費、維持費等です。家賃や時代等は地域によって違いが大きいので、地域に応じて地域別の上限額が設定されています。

医療扶助

 医療扶助は、申請により医療が必要と認められた場合、医療券が発行されます。実施機関は指定医療機関に患者を委託し、患者は医療券を医療機関に提示して診察や治療を、現物給付として受けます。指定医療機関は、社会保険診療報酬支払基金に対して診療報酬の請求を行い、基金から診療報酬の支払いを受けるという仕組みになっています。

介護扶助

 介護扶助は、介護券が発行され、介護保険サービスと同一のサービスが現物給付として支給されます。40歳から65歳未満の被保護者に対する介護サービス、65歳以上の介護保険第1号被保険者の自己負担分の介護サービスが給付されます。

出産扶助・生業扶助・葬祭扶助

 出産扶助は、分娩の介助や分娩前後の処置、脱脂綿やガーゼなどの衛生材料の費用です。生業扶助は、要保護者の自立の助長を目的としているため、困窮に陥った者だけではなく、困窮に陥る恐れのある者も対象としています。

 生業扶助には、生業費、技能修得費、就職支度費があります。生業費は、生計の維持を目的として小規模の事業を営むための必要な資金として支給されるものです。技能修得費は、生計の維持のために役立つ生業につくために必要な技能を習得するために要する費用として支給されるもので、高等学校等就学費は、この生業費のなかの技能修得費に位置づけられます。就職支度費とは、就職のために直接必要とするスーツや靴等の購入費用が該当します。

 葬祭扶助は、遺体検案、死体の運搬、火葬代又は埋葬代等、葬祭のために必要な費用です。級地別と大人、小人別に金額が設定されており、葬祭を執り行う者に支給されます。

生活扶助1類(個人単位)と2類(世帯単位)による。期末一時扶助(2月の特別な需要)。一時扶助(出産、入学等の一時的需要)。介護保険料加算(介護保険第1号被保険者で普通徴収対象者の介護保険料)。
教育扶助義務教育に要する費用。通学の交通費、校外活動費、クラブ活動費等も対象。
医療扶助医療券による現物給付。
介護給付介護券による現物給付。
出産扶助分娩のために必要な費用。
生業扶助生業費、技能修得費(高等学校等就学費を含む)、就職支度費。
葬祭扶助遺体検案、死体の運搬、火葬第又は埋葬代等。葬祭を執り行う者に支給。地域・大人と小人によって支給額が異なる。

 いかがでしたか。この科目は、生活保護法をよく理解し、実施機関の役割や生活困窮者自立支援制度等についてもよく学習しておきましょう。次回は「保健医療サービス」を取り上げていきます。では、第21回の精神保健福祉士国家試験問題から今回の課題を上げておきますので、チャレンジしてみてください。

第21回 精神保健福祉士国家試験  「低所得者への支援と生活保護制度」

問題66 事例を読んで、生活保護における扶養義務者との関わりについて、最も適切なもの1つ選びなさい。

[事例]
 Kさん(67歳)は、福祉事務所で生活保護の申請をした。Kさんには長年音信不通の息子(40歳)がいる。福祉事務所は息子の居住地を把握し、Kさんに対する扶養の可能性を検討している。

  • 1 息子が住民税非課税であっても、息子はKさんに仕送りをしなければならない。
  • 2 Kさんは、息子と同居することを条件に生活保護を受給することができる。
  • 3 福祉事務所は、息子の雇主に対して給与について報告を求めることができない。
  • 4 感情的な対立があることを理由に息子が扶養を拒否した場合、Kさんは生活保護を受給することができない。
  • 5 福祉事務所は、息子が仕送りを行った場合、その相当額を収入として認定する。

問題65 生活保護の扶助の種類とその内容に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 介護扶助には、介護保険の保険料は含まれない。
  • 2 生業扶助には、就職のための就職支度費は含まれない。
  • 3 葬祭扶助には、遺体の検案のための費用は含まれない。
  • 4 生活扶助には、小学生の子どもの校外活動参加のための費用が含まれる。
  • 5 教育扶助には、小中学校への入学準備金が含まれる。