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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第35回 「低所得者への支援と生活保護制度」

扶養義務

 生活保護制度は、生活が困窮に陥った者が、自分の資産や能力、生活保護以外の他の法律や他の施策のあらゆるものを活用しても、最低限度の生活を維持できない場合に実施されます。また、民法に定める扶養義務は、生活保護に優先して行われるものとされています。
 民法で定める扶養義務には、配偶者、直系血族、兄弟姉妹の絶対的扶養義務と、3親等内親族で家庭裁判所によって扶養義務を負うことを決定された相対的扶養義務があります。3親等内親族がすべて相対的扶養義務を負うのではなく、福祉事務所の申し出により家庭裁判所の判断が必要であることを覚えておきましょう。

扶養義務者への通知

 生活保護の申請が行われた場合、保護の実施機関は、扶養義務者が扶養義務を履行していないと認められる場合は、保護の開始決定をしようとするとき、あらかじめ扶養義務者に書面で通知しなければならないことになっています。ただし、通知することが不適当な場合は除かれます。

扶養能力調査

 絶対的扶養義務者であっても、住民税非課税世帯等、扶養義務の履行が期待できない場合は、扶養能力がない者として扱われます。住民税非課税世帯ではない場合でも、資産や収入の状況、事業者の場合は事業の状況等を総合的に勘案して扶養能力の有無を個別に判断します。

 現代は、児童虐待や配偶者間の暴力等が社会的に問題となっており、虐待や暴力を受けた立場の側が扶養義務者に該当する場合等は、感情的に扶養を拒否する場合もあります。このような場合、要保護者が保護を受けられないということではありません。また、扶養義務者との同居が前提になっているわけでもありません。保護の申請者と扶養義務者の、それぞれ個別の状況に応じて判断することになっています。

報告の徴収

 保護の実施機関は、保護の決定、実施等に際して、扶養義務者の実態を調べる必要があるときは、扶養義務者の収入や資産について官公署に対して資料の閲覧や提供を求めることができます。また、扶養義務者の雇用主に対して、給与の報告を求めることができます。

支弁後の徴収

 扶養義務者が扶養義務を履行しないときに、保護費を支弁した都道府県あるいは市町村の長は、その費用の一部又は全部を扶養義務者から徴収することができます。この場合、扶養義務者と保護の実施機関の間で協議が調わない場合は、保護の実施機関が家庭裁判所に申立を行い、それに基づいて家庭裁判所が判断します。

収入認定

 被保護者が就労に伴う収入や農業収入、農業以外の事業収入があった場合は収入認定の対象になります。また、恩給や年金なども収入認定の対象になります。仕送りや贈与等による主食、野菜、魚介等もその量について金銭に換算した額を認定することになっています。ただし、フードバンク等による食品の提供や子ども食堂などによる食事の提供については、収入認定の対象から外してよいとされています。

 また、出産、就職、結婚、葬祭などに際して贈与される金銭で、社会通念上収入として認定することが適当でないものは、収入認定の対象外になります。高校生が修学旅行費用や基準額で賄いきれない経費についてアルバイトをして得た収入については、収入認定の対象外です。また、将来の自立のためにアルバイトをして貯金をためたような場合も、早期の保護脱却に資する経費に充てられることを保護の実施機関が認めた場合は、収入認定の対象外になります。預貯金についても、大学進学のため等の一定の明確な目的がある場合の預貯金は認められることになっています。

扶養義務民法に定める扶養義務は、生活保護に優先して行われる。
絶対的扶養義務者(配偶者、直系血族、兄弟姉妹)及び相対的扶養義務(3親等内親族)のうち家庭裁判所によって決定された者。
扶養義務者への通知実施機関は、扶養義務を履行していない扶養義務者にはあらかじめ書面で通知する。
扶養能力調査住民税非課税世帯等、扶養能力がない者は扶養義務を負わない。
児童虐待や配偶者間の暴力等、扶養義務者が感情的に扶養を拒否する場合は個別に判断する。
報告の徴収実施機関は、官公所に扶養義務者の収入・資産の資料の閲覧・提供を求めることができ、雇用主に対して給与の報告を求めることができる。
支弁後の徴収保護費を支弁した実施機関の所轄の長は費用の一部又は全部を扶養義務者から徴収できる。協議が調わないときは家庭裁判所の決定を申請できる。
収入認定恩給・年金、仕送り・贈与は収入認定対象。
自立や一定の目的のためのアルバイトは収入認定対象外。