メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第34回 「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」

2000年代

 2000年代には、新たな障害者基本計画と障害者プランの制定、障害者福祉の分野における契約制度の導入、障害者基本法の改正、発達障害者施策等が進められていきました。
 2002(平成14)年には、2003(平成5)年から2012(平成14)年までの10年間の計画として、障害者基本計画が策定されました。

 この10年計画の前半の、2003(平成15)年から2008(平成20)年までの5年計画として、リハビリテーションとノーマライゼーションを基本理念とした新障害者プランが作成されました。このプランでは、1995(平成7)年の障害者プランが入所施設の体制整備を目標としていたのに対して、入所施設は真に必要なものに限定し、入所施設は地域資源として活用するとされました。

支援費制度

 障害者の福祉サービス分野に契約制度が初めて導入されたのは、2003(平成15)年から開始された支援費制度です。この制度により身体障害・知的障害を対象に、障害者の施設サービス、障害児と障害者の在宅サービスについて、従来の措置利用から契約利用に移行しました。ただ、障害児の施設サービスは措置として残り、精神障害者は対象外でした。

障害者基本法改正

 障害者全体の施策として、2004(平成16)年には、1993(平成5)年の障害者基本法が改正されました。この改正により、差別禁止の理念を明示され障害者週間の設置、中央障害者施策推進協議会の設置等が盛り込まれました。従来は努力義務であった都道府県・市町村の障害者計画の策定が義務化されました。また、障害者本人に対する自立への努力義務規定は、削除されました。

発達障害者支援法

 身体障害者、知的障害者、精神障害者に対する施策は進んできましたが、発達障害者に関する法制度が未整備であったため、発達障害者を対象とした法整備の必要性が認識され、2004(平成16)年に発達障害者支援法が制定されました。発達障害の早期発見、教育支援、就労支援等を含めた発達障害児・者に関する総合的な法律です。

障害者自立支援法

 2003(平成15)年から開始された支援費制度は、全国的に統一した障害程度に応じたサービス支給の制度が無かったため、地域によるサービスのばらつきが生まれ、財源は市町村に任されていたため市町村に財政負担が重くのしかかりました。また、精神障害者を対象としていなかったため、障害者のサービスにバランスを欠くものでした。

 これらを解決するため、2005(平成17)年に障害者自立支援法が制定され、障害者自立支援制度が開始しました。この法律によって、従来の身体障害と知的障害に、精神障害が加えられて障害福祉サービスが一元化されました。全国一律の障害程度区分認定を導入し、区分に応じたサービスを提供することとし、既存の障害者施設サービスを日中活動の場と生活の場に分離し、財源を確保するため障害福祉サービス費等の経費の2分の1を国庫負担としました。

2000年代

支援費制度2003(平成15)年:身体障害・知的障害を対象に障害者サービスを措置から契約に移行。精神障害は対象外。
障害者基本法改正2004(平成16)年:差別禁止の理念を明示し都道府県・市町村に障害者計画の策定を義務化。
発達障害者支援法2004(平成16)年制定。
障害者自立支援法2005(平成17)年制定:精神障害を含む3障害の福祉サービスを一元化し障害程度区分認定を導入。

障害者権利条約批准に向けた法整備

 障害者の権利擁護のための法的拘束力を伴う条約として、2006(平成18)年、国連が障害者権利条約を採択しました。この権利条約は、社会的障壁の概念を導入して障害を社会モデルの視点から捉え、障害者に対する合理的配慮を盛り込んだものでした。

 わが国は、この障害者権利条約の批准に向けた国内法整備のために障がい者制度改革推進会議を設置し、障害者関連法案の検討を開始しました。

障害者自立支援法改正

 2004(平成16)年に発達障害者支援法が制定されましたが、発達障害者は障害者自立支援制度の対象ではなかったため、2010(平成22)年に障害者自立支援法が改正され、発達障害が法律における障害者の範囲に含まれることが、法律上明記されました。

障害者虐待防止法制定

 児童と高齢者に関する虐待防止法は制定されていましたが、障害者虐待を防止するための法整備が不備であったため、2011(平成23)年に、障害者虐待を養護者による虐待、障害者福祉施設従事者等による虐待、使用者による虐待の3種類に定義した、障害者虐待防止法が制定されました。

障害者基本法改正

 2011(平成23)年、障害者基本法が改正され、障害者権利条約の社会モデルの考え方を踏まえ、障害の定義に発達障害、難病を追加し、社会的障壁の概念を導入しました。この障害者基本法の改正により、障害者関連各法律も順次改正されていきました。

障害者総合支援法

 2012(平成24)年には、障害者自立支援法が障害者総合支援法に改称・改正されました。障害者基本法改正を受けて障害者に難病が追加され、従来の障害程度区分から障害支援区分に移行しました。また重度訪問介護の対象が拡大され、従来の肢体不自由に、知的障害、精神障害が追加されました。

障害者差別解消法

 2013(平成25)年には障害者差別解消法が制定されました。障害者に対する不当な差別的取り扱いを禁止し障害者の権利利益の侵害の禁止については、行政機関等、事業者ともすべて法的義務としました。また、差別解消措置として合理的配慮を規定し、行政機関は義務、民間事業者は努力義務としました。

障害者雇用促進法改正

 2013(平成25)年には障害者雇用促進法が改正され、雇用分野における障害を理由とした不当な差別的取り扱いの禁止を義務付けました。また、事業主に対して障害者に対する合理的配慮を提供することを義務付け、職場における苦情解決や紛争解決の援助を行うことを努力義務と規定しました。従来、みなし規定として行われていた精神障害者の雇用を正式に法律上に規定し、法定雇用率の算定基礎に追加しました。
 以上のような法整備を経て、わが国は2014(平成26)年に障害者権利条約を批准しました。

障害者権利条約批准に向けた法整備

障害者の権利条約2006(平成18)年:国連が障害者権利条約を採択。
障害者自立支援法改正2010(平成22)年:障害者の範囲を拡大し発達障害を明記。
障害者虐待防止法2011(平成23)年:虐待を、養護者、障害者福祉施設従事者等、使用者によるものと定義。
障害者基本法改正2011(平成23)年:障害の定義に発達障害、難病を追加し、社会的障壁の概念を導入。
障害者総合支援法2012(平成24)年:障害者に難病を追加し、障害程度区分から障害支援区分に移行。重度訪問介護の対象に知的障害、精神障害を追加。
障害者差別解消法2013(平成25)年:合理的配慮について行政機関は義務、民間事業者は努力義務とした。
障害者雇用促進法改正2013(平成25)年:障害者に対する差別的取り扱い禁止義務、合理的配慮提供義務、精神障害者を法的雇用率算定基礎に追加。
障害者権利条約の批准わが国は2014(平成26)年に批准。

 わが国の障害者福祉施策の発展の経緯をみてきましたがいかがでしたか。この科目では、障害福祉サービスの種類と内容、組織や機関の役割、各法律における障害者の定義、障害者手帳制度、障害者の所得保障などについてもよく学習しておきましょう。次回は「低所得者に対する支援と生活保護制度」を取り上げます。
 では、第21回の精神保健福祉士の試験問題から今回の課題をあげておきますので、チャレンジしてみてください。

第21回 精神保健福祉士国家試験  「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」

問題57 障害者福祉制度の発展過程に関する次の記述のうち、最も適切なもの1つ選びなさい。

  • 1 国連で定めた国際障害者年(1981年(昭和56年))のテーマは、「万人のための社会に向けて」であった。
  • 2 「障害者虐待防止法」(2011年(平成23年))における障害者虐待には、障害者福祉施設従事者によるものは除外された。
  • 3 「障碍者雇用促進法」の改正(2013年(平成25年))では、雇用分野における障害を理由とした不当な差別的取扱いの禁止について、努力義務が課された。
  • 4 「障害者差別解消法」(2013年(平成25年))では、障害を理由とした不当な差別的取扱いの禁止について、民間事業者に努力義務が課された。
  • 5 障害者の権利に関する条約(2014年(平成26年)批准)では、「合理的配慮」という考え方が重要視された。