メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第34回 「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」

 この科目は、障害者総合支援法における障害者自立支援制度について毎年3問から4問の出題があります。障害福祉サービスの種類やその内容、障害者支援施設や自立支援医療、地域生活支援事業、審査請求制度等をよく整理しておきましょう。また、障害者総合支援法における国や市町村、都道府県のそれぞれの役割、指定サービス事業者の役割、国民健康保険団体連合会の役割なども確認しておきましょう。
 では、今回は、障害者福祉制度の発展過程について取り上げていきます。

1940年代~1970年代

 わが国の障害者施策は、第二次世界大戦後、旧生活保護法の救護施設から始まり障害児を含む児童福祉法、身体障害者福祉法、精神衛生法、精神薄弱者福祉法と発展していきました。

児童福祉法

 戦争によって被害を受けたわが国は、次世代を担う児童のために1947(昭和22)年に児童福祉法を制定しました。障害児のための独立した法制度がなかったため、この児童福祉法は、障害児の更生援護等の障害児施策を含むものでした。

身体障害者福祉法

 1949(昭和24)年には身体障害者福祉法が制定されました。従来の障害者は救貧対象とみなされていましたが、初めて身体障害者だけを対象とした法律として制定されました。この法律の目的は、身体障害者の職業的更生と社会復帰で、戦後の混乱期からわが国が復興するために身体障害者の職業的更生が必須であるという観点に立っており、重度障害者は対象外でした。国には、身体障害者の社会復帰のために身体障害者更生援護施設の設置が義務づけられました。

精神衛生法

 精神障害者施策は医療的観点が重視され、1950(昭和25)年には、精神病者監護法と精神病院法が廃止されて、精神障害者のための医療提供体制整備を目的とした精神衛生法が制定されました。都道府県に精神科病院の設置が義務づけられ、精神衛生鑑定医制度や精神衛生相談所等が規定されました。

精神薄弱者福祉法

 この当時、知的障害児は児童福祉法の対象であり、児童福祉施設に入所していた障害児が成人に達すると、児童福祉法の対象にならないため児童福祉施設を退所せざるを得ない状況が生まれていました。成人に達しても入所することのできる施設の設置を求める知的障害児の親の会等の運動により、1960(昭和35)年に「精神薄弱者福祉法」(現在の知的障害者福祉法)が制定されました。

 この法律により、精神薄弱者の入所施設設置体制が整備され、精神薄弱者福祉審議会、更生相談所、精神薄弱者福祉司が規定されて、精神薄弱者の更生援護体制が整備されました。

大規模コロニー計画

 1960年代には、政府の主導で大規模コロニー計画が進められていきました。医療的なケアが必要な重症障害児や重症障害者は、親なき後も生涯安定して生活できる、医療と福祉が整備された環境が必要とされていました。コロニーとは、一定の敷地内に障害者のための住まい、病院、学校、商業施設、農場、作業所等が整備された、重度の障害を持ちながら医療的ケアを受けつつ生涯をそこで過ごすことができる場所のことです。

 ただ、コロニーは一般社会から隔離されたものとなる危険性が指摘されていたため、コロニーに生涯居住することも一般社会に復帰することも選択できること、地域の地域社会と密接な連絡を保ち、その地域社会の一員として生活するものであるとの理念を明確にして、国は1968(昭和43)年、「国立のぞみの園」を建設しました。前後して各自治体によるコロニー設置が進み民間施設のコロニー化も図られていきました。

東京パラリンピック

 1964(昭和39)年には、東京オリンピックと並行して東京パラリンピックが開催され、障害者スポーツの先鞭をつけました。外国の選手のたくましさと明るさ、仕事に従事して自信と誇りを持って自立している姿は、障害者当事者と関係者に衝撃を与え、その後の障害者観に大きな影響を与えました。

特別児童扶養手当法

 これらと並行して、重度の障害児を養育し扶養する者に対して手当を支給し、障害児の福祉の増進を図ることを目的に、1964(昭和39)年、まず重度精神薄弱児を対象とした重度精神薄弱児扶養手当法が制定されました。その2年後の1966(昭和41)年には、この重度精神薄弱児扶養手当法を改称・改正して、支給対象を重度身体障害児まで拡大した特別児童扶養手当法が制定されました。

心身障害者対策基本法

 1960年代までは、身体障害者施策と精神薄弱者施策は独立して行われてきましたが、1970(昭和45)年に、障害者施策を統合的に実施するための心身障害者対策基本法が制定されました。ただ、この法律は、身体障害者と精神薄弱者だけを対象とするものであり、精神障害者は対象外でした。

1940年代~1970年代

児童福祉法1947(昭和22)年:障害児を含む全児童を対象。
身体障害者福祉法1949(昭和24)年:身体障害者の職業的更生と社会復帰を目的に制定。
精神衛生法1950(昭和25)年:精神障害者のための医療提供体制整備。
精神薄弱者福祉法
(現:知的障害者福祉法)
1960(昭和35)年:精神薄弱者の入所施設設置体制の整備、精神薄弱者福祉審議会、更生相談所、精神薄弱者福祉司を規定。
大規模コロニー計画1960年代:行政、民間により大規模コロニー計画が進められていった。
重度精神薄弱児扶養手当法1964(昭和39)年:重度精神薄弱児を対象とした扶養手当法として制定。
東京パラリンピック1964(昭和39)年:東京パラリンピック開催。
特別児童扶養手当法1966(昭和41)年:重度精神薄弱児扶養手当法を改称・改正し重度身体障害児を支給対象に拡大。
心身障害者対策基本法1970(昭和45)年:身体障害者・精神薄弱者の総合的対策として制定。

1980年代・国際障害者年

 1980年代のわが国の障害者施策は、世界の障害者施策の影響を大きく受けていきました。国連は、1981(昭和56)年を国際障害者年と定めて、「完全参加と平等」をテーマに各国に取り組みを求めました。わが国はこれを受けて、内閣府に「国際障害者年推進本部」を設置しました。

 国際障害者年に続けて国連は、1983年から1992年を「国連障害者の十年」として「障害者に関する世界行動計画」を定めました。わが国は、「国際障害者年推進本部」を改組・改称して「障害者対策推進本部」を設置し、障害者に関する総合的施策を進めていくことになりました。

 1982(昭和57)年には、「障害者対策に関する長期計画」を策定しました。これは、「国連障害者の十年」の一環としてわが国の国内行動計画として策定されたものです。

精神保健法

 精神障害者の分野では、1983(昭和59)年の精神科病院である宇都宮病院における患者への暴行事件を契機に、1987(昭和62)年、精神衛生法が精神保健法に改正されました。この法律は、精神障害者の人権擁護と社会復帰の視点から制定されたもので、本人同意に基づく任意入院制度、精神医療審査会の創設、社会復帰施設等が規定されました。

1980年代

国際障害者年1981(昭和56)年:「完全参加と平等」をテーマに実施された。
障害者に関する世界行動計画(国連)1982(昭和57)年:国連で採択された。「国連障害者の十年の計画」として位置づけられている。
障害者対策に関する長期計画1982(昭和57)年:「国連障害者の十年」の一環として、わが国の国内行動計画として策定。
精神保健法1987(昭和62)年:宇都宮病院事件(昭和59年)を契機に精神衛生法から精神保健法に改正。

1990年代

 1990(平成2)年には、福祉関係八法が改正されました。障害者の分野では身体障害者福祉法、精神薄弱者福祉法の改正により、在宅福祉サービスが法定化され、身体障害者の入所措置権が町村に委譲されて、在宅福祉と施設福祉が市町村に一元化されました。

障害者基本法

 障害者施策全般としては、1970(昭和45)年に制定された心身障害者対策基本法を改称・改正し、精神障害者も含む障害者基本法が、1993(平成5)年に制定されました。この法律で、わが国の障害者福祉を総合的に進める体制が整い、都道府県と市町村に障害者計画を策定することが努力義務として規定されました。

障害者対策に関する新長期計画

 1982(昭和57)年の「障害者対策に関する長期計画」に続く新たな長期計画として、1993(平成5)年に「障害者対策に関する新長期計画」が定められました。これは、1993(平成5)年の障害者基本法制定に伴い、国の障害者基本計画にあてられました。

精神保健及び精神障害者の福祉に関する法律

 精神障害者の分野では、1995(平成5)年に、精神保健法から、福祉の視点を盛り込んだ法律として改称・改正された、精神保健及び精神障害者の福祉に関する法律が制定されました。この法律に、初めて精神障害者の自立と社会参加、精神保健福祉手帳制度創設等が盛り込まれました。

障害者プランノーマライゼーション7カ年戦略

「障害者対策に関する新長期計画」は数値目標が盛り込まれていなかったため、1995(平成7)年、障害者の入所施設の増加の数値目標を明記した「障害者プランノーマライゼーション7カ年戦略」が策定されました。障害者の住居、働く場、活動の場、保健福祉サービス体制の確保等を盛り込んだ、1996(平成8)年~2002(平成7)年までの7年間の計画です。

1990年代

福祉関係八法改正1990(平成2)年:身体障害者福祉法、精神薄弱者福祉法に、在宅福祉サービスを法定化し、身体障害者入所措置権を町村に委譲、在宅福祉と施設福祉を市町村に一元化。
障害者基本法1993(平成5)年:心身障害者対策基本法を改称・改正し対象を精神障害者に拡大。
障害者対策に関する新長期計画1993(平成5)年:障害者基本法制定に伴い国の障害者基本計画にあてられた。
精神保健福祉法1995(平成5)年:精神保健法を改称・改正し、福祉の視点を盛り込んだ法律として制定。
障害者プランノーマライゼーション7カ年戦略1995(平成7)年:数値目標を明記した1996(平成8)年~2002(平成7)年のプラン。