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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第23回 「精神保健福祉相談援助の基盤」

 皆さん、こんにちは。朝夕は秋めいてきたとはいえ、まだまだ暑さが続きますが、学習は進んでいますか。焦らずに着実にすすめていくことが合格の秘訣です。一緒に頑張っていきましょう。

 今回は、「精神保健福祉相談援助の基盤」を取り上げます。相談援助の対象・価値・理念・意義や、関連専門職、権利擁護、チームアプローチなど、精神保健福祉士として押さえておくべき価値や権利擁護が大きなテーマになっている科目です。今回は権利擁護を中心に取り上げます。では、最初に前回の課題を解説しておきましょう。

第21回 精神保健福祉士国家試験

問題14 労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 休職者が職場復帰する際のストレス耐性を把握することが目的である。
  • 2 労働者50人以上の事業場の事業者には、実施する努力義務がある。
  • 3 保健師が検査の実施者となるためには、厚生労働大臣の定める研修を修了する必要がある。
  • 4 事業者が個人の検査結果の提供を受ける場合は、検査結果を通知した後に個人に同意を取得する必要がある。
  • 5 高ストレス者と判断された労働者は、医師による面接指導を受ける義務がある。

正答 4

解答解説

  • 1 誤り。ストレスチェック制度は、労働者のストレスの程度を把握し労働者自身のストレスへの気づきを促して職場改善につなげ、働きやすい職場づくりを進めることによって、労働者がメンタルヘルス不調になることを未然に防止する「一次予防」を主な目的としたものであり、ストレス耐性を把握するためのものではない。
  • 2 誤り。労働者50人以上の事業場の事業主には、ストレスチェックを実施することが義務づけられている。労働者50人未満の事業場の事業主は、当面の間、努力義務となっている。
  • 3 誤り。事業者は、労働者に対して、医師、保健師、又は厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師若しくは精神保健福祉士によって、ストレスチェックを行う。看護師、精神保健福祉士は研修が必要であるが、医師、保健師は、研修は必要とされていない。
  • 4 正しい。事業者は、ストレスチェックを受けた労働者に対して、そのストレスチェッ クを実施した医師等の実施者からその結果を直接本人に通知させる。事業者は、本人の同意があった場合に限って、ストレスチェックを行った実施者から、個人の検査結果の提供を受けることができる。この場合、本人の同意がなければ、検査結果の提供を受けることはできないことに注意しておこう。
  • 5 誤り。ストレスチェック結果の通知を受けた労働者のうち、高ストレス者として選定され、面接指導を受ける必要があると実施者が認めた労働者から申出があった場合は、事業者は、その労働者に対して医師による面接指導を実施する。実施者が面接指導を受ける必要があると認めていても、労働者からの申し出がない場合は、事業者は医師による面接指導を行うことはできない。



第19回 精神保健福祉士国家試験

問題14 職場のメンタルヘルス対策に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 ラインによるケアでは、保健所や精神保健福祉センターなどの外部の機関を活用して労働者の相談対応を行う。
  • 2 過労死等防止対策推進法では、職場におけるストレスチェックの実施を事業者に義務づけている。
  • 3 産業保健総合支援センターでは、産業保健に関する相談への対応や産業保健関係者を対象とした研修を行う。
  • 4 「厚生労働省の手引き」では、休業中の労働者の主治医が職場復帰支援プランを作成することとされている。
  • 5 健康増進法では、事業者に対してセクシャル・ハラスメント防止のための措置を講ずることを義務づけている。
  • (注)「厚生労働省の手引き」とは、「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」のことである。


正答 3

解答解説

  • 1 誤り。ラインによるケアとは、管理者による職場環境等の改善や個別の相談・指導のことである。このほか、労働者自身によるストレスへの気づきと対処を「セルフケア」、産業医や衛生管理者等による職場の実態把握、個別相談支援、ラインによるケアへの支援を「事業場内産業保健スタッフによるケア」、事業場外資源による直接サービスや支援サービスの提供、ネットワークへの参加、従業員支援プログラム(EAP)等の活用等を「事業場外資源によるケア」という。
  • 2 誤り。職場におけるストレスチェックの実施を事業者に義務づけているのは、労働安全衛生法である。過労死等防止対策推進法は、過労死等の防止のための対策を推進するための法律で、過労死等防止啓発月間を11月と定め、「過労死等防止対策大綱」の策定、厚生労働省に「過労死等防止対策推進協議会」を設置すること等を規定している。
  • 3 正しい。産業保健総合支援センターは、「独立行政法人労働者健康福祉機構」が全国47の都道府県に設置しているもので、産業医や産業看護職、衛生管理者等の産業保健関係者を支援し、事業主等に対して職場の健康管理への啓発を行っている。具体的には、産業保健に関する様々な問題について、専門スタッフが実地で、あるいはセンターの窓口や電話、電子メール等で、相談に応じ解決方法を助言している。産業保健関係者を対象とした専門的・実践的な研修、講師の紹介、情報提供、広報啓発活動、調査研究等も行っている。
  • 4 誤り。厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」では、「職場復帰支援プラン」は事業所が作成するものとして位置づけられている。この手引では、復帰支援の流れを第1ステップから第5ステップに分けて解説しており、第1ステップは病気休業開始及び休業中のケア、第2ステップは主治医による職場復帰可能の判断で、主治医から職場復帰が可能という診断書が提出されると、第3ステップとして、事業所としての職場復帰の可否の判断がなされ「職場復帰支援プラン」が作成される。第4ステップは最終的な職場復帰が決定され、第5ステップは職場復帰後のフォローアップが行われる。
  • 5 誤り。健康増進法には、セクシュアル・ハラスメントの防止のための措置に関する規定はない。セクシュアル・ハラスメントの防止のための措置に関しては、男女雇用機会均等法等の法律に規定されている。

 いかがでしたか。「精神保健の課題と支援」では、自殺、児童虐待、アルコール依存、薬物対策等についても、幅広く学習しておきましょう。

 では、今回の「精神保健福祉相談援助の基盤」に入っていきたいと思います。この科目は、ソーシャルワーカーの価値や倫理、関連専門職とのチームアプローチ、自己決定、権利擁護などが出題基準として上げられています。権利擁護のためのエンパワメントやアドボカシーの概念など、援助の基本的姿勢をよく理解しておきましょう。

 今回は、ソーシャルワークの価値と、その価値に基づいてソーシャルワーカーに求められる役割としての、障害者の権利擁護について取り上げていきます。