メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第22回 「精神保健の課題と支援」

独立行政法人労働者健康福祉機構

 最後に、労働者のメンタルヘルスに関連する法律および諸制度について取り上げます。労働者の安全と健康のための施策はさまざまな組織や機関によって担われていますが、「独立行政法人労働者健康福祉機構法」に基づいて、「独立行政法人労働者健康福祉機構」が設置されています。

 「独立行政法人労働者健康福祉機構」は、労災をはじめとする勤労者の疾病に関して、早期職場復帰、疾病の治療と職業生活の両立が可能になるための支援を実施していいます。具体的には、労災病院、吉備高原医療リハビリテーションセンター、総合脊損センター、産業保健総合支援センター、労災リハビリテーション作業所などの運営を行っています。

産業保健総合支援センター

 上記の「独立行政法人労働者健康福祉機構」は、産業医や産業看護職、衛生管理者等の産業保健関係者を支援し、事業主等に対して職場の健康管理への啓発を行うことを目的として、全国47の都道府県に「産業保健総合支援センター」を設置しています。

 「産業保健総合支援センター」では、産業保健に関するさまざまな問題について、専門スタッフが実地で、あるいはセンターの窓口や電話、電子メール等で相談に応じ解決方法を助言しています。 また、産業保健関係者を対象として、産業保健に関する専門的、実践的な研修を実施し、他の団体が実施する研修について講師の紹介等の支援、情報提供、広報啓発活動、調査研究等を行っています。

独立行政法人労働者健康福祉機構法
独立行政法人労働者健康福祉機構労災等勤労者の疾病に関して、早期職場復帰、疾病の治療と職業生活の両立の支援を実施。
産業保健総合支援センター全国47の都道府県に設置。産業保健に関する相談・助言、研修の実施、情報提供、広報啓発活動、調査研究等

職場復帰支援の手引き

 厚生労働省は、「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」を出しています。この手引きでは、復帰支援の流れを第1ステップから第5ステップに分けて解説しています。

 第1ステップは、病気休業開始及び休業中のケアで、労働者が病気休業期間中に、安心して療養に専念できるよう、傷病手当金などの経済的な保障、不安、悩みの相談先の紹介、公的または民間の職場復帰支援サービス、休業の最長(保障)期間等の情報提供等の支援等が行われます。

 第2ステップは、主治医による職場復帰可能の判断で、主治医から職場復帰が可能という判断が記された、診断書が提出されます。

 第3ステップは、主治医による診断書を受けて、事業所としての職場復帰の可否の判断がなされ「職場復帰支援プラン」が作成されます。このプランは、休業していた労働者が復職するにあたっての、復帰後の就業上の配慮等、個別で具体的な支援内容を定めたものです。

 この具体的なプランの作成には主治医は直接的に関与せず、事業場内産業保健スタッフ等を中心に、管理監督者及び休職中の労働者の間で、よく連携しながら作成することが必要です。

 第4ステップは、最終的な職場復帰が決定されます。労働者の状態の最終確認、業務上の配慮等の意見書の作成、最終的な職場復帰の決定と労就業上の配慮について、労働者への周知等を行います。

 第5ステップは、職場復帰後のフォローアップで、職場復帰支援プランの見直しや評価を行います。疾患の再燃・再発、新しい問題の発生等の有無の確認、勤務状況及び業務遂行能力の評価、治療状況の確認、職場環境等の改善等を行います。

職場復帰支援の手引き
第1ステップ病気休業開始及び休業中のケア。
第2ステップ主治医による職場復帰可能性の判断。
第3ステップ職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プランの作成。
第4ステップ最終的な職場復帰の決定。
第5ステップ職場復帰後のフォローアップ。

セクシュアルハラスメント対策

 職場におけるセクシュアルハラスメント対策は、「男女雇用機会均等法」に規定されています。事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により、労働者がその労働条件について不利益を受け、又は、性的な言動により労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ適切に対応するために、必要な体制の整備、その他の雇用管理上、必要な措置を講じなければなりません。

セクシュアルハラスメントの定義

 職場におけるセクシュアルハラスメントの定義は、「職場」において行われる、「労働者」の意に反する「性的な言動」に対する労働者の対応により労働条件について不利益を受けたり「性的な言動」により就業環境が害されることです。

 「職場」とは、事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指します。労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、労働者が業務を遂行する場所であれば「職場」に含まれます。

 「労働者」には、正規労働者だけでなく、パートタイム労働者、契約社員等の非正規労働者を含む、事業主が雇用する労働者のすべてが含まれ、セクシュアルハラスメントには同性に対するものも含まれます。

事業主の講ずべき措置

 職場におけるセクシュアルハラスメントを防止するために、事業主が雇用管理上講ずべき措置として、厚生労働大臣の指針で「(1)事業主の方針の明確化と周知啓発、(2)相談(苦情を含む)に応じ適切に対応するために必要な体制の整備、(3)事後の迅速かつ適切な対応、(4)上記の措置と併せて講ずべき措置」の4分野について、具体的な10項目が定められています。

セクシュアルハラスメント対策
根拠法男女雇用機会均等法
事業主セクシュアルハラスメント対策のための必要な措置を講じる義務。
事業主の講ずべき措置(1)方針の明確化と周知啓発、(2)相談対応体制整備、(3)迅速・適切な対応、(4)上記の措置と併せて講ずべき措置。

 以上、職場のメンタルヘルスに関して解説してきました。この科目は、自殺対策、いじめや不登校、児童虐待・障害者虐待・高齢者虐待、配偶者間暴力、アルコール問題、認知症対策、災害時の精神保健等、範囲が広いので各分野を十分把握しておきましょう。
 次回は、「精神保健福祉相談援助の基盤」を取り上げます。では、第21回と第19回の精神保健福祉士国家試験の問題のなかから今回の課題を上げておきますので、チャレンジしてみてください。

第21回 精神保健福祉士国家試験

問題14 労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 休職者が職場復帰する際のストレス耐性を把握することが目的である。
  • 2 労働者50人以上の事業場の事業者には、実施する努力義務がある。
  • 3 保健師が検査の実施者となるためには、厚生労働大臣の定める研修を修了する必要がある。
  • 4 事業者が個人の検査結果の提供を受ける場合は、検査結果を通知した後に個人に同意を取得する必要がある。
  • 5 高ストレス者と判断された労働者は、医師による面接指導を受ける義務がある。

第19回 精神保健福祉士国家試験

問題14 職場のメンタルヘルス対策に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 ラインによるケアでは、保健所や精神保健福祉センターなどの外部の機関を活用して労働者の相談対応を行う。
  • 2 過労死等防止対策推進法では、職場におけるストレスチェックの実施を事業者に義務づけている。
  • 3 産業保健総合支援センターでは、産業保健に関する相談への対応や産業保健関係者を対象とした研修を行う。
  • 4 「厚生労働省の手引き」では、休業中の労働者の主治医が職場復帰支援プランを作成することとされている。
  • 5 健康増進法では、事業者に対してセクシャル・ハラスメント防止のための措置を講ずることを義務づけている。
  • (注)「厚生労働省の手引き」とは、「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」のことである。