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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第22回 「精神保健の課題と支援」

ストレスチェック制度の創設

 平成26年に「労働安全衛生法」が改正され、心理的な負担の程度を把握するための「心理的な負担への程度を把握するための検査等」として、ストレスチェック制度が創設されました。

目的

 この制度は、労働者のストレスの程度を把握し労働者自身のストレスへの気づきを促すとともに、職場改善につなげ、働きやすい職場づくりを進めることによって、労働者がメンタルヘルス不調となることを未然に防止する「一次予防」を主な目的としたものです。

事業主と国の責務

 従業員50人以上の事業場の事業主には、労働者の心理的な負担の程度を把握するために、医師、保健師等による検査としてストレスチェックの実施を義務づけられています。ただ従業員50人未満の事業場については、当分の間努力義務とされています。

 国は、ストレスチェックを行う医師、保健師等に対する研修の充実・強化、労働者に対する相談・情報提供体制の整備のための努力義務が規定されています。

ストレスチェック指針

 ストレスチェックのために、「心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針(ストレスチェック指針)」が出されています。

 職場に求められる具体的な方法としてまず事業者は、法、規則及び本指針に基づき「ストレスチェック制度に関する基本方針」を表明します。ストレスチェックの実施方法は次のように示されています

  • (1)最初に衛生委員会等で、ストレスチェック制度の実施方法等について調査審議をし、その結果を踏まえ、事業者がその事業場におけるストレスチェック制度の実施方法等を規程として定めます。
  • (2)事業者は、労働者に対して、医師、保健師、又は厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師若しくは精神保健福祉士によって、ストレスチェックを行います。医師、保健師は、研修を必要としませんが、看護師、精神保健福祉士は研修が必要であることを覚えておきましょう。
  • (3)事業者は、ストレスチェックを受けた労働者に対して、そのストレスチェックを実施した医師等の実施者から、その結果を直接本人に通知させます。
  • (4)事業者は、本人の同意があった場合に限って、ストレスチェックを行った実施者から個人の検査結果の提供を受けることができます。この場合、本人の同意がなければ、検査結果の提供を受けることができないということが重要です。
  • (5)ストレスチェック結果の通知を受けた労働者のうち、高ストレス者として選定され、面接指導を受ける必要があると実施者が認めた労働者から申出があった場合は、事業者は、その労働者に対して、医師による面接指導を実施します。
    実施者が面接指導を受ける必要があると認めていても、労働者からの申し出がない場合は、事業者は医師による面接指導を行うことはできませんから、気をつけておきましょう。
  • (6)面接指導を行った場合、事業者は面接指導を実施した医師から、就業上の措置に関する意見を聴取し、その意見を勘案して必要な場合には、作業の転換、労働時間の短縮その他の適切な就業上の措置を講じなければならないこととされています。
  • (7)ストレスチェックを実施した会社は、行政に対してストレスチェックや面接指導の実施状況として、ストレスチェックの実施時期、ストレスチェックの対象人数、ストレスチェックの受検人数、面接指導の実施人数について、1年に1回労働基準監督署に報告しなければなりません。

ストレスチェック制度
目的労働者自身のストレスへの気付きを促し職場改善につなげるための一次予防。
事業者の責務従業員50人以上の事業者は実施義務、50人未満は実施努力義務。
実施者医師、保健師、厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師・精神保健福祉士。
検査結果の扱い実施者から直接本人に通知。
事業者は、本人の同意があった場合に限って、実施者から個人の検査結果の提供を受けることができる。
面接指導を受ける必要があると実施者が認めた労働者から申出があった場合は、事業者は医師による面接指導を実施。
事業者は、面接指導を実施した医師から関する意見を聴取し、必要な場合は適切な措置を講じなければならない。
実施事業者は、労働基準監督署に実施状況を報告する義務がある。

過労死等防止対策推進法

 次に「過労死等防止対策推進法」を取り上げます。この法律は、過労死等に関する調査研究等について定めることによって、過労死等の防止のための対策を推進するために、2014(平成26)年6月に制定され、同年の11月から施行されています。

過労死等の定義

 この法律では「過労死等」を、「業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害」であると定義しています。

 国民の間に広く過労死等を防止することの重要性について自覚を促し、これに対する関心と理解を深めるため、過労死等防止啓発月間を11月と定めています。また政府は、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」を定め、厚生労働省に「過労死等防止対策推進協議会」を設置しなければならないとされています。

過労死等の防止のための対策に関する大綱

 過労死等防止対策推進法に基づいて、「過労死等の防止のための対策に関する大綱~過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ~」が、平成27年7月に制定され、その後平成30年に見直されて、新たな大綱が採択されました。

 新大綱では、新たな「過労死等防止対策の数値目標」を立て、従来の「週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下」などの3分野の数値目標を改めて掲げるとともに、新たに「勤務時間インターバル制度」の周知や導入に関する数値目標などを掲げています。

過労死等防止対策推進法
過労死の定義「業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害」。
過労死等防止啓発月間11月
組織厚生労働省に「過労死等防止対策推進協議会」を設置。
過労死防止対策大綱従来の数値目標に加え、新たに「勤務時間インターバル制度」の周知や導入に関する数値目標などを掲げている。