メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第22回 「精神保健の課題と支援」

労働安全衛生法

 「労働安全衛生法」は、労働者の安全と衛生を確保することを目的に制定された法律です。労働基準法制定当初は、労働者の安全と衛生については「労働基準法」に規定がありましたが、その後、労働者の安全と衛生の確保に関する部分だけを分離して、独立して制定された法律です。

 労働安全衛生法で精神保健福祉士として押さえておかなければならない内容は、職場のメンタルヘルスのための規定としての、産業医の配置やストレスチェック制度に関する事柄です。まず産業医に関する規定を確認しておきます。

産業医

 労働者の安全管理体制として、常時50人以上の従業員を抱える事業所は、「産業医」を選任しなければなりません。産業医の職務は、労働者の健康管理、作業環境の維持管理、衛生教育、健康診断の実施や保健指導、メンタルヘルスなど多岐にわたります。

 産業医は、労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができます。事業者は、産業医から勧告を受けたときはこれを尊重しなければなりません。なお、「働き方改革推進法」が成立し、産業医の位置づけが強化されていますので、詳細を12月の法改正・新制度で取り上げていく予定です。

産業医による面接指導

 事業主は、長時間労働者に対して医師による面接指導の実施を行う義務があります。長時間労働者とは、時間外労働や休日労働が1か月当たり100時間を超え、疲労の蓄積が認められる労働者です。

 また、時間外労働や休日労働が1か月当たり80時間を超える労働によって疲労の蓄積が認められ、または健康上の不安を持つ労働者等に対しては、医師による面接指導が努力義務として課せられています。

ストレスチェック制度

 労働安全衛生法では、ストレスチェック制度を定めています。事業者は労働者に対して、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者による「心理的な負担を把握するための検査」を行わなければならないと規定しています。詳細は「ストレスチェック制度の指針」で解説します。

労働安全衛生法
産業医常時50人以上の従業員の事業所は「産業医」選任義務
産業医による勧告産業医は労働者の健康管理等について事業者に必要な勧告をすることができる。
面接指導事業者は、長時間労働者に対して産業医による面接指導を行わなければならない。
ストレスチェック一定規模以上の事業者は、従業員に対してストレスチェックを行わなければならない。

労働者の心の健康の保持増進のための指針

 この指針は「労働安全衛生法」に基づくもので、事業場において事業者が講ずるように努めるべき労働者の心の健康の保持増進のための措置としてのメンタルヘルスケアが、適切かつ有効に実施されるよう、メンタルヘルスケアの原則的な実施方法について定めているものです。

 事業者は、職場における衛生委員会等で「心の健康づくり計画」を策定・実施し、「セルフケア」「ラインによるケア」「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」「事業場外資源によるケア」の4つのメンタルヘルスケアが、継続的かつ計画的に行われるよう教育・研修・情報提供を行い、4つのケアを効果的に推進する必要があるとしています。

 事業場における事業者による労働者のメンタルヘルスケアは、取り組みの段階ごとに、労働者自身のストレスへの気づきと対処の支援、職場環境の改善を通じてメンタルヘルス不調となることを未然に防止する「一次予防」、メンタルヘルス不調を早期に発見し適切な対応を行う「二次予防」、メンタルヘルス不調となった労働者の職場復帰を支援する「三次予防」に分けられます。

 「心の健康づくり計画」の策定にあたっては、衛生委員会等による十分な審議を行い、「一次予防」「二次予防」「三次予防」が円滑に行われるよう、メンタルヘルスケアに関する取組方針の決定、計画の作成、計画に基づく取組の実施、取組結果の評価及び評価結果に基づく改善の一連の取組を、継続的かつ計画的に進めることが望ましいとされています。

メンタルヘルス推進担当者

 事業者は、メンタルヘルスケア推進の実務を担当する「事業場内メンタルヘルス推進担当者」を選任するよう努めるものとするとされています。構成メンバーとして、産業医、医師、衛生管理者、衛生推進者、保健師等が挙げられています。

4つのケア

 職場のメンタルヘルス対策としての4つのケアの内容を確認しておきます。
 「セルフケア」とは、労働者自身によるストレスの気づき、ストレスへの対処のことです。「ラインによるケア」とは、管理者による職場環境等の改善や個別の相談・指導のことです。「事業場内産業保健スタッフによるケア」とは、産業医、衛生管理者等による職の実態把握、個別相談支援、ラインによるケアへの支援のことです。「事業場外資源によるケア」とは、事業場外資源による直接サービスの提供、支援サービスの提供、ネットワークへの参加、従業員支援プログラム(EAP)等の活用等のことです。

従業員支援プログラム(EAP)

 従業員支援プログラム(EAP)とは、メンタルヘルスに関する教育、相談活動、専門機関の紹介などにより、従業員のメンタルヘルスを支援することで、事業所内EAPと事業所外部のEAPがあります。

 事業所内EAPは、事業所内の産業保健スタッフが従業員のメンタルヘルスを支援する支援方法で、外部EAPは、事業所外のEAP会社に業務を委託して、従業員のメンタルヘルスを支援する方法です。

労働安全衛生法
事業者事業者は「心の健康づくり計画」を策定。策定の際は衛生委員会等による十分な審議を行う。
一次予防メンタルヘルス不調となることを未然に防止する。
二次予防メンタルヘルス不調を早期に発見し適切な対応を行う。
三次予防メンタルヘルス不調となった労働者の職場復帰を支援する。
メンタルヘルス推進担当者事業者は、メンタルヘルス推進担当者を選任する努力義務がある。
4つのケア「セルフケア」「ラインによるケア」「事業場内産業保健スタッフによるケア」「事業場外資源によるケア」
従業員支援プログラム(EAP)事業所内EAP:事業所内の産業保健スタッフが支援。
外部EAP:事業所外のEAP会社に業務委託し支援。