メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第22回 「精神保健の課題と支援」

 皆さん、こんにちは。いよいよ9月になりました。まだまだ暑さが残りますが、学習時間等の制約があるなかで、健康に留意しながら、学習の手応えを感じ取っていってください。

 今回は「精神保健の課題と支援」を取り上げます。この科目は、精神保健のさまざまな分野における法律や制度が出題されますので、専門科目のなかでも苦手な受験生が多いのではないでしょうか。ただ、出題される分野はある程度決まっていますので、頻出分野に気をつけて学習しておくことで、十分対応できます。
 では、まず、前回の課題の解説をしていきましょう。

第21回 精神保健福祉士試験 「精神疾患とその治療」

問題4 患者の訴えと症状に関する次の組合せのうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 「気を失うかと思った」──────────────────抑うつ気分
  • 2 「大切にしていた着物を家族に盗まれた」──────────貧困妄想
  • 3 「車を運転したときに交通事故を起こしたような気がする」──パニック発作
  • 4 「隣の家の人が電磁波攻撃を仕掛けてくる」─────────被害妄想
  • 5 「誰もいないのに人の声が聞こえてきた」──────────強迫観念

正答 4

解答解説

  • 1 誤り。「気を失うかと思った」という訴えは、パニック発作の症状である。パニック発作は、突然理由もなく急激に不安が高まり、動悸、発汗、息苦しさ、胸部の痛み、しびれ等の発作を起こす障害で、いつ発作が起きるかという不安がつきまとう「予期不安」が特徴である。抑うつ気分は気分が落ち込む症状で、うつ病でみられる。
  • 2 誤り。「大切にしていた着物を家族に盗まれた」という訴えは、被害妄想である。物を盗られるという被害妄想は、認知症患者でみられることが多い。「貧困妄想」は、うつ病でみられる「微小妄想」の一つで、たくさんお金を持っていても自分はお金が無くなり生きてはいけないと思い込んでしまう妄想である。うつ病でみられる「微小妄想」には、このほか「心気妄想」「罪業妄想」がある。
  • 3 誤り。「車を運転した時に交通事故を起こしたような気がする」という訴えは、「強迫性障害」の「強迫観念」でみられる症状である。「強迫観念」とは、無意味でばからしいとわかっていても、反復して生まれてくる考えのことで、物に触れた後は手に黴菌がついてしまっていて、いくら洗っても落ちないと思い込んでしまうようなことをいう。強迫観念が行動に出たものを「強迫行為」といい、いくら手を洗ってもきれいになった気がせず、いつまでも洗い続けるというような症状がみられる。
  • 4 正しい。相手が自分に害を与えようとしていると思い込む被害妄想は、統合失調症でみられる被害妄想で、統合失調症の妄想には、このほか「妄想着想」「妄想気分」「妄想知覚」等がある。
  • 5 誤り。「誰もいないのに人の声が聞こえてきた」という訴えは、統合失調症の「幻聴」でみられる症状である。幻聴では、人がいないのに人が話す声が聞こえる、自分のことを批判している声が聞こえる、複数の人が自分のことを噂している声が聞こえる等の訴えがある。自分の考えていることが声となって聞こえてくることを「思考(考想)化声」という。



第21回 精神保健福祉士試験 「精神疾患とその治療」

問題5 次の記述のうち、うつ病患者の訴えとして、適切なもの1つ選びなさい。

  • 1 ただならぬ災害が起ころうとしていることが分かる。
  • 2 街で人と擦れ違った瞬間に、「私は神だ」と確信した。
  • 3 自分は、誰か他人の意思によって操られている。
  • 4 自分の体と他人の体の区別が曖昧になった。
  • 5 自分は過去に重大な罪を犯したので、罰を受けている。

正答 5

解答解説

  • 1 適切でない。ただならぬ災害が起ころうとしていることがわかるという訴えは、統合失調症でみられる「妄想気分」の症状である。世界が滅びようとしている等と訴えることもあり、不気味な気分としての訴えがみられる。これらは、うつ病患者の訴えではない。
  • 2 適切でない。人とすれ違った瞬間に「私は神だ」と確信するのは、統合失調症でみられる「妄想知覚」の症状である。「妄想知覚」とは、実際の知覚に異常な意味が付与されることで、犬が吠えたら火をつけろという合図だと思い込む等の症状である。これらは、うつ病患者の訴えではない。
  • 3 適切でない。操られていると感じるのは、統合失調症でみられる「作為体験」の症状である。「作為体験」とは、自分と他人の区別がつかなくなるために起こる症状で、「思考伝播」「思考干渉」「思考奪取」などとして現れる。
  • 4 適切でない。自分の体と他人の体の区別が曖昧になるという症状は、統合失調症でみられる「自我障害」が引き起こす症状である。「自我障害」とは自我意識の障害のことで、自分と他人の区別がつかなくなるために起こる。
  • 5 適切。うつ病では自己評価が低下するため、「貧困妄想」「心気妄想」「罪業妄想」の三大妄想としての「微小妄想」がみられる。過去に重大な罪を犯したと思い込むのは、「罪業妄想」に該当する。

 いかがでしたか。「精神疾患とその治療」では、代表的な精神疾患の特徴的な症状とその治療方法をよく学習しておきましょう。では、今回の「精神保健の課題と支援」に入っていきましょう。今回は職場のメンタルヘルスについて、「労働安全衛生法」、「過労死防止対策推進法」及びその他の関連諸制度を取り上げていきます。