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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第14回 地域福祉の理論と方法

介護保険制度の枠組み

 介護保険制度は、個別のサービスと、地域での事業としてのサービスに分類されます。今回取り上げる「地域包括ケア」は、後者の「地域支援事業」に該当します。
 「地域支援事業」の必須事業には、「介護予防・日常生活支援総合事業」と「包括的支援事業」があります。地域包括ケアを実施するために、「包括的支援事業」として「生活支援体制整備事業」「在宅医療・介護連携推進事業」「認知症総合支援事業」等があります。

 今回はこのなかの「生活支援体制整備事業」「介護予防・日常生活支援総合事業」「在宅医療・介護連携推進事業」「認知症総合支援事業」について、取り上げていきます。

生活支援体制整備事業

 生活支援体制整備事業は、地域包括ケアシステムを推進していくために設けられた、介護保険制度の包括的支援事業のなかの1事業です。高齢者の生活を支援するための体制を整備する事業で、買い物や配食サービス等の日常生活の支援や、介護予防等の体制を整備し促進するための事業です。
 この事業には、生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)を配置し、協議体を設置することになっています。

生活支援コーディネーター

 生活支援コーディネーターとは、「介護予防・日常生活支援総合事業」を進めるため、介護保険制度の「包括的支援事業」の「生活支援体制整備事業」における「地域支え合い推進員」のことです。地域における生活支援サービスの充実と、高齢者の社会参加、介護予防の推進を図る役割を持つものとして位置づけられています。

 生活支援コーディネーターには、地域資源の開発やネットワークの構築、協議体づくりが求められています。雇用形態は、常勤、非常勤、ボランティア等のいずれであるかは、問われません。職種、人数、配置場所、勤務形態についても一律の規定はなく、資格要件に関する規定もありません。地域の実情に応じた多様な配置が可能で、市町村や地域包括支援センターと連携しながら活動することが求められています。

協議体

 市町村は「介護予防・日常生活支援総合事業」を進めるため、介護保険制度の「包括的支援事業」の「生活支援体制整備事業」において「協議体」を設置することになっています。
 協議体は、生活支援・介護予防に関する多様な関係主体間の定期的な情報収集や、連携・協働による取り組みを推進することが求められています。協議体の構成員は、NPO、民間企業、協同組合、ボランティア、社会福祉法人等が想定されています。

生活支援体制整備事業日常生活支援・介護予防等の体制を整備・促進するための事業。生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)を配置し、協議体を設置。
生活支援コーディネーター地域支え合い推進員のこと。地域における生活支援サービスの充実、高齢者の社会参加、介護予防の推進を図り地域資源の開発やネットワークの構築、協議体づくりを行う
協議体生活支援・介護予防に関する多様な関係主体間の定期的な情報収集・連携・協働による取り組みを推進。

介護予防・日常生活支援総合事業

 介護予防・日常生活支援総合事業は、市町村の地域支援事業の必須事業とされています。介護予防・日常生活支援総合事業には、「介護予防・生活支援サービス事業」と「一般介護予防事業」があります。

 「介護予防・生活支援サービス事業」は、まだ要介護状態には至っていない要支援認定者と基本チェックリスト該当者を対象とし、介護予防と日常生活支援を行います。要介護状態になることの予防と、一人ひとりの生活状況にふさわしい日常生活支援を行うことで、高齢者の地域での生活を支援し、その人らしく地域で生活できることを支援する事業です。
 このサービスは、ボランティア、NPO、民間企業、協同組合等の多様な主体が、サービスを提供することが想定されています。

 「一般介護予防事業」は、65歳以上の第1号被保険者とその支援者を対象とするもので、介護予防の普及啓発、住民主体の活動の育成や支援等を行う事業です。

在宅医療・介護連携推進事業

 在宅医療・介護連携推進事業は、医療関係者と介護関係者が連携して、地域における高齢者の在宅医療や在宅介護の利用調整、情報共有によって、地域包括ケアシステムを推進していくことを目的としています。

 具体的な事業内容としては、地域の医療と介護の資源の把握、在宅医療と在宅介護連携の課題の抽出と対応策の検討、切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制の構築の推進、医療・介護関係者の情報共有の支援、在宅医療・介護連携に関する相談支援、医療・介護関係者の研修、地域住民への普及啓発、在宅医療・介護連携に関する関係市町村の連携という事業があります。

 このなかの、「地域住民への普及啓発」事業では、地域住民を対象にしたシンポジウム等の開催、パンフレット、チラシ、広報、ホームページ等を活用した在宅医療・介護サービスに関する普及啓発、在宅での看取りについての講演会の開催などを行います。

認知症初期集中支援チーム

 認知症初期集中支援チームは、包括的支援事業の「認知症総合支援事業」に設置される組織です。認知症総合支援事業では、認知症初期集中支援チームの設置、認知症地域支援推進員の配置などにより、認知症の早期支援と重症化の予防等を行います。
 なお、要介護認定の主治医意見書に、このチームの活用の有無を記載することは、義務づけられていません。

 認知症初期集中支援チームは、複数の専門職が認知症・家族を訪問しアセスメントして、家族支援を含めて初期の集中的支援を行うもので、概ね最長で6か月の期限があります。対象は、40歳以上の在宅の認知症が疑われる人、およびすでに認知症になった人です。

 チームは、保健師、看護師、作業療法士、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、介護支援専門員等の、医療保健福祉に関する国家資格を有する者専門職2名以上と、認知症サポート医1名の、計3名以上で構成されます。

 認知症サポート医は、認知症サポート医研修を修了した者で、認知症の人の診療に習熟し、かかりつけ医への助言や支援を行い、専門医療機関や地域包括支援センターとの連携の推進役となる医師です。各地域で認知症の発症初期から状況に応じて、医療と介護が一体となった認知症の人への支援体制の構築を図ることが期待されています。

介護予防・日常生活支援総合事業「介護予防・生活支援サービス事業」は、要支援認定者と基本チェックリスト該当者を対象として介護予防と日常生活支援を行う。ボランティア、NPO、民間企業、協同組合等の多様な主体が提供主体として想定されている。
在宅医療・介護連携推進事業医療関係者と介護関係者が連携して、地域における高齢者の在宅医療や在宅介護の利用調整、情報共有により地域包括ケアシステムを推進する。
認知症初期集中支援チーム認知症サポート医1名、医療福祉専門職2名で、認知症患者やその家族を訪問し初期の集中的支援を行う。最長6か月。

 以上、「地域福祉の理論と方法」の全体の出題傾向と対策及び、地域包括ケアに関してみてきましたが、いかがでしたか。この科目は10点科目のため範囲が広いですが、出題率の高い範囲を丁寧に学習すれば得点に結びつきますから、着実に学習して力をつけていきましょう。次回は「福祉行財政と福祉計画」を取り上げます。

 では、第21回の精神保健福祉士試験から、今回の課題を上げておきますので、チャレンジしてみてください。

第21回 精神保健福祉士国家試験 「地域福祉の理論と方法」

問題41 高齢者保健福祉の領域における地域包括ケアの推進に関して、地域福祉と関連する記述のうち、適切なもの2つ選びなさい。

  • 1 介護保険法の改正(2014年(平成26年))で、市町村に地域ケア会議が必置の機構として法定化された。
  • 2 生活支援体制整備事業に規定された地域福祉コーディネーターが市町村に配置され、協議体づくりが進められている。
  • 3 介護予防・日常生活支援総合事業では、ボランティア、NPO、民間企業、協同組合などの多様な主体がサービスを提供することが想定されている。
  • 4 在宅医療・介護連携推進事業には、地域住民への普及啓発が含まれる。
  • 5 介護保険法では、要介護認定に関わる主治医の意見に認知症初期集中支援チームの、地域での活用に関する記載が義務づけられた。