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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第14回 地域福祉の理論と方法

地域福祉の基本的考え方

 「概念と範囲」の分野では、コミュニティの概念や定義、地域福祉に関する代表的な理論を整理しておきましょう。ロス、ロスマン、岡村重夫、右田紀久恵、三浦文夫などの理論を学習しておきましょう。

 第21回では地域福祉政策について、地域福祉政策に関するさまざまな分野の報告書、法律の出題がありました。地域福祉のあり方に関する報告書や、生活困窮者、地域包括ケアシステム、福祉提供ビジョン、社会福祉法改正による地域福祉計画の位置づけ等、最新の動向が出題されていますので、報告書や法改正等に注意しておきましょう。

 「地域福祉の理念」の分野からは、第21回、第18回での出題がありました。ソーシャルキャピタル、ノーマライゼーション、ローカルガバナンス、ソーシャル・インクルージョン、ローカルガバナンス、社会的起業等の理念、人権尊重、権利擁護、自立支援、地域生活支援などについて、学習しておきましょう。

 障害者の地域移行については、障害者総合支援法による障害者自立支援制度の地域移行や地域定着支援について、よく学習しておきましょう。

 「地域福祉の発展過程」の分野からは、コミュニティオーガニゼーション理論、コミュニティケア報告書、セツルメント運動等が出題されています。第20回ではわが国の社会福祉協議会の発展の歴史が、第19回ではイギリスの各種の報告書として、シーボーム報告、エイブス報告、ウルフェンデン報告、バークレイ報告、グリフィス報告が出題されています。イギリスと我が国の地域福祉の発展の歴史を押さえておきましょう。

 「地域福祉における住民参加の意義」の分野からは、地域住民の参加のあり方が出題されています。第20回では、住民主体の地域福祉活動、住民参加型在宅福祉サービス、共同募金、特定非営利活動法人、地域密着型サービス運営推進会議が出題されました。福祉関係の各分野において、地域住民の参加がどのように規定されているかを、各法律に当たって整理しておきましょう。

地域福祉の主体と対象

 この分野からは、第21回では、地域福祉の対象として避難行動要支援者、ホームレス、生活困窮者、ひきこもり、障害者虐待の、それぞれの法律上の定義が出題されました。各分野における定義をまとめておくとよいでしょう。

 第18回では、地域福祉の主体として生活支援コーディネーター、介護支援専門員、介護予防・日常生活支援総合事業、認知症サポーター、地域ケア会議の役割と位置づけが出題されました。介護保険制度における各職種、各機関の役割と事業の内容を理解しておきましょう。

 市民後見推進事業についても出題実績がありますから、市町村の後見等に係る体制整備の努力義務規定、市民後見推進事業の目的や役割等を押さえておきましょう。

 「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」(平成29年制定)により、社会福祉法の一部が改正され、平成30年4月1日から施行されています。
 地域共生社会の実現に向けて、社会福祉法に地域福祉の推進がどのように規定されているか、社会福祉法における地域住民の位置づけと役割、地域における包括的な支援体制づくり、地域福祉計画の策定等、改正のポイントを確認しておきましょう。

地域福祉に係る組織、団体及び専門職や地域住民

 「行政組織と民間組織の役割と実際」の分野はたいへん出題率が高く、ほとんど毎回の出題がみられます。特定非営利活動法人、社会福祉協議会、民生委員、児童委員、共同募金については、基礎的な分野ですので、十分学習しておきましょう。

 第21回では社会福祉協議会の組織と役割について、第20回では社会福祉法に規定している地域福祉計画策定時の住民の意見反映措置、地域福祉コーディネーターの位置づけ、市町村社会福祉協議会の組織、共同募金会の配分方法が出題されました。

 ボランティア組織や企業の社会貢献活動、文化活動、また、生活協同組合、農業協同組合、住民参加型の在宅福祉サービス、現在注目されている社会的企業、ソーシャルビジネス等の出題も見られますので、これらについても理解を深めておきましょう。

 高齢者保健福祉の分野から、介護予防・日常生活支援総合事業や包括的支援事業の組織と業務内容、配置される人材とその役割についての出題率がたいへん高くなっていますので、丁寧に学習しておきましょう。第20回では、認知症サポーター、日常生活自立支援事業における専門員の資格要件、認知症地域支援推進員、認知症ケア専門士、介護相談員についての出題がありました

 第19回では、民生委員・児童委員、介護支援専門員、地域包括支援センター運営協議会、福祉用具販売事業、主任相談支援員、基幹相談支援センターの設置についての出題がありました。地域で地域福祉を担う人材、組織について、各分野ごとにポイントを押さえておきましょう。

 「専門職や地域住民の役割と実際」の分野からは、社会福祉協議会の福祉活動専門員、生活支援相談員等について、事例問題での出題が多く見受けられます。日常生活自立支援事業の専門員、生活支援員のそれぞれの役割、介護相談員や認知症サポーターの役割、ボランティアコーディネーターの位置づけなども学習しておきましょう。
 第21回では、生活困窮者自立支援事業を受託している市町村社会福祉協議会の相談員のひきこもり対策についての事例問題が出題されています。

地域福祉の推進方法

 「ネットワーキングの意義や方法とその実際」については、地域のなかの社会資源をネットワーク化し、地域住民の生活課題を解決する手法を習得しておきましょう。地域福祉の連携のあり方、地域福祉コーディネーターの業務、地域包括ケアによるコーディネート、「社協・生活支援活動強化方針」における生活支援員の役割等が出題されています。

 「地域における社会資源の活用・調整・開発」については、社会資源の意味、社会資源としての共同募金や町内会、市民後見人、住民主体の概念と専門職との関係等をよく押さえておきましょう。また、町内会やふれあいいきいきサロン、地域包括支援センター等の社会資源の活用方法等も学習しておくとよいでしょう。

 第20回では市町村社会福祉協議会の生活支援コーディネーターの対応が、第19回ではソーシャルアクションの展開が出題されています。地域住民が地域の課題を自分たちの課題として捉え、住民が主体となって取り組むことができるための援助のあり方を学んでおきましょう。

 「地域における福祉ニーズの把握方法と実際」として、質的ニーズと量的ニーズの把握方法、ニーズ把握の具体的手法について理解しておきましょう。具体的な課題に関するニーズ把握方法として、ニーズ把握のための構造化面接、半構造化面接、インタビュー方法、住民懇談会の持ち方等の出題実績があります。

 また、第20回では、ニーズ把握の方法として、フォーカスグループインタビュー、個別インタビュー、住民座談会、アクションリサーチ、マッピング技法が出題されています。ニーズ把握のための調査方法は、「精神保健福祉の理論と相談援助の展開」の科目の社会調査の分野と重なりますので、併行して学習しておきましょう。

 「地域ケアシステムの構築方法と実際」の分野では、地域包括ケア研究会報告書の内容をよく読み込んでおきましょう。第21回では、高齢者保健福祉の領域における地域ケア会議の位置づけ、生活支援コーディネーターと協議体、介護予防・日常生活支援総合事業、在宅医療・介護連携推進事業、認知症初期集中支援チームが出題されました。

 地域包括ケアシステムは、今後の地域における保健医療福祉を推進していく上での核となる考え方ですから、今後も出題が予想されます。注意深く学習しておきましょう。出題率の高い分野なので、今回は後ほどこの分野を中心に解説していきます。

 「地域における福祉サービスの評価方法と実際」としては、第20回で、第三者評価事業が出題されています。「福祉サービス第三者評価事業の指針」「福祉サービス第三者評価機関認証ガイドライン」が出されていますので、組織体系、研修体系、評価機関の認証要件、評価項目も含めて目をとおしておきましょう。

 以上全体を概観してきましたが、今回は、精神保健福祉士として日常的にはあまり触れ合うことが無いため、苦手意識が強い受験生が多い、高齢者の保健福祉分野における地域包括ケアの推進について取り上げていきます。

地域ケア会議の位置づけ

 高齢者の保健福祉制度における地域ケア会議は、介護保険法に規定されています。2014年(平成26年)の介護保険法改正により、法第115条の48第1項に、「市町村は、事業の効果的な実施のために、介護支援専門員、保健医療及び福祉に関する専門的知識を有する者、民生委員その他の関係者、関係機関及び関係団体である関係者等により構成される会議を、置くように努めなければならない」と規定され、市町村に地域ケア会議を設置することが、努力義務として課せられました。

地域ケア会議の目的と構成員

 地域ケア会議は、高齢者個人に対する支援の充実と、それを支える社会基盤の整備とを同時に進めていく、地域包括ケアシステムの実現を目的としています。
 構成員は、自治体職員、地域包括支援センター職員、ケアマネジャー、介護事業者、民生委員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、管理栄養士、歯科衛生士、その他必要に応じて、直接サービス提供に当たらない専門職種も参加するとされています。

地域ケア会議の段階と機能

 地域ケア会議は、地域包括支援センターレベルで開催される「地域ケア個別会議」で、個別事例を検討することを通して多職種協働のケアマネジメント支援を行います。市町村レベルで開催される「地域ケア推進会議」では、地域の課題を把握し、解決に向けた地域のネットワークの構築につなげ、地域づくりや資源開発、政策形成に反映させる機能を担います。

地域ケア会議介護保険法上に、市町村は設置努力義務。
地域ケア個別会議地域包括支援センターレベルで開催。個別事例検討により多職種協働のケアマネジメント支援を行う。
地域ケア推進会議市町村レベルで開催。地域課題の把握、地域のネットワークの構築、地域づくり、資源開発、政策形成に反映させる。