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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第13回 現代社会と福祉

現代社会における福祉制度と福祉政策

 この分野は、福祉制度の概念の変遷、福祉政策の概念と理念について、社会保障の枠組みや定義、ベヴァリッジ報告における社会保障の考え方などに焦点をあてて学習しておきましょう。わが国の福祉政策の変遷過程については、社会保障制度審議会勧告や社会福祉基礎構造改革なども含めて、戦後から現在に至る時代背景を踏まえて、よく理解しておきましょう。

福祉の原理をめぐる理論と哲学

 福祉の原理をめぐる理論や哲学・倫理として、第21回では社会づくりにかかわる理論が、第20回と第18回ではロールズの「正義論」が、第19回では、センの潜在能力理論(ケイパビリティ・アプローチ)が出題されています。それぞれの内容を十分に理解しておきましょう。

 わが国の福祉の原理をめぐる理論と哲学としては、大河内和男、岡村重夫、孝橋正一、仲村優一等の理論の出題実績がありますので、基本的な理論を理解しておきましょう。

福祉制度の発達過程

 「前近代社会と福祉」「産業社会と福祉」については、第21回でイギリスの福祉政策の歴史が、第19回では、ラウントリーのヨーク調査が出題されました。我が国の社会福祉制度の歴史としては、第20回では恤救規則、救護法、感化法、児童虐待防止法、方面委員制度が、第19回では社会福祉法人制度の創設が出題されています。

 イギリスの救貧法、慈善組織協会活動、ブースやラウントリーの貧困調査、ナショナルミニマムやベヴァリッジ報告等の、イギリスの福祉国家の形成過程、世界の主要国における社会福祉制度の形成過程を、政治や経済との関係で把握し、それぞれの特質を理解しておきましょう。今回は後ほど、イギリスの福祉の発展の歴史について取り上げていきます。

 わが国の第二次世界大戦以前の福祉制度の発達過程としては、中央社会事業協会、済世顧問制度、内務省の救護課設置、救護法、戦時厚生事業が出題されています。我が国の福祉制度の発達過程については、産業の発展や貧困との関係、民間の慈善事業から社会事業への移行、戦時体制の影響など、社会背景も踏まえて学習すると、理解が深まります。

 「現代社会と福祉」については、第二次世界大戦後の生活困窮と福祉、経済成長と福祉、新自由主義等の概念も理解しておきましょう。この分野からは具体的に、わが国の戦後の福祉政策として、旧生活保護法、児童福祉法、日本型福祉社会、障害者自立支援制度等が出題されています。第21回では、社会福祉法が出題されました。社会福祉基礎構造改革や社会福祉法人制度改革も含めて学習しておきましょう。

 現代社会の特質であるグローバル化と貧困、科学技術の進展に伴うリスク社会、新自由主義や福祉多元主義等の、概念と実際についても理解を深めておきましょう。

福祉政策におけるニーズと資源

 「需要とニーズの概念」の分野では、欲求とニーズの関係、必要原則と貢献原則、ニーズ充足の方法、貧困とニードの捉え方、ブラッドショーのニーズ論、潜在的ニードと顕在的ニード、ニードの顕在化に果たす専門職の役割等が出題されています。

 第21回、第20回では、この分野からの出題がありませんでしたが、この分野は、福祉政策を理解するためには基礎的な内容ですから、それぞれの概念を正確に把握しておきたいものです。

 「資源の概念」の分野は、資源の意味、資源の性格、普遍主義的な資源の配分、福祉サービスのニーズ判定等の出題実績があります。福祉政策におけるニーズの意味、ニーズと資源の関係、資源の分配方法、ニード充足のための資源の配分と福祉政策についてよく学習しておきましょう。

福祉政策の課題

 「福祉政策と社会問題」の分野は、貧困、孤独、失業、要援護、偏見と差別、社会的排除、ヴァルネラビリティ等の社会問題に関する理解が求められます。出題実績をみると、社会的排除と社会的包摂、貧困、格差、子どもの貧困対策大綱の内容等が出題されています。第21回では、ヘイトスピーチ解消法、育児・介護休業法が出題されています。

 現代社会の福祉政策の課題があらゆる分野から出題されますので、厚生労働白書や国民生活基礎調査等に目を通しておきましょう。また、貧困の概念や失業の実態、若年者の生活、経済格差とその対策、海外の社会保障と福祉の制度と趨勢などについても学習しておきましょう。

 「福祉政策の現代的課題」の分野からは、第21回では、国連による「人間の安全保障」と「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」が出題されています。世帯・婚姻の動向、生活困窮者自立支援制度、自殺対策基本法等の出題実績があります。少子高齢化の進展、雇用形態の多様化が進む社会的背景に対して、社会保障制度について、現在進められているさまざまな諸改革に注意をしておきましょう。

 「福祉政策の課題と国際比較」の分野では、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランス、スウェーデン、韓国等の社会保障制度の特徴を整理しておきましょう。第21回では世界幸福度報告書が、第20回では各国の福祉改革が出題されています。

 イギリスのベヴァリッジ報告や「第三の道」、コミュニティケアの展開、アメリカの社会保障法、TANF、オバマ政権による医療保険改革、ドイツの介護保険法、フランスの家族手当制度、スウェーデンのエーデル改革、韓国の「老人長期療養保障法」等がよく出題されています。

福祉政策の構成要素

 「福祉施策の論点」の分野は、効率性と公平性、普遍主義と選別主義、自立と依存、自己選択とパターナリズム等の概念を理解しておきましょう。第21回では性同一性障害が、第19回ではOECDの「より良い暮らしイニシアチブ」が、第18回では貧困と格差が出題されています。OECDの相対的貧困率の定義、ジニ係数、国民生活基礎調査、男女共同参画社会や男性の育児休業取得率、ひとり親世帯の労働形態や平均収入、女性議員が占める割合等も押さえておきましょう。

 「福祉政策における政府の役割・市場の役割、・国民の役割」の分野からは、国、都道府県、市町村、地方社会福祉審議会のそれぞれの役割について、社会福祉法にどのように規定されているかについての出題実績があります。「福祉行財政と福祉計画」の科目とも重なる分野ですから、並行して学習しておきましょう。

 「福祉政策の手法と政策決定過程と政策評価」からは、第20回で、福祉サービスのプログラム評価の方法に関する出題がありました。予算や人材等の資源の投入の評価、プログラム実施の適切さを評価する過程の評価、産出される物やサービスの量を評価する産出性の評価、プログラムの達成状況の成果評価、効率性の評価等について理解を深めておきましょう。

 「福祉供給部門」の分野は、福祉サービスの供給主体としての、政府部門、民間営利部門、民間非営利部門、ボランタリー部門、インフォーマル部門について理解しておきましょう。第20回では社会的企業が出題されています。

 「福祉の供給過程」の分野からは、受益と負担、福祉サービスの準市場(疑似市場)についての出題実績があります。福祉サービスの利用者負担の意味、国民負担率、応能負担と応益負担、所得控除の性格、公費負担方式と社会保険方式における受益と負担の対応関係、準市場の概念としくみについてよく理解しておきましょう。
 公と民の関係、再分配の意味と方法、割当、行政計画等についても学習しておきましょう。

 「福祉利用過程」の分野からは、福祉サービスの評価について、プロセス評価、評価の視点、第三者評価等が出題されています。福祉サービス利用に関する情報の非対称性、福祉サービス第三者評価事業、苦情解決制度等についても学習しておいてください。

福祉政策と関連政策

 ここからは、関連政策として非常に幅広い分野からの出題があります。第21回ではわが国の最低賃金制度が、第20回では住宅セーフティネット法の出題がありました。住宅政策、労働政策、教育政策等、多様な分野における政策について、絶えずアンテナを張って情報をつかんでおくことをおすすめします。

相談援助活動と福祉政策の関係

 この分野からの出題はまだありません。中項目として、福祉供給の政策過程と実施過程が上げられています。今までの諸分野を理解したうえで、相談援助活動における福祉政策との関係を把握できるようにしておきましょう。

 以上、全体を概観してきましたが、今回は、イギリスの福祉の発展の歴史について取り上げていきます。