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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第8回 精神保健福祉に関する制度サービス

 皆さん、こんにちは。今回は、「精神保健福祉に関する制度とサービス」を取り上げます。精神保健福祉法を始め、医療保険制度や年金保険制度、介護保険制度等の社会保障制度、更生保護制度、医療観察制度等の関連する制度について、現場で精神障害者を支援する際に必要な制度やサービスに関する理解が総合的に求められる科目です。

 まず、前回の課題の解説をしてから、出題基準と過去問の分析に基づいて詳しく取り上げていきましょう。

第21回 精神保健福祉士国家試験 「精神保健福祉の理論と相談援助の展開」

問題42 次のうち、相談援助のインテーク段階において、相談機関が対応可能かどうかを判断する方法として、適切なもの1つ選びなさい。

  • 1 コーディネーション
  • 2 エンゲージメント
  • 3 スクリーニング
  • 4 モニタリング
  • 5 リファーラル


正答 3

解答解説

  • 1 適切でない。コーディネーションとは、連絡調整を行うことである。利用者の多様なニーズを充足するために、地域のさまざまな社会資源を適切に調整し、効果的に提供できるよう、関係機関の連絡、調整を行い、協働と連携を進めることによって、サービスの統合化を図り、計画的に資源を提供していくことで、これはインターベンション段階で行われる。
  • 2 適切でない。エンゲージメントとは、約束、結びつきを意味する言葉で、援助関係においては、信頼関係構築やその前提となるかかわりの基礎を形成することを意味する。インテークにおいて必ず求められるもので、幅広い概念として、インテーク自体を指す言葉として使用する場合もある。相談機関が対応可能かどうかを判断することではないので、適切ではない。
  • 3 適切。スクリーニングとは、相談を受け、そのケースの複雑性、緊急性などを把握し、ケースワークが必要であるかどうか、また、その相談機関での対応が可能であるかどうかを判断することである。複数のサービスや支援を総合的、継続的に提供する必要があると認められ、その相談機関で対応可能と判断され、本人が利用を希望した場合に、援助の対象となる。
  • 4 適切でない。モニタリングとは、インターベンション(介入)後、支援計画に基づいた支援が適切に実施されているかどうか、状況の変化や新たなニーズが発生していないかどうかを検証することである。支援計画が有効に機能しているか、利用者の満足度、サービスの質等を確認し、利用者の心身の状況の変化や生活の変化が激しいときは必要に応じて再アセスメントを行い、新たな支援計画を作成し直し、それを実施することになる。
  • 5 適切でない。リファーラルとは、スクリーニングによってケースワークが必要であると判断されたケースに関して、相談内容が自分の所属する機関では扱っていない、あるいは適切ではない場合などに、相談内容に適合する他の相談支援機関に紹介することである。

 いかがでしたか。「精神保健福祉の理論と相談援助の展開」では、精神保健福祉士の実践における援助として、多様なテーマが総合的に出題されます。ケースワーク、グループワーク、コミュニティソーシャルワーク、権利擁護活動等、多様な援助技術を実践に活かせるような学習をしておきましょう。

 では、今回の「精神保健福祉に関する制度とサービス」について、出題基準と過去問の出題傾向を分析しながら、頻出分野を中心に対策を立てていきましょう。

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)の意義と内容

 この分野は、精神保健福祉法を十分学習しておきましょう。法律の目的、精神保健福祉センター、地方精神保健福祉審議会、精神医療審査会、精神保健指定医制度、退院後生活環境相談員、入院形態、精神障害者保健福祉手帳制度、家族支援などについて、これらの諸制度の詳細と、精神保健福祉士の役割を念頭において整理しておきましょう。

 第21回では精神障害者福祉手帳と医療保護入院制度が、第20回では医療保護入院、精神医療審査会、精神保健福祉センターが、第19回では入院形態が、第18回では精神障害者保健福祉手帳制度が出題されています。今回は後ほど、精神障害者保健福祉手帳制度について取り上げていきます。

 現在の精神保健福祉法に至るまでの法改正と歴史的展開、精神障害者に関する施策の発展についての出題実績もありますから、精神病者監護法、精神病院法、精神衛生法、精神保健法、精神保健福祉法への変遷とその改正内容についても理解しておきましょう。

精神医療審査会については、組織、役割等を、精神障害者保健福祉手帳制度については、手帳所持者が活用できるサービス等について、事例問題にも対応できるようにしておきましょう。

精神障害者の福祉制度の概要と福祉サービス

 障害者基本法の内容と今までの法改正のポイント、精神障害者施策との関係を整理しておきましょう。第21回、第19回、第17回で、障害者基本法の概要が出題されています。法律における障害者の定義、障害者基本計画、障害者政策委員会等、ポイントを押さえておきましょう。

 障害者総合支援法に基づく、障害者自立支援制度の精神障害者に対する具体的なサービス内容は、出題率の高い分野です。第21回では障害者政策委員会が、第20回では地域定着支援と地域活動支援センターが、第19回では自立支援医療が、第18回では、障害支援区分認定のプロセスや認定の必要の有無、基幹相談支援センターの役割が出題されています。共通科目の「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」と並行して、ぜひ丁寧に学習しておきましょう。
 また、国や都道府県、市町村が実施している、精神障害者が利用する制度や福祉サービス、事業についても整理しておきましょう。

精神障害者に関連する社会保障制度の概要

 健康保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度の仕組みと費用負担、保険給付の内容、介護保険制度の仕組みと利用手続き、介護保険サービスの内容、生活保護や年金制度、社会手当、雇用保険などの所得保障、障害者に対する税制優遇措置などの経済的支援制度の学習が求められています。

 第21回では、国民健康保険の高額療養費制度と生活保護の医療扶助が、第20回では障害年金制度、地域包括支援センターが、第19回では介護保険サービスが出題されています。地域包括支援センターについても、精神障害者の相談機関としての役割を理解しておきましょう。

 また、第19回では経済的支援として、特別障害者手当、生活福祉資金貸付制度、労働者災害補償保険、障害基礎年金、障害手当金についての出題がありました。それぞれの支給要件等について整理しておきましょう。

相談援助に係わる組織、団体、関係機関及び専門職や地域住民との協働

 相談援助に係る福祉サービス提供施設や機関として、保健所、地域活動支援センター、家族会、セルフヘルプグループ、ピアサポート、社会福祉協議会の地域福祉活動専門員、介護相談員、認知症サポーターなど、精神障害者にかかわる諸団体や地域住民の役割などを押さえておきましょう。

 第21回では職場のメンタルヘルスに関して労働基準監督署が、第20回では認知症サポーター、福祉課活動専門員、精神保健福祉相談員、民生院、行政相談員が、第19回では社会福祉協議会、特定非営利活動法人、主任児童委員、保護司、民生委員、第18回ではピアサポーターが出題されています。

更生保護制度の概要と精神障害者福祉との関係

 更生保護制度の意義と目的、仮釈放の流れと手続き、地方更生保護委員会の役割、保護観察所と保護観察官、指導監督と補導援護などについて、更生保護制度の仕組みを整理しておきましょう。

 第20回では更生保護の担い手について、第19回では仮釈放と協力雇用主制度が、第18回では更生保護制度全般が、第17回では覚せい剤事犯者処遇プログラム、更生保護施設、断薬のための保健所の役割、自助グループが出題されています。

 更生保護法に規定されている更生保護制度全般の仕組み、保護司法における保護司の性格や法的位置付け、更生保護にかかわる民間組織や団体の役割等について整理しておきましょう。

更生保護制度における関係機関や団体との連携

 更生保護制度の前提となる司法の仕組みとして、刑務所や少年院などの矯正施設の種類と性格を確認しておきましょう。第21回と第19回では、矯正施設の仮釈放後に活用できる機関等として地域定着支援センター等が、第20回では保護観察所の役割についての出題がありました。

 近年の更生保護の対象者の特徴として、高齢者や障害のある受刑者が多いこと、矯正施設退所後の再犯の確率が高いことなどを挙げることができます。更生保護制度における司法・医療・福祉の連携の必要性と、それに対応するための、更生保護施設、地域生活定着支援センター、自立更生促進センター、自立援助ホームの働きについても、理解を深めておきましょう。

医療観察法の概要

 医療観察法の目的と意義、医療観察制度の仕組み、審判決定の手続き、鑑定入院制度、指定入院医療機関、指定通院医療機関、入院処遇と通院処遇などについて、まとめておきましょう。

 第21回では医療観察法における重大な加害行為について、第18回では指定入院医療機関が、第17回では、医療観察法の処遇内容、処遇改善請求、処遇決定に対する対応等が出題されています。この分野は、医療観察制度の仕組みについて詳細に問われる傾向がありますので、よく学習しておいてください。

医療観察法における精神保健福祉士の専門性と役割

 医療観察法において、精神保健福祉士はどのような役割を担っているのか、具体的に、保護観察所に配置される社会復帰調整官の業務内容として、生活環境の調査、生活環境の調整、精神保健観察、関係機関相互間の連携の確保等の具体的な内容を理解しておきましょう。

 第20回では社会復帰調整官が、第20回と第19回では精神保健参与員についての出題がありました。医療観察制度におけるそれぞれの役割と精神保健福祉士資格の役割等も確認しておきましょう。

社会資源の調整・開発に係わる社会調査の意義、目的、倫理、方法及び活用

 精神保健福祉士のソーシャルワーカーとしての活動が、社会調査をふまえた、根拠に基づいた実践となるために、社会調査の意義と、目的や社会調査における倫理や個人情報の取り扱い等に注意して学習しておくとよいでしょう。

 第21回では、精神科デイケアでのSSTの効果についての調査方法が、第20回では障害福祉計画策定のための住民意識調査が、第18回では精神障害者福祉のニーズ調査についての出題がありました。社会調査における倫理綱領、具体的な調査方法としての横断調査、縦断調査、コーホート調査、グランデッドセオリー等についても学習しておきましょう。

 以上、全体を概観してきましたが、今回は精神障害者保健福祉手帳制度について取り上げていきたいと思います。

精神障害者保健福祉手帳

 精神障害者保健福祉手帳制度は、精神障害者を初めて精神保健の対象としてだけではなく、福祉の対象としてその人権を護る目的で改正された1995年の精神保健法から精神保健福祉法への改称・改正によって、精神保健福祉法に規定された制度です。

申請方法

精神障害者保健福祉手帳の申請方法は、市町村長を経由して都道府県知事に申請します。都道府県知事は精神保健福祉センターに判定させ、その結果に基づいて都道府県知事が手帳を交付します。申請書類は、診断書か障害年金証書の写しに、写真を貼付して提出します。申請は、本人、配偶者、同居の親族、医療機関等による申請代行が可能です。

 診断書は、初診日から6か月を経過した日以降のものでなければなりません。診断書は、精神保健指定医を中心に、精神科の医師及び他の医師によるものでも可能です。
 発達障害も精神保健福祉手帳の交付の対象となります。手帳の交付の可否決定は、申請書受理からおおむね1か月以内に可否決定することが望ましいとされています。手帳の有効期間は2年です。

障害等級

 精神障害者保健福祉手帳の障害等級は、1級から3級に分かれています。1級は「精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの」、2級は、「精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」、3級は、「精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの」とされています。

手帳所持者の税制上の優遇措置

 精神障害者保健福祉手帳による税制上の優遇措置としては、所得税障害者控除、住民税障害者控除、低所得者の場合は住民税は非課税となります。その他に、1級は相続税、贈与税に優遇措置があります。

 自動車税については、精神障害者保健福祉手帳1級で自立支援医療費受給者は、自動車税減免の対象となります。生活保護法の障害者加算については、初診日から1年6か月を経過していることが条件で、1級、2級は障害者加算の対象になります。3級は対象外なので気をつけておきましょう。
 なお、精神障害者保健福祉手帳所持者は、JR割引運賃、有料道路(高速自動車国道)の通行料金の、割引の対象外であることにも気をつけておいてください。

精神障害者保健福祉手帳

申請手続き市町村長を経由して知事に申請、精神保健福祉センターが判定、知事が交付
申請書類診断書か障害年金証書の写し、写真を貼付して提出
申請本人、配偶者、同居の親族、医療機関等による申請代行が可能
診断書初診日から6か月を経過した日以降のものでなければならない。
精神保健指定医を中心に、精神科の医師及び他の医師によるものでも可能
等級1級~3級
発達障害発達障害も手帳の交付対象となる
交付の可否決定申請書受理からおおむね1か月以内に可否決定することが望ましい
有効期間2年
税制優遇措置所得税障害者控除、住民税障害者控除。
相続税、贈与税は1級のみに優遇措置あり
自動車税1級で自立支援医療費受給者だけが自動車税減免の対象
生活保護法の障害者加算1級、2級のみは障害者加算の対象になるが、3級は対象外である
初診日から1年6か月を経過していることが条件
JR割引精神障害者保健福祉手帳所持者は、JR割引運賃及び有料道路(高速自動車国道)の通行料金の割引の対象外。

 いかがでしたか。この科目ではこのほか、障害者自立支援制度、介護保険制度、生活保護制度、精神障害者保健福祉手帳制度、更生保護制度、医療観察制度等についても注意して学習しておきましょう。次回は、「精神障害者の生活支援システム」を取り上げます。

 では、第21回の精神保健福祉士試験のなかから、今回の課題をあげておきますので、チャレンジしてみてください。

第21回 精神保健福祉士国家試験 「精神保健福祉に関する制度とサービス」

問題61 精神障害者保健福祉手帳に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 申請者の居住地を管轄する市町村長が交付する。
  • 2 申請に必要な診断書は、精神保健指定医による作成が必要である。
  • 3 申請には、申請者本人の顔写真の添付が必要である。
  • 4 等級の判定は、地方精神保健福祉審議会において行われる。
  • 5 申請は、初診日から1年6か月以上経過している必要がある。