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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第6回 精神保健福祉の理論と相談援助の展開(1)

精神科リハビリテーションのプロセス

 精神科リハビリテーション計画の必要性、計画内容の要点、計画のための機能評価と資源評価、個別利用者支援における評価、プログラム評価とニーズ評価、プロセス評価やフィデリティ評価の意味について学習しておきましょう。評価の方法として、代表的な評価尺度の具体的内容と使用目的も押さえておきたいものです。

 第19回では精神科リハビリテーションの評価と計画策定が、第18回では就職を希望するクライエントのリハビリテーション計画における資源調整について出題されています。計画策定、評価の視点などについて、具体的な援助の場面を想定して学習しておきましょう。

 精神科リハビリテーションのアプローチの方法としては、長期在院者の地域移行、新規入院者の地域移行、地域リハビリテーションにおけるリカバリーの概念や当事者主体、ソーシャルインクルージョンの理念、ケアマネジメントやアウトリーチなどの技法、急性期や寛解期における課題と援助手法、ライフサイクルとの関係等を把握しておくとよいでしょう。

 精神疾患発病後、入院後、急性症状消退後、精神療養病床に入院中等のそれぞれの状態の患者へのリハビリテーションのアプローチの方法、疾病の時期と状態像、それに相応しいそれぞれのアプローチ方法を、適切に提供できるよう理解を深めておきましょう。

 第20回では、就労移行支援事業所における職業リハビリテーションのアプローチ方法が出題されました。障害者の職業リハビリテーション機関の役割と活用の仕方等、制度系の知識も整理しておきたいものです。

 以上、出題基準の大項目4まで解説してきました。出題基準の大項目5以降については、次回に取り上げていきたいと思います。
 では、今回は、ソーシャルワークにおける権利擁護の機能について取り上げていきたいと思います。

ソーシャルワークの役割と権利擁護

 ソーシャルワークの役割には、代表的なものに、「側面的支援者」としての役割、「仲介者」としての役割があります。それとともに、ソーシャルワークの統合的機能としての「代弁者・権利擁護者」としての役割があり、これをアドボカシー機能といいます。

 アドボカシー機能を担うアドボケイターは、側面的な支援や中立性を重んじる仲介者とは異なり、中立の立場ではなく、利用者の立場に立つことが特徴です。

アドボカシーの対象による分類

 アドボカシーには、権利擁護の対象による分類として、ケースアドボカシーとクラスアドボカシーがあります。ケースアドボカシーはパーソナルアドボカシーとも呼ばれるもので、個人の権利擁護や代弁を行うアドボカシーで、個別なケースについての代弁・権利擁護を行う機能を持っています。

 クラスアドボカシーはシステムアドボカシーとも呼ばれるもので、一定の共通課題をもった集団の権利擁護や代弁を行う機能を持っています。政策実践や法律、社会的問題を扱う代弁・権利擁護機能で、制度や政策への働きかけや資源開発等のソーシャルアクションによって行われます。

アドボカシーの担い手による分類

 アドボカシーの担い手による分類としては、障害者を含む市民が権利擁護活動を行うシティズンアドボカシー、当事者自身が自分自身の権利を擁護するセルフ・アドボカシー、仲間同士が権利擁護を行うピア・アドボカシー、司法の専門家が法的手続きにより行う権利擁護としてのリーガル・アドボカシー等があります。

アドボケイター利用者の権利を擁護する者、代弁者。
中立の立場ではなく利用者の立場に立つ
ケースアドボカシーパーソナルアドボカシー。個別のケースについての権利擁護・代弁
クラスアドボカシーシステムアドボカシー。一定の共通課題をもった集団の権利擁護・代弁
シティズン・アドボカシー障害者を含む市民が権利擁護を行う市民運動
セルフ・アドボカシー自分自身の権利を主張すること
ピア・アドボカシー仲間同士が権利擁護を行うこと
リーガル・アドボカシー司法の専門家が法的手続きにより行う権利擁護

アドボカシーの機能

 アドボカシーの機能として、「発見の機能」「調整の機能」「介入の機能」「対決の機能」「変革の機能」「代弁の機能」を挙げることができます。

 発見の機能とは、クライエントが抱えている問題を発見する機能です。クライエントも気づいていない権利侵害に対する問題を発見し、クライエント自身に自らのニーズと権利に気づきをもたらし、その問題を提起すること、生活課題を抱え援助を必要としている人を発見する等の役割があります。

 調整の機能とは、クライエントと制度の間に立ち、当事者のニーズと制度のサービスや資源を調整し結合させる仲介者・媒介者としての役割を果たす機能です。主に、ケースアドボカシーにおける機能です。

 介入の機能とは、クライエント集団と地域福祉政策を結びつけるための介入者としての機能です。主にクラスアドボカシーにおける機能です。
 対決の機能とは、制度や組織に対して、当事者の利益のために代弁する機能です。

 変革の機能とは、クライエントの権利が侵害されるような状況に対して、制度やサービスの整備、拡充、資源の開発を求めていく機能です。法制度の改正や改革に向けた活動や、新たなサービスづくり等を行います。

 代弁の機能とは、自分自身の権利を主張することが困難なクライエントの支援や代弁を行う機能です。サービス情報の提供、意思決定の支援等を含むものです。

 ソーシャルワーカーは、これらのアドボカシーの諸機能を自覚しながら、実践現場において、それぞれの状況にふさわしく、クライエントの権利擁護を行っていくことが求められています。

発見の機能権利侵害の問題を発見し、問題提起をする機能
調整の機能当事者のニーズと、制度のサービスや資源を調整し結合させる、仲介・媒介者としての機能
介入の機能クライエント集団と地域福祉政策を結びつけるための、介入者としての機能
対決の機能制度や組織に対して、当事者の利益のために代弁する機能
変革の機能制度やサービスの整備、拡充、資源の開発を求めていく機能
代弁の機能クライエントの支援や代弁を行う機能。サービス情報の提供、意思決定の支援等を含む

 いかがでしたか。次回は、「精神保健福祉の理論と相談援助の展開(2)」を取り上げていきます。それでは、第21回の精神保健福祉士の試験の中から今回の課題を上げておきますので、チャレンジしてみてください。

第21回 精神保健福祉士国家試験 「精神保健福祉の理論と相談援助の展開」

問題39 次の記述のうち、ソーシャルワークにおける権利擁護の中の代弁機能に当たるものとして、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 風呂に入っておらず衛生の保持ができていない子どもがいたため、保護者面談で状況を把握した。
  • 2 購入した商品の不満をうまく伝えられない通院患者から依頼を受けて、消費生活センターに同行した。
  • 3 精神科の入院患者に対し、精神医療審査会の役割と利用の仕方について学習会を開催した。
  • 4 被災者に対する医療費減免に関する制度の存続を求めて、関係自治体に対し話し合いを求めた。
  • 5 金銭管理に困難のある精神障害者の家族に対し、日常生活自立支援事業とその窓口を伝えた。