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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第3回 精神疾患とその治療

 皆さん、こんにちは。華やかに心を楽しませてくれた桜も終わり、やわらかな木々の芽吹きが目に映える季節となってきました。
 新年度、それぞれ新たな思いでスタートを切ったことと思います。今回からは、科目ごとの具体的な対策に入っていきたいと思います。受験対策は早すぎることはありません。それぞれの方々がさまざまな環境でこれから試験に臨もうとしておられることと思います。忙しさのなか、毎日の学習時間を確保して、着実に学習を進めていきましょう。

 この講座では、専門科目、共通科目の順で受験対策を行っていきます。今回は「精神疾患とその治療」を取り上げていきます。出題基準と過去の出題実績を踏まえて傾向を分析し、どのような対策を立てていったらよいのかを一緒に考えていきましょう。

出題範囲

 この科目の出題範囲は、大きく、「1.精神疾患総論」「2.精神疾患の治療」「3.精神科医療機関の治療構造及び専門病棟」「4.精神科治療における人権擁護」「5.精神科病院におけるチーム医療と精神保健福祉士の役割」「6.精神医療と福祉及び関連機関との間における連携の重要性」という6つの分野に分かれています。

 第21回の精神保健福祉士国家試験をみると、「精神疾患総論」から6問、「精神疾患の治療」から3問、「精神科医療機関の治療構造及び専門病棟」から1問という構成でした。
 この科目で最も出題数が多い分野は「精神疾患総論」で、ほとんど毎回6問から7問が出題されています。そのほかの分野は、各1問から2問という出題構成が定着しているといえるでしょう。
 では、出題頻度の高い分野について、学習しておくべき内容を確認していきたいと思います。

精神疾患総論

 この分野は、大項目の説明に、「代表的な精神疾患について、成因、症状、診断法、治療法、経過、本人や家族への支援を含む」とされています。では、その主な内容について、中項目を中心に、小項目の例示も参考にしてみていきましょう。

 「精神医学、医療の歴史と現状」からは、第18回以降は出題がありません。第18回では、ブロイラー、クラーク、ピネル、バザーリア、ジョーンズという人名が出題されています。これらの人物について、それぞれの業績を理解しておきましょう。また、精神医学の発展の歴史としては、クレペリンやシャルコー、フロイト、シュナイダー、呉秀三等の業績を確認しておきましょう。

 「精神現象の生物学的基礎」は、小項目の例示で「脳の構造」が示されています。第21回では「神経系の構造」、第20回は「中枢神経とその機能」、第19回では「脳と神経」が出題されています。この分野は、毎回、ほとんど同じ内容が出題されていますので、過去問をしっかりやっておくことの重要性がよくわかります。

 大脳の、前頭葉、頭頂葉、側頭葉、辺縁系、大脳基底核のそれぞれの機能について、また、中脳、間脳、延髄、小脳のそれぞれのしくみと役割、中枢神経と末梢神経の違いなどについて、脳の各機能、障害部位と症状について、失語症との関係も含めて確認して学習しておきましょう。

 「精神疾患の成因と分類」は、小項目で「三大分類」「国際分類法」が例示されています。「三大分類」とは、精神疾患の成因としての、「心因性、内因性、外因性」という分類のことです。第17回に出題されて以降、過去3回の出題実績はありませんが、心因性、内因性、外因性の違いを押さえておきましょう。

 「国際分類法」とは、「ICD-10」と「DSM-5」の国際分類のことで、出題率が高いのは、「ICD-10」による、「F0」から「F9」の疾病分類です。既にWHOから「ICD―11」が公表されていますが、わが国に適用されるまでには、和訳と検証、厚生労働大臣から社会保障審議会へ諮問と答申や告示、周知、適用という経過をたどることになります。適用に至るまでは、約1年から2年を必要とするとされていますから、第32回の受験対策としては、「ICD-10」で学習しておけばよいでしょう。

 第19回では、「神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害(F4)」に該当する疾患が出題されました。どの分野が出題されるかは、出題の年によって異なりますが、「F0」から「F9」の疾病分類と、それぞれの疾病の特徴は、基本的な知識になりますから、よく学習しておいてください。

 「代表的な疾患」としては第21回では「パニック障害」が、第20回では「気分障害」と「統合失調症」が、第19回では「認知症」の出題がありました。このほかアルコール関連障害、睡眠障害、パーソナリティ障害、行動障害、発達障害などの代表的な疾患についても学習しておきましょう。

 「精神症状と状態像」の分野は出題率が高く、ほとんど毎回出題されています。第21回では心気障害が、第20回ではアルコール依存症の離脱症状が、第19回では解離性(転換性)障害が出題されています。患者の訴えと精神症状について具体的な疾患とそれぞれの症状を整理しておきましょう。

 「診断の手順と方法」からは、第21回はてんかんの診断が、第20回は病院での初回面接についての出題がありました。この分野については、「精神科医療機関の治療構造及び専門病棟」の分野の「外来診療」とも重なる分野ですので、並行して学習しておくとよいでしょう。

 「身体的検査と心理検査」については、第20回では認知症のスクリーニングテストであるミニメンタルステート検査が、第19回では質問紙法による心理検査が、第18回では脳波検査が、第17回では頭部CT検査が出題されています。

 身体的検査を必要とする疾患は限られていますから、てんかんの発作や脳血管性の障害等を押さえておくとよいでしょう。心理検査としての精神症状の評価尺度や一般的な心理テストについては、共通科目の「心理学と心理的支援」と重なる内容ですから確認しておきましょう。

精神疾患の治療

 大項目の2番目に位置するこの分野からは、ほとんど毎回の出題がみられます。
 「精神科薬物療法」については、第21回では選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の副作用が、第19回では向精神薬とその副作用が、第18回試験では向精神薬とその作用が出題されています。

 定型抗精神病薬、非定型抗精神病薬、抗うつ薬、気分安定薬、抗不安薬、精神刺激薬、抗てんかん薬などの、薬理作用や効果と副作用、使用に際して注意すべきことについて整理しておきましょう。今回は、この分野についてのちほど解説していきたいと思っています。

 「電気けいれん療法等の身体療法」については、第15回以降出題がありませんでしたが、第21回で久しぶりに、修正型電気けいれん療法が出題されました。適用対象疾患、適用症状と適用方法、適用時の留意事項、副作用などを理解しておきましょう。

 「精神療法」は出題率が高い分野です。第21回では統合失調症の作業療法が、第20回では精神分析療法が、第19回では認知療法が出題されました。精神療法の種類とその基盤となる考え方、適用対象疾患を押さえておきましょう。認知行動療法、森田療法、自律訓練法、家族療法、支持的精神療法等についても、共通科目の「心理学と心理的支援」と重複する分野ですので、並行して学習しておくとよいでしょう。

 「精神科リハビリテーション」の分野からは、第20回、第19回とも出題がありませんでしたが、第18回では、社会生活技能訓練(SST)の具体的技法が出題されています。家族療法、心理教育などについても、精神保健福祉援助技術とあわせて学習しておきましょう。
 「環境・社会療法」としては、作業療法や、デイケア、ナイトケア、デイナイトケア、ショートケア等の制度的な内容も含めて学習しておきましょう。

精神科医療機関の治療構造及び専門病棟

 この分野からは、第21回で病院報告が、第19回、第18回で患者調査が出題されています。患者調査については「精神保健の課題と支援」で出題されることもあります。出題傾向をみると、細かい数字というより、全体の推移や動向に関する内容を問うものになってきていますから、入院患者、通院患者について、疾患と傾向を押さえておくとよいでしょう。

精神科治療における人権擁護

 「精神科治療と入院形態」の分野からは、第20回で入院中の隔離処遇の基準が出題されました。第18回は入院形態に関して、第17回は身体拘束や隔離の際の精神保健指定医の役割が出題されています。入院形態や入院時処遇における精神保健指定医の役割等について理解を深めておきましょう。また、「隔離・拘束のあり方」については、そのための条件、遵守事項等を確認しておいてください。「移送制度」についての出題はまだありませんが、移送のための条件、移送の対象、手順等についても確認しておくとよいでしょう。

精神医療と福祉及び関連機関との間における連携の重要性

 この分野からは、第20回で「医療観察法」が出題されました。「退院促進の支援」では包括型地域生活支援プログラム(ACT)の基本的内容を、「医療観察法」では医療観察制度の概要を整理学習しておきましょう。医療観察制度は、他科目においても出題されていますから、十分な学習をしておくことをおすすめします。

 以上、この科目の全体を概観してきましたが、今回は「精神疾患の治療」の中の薬物療法とその副作用について取り上げていきたいと思います。

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