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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第44回 第21回精神保健福祉士国家試験専門科目の分析

 皆さん、厳しい寒さのなかでの受験、お疲れさまでした。2月2日・3日と、緊張の連続だったことと思います。今は、達成感とともに合格への不安が入り混じっているのではないでしょうか。

 第21回試験の出題形式は、昨年に続いて5肢択一問題をベースに5肢択二問題が散在するという形態でした。事例問題についても、短文事例と長文事例という出題形態は変わらず、全体的に例年通りだったといえるでしょう。

 受験された皆さんは、合格発表まで落ち着かない日々を過ごすことと思いますが、けあサポが解答速報を出していますので、得点の目安を確認することができます。事例問題等で解釈の相違によって解答が分かれるものもあるので、5~6点の幅をもって予測しておくとよいでしょう。

 一番気になるのが合格ラインだと思いますが、試験センターの発表があるまではわかりません。あきらめずに最後まで希望をもって発表を待ちましょう。
 では今回は、専門科目の出題内容の分析をしていきたいと思います。

精神疾患とその治療

 精神医学的な専門的な知識を問う問題よりも、一般的、基礎的な知識で十分対応できる内容でした。

 毎年必ず出題されている脳の構造と機能については、今回は神経系に特化された内容でしたので、戸惑った受験生もおられるかもしれません。

 代表的な疾患と症状として、パニック障害、統合失調症、気分障害の出題でしたが、基礎的な知識で十分対応できる内容でした。精神疾患の診断の手順と方法の分野では、てんかんの診断のための検査方法についてでしたが、これも基本的な内容でしたので特に問題なかったでしょう。

 薬物療法における副作用としては、SSRIの副作用が、身体療法としては修正型電気けいれん療法の出題がありました。特に修正型電気けいれん療法は、16回試験以降出題されていませんので、迷った方もいるかもしれません。

 データ関係は、患者調査からの出題でしたが、細かい数値は把握していなくても、常識的な知識で解答できる範囲の内容でした。

 今回は、昨年に引き続き、精神医学、医療の歴史と現状についての出題はありませんでしたが、おおむね例年通りの内容であったといえるでしょう。

精神保健の課題と支援

 ストレス関連とグリーフケアについては、常識的な内容でしたので問題なかったことと思います。職場のストレスチェック制度は頻出分野ですので、学習の成果が出しやすい問題でした。

 自殺対策基本法、精神保健福祉法、精神障害者保健福祉手帳、ひきこもり地域支援センター、施設コンフリクトについては、基本的な知識を問うものでした。

 ただ、教員の精神保健については、数値を把握している受験生は少なかったと思いますので、迷った方が多いかもしれません。性同一障害についても、16回以降の出題はありませんでしたので少々戸惑った方もいるかと思います。

 今回は、いじめやアルコール関連、ICFの出題はありませんでしたが、各分野バランスよく出題されていました。特に難問はなく、取り組みやすかったのではないでしょうか。

精神保健福祉相談援助の基盤

 生活モデル、アカウンタビリティについては基礎的な知識を問う内容でした。アドボカシーの介入機能やチームアプローチについても、頻出分野ですから、学習していた人にとっては十分対応できる内容でした。

 ヴォルフェンスベルガーについては、ソーシャルロールバロリゼーションの意味がわかっていれば対応できたでしょう。国際ソーシャルワーカー連盟の倫理綱領における倫理基準については、事例で出題されているのが目を引きました。

 精神科ソーシャルワーカーの歴史については、1987年の付帯決議まで知っている受験生は少なかったと思いますので、少々難問といえるでしょう。

 長文事例の留学生に関する問題は、多文化共生社会の意味を理解しているかという良問であったといえるでしょう。統合失調患者の就労支援についても、アプローチ論の具体的実践事例として、理解力を問うものでした。

精神保健福祉の理論と相談援助の展開

 障害者福祉の法律の内容、退院後生活環境相談員などの制度系の問題は、基本的な知識を問う内容でした。権利擁護における代弁機能、相談援助の過程と援助内容、グループワークの援助過程、コミュニケーション技法、チームアプローチ、スーパービジョン等も、定番問題で得点しやすい内容でした。

 久しぶりに出題された「地域に根差したリハビリテーション(CBR)」については、戸惑った方もおられるかもしれませんが、その内容を詳しく知らなくても、常識的に考えれば正答を選ぶことができたのではないでしょうか。

 長文事例では、統合失調患者の就労支援、自閉症スペクトラムの対応、地域移行における他機関との連携、精神保健福祉に関する啓蒙・啓発活動と、さまざまな視点からの出題がありましたが、援助の理念や手法を問う基本的な内容で、特に難易度の高い問題はありませんでした。

精神保健福祉に関する制度とサービス

 精神障害者保健福祉手帳、医療保護入院、障害者基本法、医療保険制度、生活保護制度、障害者自立支援制度、医療監察制度と、障害者を支える制度としての基本的知識を問う内容で、非常に取り組みやすかったと思います。

 短文事例問題で社会調査に関する出題がありましたが、社会福祉士とダブル受験でなかった方には、少々難しかったかと思います。長文事例のうつ病患者の就労支援では、障害者の就労支援機関と所得保障、計画作成が問われました。各制度における専門職と作成する計画の名称で戸惑った方がおられるかもしれません。
 ただ、全体的にみれば、難易度は例年通りといえるでしょう。

精神障害者の生活支援システム

 障害者総合支援法における自立支援医療、障害福祉サービス、就労支援としての地域障害者職業センターの業務等、基本的な知識を問う内容でした。

 高次脳機能障害に関する長文事例問題では、D支援コーディネーターの位置づけが少々わかりにくかったかもしれませんが全体的には、得点しやすかったかと思われます。

 以上、各科目の出題傾向と難易度を見てきましたが、今回の全体の出題傾向をみると、落とすためにあえて作成したと思われる問題は見当たりませんでしたので、ある程度手ごたえがあったのではないでしょうか。

 皆さん、1年間本当にお疲れさまでした。合格発表までは不安で落ち着かない日々が続くと思います。やり終えたという思いとともに合否が気になると思いますが、合格発表まではまず、今までの自分の頑張りを褒めてあげてください。そして、しばらくは受験勉強からゆっくり解放され、明日の活躍に備えてください。
 次回は、共通科目の出題傾向を分析していきたいと思います。