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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第30回 現代社会と福祉

 皆さん、こんにちは。いよいよ試験までの期間が迫ってきましたね。だんだん緊張が高まってくる頃かと思います。この試験で大切なことは、曖昧な知識をたくさん詰め込むことではなく、確実な知識を着実に積み重ねていくことです。全体の科目の中で、自分の弱点を知り、苦手な科目や苦手な分野をしっかりと把握して、焦らず丁寧に学習を積み重ねていきましょう。

 今回は、「現代社会と福祉」を取り上げます。現代社会は福祉政策を中心に、理論的な内容が多く、深い理解が求められますので、じっくり取り組んでいくことをおすすめします。今回は貧困の概念について取り上げていきたいと思います。では最初に、前回の課題の解説をしておきましょう。

第20回 精神保健福祉士国家試験 「社会理論と社会システム」

問題17 次の記述のうち、ウェルマン(Wellman,B.)の「コミュニティ解放論」の説明として、最も適切なもの1つ選びなさい。

  • 1 特定の関心に基づくアソシエーションが、コミュニティを基盤として多様に展開している。
  • 2 都市化の進展によってコミュニティは喪失若しくは解体されている。
  • 3 都市化が進展しても、近隣を単位としたコミュニティは存続している。
  • 4 交通通信手段の発達によって、コミュニティは地域という空間に限定されない形で新しく展開している。
  • 5 コミュニティが、地域での自立生活を可能にする対人サービスを提供するようになっている。

正答4

解答解説

  • 1 誤り。記述は、マッキーヴァーのアソシエーションに関する説明です。マッキーヴァーはコミュニティを、地理的空間的範囲をもち、自然発生的であり、同一の心情や関心を有している共同性があること、基礎的な人間的結合があるものとし、このコミュニティを基盤として、目的集団であるアソシエーションが生まれるとしました。
  • 2 誤り。記述は、コミュニティ喪失論の説明です。ワースは、都市の特徴的な生活様式をアーバニズムと名付け、都市は、異質性の高い、大規模で密度の高い人口によって、第二次的関係・接触が優位になり、第一次的関係・接触に基づくコミュニティが失われたとし、家族的連帯の弛緩、近隣的な結合の弱体化、身分的階級制度の崩壊等により、道徳規範の弛緩と欲望の増大というアノミー、非個性化・画一化を特徴とする生活様式に変化していったとして、都市化によるコミュニティの喪失を指摘しました。
  • 3 誤り。記述は、コミュニティ存続論についての説明です。コミュニティ存続論では、スラム街の研究をとおして、産業化、分業化によって都市が形成され、都市独自の生活様式は生まれたが、都市においても、近隣や親族等の連帯は残っており、同質的な居住や職業集団等に、強力なコミュニティが残っているとしました。都市において犯罪や非行が増加しているのは、コミュニティが崩壊しているということに原因があるのではなく、各コミュニティ集団が、社会全体の組織に調和できていないことから生じる結果であると捉えています。
  • 4 正しい。ウェルマンは、都市においては、第一次的関係・第一次的接触の減少により、地域という空間にしばられていたコミュニティが、空間という縛りから解放され、ネットワークに基づく新たなコミュニティが生まれているという、コミュニティ解放論を提唱しました。交通や通信技術が発達し職業構造の変化等による日常生活圏域の広域化が、空間に縛られない個人のネットワークの構築を可能としたとしてコミュニティ解放論を提唱しました。
  • 5 誤り。ウェルマンのコミュニティ解放論に、記述のような内容はありません。対人サービスの提供については、現在、地域共生社会の実現を目指して、コミュニティとして取り組みが進められています。

 いかがでしたか。「社会理論と社会システム」は、社会の広範囲の分野が対象になりますので、各分野をていねいに学習しておきましょう。では「現代社会と福祉」に入りましょう。今回は、貧困の概念について取り上げていきたいと思います。