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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第37回 「権利擁護と成年後見制度」

皆さん、こんにちは。今回は「権利擁護と成年後見制度」を取り上げていきます。まず、前回の課題の解説をしておきましょう。

第25回精神保健福祉士国家試験「保健医療サービス」

問題73 日本の医療提供体制に関する次の記述のうち、最も適切なもの1つ選びなさい。

  • 1 医療計画は、市町村が策定義務を負っている。
  • 2 地域医療支援病院は、第1次医療法の改正(1985年(昭和60年))に基づき設置された。
  • 3 診療所は、最大30人の患者を入院させる施設であることとされている。
  • 4 介護医療院は、主として長期の療養を必要とする要介護者に対し、療養上の管理、看護、医学的管理の下での介護、必要な医療及び日常生活上の世話を行う。
  • 5 地域包括支援センターは、地域における高齢者医療の体制を整えるため、地域医療構想を策定する義務を負う。
正答 4

解答解説

    • 1 × 医療計画の策定義務があるのは、都道府県である。医療計画には、病床機能の分化と連携、地域医療構想、基準病床数、5疾病・5事業などを定める。
    • 2 × 地域医療支援病院は、1997(平成9)年の第3次医療法の改正で創設された。
    • 3 × 診療所は、0床から19床までの入院施設を持つものである。20床以上は病院である。
    • 4 〇 介護医療院は、長期にわたり療養が必要な要介護者に、療養上の管理、看護、医学的管理のもとでの介護、機能訓練、必要な医療、日常生活の世話を行う。
    • 5 × 地域医療構想は、都道府県が策定する医療計画に定める。地域包括支援センターは、介護保険法に規定されており、地域住民の保健医療の向上、福祉の増進を包括的に支援することを目的としている。

いかがでしたか。では今回は法定後見制度について解説していきます。


法定後見制度

法定後見制度とは、民法に規定されている制度で、判断能力が不十分になった人の人権を護るための制度です。

法定後見制度には、後見、保佐、補助の3類型があります。成年後見人は「判断能力が常時欠けている者」、保佐人は「判断能力が著しく不十分な者」、補助人は「判断能力が不十分な者」に選任されます。

成年後見人等選任の申立て

成年後見人、保佐人、補助人(以下、成年後見人等)の選任が必要な場合は、家庭裁判所に成年後見人等の選任の申立てを行います。

申立てができる人は、成年後見人、保佐人、補助人とも、本人、配偶者、4親等内親族、未成年後見人、市町村長等です。

成年後見人と保佐人の申立てを本人以外の者がする場合、本人の同意は必要ありません。

本人以外の者が補助人申立てをする場合には、必ず本人の同意が必要です。

申立てができる人 本人、配偶者、4親等内親族、未成年後見人、市町村長等
本人以外による申立て 成年後見人・保佐人は本人の同意は必要ない
補助人は本人の同意が必要

市町村長申立て

市町村長申立てについては、民法の規定ではなく、老人福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法に規定されています。

市町村長は、本人からは申立てができず家族とも疎遠になっており、配偶者や4親等内親族からの申立てができない場合等に、家庭裁判所に対して申立てを行うことができます。

家庭裁判所による選任

家庭裁判所によって「成年後見人」「保佐人」「補助人」が選任されると、本人はそれぞれ「成年被後見人」「被保佐人」「被補助人」となります。成年後見人等を選任した家庭裁判所は、これらの人々を監督する役割を担います。

成年後見監督人、保佐監督人、補助監督人の選任

基本的に成年後見人等を監督するのは家庭裁判所ですが、家庭裁判所が必要と認めた場合は、家庭裁判所は、それぞれ「成年後見監督人」「保佐監督人」「補助監督人」を選任します。

家庭裁判所 成年後見人等の監督は、原則的に家裁が行う
成年後見人等の監督人の選任 家裁が必要と認めたときは成年後見監督人、保佐監督人、補助監督人を選任する

後見類型、保佐類型、補助類型に付与される法律行為の種類

家庭裁判所が成年後見人等を選任した場合、選任と同時に付与される「法律行為の権利の種類」はそれぞれ異なります。

成年後見人

成年後見人は、家庭裁判所によって選任されると、即座に「包括的代理権」と「包括的取消権」が付与されます。「包括的」とは、すべての法律行為という意味です。

保佐人

保佐人は、家庭裁判所によって選任されると即座に、民法第13条第1項の重大な財産管理に関する法律行為の同意権が付与されます。

重大な財産管理に関する法律行為以外の代理権や同意権、取消権が必要な場合は、「特定の法律行為」について、家庭裁判所に付与の申立てを行うことになります。家庭裁判所は、申立てに基づいて、必要と認めたときは「特定の法律行為」に関する代理権、同意権、取消権の付与の審判を下します。

補助人

補助人は、家庭裁判所によって選任されても、即座に何らかの権利が付与されるわけではありません。

家庭裁判所に補助人の選任の申立てをするときに同時に、「特定の法律行為」に関する代理権、同意権、取消権の付与の申立てを行います。

家庭裁判所は、必要と認めたときは申立てに基づいて、「特定の法律行為」に関する代理権、同意権、取消権の付与の審判を下します。

成年後見人 家裁による選任と同時に、包括的代理権と取消権が付与される
保佐人 家裁による選任と同時に重大な財産行為に関する同意権を付与 特定の法律行為については、家裁に代理権・同意権・取消権付与の申立てを行う
補助人 家裁の選任によって同時に付与
される権限はない

日常生活に関する行為

成年後見人、保佐人、補助人とも日常生活に関する行為についての取消権は付与されません。これは、本人の自己決定権の尊重という考え方によります。

特定の法律行為申立て時

保佐人

「特定の法律行為」に関する同意権や代理権が必要な場合は、同意権、代理権付与の申立てを行います。

「特定の法律行為」の同意権付与の申立てについては、本人の同意は必要ありません。

「特定の法律行為」の代理権付与の申立てについては、本人の同意を得る必要があります。

補助人

補助人が「特定の法律行為」についての代理権、同意権付与の申立てを行う場合は、すべての場合において、必ず本人の同意を得なければなりません。

保佐人 同意権:本人の同意は必要ない
代理権:本人の同意が必要
補助人 同意権、代理権とも本人の同意が必要

特定の法律行為

「特定の法律行為」とは、本人の利益を護るための行為で、本人の財産管理行為、介護契約に関する行為、医療契約(入院契約等)の行為等のことです。

後見職務等

後見職務は、「財産管理事務」「身上監護事務」等に関する法律行為です。

財産管理事務

財産管理事務とは、本人の財産を管理する事務です。具体的には、預貯金の管理、年金の請求・受給、売買契約・賃貸借契約、税金の申告・納付等の事務です。

身上監護事務

身上監護事務とは、本人にとって必要な場合、介護契約、医療契約、施設入所契約、要介護認定申請などの事務です。

成年後見人ができるのは法律行為の代理で、事実行為や身分行為の代理はできません。

事実行為とは、直接的な介護や家事などのことです。成年後見人等は、直接的な介護や家事等を行うのではなく、本人を代理して介護サービス等を契約し、本人が介護サービス等を受けることができるようにし、介護サービス等が適正に提供されているかを監視する役割を担います。

身分行為とは、養子縁組、婚姻、離婚、子の認知、遺言書作成等のことです。身分行為については、本人の自己決定権を最も尊重すべきという考え方により、代理権、同意権、取消権はありません。

成年後見人等の役割 「財産管理」と「身上監護」

医療契約と医的侵襲を伴う行為

「医療契約」とは、本人が入院するときの入院契約などのことです。成年後見人等は、医療契約については本人の代理行為を行うことができます。

「医的侵襲を伴う行為」とは、身体にメスを入れる、注射針を入れる、検査のために身体に薬物を注入する等の行為のことで、成年後見人等には、このような医的侵襲を伴う行為についての代理権、同意権はありません。これは、自分の受ける医的侵襲行為の選択は、本人の自己決定権が特に尊重されるべきであるという理由によります。

成年後見人等 医療契約はできるが、医的侵襲を伴う行為についての代理権、同意権はない
医療契約 入院契約など
医的侵襲を伴う行為 手術、注射、検査での薬物注入等の行為

居住用不動産の処分

成年後見人は、成年被後見人の居住用不動産の処分(売却、賃貸、使用貸借等)については、家庭裁判所に申立てをして、許可を得る必要があります。

理由は、成年被後見人にとって、住環境の変化は精神上にも生活上にも大きな影響を与えるためです。

居住用不動産とは、現在住んでいる家、成年被後見人が施設などに入所している場合のかつて住んでいた家、将来住む予定で購入した家を含みます。

家庭裁判所の許可を得ずに、居住用不動産を処分した場合、その処分行為は無効になります。

居住用不動産の処分 処分には「売却」「賃貸」「使用貸借」等を含む
家裁の許可が必要

善管注意義務、意思尊重・身上配慮義務

成年後見人等には、「善管注意義務」「意思尊重・身上配慮義務」があります。

善管注意義務

成年後見人、保佐人、補助人とも、民法における善管注意義務を負います。善管注意義務とは、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務のことです。

意思尊重・身上配慮義務

意思尊重義務とは、本人の意向に寄り添って任務を遂行する義務です。

身上配慮義務とは、本人の心身の状態・生活の状況に配慮すべき義務です。

たとえば、本人が介護サービスを必要とする状況であるかどうかを常に配慮して把握し、必要に応じて、介護保険サービスの契約をして、本人がサービスを受けられるようにするなどのことです。

善管注意義務 善良な管理者の注意で委任事務を処理する義務
意思尊重・身上配慮義務 本人の意思を尊重し、その心身の状態及び生活の状況に配慮する義務

いかがでしたか。次回からは総まとめとして、頻出・重要な法改正を中心に取り上げていきます。それでは、第25回の精神保健福祉士の国家試験にチャレンジしてみてください。

第25回精神保健福祉士国家試「権利擁護と成年後見制度」

問題80 成年後見制度の補助に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 補助は、保佐よりも判断能力の不十分さが著しい者を対象としている。
  • 2 補助開始の審判をするには、本人の申立て又は本人の同意がなければならない。
  • 3 補助人の事務を監督する補助監督人という制度は設けられていない。
  • 4 補助開始の審判は、市町村長が申し立てることはできない。
  • 5 補助人に対し、被補助人の財産に関する不特定の法律行為についての代理権を付与することができる。

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