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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第36回 「保健医療サービス」

皆さん、こんにちは。もうすぐ受験票が発送されますので、届いたら会場を確認するようにしましょう。焦らず、着実に学習を進めていきましょう。

今回は、「保健医療サービス」を取り上げていきます。まず、前回の課題の解説をしていきましょう。

第25回精神保健福祉士国家試験「低所得者に対する支援と生活保護制度」

問題67 生活困窮者自立支援法に関する次の記述のうち、最も適切なもの1つ選びなさい。

  • 1 生活困窮者自立相談支援事業は、委託することができないとされている。
  • 2 生活困窮者自立相談支援事業と生活困窮者家計改善支援事業は、必須事業である。
  • 3 子どもの学習・生活支援事業は、全ての都道府県、市町村に実施の責務がある。
  • 4 生活困窮者一時生活支援事業は、生活困窮者に対し、生活に必要な資金の貸付けのあっせんを行うものである。
  • 5 生活困窮者就労準備支援事業は、雇用による就業が著しく困難な生活困窮者に対し、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行うものである。
正答 5

解答解説

    • 1 × 生活困窮者自立相談支援事業の実施主体は福祉事務所設置自治体であるが、社会福祉法人やNPO法人など、実施主体が適当と認める法人に委託することができる。
    • 2 × 生活困窮者自立相談支援事業は必須事業であるが、生活困窮者家計改善支援事業は努力義務事業である。
    • 3 × 子どもの学習・生活支援事業は、任意事業である。生活困窮世帯等の子どもを対象に学習支援、居場所の提供や進路相談等、生活と学習の一体的支援を行う。
    • 4 × 生活困窮者一時生活支援事業は、一定の住居を持たない生活困窮者に対し、原則3か月、状況によって6か月の期間内に限り、宿泊場所の供与、食事の提供、物資の貸与や提供を行う事業である。
    • 5 〇 生活困窮者就労準備支援事業は、雇用による就業が著しく困難な生活困窮者に対し、適正な生活習慣の形成や就労体験等により、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行うものである。

いかがでしたか。では、今回は「日本の医療提供体制」について説明していきます。


医療法における医療提供施設

医療法では、医療提供施設について、下記のように規定しています。

医療提供施設 病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院、調剤薬局、その他の医療を提供する施設
病院 20床以上
診療所 0~19床

また、助産所、病床の種類については、次のように規定しています。

助産所 10人未満の入所施設を有しており助産師を配置していること
病床の種類 ①精神病床、②感染症病床、③療養病床(長期の療養を必要とする慢性期の長期入院患者)、④一般病床、⑤結核病床

病院類型

病院類型には、地域医療支援病院、特定機能病院、災害拠点病院、在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院等があります。

地域医療支援病院 ①紹介患者の診察(かかりつけ医への逆紹介も含む)
②医療機器の共同利用の実施
③救急医療の提供
④医療従事者研修の実施
⑤200床以上
都道府県知事が承認
特定機能病院 ①高度の医療を提供する能力
②高度の医療技術の開発・評価能力
③高度の医療に関する研修を行わせる能力
④400床以上
厚生労働大臣が承認

災害拠点病院は、災害時における初期救急医療体制の充実強化を図るための医療機関として、下記の機能を備えた病院です。

  • ・24時間緊急対応、被災地域内の傷病者の受け入れ・搬出が可能な体制
  • ・ヘリコプターを使用して重症傷病者の受け入れ・搬送を行うことができる
  • ・消防機関(緊急消防援助隊)と連携した医療救護班の派遣体制がある
  • ・ヘリコプターに同乗する医師を派遣でき、十分な医療設備、医療体制、情報収集システム、ヘリポート、緊急車両、自己完結型で医療チームを派遣できる

在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院は、在宅診療患者に対し24時間対応が可能な医療機関のことです。自宅で療養する患者がいつでも訪問診療を受けられ、緊急のときは入院することができる体制を整えるための制度として創設されました。在宅医療を担当する常勤の医師を1名以上配置し、年に1回、看取りの数を報告する義務があります。

機能強化在宅支援診療所・病院とは、在宅医療を担当する常勤の医師を3名以上配置した診療所・病院です。

在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院 24時間訪問診療体制、緊急時入院受け入れ態勢が整備されていること
機能強化在宅支援診療所・病院 在宅医療を担当する常勤の医師が3名以上配置されていること

介護医療院と介護老人保健施設

介護医療院も介護老人保健施設も、介護保険法上の「介護保険施設」であり、医療法上の「医療提供施設」です。

介護医療院と介護老人保健施設の違いは、次のとおりです。

介護医療院 対象 要介護者で長期にわたり療養が必要な要介護者
提供する業務 療養上の管理、看護、医学的管理のもとでの介護、機能訓練、必要な医療、日常生活の世話を行う
介護老人保健施設 対象 要介護者の心身の機能の維持回復を図り、居宅での生活を営めるようになるための支援が必要な者(家庭復帰が目的)
提供する業務 医学的管理のもと、介護、機能訓練、医療、日常生活の世話を行う

医療法改正の経緯

次に、医療法の変遷をみていきましょう。

医療法の制定

医療法は、1948(昭和23)年に、良質で適切な医療を効率的に提供する体制の確保を目的として制定されました。医療法では、病院の施設基準などが整備され、広告や診療科目の規制が規定されました。その後、必要な改正がその都度行われてきました。

第一次医療法改正

1985(昭和60)年には、第一次医療法改正が行われました。この改正で、医療計画制度が導入され、限られた医療資源の効率的な活用、医療機関の機能分担と連携の促進が規定されました。

また、医療圏が創設され、医療圏内の必要病床数を制限することになり、総量規制が始まりました。具体的には、医療計画で医療圏ごとに必要病床数を定め、許可制とすることによって、必要病床数を超える新たな病院・病床の設置ができないことになりました。

第二次医療法改正

1992(平成4)年に、第二次医療法改正が行われました。特定機能病院療養型病床群が制度化され、高齢化に対応して、看護と介護が明確に区別されました。また、病床機能が類型化され、在宅医療の推進が掲げられ、診療報酬における包括支払い制度が開始されました。

第三次医療法改正

1997(平成9)年に第三次医療法改正が行われました。この改正で、地域医療支援病院制度が創設されました。また、医師と患者間の説明と同意として、医療従事者へのインフォームド・コンセントが法制化されました。

第四次医療法改正

2000(平成12)年に、第四次医療法改正が行われました。この改正で、医療需要に見合った効率的な医療提供体制の確立が推進されました。一般病床と療養病床が明確に区分され、届け出が義務付けられました。これにより、1床あたり面積、廊下幅などの施設要件も大幅に改正されました。

第五次医療法改正

2006(平成18)年に、第五次医療法改正が行われました。この改正により、患者への医療に関する情報提供が規定されました。

医療計画制度が見直され、医療機能の分化・地域医療の連携体制の構築が進められていきました。

地域や診療科による医師不足問題への対応、医療の安全の確保、医療法人制度改革による社会医療法人の創設なども行われました。

第六次医療法改正

2014(平成26)年には、第六次医療法改正が行われました。この改正では、医療提供体制の再構築が行われ、病床機能報告制度が創設されました。また、都道府県に二次医療圏ごとの地域医療構想の策定が義務付けられました。さらに、在宅医療の推進、医療事故調査制度の創設などが規定されました。

(第七次)医療法改正

2015(平成27)年に7回目の医療法の改正が行われました。医療法上では、このときの改正から第七次医療法改正という言葉は使用されなくなりました。

この改正で、地域連携推進法人制度が創設されました。また、医療法人制度が見直され、経営の透明性の確保とガバナンスの強化が規定されました。

●地域医療連携推進法人
「地域医療連携推進法人」とは、医療機関相互間の機能の分担と業務の連携を推進することを目的とした法人です。複数の医療機関等が一体的な経営を行うことによって、地域において質が高く効率的な医療提供体制を確保できます。この法人は、都道府県知事の認定を受けることで設立できます。

(第八次)医療法改正

2017(平成29)年に、8回目の医療法改正が行われました。2014年の医療事故(隠蔽事件)の影響から、特定機能病院のガバナンス改革が実施され、医療機関ホームページの広告規制が規定されました。

2018年医療法改正

2018年には、地域間の医師偏在の解消等を通じて、地域における医療提供体制を確保するための改正が行われました。

2021年医療法改正

2021(令和3)年の改正では、医師の働き方改革に関する規定、第八次医療計画から医療計画に盛り込むべき内容に、5事業以外に新興感染症対策医療が追加されました。

1948(昭和23)年
医療法制定
病院の施設基準などを整備。広告・診療科目の規制
1985(昭和60)年
第一次改正
地域医療計画制度の導入。医療圏の創設。医療圏ごとに病床数の上限を設定
1992(平成4)年
第二次改正
看護と介護の明確化。在宅医療の推進。特定機能病院・療養型病床群の制度化
1997(平成9)年
第三次改正
地域医療支援病院制度の創設。インフォームド・コンセントの法制化
2000(平成12)年
第四次改正
一般病床と療養病床の区別。効率的な医療提供体制の確立の推進。医師の2年間の臨床研修必修化
2006(平成18)年
第五次改正
社会医療法人制度の創設
2014(平成26)年
第六次改正
病床機能報告制度の創設。地域医療構想策定の位置づけ
2015(平成27)年
(第七次改正)
地域医療連携推進法人制度の創設。医療法人の経営の透明性の確保・ガバナンス強化
2017(平成29)年
(第八次改正)
特定機能病院のガバナンス改革。広告規制の見直し
2018(平成30)年 都道府県による医師確保対策の実施体制の強化
2021(令和3)年 医師の働き方改革。5事業に「新興感染症対策医療」を追加。外来機能報告制度の創設

医療計画

最後に、医療計画地域医療構想について整理しておきましょう。

医療法における医療計画の内容は、次のとおりです。

策定主体 都道府県は、「医療計画」策定義務
盛り込むべき内容 居宅等における医療の確保の目標に関する事項
医療連携体制に関する事項
医療提供施設の機能に関する情報の提供に関する事項
生活習慣病、5疾病5事業の治療と予防に関する事項
地域医療構想に関する事項
病床の機能に関する事項
医療の安全の確保に関する事項
基準病床数 等

医療計画に盛り込むべき内容としての、5疾病、5事業の内容は次のとおりです。

5疾病 がん、脳卒中、心筋梗塞などの心血管疾患、糖尿病、精神疾患
5事業 救急医療、災害時医療、へき地医療、周産期医療、小児医療
※令和6年度からの第八次医療計画には「新興感染症等の感染拡大時における医療」も盛り込むべきこととされた。

医療計画に盛り込むべき地域医療構想の内容は、次のとおりです。

目的 限られた医療資源の効率的活用、切れ目のない医療・介護サービスの提供体制を確立すること
単位 二次医療圏単位での策定が原則
性格 病床の機能分化・連携を進めるために、医療機能ごとに2025年の医療需要と病床の必要量を推計し定める
内容 2025年の医療需要と病床の必要量
①高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4機能ごとに、「医療需要」と病床の必要量を推計
②在宅医療等の医療需要を推計
③都道府県内の構想区域(二次医療圏が基本)単位で推計
協議 都道府県は、構想区域等ごとに、診療に関する学識経験者の団体等(関係者)との協議の場(地域医療構想調整会議)を設けなければならない

病床機能報告制度

医療法に規定されている病床機能報告制度の内容は、次のとおりです。

根拠法 医療法
報告義務 一般病床、療養病床を有する病院・診療所の管理者は、毎年1回10月に、病床機能を都道府県知事に報告義務
病床機能の分類 高度急性期機能、急性期機能、回復期機能、慢性期機能の4種類
報告すべき内容 「現在の医療機能と将来の方向性」を医療機関が自ら選択
都道府県の役割 都道府県は報告された情報を活用し、「医療計画」においてその地域に相応しい「地域医療構想」を策定する

以上、日本の医療提供体制について見てきました。次回は「権利擁護と成年後見制度」を取り上げます。では第25回の精神保健福祉士の国家試験問題にチャレンジしてみてください。

第25回精神保健福祉士国家試験「保健医療サービス」

問題73 日本の医療提供体制に関する次の記述のうち、最も適切なもの1つ選びなさい。

  • 1 医療計画は、市町村が策定義務を負っている。
  • 2 地域医療支援病院は、第1次医療法の改正(1985年(昭和60年))に基づき設置された。
  • 3 診療所は、最大30人の患者を入院させる施設であることとされている。
  • 4 介護医療院は、主として長期の療養を必要とする要介護者に対し、療養上の管理、看護、医学的管理の下での介護、必要な医療及び日常生活上の世話を行う。
  • 5 地域包括支援センターは、地域における高齢者医療の体制を整えるため、地域医療構想を策定する義務を負う。

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