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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第35回 「低所得者への支援と生活保護制度」

皆さん、こんにちは。受験まであと2か月余りとなりました。不安や焦りを感じるかもしれませんが、着実に取り組んでいきましょう。

今回は、「低所得者への支援と生活保護制度」を取り上げます。では最初に、前回の課題の解説をしていきましょう。

第25回精神保健福祉士国家試験「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」

問題56 障害者福祉制度の発展過程に関する次の記述のうち、最も適切なもの1つ選びなさい。

  • 1 1960年(昭和35年)に成立した精神薄弱者福祉法は、ソーシャルインクルージョンを法の目的とし、脱施設化を推進した。
  • 2 1981年(昭和56年)の国際障害者年では、「Nothing about us without us(私たち抜きに私たちのことを決めるな)」というテーマが掲げられた。
  • 3 2003年(平成15年)には、身体障害者等を対象に、従来の契約制度から措置制度に転換することを目的に支援費制度が開始された。
  • 4 2005年(平成17年)に成立した障害者自立支援法では、障害の種別にかかわらず、サービスを利用するための仕組みを一元化し、事業体系を再編した。
  • 5 2013年(平成25年)に成立した「障害者差別解消法」では、市町村障害者虐待防止センターが規定された。
正答 4

解答解説

    • 1 × 精神薄弱者福祉法は、入所施設設置体制の整備、精神薄弱者福祉審議会、精神薄弱者更生相談所の設置等が規定された。
    • 2 × 国際障害者年では「完全参加と平等」というテーマが掲げられた。
    • 3 × 支援費制度は、従来の措置制度から契約制度への移行のために開始された。対象は、身体障害者と知的障害者の施設サービス、障害児・者の在宅サービスで、精神障害者は対象外であった。
    • 4 〇 障害福祉サービスの対象に精神障害者が追加され、三障害の障害福祉サービスが一元化された。また、全国一律の障害程度区分が導入され公平性と客観性が確保された。
    • 5 × 市町村障害者虐待防止センターが規定されたのは、2011(平成23)年に制定された障害者虐待防止法である。2013(平成25)年に制定された障害者差別解消法は、障害者差別解消措置として合理的配慮等が規定された。

いかがでしたか。それでは、「生活困窮者自立支援制度」について解説していきます。


生活困窮者自立支援法

生活困窮者自立支援法は、2013(平成25)年12月に、最後のセーフティネットである生活保護制度の手前の第二のセーフティネットとして、困窮に陥る前に自立を支援するために制定されました。

実施主体

生活困窮者自立支援制度の実施主体は、都道府県、市、福祉事務所を設置している町村です。

福祉事務所を設置していない町村も都道府県との緊密な連携体制のもと、自立相談支援事業一次的な相談機能を担うことができるとされています。一次的な相談支援機能とは、生活困窮者等から来所等による相談を受け付け、情報提供、他制度や他機関へつなぐ機能のことです。

事業の内容

生活困窮者自立支援制度には、必須事業努力義務事業任意事業の3種類あります。事業の分類は次のとおりです。

必須事業 生活困窮者自立相談支援事業、生活困窮者住居確保給付金
努力義務事業 生活困窮者就労準備支援事業、生活困窮者家計改善支援事業
任意事業 生活困窮者一時生活支援事業、子どもの学習・生活支援事業、その他

自立相談支援事業

必須事業である自立相談支援事業の目的は、生活困窮者の自立と尊厳の確保、生活困窮者支援を通じた地域づくりです。

生活困窮者等からの相談に応じ、必要な情報の提供、助言、関係機関との連絡調整、計画策定によって、支援を一体的・計画的に行い、包括的・継続的に支えていきます。

計画策定では、生活困窮者の抱えている課題を適切に評価・分析し、その課題を踏まえた自立支援計画を作成して支援します。

実施主体は福祉事務所設置自治体ですが、社会福祉法人やNPO法人など、実施主体が適当と認める法人に委託することが可能です。

配置職員

自立相談支援事業を実施する機関を自立相談支援機関といいます。自立相談支援機関には、主任相談支援員、相談支援員、就労支援員を配置します。

●主任相談支援員

主任相談支援員は、相談業務全般のマネジメント、他の支援員の指導・育成、支援困難ケースへの対応など高度な相談支援を行い、社会資源の開拓、関係機関との連携等を行います。

資格要件は、社会福祉士、精神保健福祉士、保健師として、保健、医療、福祉、就労、教育等の分野における業務に5年以上従事している者で生活困窮者への相談支援業務その他の相談支援業務に3年以上従事している者等です。

●相談支援員

相談支援員は、支援計画の作成、様々な社会資源を活用しながら支援計画に基づいた包括的な相談支援、相談記録の管理、訪問支援などのアウトリーチ等を行います。資格要件はありません。

●就労支援員

就労支援員は、公共職業安定所や協力企業、就労支援に関する様々な関係機関や社会資源と連携しながら、状況に応じた能力開発、職業訓練、就職支援等の就労支援を行います。資格要件はありません。

事業内容 相談、情報の提供、助言、連絡調整、一体的・計画的な包括的・継続的支援
配置職員 主任相談支援員 相談業務全般のマネジメント、高度な相談支援等
社会福祉士、精神保健福祉士、保健師として一定の実務経験を有する者
相談支援員 支援計画の作成、包括的な相談支援、アウトリーチ等
資格要件なし
就労支援員 関係機関と連携した能力開発・職業訓練・就職支援等
資格要件なし

住居確保給付金

必須事業の住居確保給付金とは、離職や廃業等で経済的に困窮したために、住居を喪失、あるいはそのおそれのある者に、求職活動を条件に一定の額を上限に家賃相当分の住居確保給付金を支給します。給付金の支給期間は、家賃相当分を原則3か月、最長9か月です。

就労準備支援事業

努力義務事業である就労準備支援事業は、雇用による就業が著しく困難な生活困窮者に対し、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行う事業のことです。利用期間は1年以内です。

就労準備支援事業には、日常生活自立支援、社会生活自立支援、就労自立支援があります。それぞれの支援内容は次のとおりです。

日常生活自立支援 適正な生活習慣の形成、バランスのとれた食事摂取、適切な身だしなみについての助言・指導等
社会自立支援 社会的能力の形成、挨拶、基本的なコミュニケーション能力の形成、職場見学、ボランティア活動等
就労自立支援 就労体験、ビジネスマナー講習、キャリア・コンサルティング、模擬面接、履歴書の作成指導等

家計改善支援事業

努力義務事業である家計改善支援事業は、家計の状況を明らかにして生活の再生に向けた意欲を引き出し、情報提供専門的な助言・指導等を行います。

事業内容は次のとおりです。

  • ①家計管理に関する支援(家計表等の作成支援、出納管理等の支援)
  • ②滞納(家賃、税金、公共料金等)の解消、各種給付制度等の利用に向けた支援
  • ③債務整理に関する支援(多重債務者相談窓口との連携等)
  • ④貸付のあっせん等

一時生活支援事業

任意事業の一時生活支援事業は、住居を持たない生活困窮者に対し、原則3か月、状況によって6か月の期間内に限り、宿泊場所の供与、食事の提供、物資の貸与又は提供を行います。一定期間、訪問による情報の提供・助言を実施します。

利用開始時と利用期間中に、定期的な健康診断・健康医療相談、医療の確保、医療職等による巡回相談や必要な支援を行います。

子どもの学習・生活支援事業

任意事業の子どもの学習・生活支援事業は、生活保護受給世帯を含む生活困窮世帯の子どもを対象に、学習支援、居場所の提供進路相談等生活と学習の一体的支援を行います。

その他の任意事業

その他にも、ひきこもり対策、共助の基盤づくり(ネットワークづくり)等、地域の実情に応じて任意事業を行うことができます。

一時生活支援事業 宿泊場所の供与、食事・衣類等の貸与・提供、定期的な健康診断等
子どもの学習・生活支援事業 学習支援、居場所の提供や進路相談等、生活と学習の一体的支援
その他の任意事業 ひきこもり対策、共助の基盤づくり等

就労訓練事業

就労訓練事業は、事業者が生活困窮者に対し、就労の機会の提供、就労に必要な知識・能力の向上に必要な訓練等を行う事業です。

就労訓練事業の実施のためには、一定の基準に該当する事業所であると都道府県知事の認定を受ける必要があります。

就労訓練事業では、自立相談支援機関のあっせんによって、就労が困難な生活困窮者を受け入れ、本人の状況に応じた就労の機会の提供、生活面や健康面での支援を行います。

対象は、長期離職者、ニート、ひきこもり等で、就労日数や1日の就労時間は、本人の状況に応じて柔軟に対応します。

国庫負担と国庫補助

生活困窮者自立支援制度の事業の財源は、必須事業と必須事業以外の事業によって異なります。必須事業は国庫負担、必須事業以外の事業は国庫補助になっています。

自立相談支援事業、住居確保給付金 国庫負担4分の3
就労準備支援事業、一時生活支援事業 国庫補助3分の2以内
家計改善支援事業、子どもの学習・生活支援事業その他生活困窮者の自立の促進に必要な事業 国庫補助2分の1以内
就労準備支援事業と家計改善支援事業を一体的に実施する場合 国庫補助3分の2以内

いかがでしたか。次回は、「保健医療サービス」を取り上げます。
では、第25回精神保健福祉士国家試験の問題の中から今回の課題をあげておきますので、チャレンジしてみてください。

第25回精神保健福祉士国家試験「低所得者に対する支援と生活保護制度」

問題67 生活困窮者自立支援法に関する次の記述のうち、最も適切なもの1つ選びなさい。

  • 1 生活困窮者自立相談支援事業は、委託することができないとされている。
  • 2 生活困窮者自立相談支援事業と生活困窮者家計改善支援事業は、必須事業である。
  • 3 子どもの学習・生活支援事業は、全ての都道府県、市町村に実施の責務がある。
  • 4 生活困窮者一時生活支援事業は、生活困窮者に対し、生活に必要な資金の貸付けのあっせんを行うものである。
  • 5 生活困窮者就労準備支援事業は、雇用による就業が著しく困難な生活困窮者に対し、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行うものである。

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