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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第27回 「人体の構造と機能及び疾病」

皆さん、こんにちは。今回から共通科目を取り上げていきます。「人体の構造と機能及び疾病」では、人体の各構造とそれぞれの機能を理解し、それらの機能が障害されたとき、どのような疾病を引き起こすかを押さえておきましょう。

最初に前回の課題の解説をしておきましょう。

第25回精神保健福祉士国家試験「精神障害者の生活支援システム」

問題74 次の記述のうち、住宅入居等支援事業(居住サポート事業)の説明として、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 指定相談支援事業者による実施が義務づけられている。
  • 2 2020年度(令和2年度)において全市町村の8割が実施している。
  • 3 事業内容には、家主への相談・助言が含まれている。
  • 4 住宅確保要配慮者居住支援協議会の設置が義務づけられている。
  • 5 「障害者総合支援法」における自立支援給付に位置づけられている。
正答 3

解答解説

    • 1 × 住宅入居等支援事業(居住サポート事業)は、市町村の地域生活支援事業の任意事業であり、指定相談支援事業者による実施は義務づけられていない。
    • 2 × 2020年度(令和2年度)において住宅入居等支援事業(居住サポート事業)を実施している市町村は、16%となっています。
    • 3 〇 入居が困難な障害者等に対し、入居に必要な調整、家主等への相談・助言により、障害者等の地域生活を支援することを目的としている。
    • 4 × 住宅確保要配慮者居住支援協議会について規定しているのは、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(住宅セーフティネット法)である。
    • 5 × この事業は、「障害者総合支援法」における地域生活支援事業に位置づけられている。

いかがでしたか。今回は、健康の概念について取り上げます。


健康に関する概念

健康に関する概念について、WHOの健康の定義、アルマ・アタ宣言、オタワ憲章、国際生活機能分類(ICF)を解説していきます。

WHOによる健康の定義

WHOの健康の定義は、「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」としています。

アルマ・アタ宣言とプライマリ・ヘルス・ケア

アルマ・アタ宣言は、WHOとユニセフによって、1978年に当時のソビエト連邦の都市の1つであるアルマ・アタにおいて開催された国際会議で採択された宣言で、プライマリ・ヘルス・ケアを提唱しました。プライマリ・ヘルス・ケアとは、健康のための基礎的な環境整備のことです。

人々の健康状態に関して、特に「先進国と発展途上国間にみられる大きな格差」を取り上げ、先進国と発展途上国間にみられる大きな健康格差の解消を訴えています。

オタワ憲章とヘルスプロモーション

WHOは、1978年にカナダのオタワ市において開催された国際会議においてオタワ憲章を採択しました。

ヘルスプロモーションを「人々が自らの健康をコントロールし、改善することができるようにするプロセス」と定義しています。

「すべての人びとがあらゆる生活舞台−労働・学習・余暇などの場−で健康を享受することのできる公正な社会の創造」を「健康づくり戦略の目標」としています。

「健康にとっての基礎的条件と資源」として、「平和、援護、教育、食料、所得、安定した環境システム、持続可能な資源、社会正義と公正」を挙げています。

国際生活機能分類(ICF)の考え方

国際生活機能分類(ICF)は、2001 年に世界保健機関(WHO) 総会で採択されました。

1980年に採択された国際障害分類(ICIDH)が「疾病の帰結(結果)」に関する分類であったのに対し、ICFは「健康の構成要素」に関する分類として採択されました。

ICIDHでは、疾患が「機能・形態障害」を生み、そのため「能力障害」が生まれ、その結果「社会的不利」が生まれるという、原因と結果という概念でとらえています。

これに対してICFは、人間の全体像を捉える立場に立ち、「健康状態」「生活機能」「背景因子」が相互に影響し合っているという考えに基づいています。

健康状態

「健康状態」とは、疾病や体の変調、けが、障害の有無などを指す概念です。肥満や妊娠、高齢、ストレス等、様々なものを含む広い概念で、「疾病」だけでなく、日常的な心身の状態までを含みます。

生活機能

「生活機能」は、「心身機能・身体構造」「活動」「参加」から構成されています。

心身機能・身体構造

「心身機能・身体構造」の「心身機能」とは、手足の動き、精神の働き、視覚・聴覚、内臓の働きなどの身体系の生理的機能のことで、心理的機能も含むものです。「身体構造」とは、手足の一部、心臓の一部(弁など)など、体の器官や肢体とその構成部分等の身体の解剖学的部分のことです。

肯定的側面と否定的側面

心身機能・身体構造には肯定的側面と否定的側面があります。

肯定的側面は、機能的・構造的統合性を意味します。心身機能と身体構造が機能的・構造的に統合性が保たれている状態です。

否定的側面は、構造障害を含む機能障害を意味します。構造的、あるいは機能的に何らかの支障がある状態です。

障害とは、生活機能が低下した状態のことで、「機能障害」とは、著しい差異や喪失などといった心身機能又は身体構造のことです。

背景因子

背景因子とは、人間の生活機能の発揮の仕方や、障害と相互に影響を及ぼし合う要素のことです。「環境因子」と「個人因子」から構成されています。

環境因子とは、バリアフリー等のような物理的な環境や、家族や友人、同僚などの周囲の人間とのかかわりなどの人的環境、法制度や福祉サービスなどの社会的環境のことで、人々の社会的態度などもすべて含む、環境を構成する因子のことです。

個人因子とは、年齢、性別、民族、生活歴、価値観、ライフスタイル、興味や関心などのことです。

促進因子と阻害因子

「環境因子」には、促進因子と阻害因子があります。

促進因子は、生活機能の発揮を促進するもので、阻害因子は、生活機能の発揮を阻害するものです。

例えば、下肢麻痺の人にとって、住居や交通機関がバリアフリーになっていることは、生活機能の発揮を促進するものですから促進因子になります。逆に、住居や交通機関にバリアがあることは、生活機能の発揮を阻害しますから阻害因子になります。

環境因子における促進因子と阻害因子は、物理的なものだけではなく、精神的、文化的なこころのバリアも含みます。

活動

「活動・参加」の「活動」とは、課題や行為の個人による遂行のことで、調理・掃除などの生活行為である行動を指します。

「活動」は、「実行状況」と「能力」で評価されます。実行状況とは、現在の環境のもとで行っている活動のことです。能力とは、ある課題や行為を遂行するための最高の環境が整えられた状態で発揮される生活機能のことです。

参加

「活動・参加」の「参加」とは、生活や人生場面へのかかわりのことです。会社で働いている、あるいは自営業で働いている、町内会で役割を果たしている等が該当します。

活動・参加の否定的側面

「活動の否定的側面」を「活動制限」といいます。これは、個人が活動を行うときに生じる困難さのことです。

「参加の否定的側面」を「参加制約」といいます。これは、個人が何らかの生活・人生場面にかかわるときに生じる困難さのことです。

国際生活機能分類(ICF)

採択 2001 年5月に世界保健機関(WHO) 総会で採択
対象と性格 すべての人に関する健康の構成要素に関する分類
健康状態 病気やけが、障害の有無、肥満、妊娠、加齢等
「健康状態」「生活機能」「背景因子」は相互作用の関係にある
構成 「生活機能」の分類とそれに影響を与える「背景因子」(「環境因子」「個人因子」)で構成
「環境因子」には「促進因子」と「阻害因子」がある
生活機能 「心身機能・身体構造」「活動」「参加」から成る
心身機能・身体構造 「心身機能」とは身体系の生理的機能のこと。心理的機能も含む
「身体構造」とは身体の解剖学的部分のこと
活動 課題や行為の個人による遂行のこと
「能力」と「実行状況」で評価される
参加 生活や人生場面へのかかわりのこと
活動制限 個人が活動を行うときに経験する難しさのこと
参加制約 個人が何らかの生活・人生場面にかかわるときに経験する難しさのこと

いかがでしたか。第25回の精神保健福祉士国家試験の中から今回の課題をあげておきますのでチャレンジしてみてください。

第25回精神保健福祉士国家試験「人体の構造と機能及び疾病」

問題2 国際生活機能分類(ICF)に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 対象は障害のある人に限定されている。
  • 2 「社会的不利」はICFの構成要素の一つである。
  • 3 「活動」とは、生活・人生場面への関わりのことである。
  • 4 仕事上の仲間は「環境因子」の一つである。
  • 5 その人の住居は「個人因子」の一つである。

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