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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第19回 「保健医療サービス」

皆さん、こんにちは。試験まであと約6か月になりましたね。学習は進んでいますか。短い時間でもポイントを絞った効率的な学習で、力をつけていきましょう。

今回は「保健医療サービス」を取り上げます。この科目は、出題範囲が明確で対策の立てやすい科目です。基礎を押さえれば十分得点できますので、着実に学習を進めていきましょう。

では、最初に前回の課題の解説をしていきます。

第25回精神保健福祉士国家試験「低所得者に対する支援と生活保護制度」

問題65 生活保護の種類と内容に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 生業扶助には、高等学校等就学費が含まれる。
  • 2 生活扶助は、衣食住その他日常生活の需要を満たすために必要なものを給付する。
  • 3 教育扶助は、原則として現物給付によって行うものとする。
  • 4 介護扶助は、原則として金銭給付によって行うものとする。
  • 5 葬祭扶助は、原則として現物給付によって行うものとする。
正答 1

解答解説

    • 1 〇 高等学校等就学費は、自立のために必要な技能を習得するための費用である技能修得費に位置付けられている。生業扶助は、困窮に陥った状態にある者及び困窮に陥るおそれのある者も対象としており、自立に必要な技能を習得することを目的としている。
    • 2 × 生活扶助は、衣食は対象としているが、住居は住宅扶助の対象である。なお、生活扶助には、基準生活費として、個人単位の第1類(食費、被服費など)と世帯単位の第2類(光熱水費、家具什器類など)があり、特別な需要を補填するための加算がある。
    • 3 × 教育扶助は、原則として金銭給付である。教科書、教材費、学校給食費、学用品費、通学費、修学旅行費、校外学習費等、義務教育に伴って必要な費用が給付される。
    • 4 × 介護扶助は、原則として現物給付である。65歳以上は1割の利用者負担分が、40歳以上65歳未満は必要な介護サービスが介護扶助として現物給付される。
    • 5 × 葬祭扶助は、原則として金銭給付である。級地別、大人・小人別に設定されており、遺体の検案、死体の搬送、火葬・埋葬、納骨などに要する費用が金銭給付される。

いかがでしたか。生活保護については、4原理、4原則、被保護者の権利と義務、実施機関、生活保護の実態等についても学習しておきましょう。

今回の「保健医療サービス」について、出題基準に沿って過去の出題傾向を分析して対策を立てていきます。


医療保険制度

医療保険制度の概要

この分野は、医療保険制度のしくみ、医療保険の保険者・被保険者・保険料・保険給付内容、審査支払機関としての社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会の役割などについてよく学習しておきましょう。

後期高齢者医療制度、高額療養費制度(世帯合算、多数該当等)、診療報酬の決定における中央社会保険医療協議会の役割、保険外併用療養費の選定療養と評価療養、患者申出療養についても学習しておきましょう。

医療費に関する政策動向

この分野では、国民医療費が頻出です。国民所得に占める割合、国民医療費の財源別構成割合、診療種類別構成割合、傷病別割合、65歳以上の医療費の割合、制度区分別国民医療費、年齢階級別の一人当たり国民医療費などについて、「国民医療費の概況」で確認しておきましょう。

診療報酬

診療報酬制度の概要

この分野からは、診療報酬制度のしくみ、審査支払機関の役割、診療報酬の点数と改定、出来高払い包括払い等を押さえておきましょう。後ほど、この分野を取り上げて解説します。

保健医療サービスの概要

医療施設の概要

 

医療提供施設、病院と診療所の定義、地域医療支援病院、特定機能病院、在宅療養支援診療所・病院等について、それぞれの機能、役割を整理しておきましょう。

保健医療対策の概要

この分野は、医療法における医療計画に盛り込むべき内容や、地域医療構想、病床機能報告制度、医療事故対応等を確認しておきましょう。

高齢者の医療の確保に関する法律で規定されている特定健康診査と特定保健指導に関しても出題されています。保健医療対策としての生活習慣病予防施策について確認しておきましょう。

保健医療サービスにおける専門職の役割と実際

医師の役割/保健師、看護師等の役割

この分野では、医師法、保健師看護師助産師法等における医師、看護師、保健師の業務、配置先を確認しておきましょう。

回復期リハビリテーション病棟における看護師、社会福祉士の配置と診療報酬との関係、医療関係従事者の業務と医師の指示の必要性についての出題実績があります。

インフォームドコンセント

インフォームドコンセントの意義と実際、医療法におけるインフォームドコンセントに関しての医師の責務、入院時における入院計画書の作成と交付義務に関する規定、退院支援計画作成の際の患者への説明と診療報酬との関係などについて学習しておきましょう。

作業療法士、理学療法士、言語聴覚士等の役割

薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士のそれぞれの業務が出題されています。医療関係従事者のそれぞれの根拠法と業務規定、医師の指示との関係等を整理しておきましょう。

医療ソーシャルワーカーの役割

この分野からは短文事例での出題がみられます。医療ソーシャルワーカーの役割と位置付けについて、医療ソーシャルワーカーの業務指針を十分読み込んで、具体的な実践場面に適用できる力を養っておきましょう。

保健医療サービス関係者との連携と実際

医師、保健師、看護師等との連携

この分野からは、医師、保健師、看護師等との連携、在宅生活を支える医療体制としてのチームアプローチ、リハビリテーション医療のチームアプローチ等が短文事例で出題されています。

終末期医療における本人の意思決定の支援、障害者の意思決定支援についての出題が見られます。意思決定支援は現場では重要な課題ですので、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等に目を通しておくとよいでしょう。

地域の社会資源との連携

地域医療の実践のためには、地域の社会資源である医療・保健・福祉関係機関との連携が必須です。そのための具体的手法として地域連携クリティカルパスの作成、医療と介護の連携も含めて、地域医療の連携のあり方を様々な関連機関の役割を押さえながら学習しておきましょう。

以上全体を概観してきましたが、今回は診療報酬制度について解説します。

診療報酬制度

診療報酬の決定

診療報酬は、厚生労働大臣が決定します。診療報酬の改定についての基本方針は社会保障審議会が決定し、その方針に基づいて中央社会保険医療協議会が審議し、その答申に基づいて厚生労働大臣が決定します。

診療報酬は2年に一度改定されます。介護報酬が3年に1度の改定なので、診療報酬と介護報酬の同時改定は6年に1度になります。

診療報酬の決定

  • ・社会保障審議会:基本方針を決定
  • ・中央社会保険医療協議会:基本方針に基づき審議
  • ・厚生労働大臣:中医協の審議の結果を踏まえて決定

診療報酬の種類・単位

診療報酬は、「医科診療報酬」「歯科診療報酬」「調剤報酬」の3種類に分かれています。診療報酬の単位は、1点10円で全国一律です。介護報酬は地域によって加算がありますが、診療報酬はどの地域も同じですので気をつけておきましょう。

算定方法は、診療報酬点数表の算定基準に基づき、医療行為ごとに算出します。外来診療報酬における病院と診療所は共通の点数表になっています。

診療報酬の種類と単位

  • ・「医科」「歯科」「調剤」の3分類
  • ・診療報酬は全国一律

出来高払いと包括払い

診療報酬の算定方法は、「出来高払い」と「包括払い」の2種類があります。

出来高払いとは、保険適用内の医療サービスや医薬品、医療機器ごとに、個別に設定された点数に基づいて、医療機関が実際に行った医療行為に対する診療報酬を積み上げていく方式です。

合理的な方法ですが、医療行為を行えば行うほど報酬が増える仕組みとなっていますので、不必要な診療や投薬という過剰医療を招くおそれがあります。

包括払いとは、疾患ごとに定められた入院1日あたりの医療サービスの費用に基づいて、患者の入院日数に応じて診療報酬を設定する方法です。この方法は、病気の種類に応じて、あらかじめ医療の値段が決まっているので過剰医療が抑制されるためには有益です。

わが国では、一般的に、外来は出来高払い方式を採用し、入院の一部に包括払い方式を導入しています。

入院の一部に導入されているのは、包括払い方式の中のDPC/PDPSという方法です。あらかじめ国が定めた病名と診療行為の組み合わせである「診断群」ごとの1日当たりの定額医療費である包括評価部分と、定額医療費に含まれない手術や一部検査、処置等の従来通りの出来高払い方式である出来高評価部分を組み合わせて計算します。

出来高払いと包括払い

  • ・出来高払い:医療行為の点数を積み上げていく。外来に適用
  • ・包括払い:疾患ごとの1日当たりの定額方式。急性期病院や療養病床等の入院基本料に導入

診療報酬の審査・支払

診療報酬の審査・支払権限は、各医療保険者が有しています。ただし、各医療保険者は、審査支払機関に審査支払事務を委託することができます。国民健康保険の審査支払委託機関は国民健康保険団体連合会で、健康保険の審査支払委託機関は社会保険診療報酬支払基金になっています。

診療報酬制度の仕組みは、下記の図をご参照ください。

保険外併用療養費

医療保険給付の1つに、保険外併用療養費があります。これは、保険診療と保険外医療を組み合わせて提供される医療のうち、基礎部分を医療保険から給付する費用のことです。

保険外医療には、先進医療や治験の費用としての評価療養、特別室や差額ベッドの費用としての選定療養、承認されていない医薬品などを患者からの申し出によって使用する患者申出療養の3種類があります。これらは全額、患者の自己負担になります。

いかがでしたか。次回は、「権利擁護と成年後見制度」です。では第25回の精神保健福祉士国家試験の問題から今回の課題を挙げておきますのでチャレンジしてみてください。

第25回精神保健福祉士国家試験「保健医療サービス」

問題72 診療報酬制度に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 診療報酬の点数は、通常3年に1度改定される。
  • 2 診療報酬点数表は、医科、歯科、在宅医療の3種類が設けられている。
  • 3 療養病棟入院基本料の算定は、出来高払い方式がとられている。
  • 4 地域包括ケア病棟入院料の算定は、1日当たりの包括払い方式がとられている。
  • 5 診療報酬には、選定療養の対象となる特別室の料金が設けられている。

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