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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第11回 「心理学理論と心理的支援」

皆さん、こんにちは。お元気ですか。梅雨の期間ですが体調管理に留意しながら、合格を目指して頑張っていきましょう。今回は「心理学理論と心理的支援」を取り上げます。

まずは前回の課題の解説をしておきましょう。

第25回精神保健福祉士国家試験「人体の構造と機能及び疾病」

問題5 パーキンソン病の原因と症状に関する次の記述のうち、正しいもの2つ選びなさい。

  • 1 小脳の異常である。
  • 2 脳内のドーパミンが増加して発症する。
  • 3 安静時に震えが起こる。
  • 4 筋固縮がみられる。
  • 5 大股で歩行する。
正答3、4

解答解説

    • 1 × パーキンソン病の原因は、中脳の黒質の変性により黒質の細胞が減少することである。
    • 2 × 脳内の神経伝達物質であるドーパミンの分泌が減少することによって発症する。
    • 3 〇 ドーパミンは体の動きや働きを調節する役割があり、ドーパミンが減少してしまうと、調節機能が働かず、安静時の震えが引き起こされる。
    • 4 〇 筋固縮は、ドーパミンの減少により筋肉の力をうまく抜くことできなくなるため、筋肉に緊張が生まれ、固縮してしまう症状である。
    • 5 × パーキンソン病になると、歩幅が極端に小さくなり、歩行が小刻み歩行になる。

いかがでしたか。それでは、「心理学理論と心理的支援」について出題基準と過去問の分析によって出題傾向を把握し、対策を立てていきます。


人の心理学的理解

心理学の基礎的な知識が網羅されている分野です。

心と脳

この項目では、大脳(前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉)や小脳等の機能について確認しておきましょう。

情動・情緒|欲求・動機づけと行動

「気分」と「情動」の違い、マズローの欲求階層説、内発的動機づけと外発的動機づけ、達成動機等の意味や内容をよく理解しておきましょう。

感覚・知覚・認知

出題率が高い分野です。適刺激と暗順応、錯視、知覚の体制化、図と地の分離、知覚的補完、知覚の恒常性、仮現運動、運動残効等を押さえておきましょう。

学習・記憶・思考

オペラント条件づけ、レスポンデント条件づけ、観察学習、洞察学習、試行錯誤学習など、学習形成における具体的な実験の内容と学習理論を押さえておきましょう。

記憶については、感覚記憶、短期記憶、長期記憶、エピソード記憶、意味記憶、作動記憶、自伝的記憶、手続き記憶、展望的記憶など出題パターンは決まっています。それぞれの内容を整理しておきましょう。

思考については、収束的思考と拡散的思考の意味を確認しておきましょう。

知能・創造性|人格・性格

結晶性知能と流動性知能の特徴、類型論と特性論の違い、ユング、クレッチマー、シュプランガー、オールポート等の提唱した理論を整理しておきましょう。

集団

集団の凝集性や集団規範、集団思考、同調や社会的手抜き、リーダーシップ論、傍観者効果、コーシャスシフトなどの意味を正確に押さえておきましょう。

適応

防衛機制(適応規制)として、抑圧、知性化、転換、合理化、反動形成、昇華等を具体例で出題されても解答できるようにしておきましょう。

人の成長・発達と心理

この分野は出題率の高い分野です。発達の概念として、成熟優位説、環境優位説、ピアジェ・エリクソンの発達段階説、ボウルビィのアタッチメント理論などについて理解しておきましょう。

日常生活と心の健康

この分野では、ストレスとストレッサーの関係、ストレスの症状と対処方法、危機介入、問題焦点型コーピングと情動焦点型コーピング、心的外傷後ストレス障害(PTSD)等を押さえておきましょう。

心理的支援の方法と実際

心理検査の概要

投影法と質問紙法の違いや人格検査、発達検査、知能検査、適性検査のそれぞれの検査方法と検査対象について整理しておきましょう。MMPI、P-Fスタディ、TAT、ロールシャッハテスト、CMI、東大式エゴグラム、内田クレペリン精神検査、ウェクスラー式知能検査等を確認しておきましょう。今回は後ほど、この分野を解説していきます。

カウンセリングの概念と範囲

パーソンセンタード・カウンセリング、ピアカウンセリング、マイクロカウンセリング等を押さえておきましょう。

心理療法の概要と実際

この分野は大変出題率が高いので、丁寧に学習しておきましょう。認知行動療法、サイコドラマ、解決志向モデル、森田療法、暴露療法、動作療法、社会生活技能訓練(SST)、ブリーフ・セラピー、系統的脱感作法、来談者中心療法、自律訓練法、家族療法等が出題されています。箱庭療法や内観療法等の心理療法も含めて、それぞれの内容と理論をよく把握しておきましょう。

いかがでしたか。では「心理検査」について解説していきます。

心理検査の種類

心理検査は、大きく分けて人格検査、発達・障害検査、作業テスト、知能検査、認知機能検査に分類することができます。

人格検査

人格検査には、検査の方法として「投影法」と「質問紙法」があります。

投影法

投影法とは、抽象的で曖昧な刺激に対する自由な反応を分析することによって、人格を検査する方法です。投影法には、TAT、P-Fスタディ、ロールシャッハテスト、SCT、バウムテストなどがあります。

TAT

TATは主題統覚検査といって、曖昧な状態が描かれた刺激図版を被験者に提示して、その図版から感じた物語を作成してもらい、その物語を分析して評価する検査法方法です。対人関係や達成動機、自立傾向、逃避傾向等を分析します。

P-Fスタディ

P-Fスタディは絵画欲求不満テストといい、フラストレーション場面の絵画を提示し、その絵画の吹き出しに被検者が言葉を書き入れます。その言葉を分析することによって、欲求不満の状態、攻撃性の傾向を知る検査です。

ロールシャッハテスト・SCT・バウムテスト

ロールシャッハテストは、被検者に左右対称のインクのしみを提示し、その図版が何に見えるかによって、被検者の思考様式や感情、自己認知などの人格構造を検査します。

SCTは文章完成テストといい、不完全な文章を提示し、被検者にその文章を完成させてもらいます。文章の内容によって、被検者の性格を分析します。

バウムテストは樹木画テストといい、実のなる木を描いてもらい、その筆跡や空間分割等を分析することによって人格分析する方法です。言語による感情の整理と表出が困難な幼児等に使用されます。

人格検査(投影法)

  • ・TAT
  • ・P-Fスタディ
  • ・ロールシャッハテスト
  • ・SCT
  • ・バウムテスト 等

質問紙法

質問紙法とは、質問項目を決めておき、その項目に対する回答を集計して分析する検査方法です。質問紙法には、YG性格検査、MMPI、東大式エゴグラム、日本版CMI等があります。

YG性格検査

YG性格検査は矢田部・ギルフォード性格検査のことで、12の尺度と120項目の質問によって構成されています。

回答が点数で表記され、5つの類型にあてはめられて分析・評価されます。A型(平均型)、B型(情緒不安定・不適応、活動積極型)、C型(情緒安定・適応、活動消極型)、D型(情緒安定、活動積極型)、E型(情緒不安定、活動消極型)に性格が分類されます。

MMPI

MMPIは、ミネソタ多面人格目録検査のことで、臨床心理学、精神医学領域、精神科病院などで診断を目的に利用されています。質問項目が550項目に分かれており、妥当尺度と臨床尺度で構成されています。

東大式エゴグラム

東大式エゴグラムは交流分析理論に基づく検査方法です。5つの自我の状態を点数化してわかりやすくグラフ化したもので分析し、自我の状態を把握します。

CP(厳格な親)は、責任感が強い反面他人にも厳しい支配性を示しています。NP(保護的な親)は、思いやりがあり世話好きで、受容的、寛容性を示しています。A(大人のこころ)は、現実的、合理的、冷静、客観性を示しています。FC(自由な子ども)は、感情を直接的に表現する奔放性、快活さ、創造性を示しています。AC(従順な子ども)は、遠慮がち、人の評価を気にして他者を優先するという順応性を示しています。

これらの5つの要素のバランスから、性格や人とのかかわり方を分析します。

日本版CMI

日本版CMI(コーネル・メディカル・インデックス)とは、身体や精神の自覚症状などについて質問し、病院の初診時のスクリーニングテスト等に使用されます。

人格検査(質問紙法)

  • ・YG性格検査
  • ・MMPI
  • ・東大式エゴグラム
  • ・日本版CMI 等

発達・障害検査

新版K式発達検査

発達検査の代表的なものに新版K式発達検査があります。

これは、乳幼児の発達を「姿勢・運動」「認知・適応」「言語・社会」の3 領域から測定し、発達年齢や発達指数を知ることができます。

ベントン視覚記銘検査

障害検査には、ベントン視覚記銘検査やベンダーゲシュタルトテストなどがあります。

ベントン視覚記銘検査は、提示された幾何学図形を模写・再生することで、視覚認知、視覚記銘、視覚構成能力を評価するためのテストです。後天的脳損傷のスクリーニングに用いられます。

ベンダーゲシュタルトテスト

ベンダーゲシュタルトテストは、9枚の幾何学図形を描画させ、一定の基準に従って処理し分析する検査です。知覚運動技能、知覚運動発達を測定し、脳損傷の検出、性格特性、情緒、自我機能、精神障害等の検査に有効です。

発達・障害検査

  • ・新版K式発達検査
  • ・ベントン視覚記銘検査
  • ・ベンダーゲシュタルトテスト 等

作業テスト

作業テストとして、内田クレペリン精神作業検査があります。この検査は、一桁の単純な数字を連続して加算していく検査です。その作業曲線のパターンから性格を判定します。職業適性検査などに使用されます。

知能検査

知能検査には、田中・ビネー式知能検査ウェクスラー式知能検査などがあります。

田中・ビネー式知能検査

田中・ビネー式知能検査は、ビネーとシモンが開発した知能検査が発展したものを、わが国の心理学者である田中寛一が工夫を重ねて開発したものです。

検査は、各年齢段階に応じた問題が用意されており、合格基準に基づき知能が測定され、知能指数(IQ)等が算出されます。知能指数は、精神年齢を生活年齢で割り、100を掛けて算出します。

ウェクスラー式知能検査

ウェクスラー式知能検査は、動作性知能と言語性知能を検査し、総合的な一般知能を算出する検査です。対象年齢によって検査方法が開発されています。

WPPSI幼児用知能検査WISC児童用知能検査WAIS成人用知能検査です。

作業テスト・知能検査

  • ・内田クレペリン精神作業検査
  • ・田中・ビネー式知能検査
  • ・ウェクスラー式知能検査

認知機能検査等

最後に、認知機能検査と高齢者の抑うつ検査についてみておきましょう。

改訂長谷川式簡易知能評価スケール

改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)は、9項目に関して認知機能を評価します。評価基準として、30点満点中20点未満は認知症の疑いがあると判断されます。

老年期うつ病評価尺度

老年期うつ病評価尺度は、高齢者のうつ状態の評価に使用するものです。生活の満足度、興味の度合い、不安、無力感等、15項目の質問事項に対して自覚症状を「はい」「いいえ」で回答します。5 点以上がうつ傾向、10 点以上がうつ状態とされています。

認知機能検査等

  • ・改訂長谷川式簡易知能評価スケール
  • ・老年期うつ病評価尺度
第25回精神保健福祉士国家試験「心理学理論と心理的支援」

問題13 心理検査に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 乳幼児の知能を測定するため、WPPSIを実施した。
  • 2 頭部外傷後の認知機能を測定するため、PFスタディを実施した。
  • 3 投影法による人格検査を依頼されたので、東大式エゴグラムを実施した。
  • 4 児童の発達を測定するため、内田クレペリン精神作業検査を実施した。
  • 5 成人の記憶能力を把握するため、バウムテストを実施した。

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