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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第10回 「人体の構造と機能及び疾病」

皆さん、こんにちは。今回からいよいよ共通科目に入っていきます。共通科目は科目数が多く苦手な方が多いかもしれませんが、ポイントを絞って学習すれば十分対応できます。

では、最初に前回の課題の解説をしていきます。

第25回精神保健福祉士国家試験「精神障害者の生活支援システム」

問題75 次のうち、「障害者総合支援法」に規定される自立生活援助として、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 医療機関における機能訓練及び日常生活上の世話
  • 2 主として夜間において、相談、入浴、排せつ又は食事の介護その他の日常生活上の援助
  • 3 身体機能又は生活能力の向上のための訓練
  • 4 一定期間にわたる、定期的な巡回訪問等による相談、助言等の援助
  • 5 障害者が行動する際の危険回避のために必要な援護
正答4

解答解説

    • 1 × 選択肢の記述は、療養介護の説明である。療養介護は、医療機関に入院中の障害者に機能訓練や介護、日常生活上の世話を行うサービスである。
    • 2 × 選択肢の記述は、共同生活援助の説明である。共同生活援助は、共同生活を営む住居で家事援助や相談に応じるサービスである。
    • 3 × 選択肢の記述は、自立訓練の説明である。自立訓練には、身体機能の向上を目的とする機能訓練と、生活能力の維持向上を目的とする生活訓練がある。
    • 4 〇 自立生活援助は、単身で生活している障害者等の居宅に、定期的な巡回訪問、相談対応、助言、関係機関との連絡調整等を行うサービスである。
    • 5 × 選択肢の記述は、行動援護の説明である。行動援護は、知的障害者や精神障害者等の行動の危険回避のための必要な援護等を行うサービスである。

いかがでしたか。それでは、「人体の構造と機能及び疾病」について、出題基準をもとに過去問を分析して出題傾向を把握し、頻出分野に焦点を当てて対策を立てていきます。


人の成長・発達

この分野は、「身体の成長・発達」と「精神の成長・発達」という中項目があります。身体の発達では、乳児、幼児、児童への身体の成長の発達過程を学習しておきましょう。精神の発達では、乳幼児期の言語や認知機能の発達、精神の発達とその障害、発達段階と障害の発症時期の関係等を学習しておきましょう。

また、老化に伴う心身の変化や高齢者に多い疾患、その病態の特徴については頻出です。加齢による身体の変化および疾病については、基礎的な知識を整理して把握しておきましょう。

心身機能と身体構造の概要

人体部位の名称と各器官の構造と機能については頻出です。心臓や血液等の循環器系、気管支や肺等の呼吸器系、骨格・筋肉系、食道、胃、小腸、大腸、肝臓等の消化器系、大脳、小脳、脳幹、脊髄、自律神経などの神経系、腎臓などの泌尿器系、内分泌系、目や耳などの感覚器系、免疫系などのしくみと働きについても学習しておきましょう。

身体のしくみや働きが障害されるとどのような疾病が起こるかということと関連付けながら学習していくと理解が深まります。具体的な疾病を念頭に置きながら、身体の各器官の構造と機能を学習しておくとよいでしょう。

国際生活機能分類(ICF)の基本的考え方と概要

この分野からは、毎回出題されています。生活機能の構成要素、活動と参加の定義、背景因子としての個人因子と環境因子、促進因子と阻害因子、活動制限と参加制約の違いなど、障害者に対する支援には欠かすことのできない視点です。

健康の捉え方

健康の概念として、WHO憲章における健康の定義、アルマ・アタ宣言、オタワ憲章は頻出です。それぞれの内容をしっかり整理しておきましょう。

わが国の健康施策として、健健康日本21(第二次)の内容、健康寿命の定義、健康増進法の内容、一次予防・二次予防・三次予防の意味、死亡原因疾患等も出題実績があります。

疾病と障害の概要

疾病の概要としては、悪性腫瘍、生活習慣病、感染症、神経・精神疾患、先天性・精神疾患、難病等が出題分野となっています。生活習慣病や老化に伴う疾患は出題率が高いです。今回は後ほど、「疾病の概要」について、出題率の高い疾病を取り上げて解説していきます。

障害の概要としては、視覚障害、平衡機能障害、肢体不自由、内部障害、知的障害、発達障害、認知症、高次脳機能障害、精神障害、聴覚障害等が出題分野になっています。近年は、精神障害や発達障害の出題率が高くなっています。

精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)の概要については、分類概念を理解した上で、代表的な統合失調症やうつ病の症状および診断基準、そう病相、自閉スペクトラム症、不安障害、解離性障害、摂食障害等を押さえておきましょう。

リハビリテーションの概要

この分野からは、リハビリテーションの意味と定義、目的、対象、方法等が出題されています。急性期リハビリテーション、回復期リハビリテーション、維持期リハビリテーションのそれぞれの段階と目標と内容を確認することをおすすめします。また、包括的リハビリテーションの概念と対象と具体例、リハビリテーションの専門職等について学習しておきましょう。

今回は「疾病の概要」の分野から頻出の疾病を取り上げていきます。

高齢者がかかりやすい疾病として、生活習慣病である高血圧、糖尿病、腎疾患、そのほか、パーキンソン病、がん(悪性新生物)などがあります。

高血圧

高齢になると、血管の壁が硬くなり弾力性が低下する(動脈硬化)ため、収縮期血圧(最高血圧)が高くなり、拡張期血圧(最低血圧)は低下する傾向があります。

また、加齢により自律神経が低下すると、血圧のリズムが乱れ、血圧が変動しやすくなります。

本態性高血圧・二次性高血圧

高血圧には、「本態性高血圧」と「二次性高血圧」があります。

本態性高血圧は、原因となる病気がわからない高血圧で、老化や生活習慣などが影響しています。この本態性高血圧は、高血圧全体の約8~9割を占めています。

二次性高血圧は、何らかの病気を原因とする高血圧のことです。慢性腎臓病などの腎機能が低下している場合に多くみられます。

高血圧性心肥大・狭心症・心筋梗塞・大動脈瘤

高血圧になると、心臓に負担がかかり、心臓の左心室が肥大する高血圧性心肥大や、心臓の血管が狭くなり、十分な酸素や栄養を送ることができない狭心症を引き起こすことがあります。

動脈硬化のために血栓ができやすくなり、血管が詰まった状態になると、心臓内の血流が一部途絶え、その先の細胞が壊死して心筋梗塞になる場合もあります。

また、大動脈の壁が弱くなるとその部分に膨らみが形成される大動脈瘤ができやすくなります。これが破裂すると大きな出血を引き起こすことになります。

高血圧

  • ・加齢により収縮期血圧は上昇、拡張期血圧は低下
  • ・心肥大、狭心症、心筋梗塞、大動脈瘤の原因

腎臓疾患

急性腎不全・慢性腎不全

腎臓疾患は、「急性腎不全」と「慢性腎不全」に分類できます。

急性腎不全は、急激な糸球体のろ過機能の低下によるもので、大量出血や手術、重症な感染症等で起こります。

慢性腎不全は、糖尿病や高血圧などで腎機能が徐々に低下していく腎不全で、症状が悪化すると人工透析の原因となります。

腎疾患の食事療法

腎不全の食事療法は、たんぱく制限と塩分制限が必要です。また、果物や野菜などに多く含まれるカリウムが制限されます。

糖尿病

糖尿病は、インスリンの不足やインスリン作用の低下による慢性の高血糖状態で起こります。

インスリンは膵臓のランゲルハンス島のβ細胞で作られ、血糖値を下げる働きをします。インスリンが不足すると、血糖値を下げられなくなり、高血糖状態になってしまいます。

糖尿病には大きく分けて、「Ⅰ型糖尿病」と「Ⅱ型糖尿病」があります。

Ⅰ型糖尿病

Ⅰ型糖尿病は、何らかの原因で、過剰な免疫反応が自分の膵臓のβ細胞を破壊し、インスリン分泌が著しく障害されてしまった結果、高血糖になる糖尿病です。Ⅰ型糖尿病は、小児期から思春期に発症するケースが多いといわれています。治療は、インスリン療法を基本とし、食事療法を併用します。

Ⅱ型糖尿病

Ⅱ型糖尿病は、遺伝的因子と過食や運動不足等の環境因子である生活習慣により発症する、肥満との関係が深い糖尿病です。糖尿病全体の約95%を占めます。治療は、食事療法、運動療法を基本としますが、必要な場合はインスリン療法を併用します。

糖尿病の症状と三大合併症

糖尿病は、口渇、多飲、多尿、体重減少、自律神経症状等の症状を呈します。

糖尿病になると、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害の三大合併症を発症する可能性が高くなります。

糖尿病

  • ・Ⅰ型:インスリン分泌障害による
  • ・Ⅱ型:遺伝的因子と生活習慣による
  • ・三大合併症:糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害

パーキンソン病

パーキンソン病は、中脳の黒質の病変により、ドーパミン神経細胞が減少してドーパミンの分泌が少なくなることによって起こる病気です。体が動きにくくなる寡動、ふるえが起こりやすくなる振戦、筋肉の固縮、小股歩行、自律神経症状等が特徴です。

治療の基本は薬物療法で、L‐ドパを投与します。L-ドパは、少なくなったドーパミンを補う作用があります。

神経・筋疾患

神経・筋疾患の代表的なものに、進行性筋ジストロフィーと筋萎縮性側索硬化症(ALS)があります。

進行性筋ジストロフィー

進行性筋ジストロフィーは、遺伝性の疾患です。骨格筋の筋繊維変性・壊死するため、筋萎縮や筋力の低下を招き、運動機能障害や筋肉の拘縮・変形、呼吸機能障害、心筋障害、嚥下機能障害等をもたらします。

デュシェンヌ型進行性筋ジストロフィーは、男性が発症し、発症初期は歩行困難、筋力低下がみられ、重篤期は呼吸困難におちいります。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かし、運動をつかさどる運動ニューロンの障害によって、筋力が弱くなりやせていく病気です。一方で、身体の感覚、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれるという特徴があります。

神経・筋疾患

  • ・進行性筋ジストロフィー(筋繊維の変性・壊死)
  • ・筋萎縮性側索硬化症:ALS(運動ニューロンの障害)

がん(悪性新生物)

がん(悪性新生物)は、細胞が何らかの原因で変異して増殖し、周囲の正常な細胞組織を侵したり、他の組織などに転移したもので、正常な組織と入れ替わり、臓器などの機能不全を引き起こします。

日本では、2021(令和3)年、がんが死因の1位となっています。2位は心疾患、3位は老衰です。

部位別のがんの死亡数をみると、男性では1位が「肺がん」、2位が「大腸がん」、3位が「胃がん」の順で、女性では1位が「大腸がん」、2位が「肺がん」、3位が「すい臓がん」の順になっています。

全体の部位別のがんの推移をみると、胃がんは減少傾向にあり、すい臓がんが増加傾向にあります。

がんの予防と治療

がんの予防には、生活習慣に留意する一次予防、がん検診等による早期発見・手術等による早期治療を行う二次予防、再発防止と適切な生活習慣を維持する三次予防があります。

がんの治療には、外科治療としての手術、適切な薬による薬物療法、放射線治療、免疫療法等があり、がんの種類と部位、進行度、健康状態などによって治療方法が選択されます。

いかがでしたか。次回は「心理学理論と心理的支援」を取り上げます。

第25回の精神保健福祉士国家試験から今回の課題をあげておきますので、チャレンジしてみてください。

第25回精神保健福祉士国家試験「人体の構造と機能及び疾病」

問題5 パーキンソン病の原因と症状に関する次の記述のうち、正しいもの2つ選びなさい。

  • 1 小脳の異常である。
  • 2 脳内のドーパミンが増加して発症する。
  • 3 安静時に震えが起こる。
  • 4 筋固縮がみられる。
  • 5 大股で歩行する

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