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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第2回 本試験までの学習計画と学習方法について

皆さん、こんにちは。新年度を迎え、新たな思いでスタートを切られたことと思います。大学の最終学年を迎えた方、受験資格取得のために養成校に入学された方、現場で一層責任ある立場に立たれた方など、様々な形で決意を新たにしておられることでしょう。

これから試験までの期間は、時間との戦いになると思います。健康に留意して、限られた時間の中で効率よく合格できる力をつけていきましょう。約10か月、合格に向かって励まし合い、研鑽していける場になるよう、様々な角度から学習を支援していきたいと思っています。

では今回は、試験までの学習方法と学習計画の立て方について解説していきます。

合格率と合格ラインの推移

全科目受験生の合格率は、第22回試験までは62%台を推移していましたが、第23回は64.2%、第24回は65.6%と上がり、第25回試験では71.1%と急激に上昇しました。

合格ラインは、第20回以降をみると80点台後半~90点台前半を推移していましたが、第24回で急激に上昇して101点となりました。しかし、第25回では95点に落ち着きました。

合格ラインは、総得点の60%程度を基準として問題の難易度と受験生の実力によって決まります。第25回試験では、難易度は高くなかったので、合格率を上げることで合格ラインが90点台に戻ったといえるでしょう。

「精神保健福祉士国家試験の在り方について」

第27回からの新カリキュラムによる精神保健福祉士国家試験に向けて、令和4年1月17日付けで、「精神保健福祉士国家試験の在り方に関する検討会」から、「精神保健福祉士国家試験の在り方について」という提言が出されています。

その中に、問題の内容は、「受験資格の要件を満たす時点において備えているべき基本的な事項、かつ全ての精神保健福祉士の養成施設等における養成課程及び保健福祉大学等における養成課程で教育されているべき、標準的な教育内容から出題することに留意すること」という提言がされています。

これは、新カリキュラムによる第27回以降の試験への提言ですが、第25回試験をみると既にこの傾向がみられます。2024年2月に行われる第26回試験も基本的な事項、標準的な教育内容を中心とした出題になると思われます。

受験対策のポイント

 

基本的・標準的な出題傾向に移行することを踏まえた上で、合格のために何をすべきか、受験対策のポイントを確認しておきましょう。

ポイント1:知識の総量を確保する
ポイント2:知識の確実性を確保する
ポイント3:理解に基づく知識にしていく

17科目の必要な知識の総量を確保することは、合格のためには必要条件です。

ただし、知識を増やすことができても、その知識が曖昧であると得点には結びつきません。知識の総量を確保したら、その知識を確実にしていく必要があります。これは、迷わずに正答を選ぶ力を身につけるためです。

また、知識を確実にしても暗記的な知識では応用がききませんので、理解に基づいた知識にしていく必要があります。

合格のための学習の秘訣

よくあるNG勉強法

独学の場合は、過去問だけをひたすら解くという勉強をする人が多いです。この方法だと試験で出題された知識を蓄積することはできますが、体系的に知識を整理することができません。また、何回も解いているうちに、内容を理解しないまま答えだけを覚えてしまうということになりがちです。

また、テキストをひたすら読み進めていくという人もいます。この場合、何が重要であるかよくわからないまま読み進めるため、時間だけが過ぎて結局何を学んだのか焦点がぼやけてしまいます。

学習時間を確保できない場合は、暗記ブックなどでひたすら暗記するということもあるでしょう。この方法では、暗記してもその内容をよく理解できていないために、応用がきかないという結果を招いてしまいがちです。

インプットとアウトプットを繰り返す

では、どのような学習がより効率的で効果的なのでしょうか。上記のいずれか一つの方法だけではなく、これらをうまく組み合わせて行うことがポイントです。

まずは、テキストを読んで理解するインプットと、問題を解いて内容を理解したか確かめるアウトプットを繰り返して、知識を積み上げていきます。理解を深めることで推論する力を培うことができ、応用力・実践力を身につけることができます。

最終的に、知識を定着させるために暗記していくという方法が、最も効率的で効果的な学習方法です。

第25回試験を解いてみよう

まず一度、第25回の精神保健福祉士の国家試験を解いてみましょう。163問を一通り解いてみると、案外簡単だと感じる問題もあると思いますし、聞いたことのない言葉や人物が出てきて戸惑うこともあるかもしれません。

試験問題は社会福祉振興・試験センターに掲載されています。実際に解いてみると、苦手な科目と得意な科目がわかるでしょう。

これから学習を進めていくにあたって、苦手科目と得意科目を把握しておくと、学習計画を立てる上で参考になります。苦手科目には、多めの時間を確保しておくとよいでしょう。

学習計画の立て方

試験までの約10か月を「基礎力養成期」「苦手科目克服期」「総仕上げ期」と、3つに区切って学習計画を立てていくとよいでしょう。

基礎力養成期

4~8月は基礎力を養成する期間とすることをおすすめします。まずは解答解説を読みながら、過去問3年分を一通りざっと解いてみましょう。

そうすると、出題傾向を把握することができます。2回目は、難しいと思った箇所や理解を深める必要があると思った箇所を丁寧に解いていきましょう。

苦手克服期

9~11月は、苦手科目を克服する期間とするとよいでしょう。模擬試験を受けたり、模擬問題集を解いてみたりすると、自分の弱点がよくわかります。弱点がわかったら、そこを徹底的に補強していく期間です。この期間に、苦手科目を制覇してしまいましょう。

総仕上げ期

12~1月は最後の総仕上げの期間です。もう一度、全体をまんべんなく見直しましょう。

この時期は、得意科目と思って油断していたため得点が伸び悩む科目があったり、最初に学習した科目の内容をすっかり忘れていたりします。全科目を丁寧に繰り返し見直し、覚えきれていない部分はしっかり記憶に定着させて、本試験で正解できる力をつけていきましょう。

過去問の解き方

試験問題には必ずテーマがあります。テーマは「〇〇に関する次の記述のうち」という表現の「〇〇」に該当するものです。過去問に取り組むときは、テーマを意識するとその分野に関連する内容を把握していくことができます。

また、過去問を解くとき、単に正答を選ぶことだけで満足することのないようにしましょう。テーマに沿って提示されている5つの選択肢を丁寧に読み込み、正答である理由や誤りである理由をしっかり確認して理解し、誤りの選択肢については正しい文章に直していく力を養っていきましょう。

このような学習を進めていくと、それぞれの選択肢の内容を正確に理解することができ、この理解力が応用力につながります。

試験本番までに、3~5年分の過去問を3~5回は解いていくことをおすすめします。

解説書・模擬問題集の活用

中央法規出版から、第23回から第25回までの3回分の『過去問解説集』、出題基準に基づいて出題内容を網羅した『受験ワークブック』(専門科目編共通科目編)等が発売されます。これらには出題基準が掲載されており、解答解説や説明も非常に充実していますから大いに活用してください。

また、『模擬問題集』も出されます。問題数も多く、内容も出題基準に沿って充実しており、解説も詳しいので、本試験レベルの実力をつけるためには最適です。出題傾向を把握し自分の実力を知るために、ぜひ取り組んでみてください。

この講座の構成

この精神保健福祉士受験対策講座は、4月から8月下旬ごろまでは、専門科目・共通科目の順で、科目ごとに、出題基準に沿って出題範囲と出題傾向を分析し、学習しておくべき基礎的な内容を確認していきます。9月頃からは、各科目の重点的な内容について、ポイントを絞って解説していきます。そして最後に法改正や新制度について、押さえておくべき内容を確認します。

学習方法の確立

学習計画の立て方と学習方法についてみてきましたが、お一人お一人、置かれた環境は異なり学習の進度も異なると思います。

最初は試行錯誤になると思いますが、ご自分に最も合った学習方法をなるべく早く確立していきましょう。限られた時間で、学習内容を絞って効率よく集中して学習していくことが合格の秘訣です。

全国の受験生の皆さんと

この試験は科目数が多く出題範囲が広いため、一人で学習していると、時には壁にぶつかったり、自分との戦いに疲れてしまうことがあるでしょう。この講座はそのような全国の受験生の皆さんと一緒に、励まし合いながら合格を勝ち取っていくことを目的としています。

今回は、学習方法、学習計画、学習の範囲についてみてきました。次回からは専門科目の科目ごとに、具体的に出題範囲と学習のポイントを取り上げていきます。初回は「精神疾患とその治療」を取り上げます。では、早速学習計画を立ててみてください。


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